私と千代女はシャルティアの転移門によってナザリックに帰ってきた。
ここに帰るのに念のため、奪ったアイテムを探知対策が施された隠蔽系のアイテム袋に入れてさらに私達の拠点であるナザリックの位置がバレないように帰るまでにエランテルと他の場所を2、3度転移してからさらに最後にアウラが作っている途中のナザリックのダミーを経由してからここナザリックに帰って来ている。
「はぁ、ようやっと帰ってこれたわぁ」
「お疲れ様でございました酒呑童子様、しかし此度の活躍は拙者の目から見ても大金星であり、確実にアインズ様からもお褒めお言葉を頂けるものと確信いたしまする」
「そうでありんすね。妾も千代女から少し聞き及んでいんすがこの目で直接見られなかったのか悔やまれんすね」
などと話しながら私達はナザリックに無事帰還した。
私もこの時は千代女やシャルティアの言うように喜んでもらえるとそう思っていた。
ここはナザリック第9階層のアインズの執務室には今、異様な緊張感があった。
本日のアインズ当番のメイドは既に涙目で今にも倒れそうになっており、千代女とシャルティアは若干震えている。
この場で唯一アルベドだけがアインズさんの横で平然と佇んでいる。
「で、何故勝手に動いた」
とアインズさんの眼窩に灯る炎を輝かせて、こちらを睨んだ。
いや、正確にはアインズさんに目はないので私がそう感じただけだが
「なんやのその言い方、まるでウチが悪いことしたみたいやないの」
「ああ、あまり褒められることではない点が二つある。いや、ワールドアイテムを手に入れたことは確かに評価すべき点ではあるが、一つは我々はまだこの世界のことについて知らないことが多い故に勝手に行動は控えるように言った。もう一つは無闇に敵対者を増やすような軽率な行動は控えるようにとも言ったにも関わらず、まず組織の上に立つべき存在の我々がそれを破るのでは示しがつかないからな」
つまりアインズさんは私が手に入れたワールドアイテムによって敵対する組織ないし国がいるプレイヤーがでることを警戒しているようだ。
昔からアインズさんやぷにっと萌えさん辺りは石橋を叩いて渡るというよりも石橋を叩いて隣に鉄橋を建て渡るくらい警戒する人だったなと私は思い返す。
確かに警戒するのは大事だが、それをふまえても千代女が捕らえたあの婆婆は今、ニューロニストに渡して情報を引き出しているはずなのであの集団のこともすぐに分かるはずだ。
その事を考えるとそこまで状況は悪い方には動いていないはずだと考える私は悪びれることなくアインズさんに反抗的な態度で言い返してしまう。
「ふ〜ん。そんならどないすんの?ウチに首輪でもする気?」
「今回のような行動を繰り返すつもりならば一考の余地はある。私はこのナザリック地下大墳墓を維持していく義務があるからな」
まさに一触触発な雰囲気の2人の威圧感にとうとうメイドが耐えかねて倒れたためで話はとりあえず私は謹慎処分ということで一週間ナザリックから外出禁止が言い渡された。
ちなみにこれは外の状況次第でさらに伸びる可能性があるとのことだった。
sideアインズ
メイドが倒れたことで自身の失態に気付き、急いでアルベドにメイドの治療を手配するようにという命令を下して部屋から退出させ俺一人となった執務室の机に突っ伏して先ほど下した酒呑さんの謹慎処分について考える。
「はぁ〜〜やってしまったな。酒呑さん怒ってたよなぁ〜でもなぁ何もお咎めなし、じゃあナザリックの他の皆に示しがつかないから仕方ないんだよ」
最初、冒険者の仕事を終えた所に何やら機嫌が良い酒呑さんからのメッセージでワールドアイテムを手に入れたと言われた時は驚いたし喜んだものだがそのアイテムを入手した経緯と手に入れたアイテムを見て背筋が凍った。
一つは、傾城傾国をもし守護者達に使用されていたら、その場合は俺は今後の事を考えてナザリックの宝物殿の奥にあるアイテムは使用しないだろうから俺、自身の手でその守護者を殺さなくてはならなかったかもしれない。
そしてもう一つのアイテムの聖者殺しの槍【ロンギヌス】だ。
これを使われれば守護者といえど永遠に消滅していたかもしなれない。
傾城傾国の場合は殺して復活させれば洗脳を解けた可能性はあるがこのアイテムが使用されればそれはできない。
いや、酒呑童子さんもこれを使われれば消滅していたかもしれない。
それら思うだけで無いはずの胸が痛むのを感じたほどだ。
そんな最悪な未来だってあり得たかもしれないにも関わらず当の本人が飄々としているのが何故かムカっときてしまいあんな責めるような言い方をしてしまった。
本当は心配していただけなんですと素直に言えれば良かった。
side 酒呑
謹慎、1日目
謹慎にされたことをマスター(副料理長)に愚痴りながらBARで一日中過ごした。
謹慎、2日目
千代女とBARで過ごした。
謹慎、3日目
巴とBARで過ごした。
謹慎、4日目
BARで・・・
謹慎、い
謹慎、6日目
ここ2日くらい前の記憶が曖昧な私は気分を変えようと思い今日はBARには行かず第六階層の闘技場に来ていた。
いつも静かな闘技場は先ほどまでは剣戟や爆音が幾度となく響き渡っていたがその勝負の決着がついた。
今、私の目の前で第五階層守護者、コキュートスは膝をついて今にも倒れそうだ。
「はぁ〜あかんわ〜コキュートス、ウチ相手にフロストオーラで辺り見えんくすんのは、大技ぶつけて下さいって言うてるようなもんやで」
「・・・グッ・・・ハ、ハイ」
私はここ数日BARに入り浸っていたので少し体を動かそうと思いナザリック内で暇そうにしていたコキュートスに声を掛けて軽く模擬戦をしようとしたのだが思いのほか、両者とも戦闘に熱が入り結構ガチな戦いになってしまった。
私のHPが残り7割ほどでコキュートスが3割五分といったくらいまで削れたところであらかじめ決めておいた制限時間終了を知らせるアラームが鳴ったのでそこで戦闘終了となった。
ちなみにこの戦闘では私はハンデとして冷気に対する完全耐性のアイテムとワールドアイテムを外した状態で私は戦闘を行った。
私の持つワールドアイテムは紅瓢【べにひさご】という紅色の瓢箪のようなアイテムで効果は簡単に言うと同じワールドアイテムの強欲と無欲の魔力版で周囲の魔力と倒した相手の残りの魔力を吸収し無限に貯めておけるアイテムだ。
MP回復が時間経過しかないユグドラシルではこのアイテムは破格の効果だった。
私がこのアイテムを手に入れた時なにやらタブラさんは私の知ってる紅瓢の効果と違うとか何とか言っていたような気がするが学のない私にはよく分からなかった。
まぁ今回の戦闘は結構楽しかった。
まぁコキュートスがもう少しPVPを経験していればまた変わったかもしれないがそれは仕方ないのだろうけど。
元々、守護者はナザリックの侵入者を撃退することを前提にしているので一対多の戦闘を想定していることが多いのだろう。
「ハ・・ハイ、ゴ指導・アリ・・・マス」
コキュートスは膝をつきながら必死に喋ろうとするが私攻撃によって受けた多数のデバフと毒でほぼ身動きが取れないようだった。
「ほんなら、ウチはスパで汗流してくるよって後はペスによろしくやといてなぁ〜 マーレ」
と私はこの戦いを見ていたマーレに後を任せて第九階層のスパに転移した。
「はぁ〜極楽やわ〜」
と私はナザリック第9階階層の大浴場の露天風呂に浸かりながら先ほどの戦いの疲れを湯船に浸かり癒していた。
向こうの世界では仕事で客と一緒に風呂に入らされる機会は何度もあったがこうして一人でゆっくり入ることはまずなかった。
良い気分で風呂に入っていたはずなのに嫌な事を思い出したのでそれを振り払うように首を振る。
すると誰かがこちらに近づく足音がした。
普段、この時間にこの女湯を使う者はめったにいないはずだが誰だろうと私は興味本位で振り向くとそこにはアルベドがいた。
いや、それはいいがなぜ・・・
「こ、こらぁ驚いたわぁ、なんで・・アルベドはんがそれ着てはんの」
そこには傾城傾国を着たアルベドが冷たい目をして立っていた。
「近頃、モモンガ様はいつも、いつも、貴女の話ばかり・・・貴女が・・貴女が居なくなればモモンガ様は私だけを見てくださるはず!・・・だから今、全ての装備をワールドアイテムを外した今の貴女にコレを使うしかありません!!」
そしてアルベドは着ていた傾城傾国を発動させる。
龍の刺繍が光り輝きするとそこから龍が浮かび上がり、その龍の光はそのまま私を呑み込んだ。
楽しい休日(謹慎)からのこの展開
果たして酒呑童子はどうなってしまうのか
次回、酒呑童子 ○○
こんな感じで酒呑童子の休日をシリーズとしてたまに挟んでいきたいですね