ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド   作:グレン×グレン

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ついに勃発、レーティングゲーム!!

ん? ただでさえオカ研スペック高いんだし、策士(兵夜)までいるし生徒会は勝ち目なくね?

さぁ、それはどうでしょう?


VS生徒会 第一ラウンド!

アザゼルSide

 

「おーおー集まってんなぁ 各勢力がこんなに集まってるのを見るのも初めてじゃねえか?」

 

「てめーが寝坊しなけりゃ集まり始めるところまで見れたろうが、ファック」

 

 小雪にぼやかれながら、俺はVIPルームに遅れながらも到着する。

 

レーティングゲームを観戦するVIPルームに到着した時、すでにかなりの連中が集まっていた。

 

 まあ、宮白の武装開発に明け方まで付き合わされたので寝坊しただけだが。

 

 今日はリアスとソーナのレーティングゲーム当日。

 

 一応報告は受けたが、場所は駒王学園近くのショッピングモール。戦闘スタイルは短期決戦。陣地はリアスが二階のフードコートで、ソーナが一回の食品売り場。

 

 ルールで場所の大規模破壊が防がれているのが痛いな。禁手状態のイッセーを含めた、大火力が売りのメンツが戦闘不能になっている。ギャスパーの停止の魔眼も使用禁止だし、こりゃ謝ったほうがいいぐらい指導方針が裏目に出たな。

 

 小雪の奴も情報を見ながら、このゲームがどんな展開になるのか首をひねっていた。

 

「なーアザゼル。朱乃達が勝つとしたらカギはなんだ?」

 

「十中八九宮白だな」

 

 俺はそのあたりは断言できる。

 

 間違いなくソーナはイッセーを狙う。最強戦力でありチームの精神的主柱であるイッセーはチームの要だ。

 

 禁手こそ脅威だが、それだって二分間の使用不能時間がある。戦術としては色々言われるかもしれないが、大量の戦力で飽和攻撃すれば時間制限中に撃破することは確実にできる。超高速移動を行う桜花なら、単騎強襲で仕留めれる可能性は十分にある。

 

 加えて言えばつい先日禁手に至った赤龍帝っていうのがもう注目を集めきっている。これを叩き潰すことができればそれだけで試合に負けても勝負に勝てる。加えてハメ手で実力を発揮させずに倒すことができれば、ソーナの目的においては二歩も三歩も進むことができる。

 

 空腹状態で目の前にぶら下がった最高級の料理といってもいいだろう。それもメガ盛りだ。

 

 そして、それに気づかない宮白じゃぁない。

 

 あいつのことだ。ハメ手用の防護作は二重三重に用意しているはずだろう。

 

 宮白の対抗策がソーナの作戦を防ぎきるか、それともソーナが宮白の策を上回るか。

 

 勝負は極端に言って、その二つに絞られるといってもいいだろう。

 

 おそらく、そのあたりを理解している連中もこのVIPルームの中に何人かいるはずだろう。

 

 しかし魔王はもちろん俺やミカエル、さらにオーディンの爺といったそうそうたる面子だな。

 

「ここを襲われたらファックな事態になりそうだな、おい」

 

「まあ生半可な連中じゃ返り討ちだろうがな」

 

 そんなことを小雪と言い合いながら、俺たちは指定された席に座る。

 

「遅かったですね。実質欠席かと思いました」

 

「遅いよアザゼル! こないかと思ったんだからねぇ!」

 

 ミカエルの警護のため来ていたベルと、その膝の上に座って観戦していたナツミがそろって声をかける。

 

 なんていうか姉妹みたいで微笑ましいなオイ。

 

「悪かったな。ほれ、お土産のポップコーンだ」

 

「わーい! おいしそう!!」

 

 わき目も振らずにポップコーンに飛びつくナツミを見てから、俺は戦闘中の映像に視線を移す。

 

 すでに戦闘は派手になっており、複数の地点で戦闘が始まっていた・・・ってちょっと待て。

 

「ソーナの本陣は食料品売り場だよな? なんですでに木場が暴れてんだよ!?」

 

 俺の視界には、聖魔剣を生み出して戦闘を行う木場の姿が、確かに食料品売り場に存在していた。

 

「・・・兵夜が先制でリバーブローを叩き込んだのですが、実質、ソーナ・シトリーがクロスカウンターをぶつけてきた形になりますね」

 

 解説するベルをよく見ると、少し頬が引きつっていた。

 

 おいおい、一体何があったんだ?

 

「開幕からどんな駆け引きが始まってたんだよ? ちょっと教えてくれや」

 

「仕方がありませんね。・・・まあ、どうせわかることですしちょうどいいですか」

 

 そして、その説明は俺がくる十数分前の出来事を教えてくれた・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side Out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなことがVIPルームで起こる少し前、俺とゼノヴィアは駐車場まで到着していた。

 

「・・・よし、遮断障壁十枚目設置完了。全部解除すれば派手なエフェクトが発生するようにしたから、これで解除される頃には部長たちは撤退できるだろう。」

 

 いろいろな方法の遮断障壁発生装置のテストを率先して引き受けておいて正解だった。金をかけずに高性能の障壁を連発できるから非常にローコスト。

 

「しかし後ろ向きな考えだな。いくら私たちが()()()()()とはいえ、もう少し攻めて言ってもいいのではないか?」

 

「それは間違いだゼノヴィア。この勝負、イッセーが禁手に目覚めたことで勝って当然とすら言われている。そんな戦いでもし負けた場合俺たちの評価は地に落ちる」

 

 そう、そこが非常にやばいのだ。

 

 ソーナ会長の目的は、誰もが通えるレーティングゲームの学校を設立することにある。

 

 そして、学校とは入学したものがその教育方法において通用するようになる手段を教えるところだ。

 

 つまり、レベルを上げて物理で殴るのではなく、そういう手合いをカタにハメる方法を教えるところだ。

 

 禁手に目覚めた赤龍帝をこの試合でカタにハメることができればその時点で彼女たちの主目的は達成できるだろう。そのうえで王ととられて撃破されれば、ジャイアントキリングをしょっぱなからした王として、会長は一躍有名人になる。

 

 で、逆に俺たちはライザー撃破による高評価が一気に反転するというわけだ。

 

 ・・・何があっても敗北だけは避けねばならない。

 

 俺の推測が正しければ、会長はおそらくイッセーを本命とはとらないはずだ。

 

 この試合のルールで最も効果を発揮するのはテクニックタイプ。すなわちイッセーではなく木場だ。

 

 とはいえ赤龍帝を活動させなければ上から何を言われるかわかったものではない。しかし会長が正しい意味で勝ちを拾うためにはイッセーは最優先目標でもある。とても面倒なポジションであったりする。

 

 そのためハメ手対策に、ガスマスク代わりの礼装やら何やら装備させたからまあ直接攻撃で打破されない限りやられることはないだろうが、さてどうなることか。

 

 とりあえず、これだけフルに足止め準備を行っていれば、騎士と女王の高機動メンバーによるこっちを無視した特攻戦術だけは防げるはずだ。

 

「勝つことはもちろん大事だ。だが、戦闘っていうのは何より負けないことが一番大事なんだよ」

 

 そういいながら開けた場所に出たときに、俺は予想通りの人影を見つけてしまった。

 

「どうも、副会長。貴女がここに来ましたか」

 

「ええ、お久しぶりです宮白さんにゼノヴィアさん。木場くんがくるかと思いましたが、当てが外れたようですね」

 

 薙刀を構えた副会長にして会長の女王、真羅椿姫先輩が俺の目の前にいた。

 

 その隣にいるのは、会長の騎士である巡巴柄。

 

 確かこの二人は退魔の家系の出身だったはず。なるほど、連携を考慮に入れてこの組み合わせにしたということか。

 

 そして木場が本命だということも想定内。まあ、その辺は当然だろう。

 

 強化されすぎてこのルールだと本領を発揮できないイッセー。発動させることはできるが、本領を発揮すると負担が大きすぎる俺。

 

 切り札として転用するならば、禁手であり、かつテクニカルに動くことができる木場が本命なのは想定できる内容だ。

 

「まあいいでしょう。屋上には桜花が待機していますし、彼女なら一対一で撃破できるはずです」

 

「ならいいでしょう。今の木場なら久遠と戦うことはないでしょうし、とっとと本命をスパッと行かせていただきます」

 

 どうやら作戦は読まれていないようだ。

 

「・・・御託はいいだろう。私たちは戦う立場でこうして会いまみえたのだ。あとは剣で語るのみだ」

 

 ゼノヴィアは剣を抜き放って鋭い視線を向ける。

 

 その剣をみた生徒会の二人は、目を見開いて驚いた。

 

「・・・アスカロン!?」

 

 やはり驚くか。

 

 まさかアザゼルの発案でアスカロンが抜けることが発覚するとは思わなかった。おかげで今回のルールにおいてもゼノヴィアの高い聖剣使いの特性を殺さずに済む。

 

「じゃあゼノヴィアは剣士どうし仲良くやっていてくれ。副会長は俺が足止めする」

 

「了解した!」

 

 俺とゼノヴィアは視線を合わせることもなく、目の前のターゲットへと速やかに攻撃を開始する。

 

 ・・・会長たちは一つの致命的ミスを犯した。

 

 車が乱立するこの密集地帯において、薙刀は基本的に取り回しにすぐれない。

 

 素早くナイフを転送すると、俺は水流操作で懐まで加速して切りかかる。

 

 ・・・初手から大物を撃墜する!!

 

「まあ、あなたなら間違いなくこの状況下では私を狙うとは思っていました」

 

 副会長も薙刀を構えるとこちらをにらみ一歩を踏み出し―

 

「・・・とはいえ舐められたものですね」

 

 そのまま文字通り地面に沈み込んだ。

 

「・・・な!?」

 

 思わずナイフが空を切るが、しかしそんなことを気にしている暇はない。

 

 空間転移!? いやいやいやいや、この状況下で騎士だけ残すだなんていくらなんでも不可抗力すぎる。

 

 まさか同時に離脱したのかと思って視線をゼノヴィアのほうに向けて、そしてもう一つの驚愕に震えた。

 

 真正面から振り下ろされたゼノヴィアの剛剣を、巡巴柄が真正面から受け止めていた。

 

 ゼノヴィアの剣は威力重視で一撃が重い。そしてただでさえ伝説クラスの聖剣であるアスカロンは、イッセーのドラゴンの力を受けてさらに威力が増している。とどめにアザゼルの指導によってデュランダルのオーラだけを呼び出して剣の威力を高めるというダメ押しまで使用している。

 

 普通なら受け止められるわけがない。

 

 その原因は、彼女が持っている剣に合った。

 

「・・・聖吸剣、だと?」

 

 あれは久遠の神器だろう!? まさか貸出可能なのか?

 

 どうすれば可能なのかと思考が回転しかけた瞬間、俺はさっきを感じて前転する。

 

 その背中を刃がかすめた。

 

「・・・まあ、大体のところはあなたの想像通りです」

 

 いきなり俺の真後ろに現れた副会長が、薙刀を構えなおしながら警戒していた。

 

「複数の契約術式を使用することによる一時的な聖吸剣の貸与。桜花の発案でしたが有効だったようです」

 

「さすがにそこは想定してませんでしたよ。・・・ゼノヴィアにさっさと敵騎士を撃破させて、二対一でつぶす作戦でしたが仕方がない」

 

 さっきの空間転移の種はわからないが、しかしだからと言ってそれで戸惑うわけにはいかない。

 

 俺の駒価値は1、そして副会長の駒価値は9。

 

 試合終了まで足止めできればそれで十分。ここで釘付けにする!

 

 会長の撃破は任せたぜ、木場!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

祐斗Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 宮白くんの策は完璧だった。

 

「構造把握の魔術で地図作ったから、木場は通気口から敵陣に侵入してくれ。さすがにそこまでは想定できないだろ」

 

 本当に一切妨害を受けることなく敵本陣に入れるとは思わなかった。相変わらず宮白くんは恐ろしい。

 

 なんでも建築物潜入で使い魔とかで使用したことがあるとか言っていた。人類社会の現代建築物がステージだと聞いた時点でこの強襲方法を構築したのだから恐ろしい。

 

 いまごろイッセーくんたちは正攻法で進行していることだろう。

 

 そちらに気を取られているすきに僕が潜伏し、戦力が出たすきに後ろから強襲をしかけて会長を撃破する、というのが宮白くんの立てた作戦だ。

 

 部長が立てた作戦をさらに発展させた強襲プラン。はっきり言ってかなりハメ手な気もするけど、宮白くんは割と本気で会長たちを警戒していた。

 

「この戦い、何も会長はゲームで勝つ必要はないんです。・・・相手にハメ手を使われることなく、瞬時に殲滅する必要だってある」

 

 そこまで言われてしまえば確かに文句も言えない。

 

 ライザー・フェニックスに辛勝したことで、僕たちの評価は非常に高く、今回の若手悪魔においてはランキングで二番手に属している。会長は五番手であり、普通に考えれば僕たちの勝ちは確実だ。

 

 つまり、一矢報いられるだけでその栄光に泥を塗られてしまうということでもある。

 

 それを宮白くんは警戒しているのだ。

 

 彼にとってイッセーくんの禁手化は最初からゲームの有利ではなかった。むしろハメ手による撃破のターゲットとして固定されるという弱点とすら見ている。

 

 ゆえに僕が本命なのだ。

 

 だからとにかく会長を発見しなくては。

 

 会長たちがこの場から動いたタイミングこそが僕らにとってのチャンスで・・・。

 

「・・・悪いが、会長はここにはいない」

 

 後ろからの声に、僕の思考は切り替わった。

 

 振り向いた先にいるのはソーナ会長の戦車である由良翼紗さんの姿がそこにあった。

 

「宮白の魔術がどこまでできるかわからない以上、空間転移による本陣の強襲を警戒する必要があったからね。会長は別のところに避難しているよ」

 

「それは的外れな警戒だったね。魔術による空間転移はほぼ不可能だそうだよ?」

 

 少なくとも宮白くんではできないそうだ。アーチャーさんでも複数の仕掛けをした特定のフィールドを構成しなければできないとのこと。実際駒王町での転移はアザゼル先生の技術提供が大きくかかわっている。

 

 まあ、それとは別の方法で移動した以上警戒そのものは間違っていないわけではあるけどね。

 

「なら仕方がない。・・・降りかかる火の粉を撃破することにしよう」

 

 戦車である由良さんは、駒数という観点においてもちろん警戒に値する相手だ。ここで倒すことでせめて戦局に貢献することにしよう。

 

 ゆえに聖魔剣を生み出して瞬時に距離を詰め―

 

「甘い」

 

 それよりはるかに速い速度で、僕の懐に相手がもぐりこんでいた。

 

「なっ!?」

 

 放たれた拳を聖魔剣で防ぎながら、素早く跳躍して距離をとる。

 

 なんだ、今の速度は!?

 

 騎士である僕を、戦車である彼女が速さで超越するなどあり得ない。

 

 少なくとも動体視力とスピードなら、グレモリー眷属で僕が最速である自負がある。そんな僕をもってしても、認識すらできない速度で移動するだなんて想定外だ。

 

 幸い、由良さんは肩で息をしている。どうやら負担が大きいのかさっきの加速は連発できないようだ。

 

 とはいえあの加速をまたつかわれて距離を詰められたら間違いなく撃破される。ここは投剣で遠距離から攻めるほうが得策か。

 

 だが、そんな僕の浅はかな考えは彼女が懐からカードを取り出した瞬間に霧散する。

 

 ・・・あのカードを僕は一度だけ見たことがある。

 

 宮白くんが義手の能力を改めて確認するために、僕を相手に練習した時のことだ。

 

 確かに彼はあれと同種のカードを持っていた。

 

 それはつまり―

 

来たれ(アデアット)!!」

 

 最悪だ、僕らはそもそも―

 

「神珍鉄自在棍!!」

 

 ―敵の戦力分析を根本から見誤っていた!!

 

 再び楯にした聖魔剣が、伸びた棒によって粉砕された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イッセーSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は思いっきり吹っ飛ばされながら、しかし何とか体制をとる。

 

 二分間、赤龍帝の籠手の能力を封印しなければならない俺を、アザゼル先生は戦闘では役に立たないとまで評したが、宮白はむしろ高評価だった。

 

「歩兵しかいない状況下で、たった一人を二分間守り切れば三十分間対人武装満載の戦車を使用できるようになるもんだ。・・・戦略ならともかく戦術なら十分使いこなせるカードだ」

 

 んでもって、さらに代用となる奥の手まで開発していた。

 

 ・・・宝石魔術を利用した、コート型の身体強化魔術礼装。ちなみに一億円しています。

 

 なんでも装甲車並みの頑丈さと、対物兵器並の攻撃力を追加してくれる優れものとか言っていた。値段も装甲車並みとかやばすぎる。やりすぎな気もするが、記念すべき初公式レーティングゲームで、非公式とはいえライザー倒した俺たちが負けるだなんてあってはならないとゴリ押しで装着させられた。

 

 土壇場で使用したけど確かにこれはすごい。これならライザーが相手でも結構行けると思う。

 

 ・・・それが、全く通用してない。

 

「こんなもんかよ兵藤。手加減してるならやめたほうがいいぜ」

 

 目の前の匙が、油断なく構えながら俺に一歩一歩近づいてくる。

 

 その隣では小猫ちゃんが匙と同じ兵士の仁村ってこと戦闘していたが、想像以上に苦戦していてこっちにこれなかった。

 

「どういう、ことだよ、それは」

 

 正直言って匙はかなりパワーアップしているだろう。神器はなんていうかコミカルな外見から多数のへびが巻き付いたかのように進化しているし、不意打ちでつながったラインは全然外れる気配がない。

 

 だが、それ以上にやばいのはその全身から放たれるオーラだ。

 

 一か月近く特訓した今ならわかる。あの時助けに来た桜花さんと同じオーラを、匙はまとっていた。

 

「会長は、このレーティングゲームで一番宮白を警戒していた」

 

 後ろの戦闘を気にせず、匙はラインを伸ばさないでこぶしを握る。

 

「だが、桜花の話を聞いて宮白はミスすると思ったんだ」

 

 まあ、確かにミスしたよな。

 

 宮白は桜花さんと色々話して、仮契約とかいうあの強化手段を、桜花さんは連発できないと辺りをつけていた。

 

 実際本人に確認とって確かにそうだと聞いていたらしいし、だったらまあ、あまり警戒しすぎることはないと判断していた。

 

 どうもあれ、桜花さんの世界の魔法使いの素質が重要になるらしくて桜花さんの資質だとせいぜい二人が限界らしい。

 

「会長曰く、宮白の魔術師(メイガス)としての魔術は能力(アビリティ)だが、桜花の魔法使い(マギステル・マギ)としての魔法はあくまで技術(スキル)だから、そこが付け入るスキになるってよ」

 

 ・・・難しすぎて俺にはわけがわからん。

 

「つまり、魔術回路なんてものがなければどれだけ知識があっても使えない魔術師とは違い、久遠の能力は修行すれば程度はともかく誰でも使えるってことだ!!」

 

 すごい速度で距離を詰め、匙が俺に殴りかかる。

 

 思わず籠手で受けるがそれでもはじかれ、しかもラインがくっつけられていた。

 

「当然、気の概念は俺も習得済みだ!!」

 

 そのまま匙は俺を振り回し、地面にたたきつける。

 

 礼装越しでもすごい衝撃が走り、しかも目の前にはもう匙がいやがった。

 

「俺や仁村は気による身体強化重視。由良は仮契約を利用することによる魔力強化とアーティファクト重視。巡は桜花に指導を受けることによる剣術の研鑽のしなおし。花戒と草下は技術流用のために簡単に魔法技術を取り込むだけだったが、会長と副会長は桜花の前世の名前で人を集めて、魔法技術の本格的な取り込みを行った。最後に桜花は、昔の勘を取り戻すためにありとあらゆる方法でハードトレーニングだ」

 

 やばいやばいやばいやばい!

 

 もう確信できた。

 

 今俺の目の前にいるのは、今までの匙じゃない。

 

 桜花さんと並び立つにふさわしい、猛者の一人だ。

 

「行くぜ兵藤!! お前は、俺が、ぶっ倒す!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side Out

 

 




生徒会超強化の回。

ぶっちゃけ兵夜がまたうっかりかましたせいでもろにカウンターをもらってしまいました。

真面目な話、あの世界の能力概念をフルに使用すれば相応の強化が可能ですからね。

さて、オカルト研究部はこの事態にどう対処する?

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