ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド   作:グレン×グレン

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VS生徒会 第五ラウンド!  桜花乱舞

 俺は一気に後退すると、部長の隣まで走る。

 

 ・・・やばいな、これは。

 

 明らかに桜花から放たれるプレッシャーが増した。

 

 ゆえに俺は素早く判断する。

 

 転送したユニットを、全力で桜花に投擲する。

 

 当然桜花はそれを簡単にかわすが、これはそれがも目的なので問題ない。

 

「かかったな!! あと失礼します!!」

 

「きゃあっ!?」

 

 足で投げるかのように部長を飛ばすと、再びユニットを射出して今度は手に持ったまま展開する。

 

 四分割されたユニットはそれぞれ隅っこにまで飛んで壁に突き刺さると、強力な障壁を展開する。

 

 十数分間だが桁違いの頑丈な障壁を展開し続ける障壁展開用ユニット。本来は通路などを移動して撤退するときに相手の足止めに使うものだが、今回は部長と遮断することを目的として発動した。

 

 当然、桜花が避けた先でユニットは展開して障壁を張る。

 

「・・・部長。安全圏に避難しろとは言いません。別ルートで屋上に移動してそっち経由で会長を探してください」

 

「何を言っているのかしら? この状況下で眷属を置いていくほど―」

 

 部長が文句を言いかけるが、そんなことを言っている場合ではない。

 

「このままだとこっちが全滅するって言ってるんですよ!! 時間稼ぎするからとっとと大将討ち取ってください!!」

 

 素早くイーヴィルバレトを呼び出して構える。

 

 もはや会場の破損禁止などとという生ぬるいことを言っている場合ではない。

 

 全弾叩き込んで黙らせる!!

 

「甘いねー」

 

 その目の前に、久遠の顔が大きく映った。

 

「な―」

 

 そして気づいた瞬間には、コートをつかまれて投げ飛ばされていた。

 

 一瞬で接近された後、切られる前に投げ飛ばされた?

 

 ふと気づけば、すぐ近くにいた朱乃さんまで隣にいた。

 

 俺と朱乃さんが安全圏に一時的に強制避難させられたのはわかる。

 

 だが、誰がやった?

 

 考えるまでもない。俺は無理だし朱乃さんも投げられた側。木場とゼノヴィアは距離が離れていたのであの不意打ちでは間に合わない。

 

 つまり・・・。

 

「狙いはずれたけど、まずは1人かなー」

 

「小猫!?」

 

 桜花のつぶやきで我に返ったのか、ゼノヴィアの絶叫が響く。

 

 回転する視界のなかで、鮮血をまき散らしながら小猫ちゃんがゆっくりと倒れていくのが見えた。しかも転送の光に包まれ始めている。

 

 馬鹿な!? 仙術を解禁した小猫ちゃんの頑丈さは禁手になったイッセーに次ぐぞ!?

 

 それが一撃だと!?

 

「「小猫ちゃん!?」」

 

「・・・っ」

 

 木場と朱乃さんも叫ぶが、俺は何とかそれをこらえる。

 

 落ち着け俺! レーティングゲームである以上安全圏に転送されるだけだ!

 

 俺たちが相手をしているのは、下手をしなくても禁手状態のイッセーを超えかねない化け物だぞ! 茫然としている場合じゃない!

 

「やってくれたな・・・っ!?」

 

 素早くイーヴィルバレトを向け、そして引き金に指をかける。

 

 久遠はそれをみて足に力を込める。

 

 引き金を引くのが速いか、それとも久遠が動くのが速いか―

 

「・・・隙を、見せましたね」

 

 その久遠の足を、子猫ちゃんがつかんだ。

 

「なっ!?」

 

 すでに倒したと踏んでいたのだろう、桜花の表情に驚愕の色が映る。

 

 そして、すぐにその表情が苦悶にゆがんだ。

 

「小猫ちゃん・・・最初から足狙い―」

 

「おそらく瞬動というのは踏み込みが関係しているのでしょう? なら、足に気を流せば封じれる・・・はず・・・」

 

 してやったりの笑みを浮かべながら、今度こそ小猫ちゃんが消えうせる。

 

 あの状況下で最善手を打ち、最も驚異的な機動力を殺したというのか・・・っ!!

 

「・・・喰らっとけ!!」

 

 このチャンスを逃すわけにはいかない。

 

 今度こそイーヴィルバレトの引き金を引き、弾丸の嵐を久遠に浴びせる。

 

「なんのー! 足はだめでも翼があるよー!!」

 

 悪魔の翼を広げて後ろに下がる久遠。

 

 だが甘い。後ろに気を付けなかったのは失敗だな。

 

「やれゼノヴィア!!」

 

「無論だ。小猫の敵は討たせてもらう!」

 

 久遠の真後ろからデュランダルとアスカロンの二刀流で武装したゼノヴィアが一気に迫る。

 

 気づいた久遠がとっさに野太刀を振るうが、いくらなんでも伝説クラスの聖剣二つを抑えきることはできない。

 

 甲高い金属音とともに、野太刀は耐え切れず砕け散った。

 

 これで―

 

「甘いよー」

 

 ・・・久遠が、ゼノヴィアの懐に潜り込んだ。

 

 その手には野太刀はもはやないが、その動きには迷いがない。

 

「紅蓮拳!」

 

 振りぬかれた拳がゼノヴィアの鳩尾に突き立つ。

 

「烈蹴斬!」

 

 蹴りがその側頭部にたたきつけれる。

 

 この間わずか一秒足らず。俺たちがあっけにとられた一瞬のすきにこれだけの攻撃が叩き込まれ、さらにゼノヴィアの頭を久遠は両足で挟み込む。

 

「浮雲、桜散華!!」

 

 フランケンシュタイナーみたいな投げ技が、ゼノヴィアを弾丸にして床にクレーターを作り出した。

 

「まさか、剣さえ奪えば勝てるだなんて思ってたのかなー? 実戦用古流剣術にそんな甘い話があるわけないじゃんかー」

 

 足を酷使したせいか、地面に着地できずそのまましりもちをつきながら、久遠はそう嘆息した。

 

『リアス・グレモリー眷属の騎士一名、リタイア』

 

 光に包まれて消えるゼノヴィアを横目に、久遠は宙を舞っていたアスカロンをつかみ取る。

 

「まあ聖剣としての力は使えないだろうけど、剣はふるって切れれば十分意味があるからね・・・っとー」

 

 軽くふるって調子を確認しながら、久遠は翼の力を使って立ち上がる。

 

「あ、今ので足は本気でヤバイから気にしないでいいよー。蹴りは来ないから安心してねー」

 

 ・・・これでこちらは残り三人。そして久遠は足と得物を失った。

 

 一見すると剣は確保されたから意味がないかもしれないが、しかしそういうわけでもない。

 

 あいつが聖吸剣を使わず、あえて野太刀を使ったということは、思いつく理由はただ一つ。

 

 おそらく、京都神鳴流は野太刀を使うのが一般的。・・・西洋の剣では真価を発揮できないはずだ。少なくとも久遠はそこまでうまく使えないのだろう。

 

 付け入るスキは十分ある。

 

「まさかここまで手こずるとは思わなかったなー。みんな本当に腕を上げたけど、兵夜くん特製の武装の数々も苦戦するよー」

 

「そりゃどうも。俺はお前の化け物っぷりに驚いてるよ」

 

 どう攻めたらいいかよくわからない状況下で、久遠がそんなことを言ってきた。

 

 ・・・正直正面からぶつかって勝てるとも思えないし、ここは部長が会長を打倒してくれることを祈って時間を稼ごう。

 

 携帯電話を利用してメール送信。「合わせて」

 

「最初にあった時からできるタイプだとは思ってたけどさー、コカビエルの一件とか和平会談の時とか、本当、兵夜くんってやれるよねー」

 

「確かにそうですわね。兵夜くんが悪魔になる一件からずっと、毎回必ず成果を出してますわ」

 

「いつも思うけど本当重要な戦力だね。いつも助かってるよ」

 

 ・・・確かに合わせてとは言ったが、これは恥ずかしいな。

 

 そしてなぜか、久遠が俺よりも恥ずかしそうにしていた。

 

「・・・うん、いつも思うけど本当に格好いいよねー。だからさ・・・」

 

 視線を泳がせながらものすごい言いにくそうにしている。

 

 好機! これは好機だ!!

 

 露骨に隙を見せたその判断を迷うがいい! このチャンス逃さ―

 

「・・・このゲームで私たちが勝ったら、生徒会に入ってついでに付き合ってください!!」

 

 思わず構えたショットガンが、すっぽ抜けた。

 

「「・・・え?」」

 

 まさかここで告白がくるとは思わなかったのだろう。木場と朱乃さんも唖然としていた。

 

 いや、告白だよな? これってどう考えても告白だよな?

 

 L・O・V・E・・・LOVEですか? あれですか? あなたは私にフォーリンラブですか!?

 

 ドォンッ!

 

「おわショットガンが暴発した!?」

 

 頬をスラッグ弾がかすめて正気に戻った。

 

 いやいやいやいやちょっと待て!?

 

「お前正気か!?」

 

 俺を選ぶとか趣味悪いな!!

 

「いや宮白くん!? 宮白くん明らかにスペック高いよ!?」

 

「料理ができて成績優秀でスポーツもそれなりにこなせて性格も悪くない。・・・どう考えてもモテますわね。今まで告白されたことないのですか?」

 

 木場と朱乃さんがそんなことを言ってくるが、しかし冷静に考えてみてほしい。

 

「・・・どこの世の中に自分よりイッセー(女の敵なドスケベ覗き魔)優先する奴と恋愛したい年頃の恋する乙女がいるんだよ? 告白してきたやつみなこれで正気に戻るんだけど?」

 

「・・・ああ、なるほど」

 

 木場はあっさり納得してくれた。というか真理だ。

 

「男なんて一皮むけばスケベは共通点ですわよ? 木場くんだってエッチなことに対する興味自体はありますのに、そんなことを言っては何もできませんわ」

 

 朱乃さん。これ全国ネットで放送予定なんだからやめたげて。

 

 木場がものすごい反応に困った表情してるし本当にやめてあげて。

 

「・・・いや、私だって会長が最優先だからむしろそこは当然だよー。自分と似た存在理由を定義してるのってむしろ重要ポイントだねー」

 

 あっけらかんと久遠がそう断言した。

 

 ・・・ああ、確かに俺はそこには理解あるぞ? むしろお前が会長より俺優先したらそれはそれで複雑な気分になりそうではある。

 

 そういえば生徒会に入るのが重要で付き合うのはついでと確かに言っていたな。その辺確かにこいつはブレてない。

 

「仕掛けたときの対応の仕方とか綺麗でグっときたし、コカビエルの一件での対処の仕方とかもカッコいいから、機会があったらもっと仲良くなりたいなーって思ってたんだー」

 

 照れくさそうにノロけてくれてるのはいいのだが、これ最終的に放送される予定だって事実は知ってて行ってるのだろうか?

 

 後で恥ずかしさのあまり暴れられても俺が困るんだが?

 

 っていうかすっごい恥ずかしい! なんだよこのべたぼれっぷりは!?

 

 あれ!? 確かに俺の本領発揮した一件だったとは思うけど、いくらなんでもフォーリンラブが速すぎませんかちょっと!!

 

「・・・それにねー? ・・・女の子は、寂しい時に抱きしめて甘い言葉をささやかれたら一発で参るんだよー? 同じ境遇の人にされたらもうとどめです!」

 

 ・・・うっかりやらかしてた!?

 

「・・・あの緊急事態にそんなことしてましたの?」

 

「・・・宮白くん? 腕吹き飛んだ直後にそんなことできる君ってなんていうか・・・大物だよね?」

 

 感心するのかあきれるのかわからん口調で朱乃さんがつぶやき、木場は木場でフォローしようとして失敗してる。

 

「な、ななななんていうかすいません!!」

 

 どう反応すればいいのかわからんがなんかゴメン!

 

 っていうかどう答えればいいんだよ!?

 

 イッセー優先を理解したうえで告白してくるような開いて初めてだからどう反応していいのかわからねえ!?

 

 でもどうすればいいん? 断るべきか受け入れるべきか・・・。いや、嫌いなわけじゃないんだぞ? むしろかわいいし生き方にも共感できるところがあるから好きか嫌いでいえば好きって部類に入るし、そこまで踏まえてきたうえで告白してくれる相手に対してそんな冷たい返事を返すわけにもいかないし、むしろ応えてあげたくなるし、でもイッセーを優先する以上少なくとも現状は部長たちから離れるわけにはいかないし、離れるのは最終的に独立すると決めているからまあいいんだけど、後任を育成してからにしておくべきだからさすがにまずいし、っていうか後任育成するんだったら会長の夢をかなえるのは好都合だからある意味で予約するのはあり・・・いやいや独立前提なんだから主ポンポン変えるのはそれはそれでマズイって! っていうか笑顔かわいいうえに返事まってるその恥ずかしそうな表情ツボにはまるなオイ!! なんかエロいぞ興奮するぞ! 俺だってスケベなんだぞこのタイミングで欲情させるなよ! あぁもう! とりあえず落ち着いて考えろ俺・・・」

 

「宮白くん!? 受け入れるべきか・・・から全部口に出てる!?」

 

 なおさら断りづらくなってきた!?

 

「わかったよー。だったら妥協しよー!」

 

 なんか気合いを入れなおした久遠が、顔を真っ赤にして指を突きつける。

 

「兵夜君が私に勝てなかったら、私を愛人にしてー!!」

 

「お前はそれでいいのか!?」

 

 思わず全力ツッコミを入れてしまった。

 

「いや、会長とともにいることができないっていうなら、私が会長から離れるわけないから仕方ないよー。素直に現地妻になるって普通ー」

 

 さすがは俺の同類。すがすがしいまでの会長優先主義だ。

 

「それに私の愛に向き合ってくれるのが一番重要だからねー。会長の眷属でい続けない人と生涯ついていくのはそれこそ無理だし、両方ともwinwinなこの関係がベストだよー」

 

 な、なるほど。

 

「確かに真理だな」

 

「「なんで!?」」

 

 二人がなんかツッコミを入れてくるが、しかしこれは真理だろう。

 

 会長の剣がいずれ離れる男の伴侶になるというのもそれはそれでマズイ。あくまで現地妻というポジションはある意味でベストだ。

 

「仕方がない。そこまで腹をくくっている相手に応えないのも男じゃない! よし! 勝てるもんなら勝ってみろ!!」

 

「よっしゃー気合いさらに入ったー!」

 

 とりあえず空気はバトルモードに戻しきれた!

 

 さあて、それじゃあ気を取り直して・・・。

 

「勝負しようか、久遠!!」

 

 




桜花、告白タイム。

ぶっちゃけ桜花は制作当初から兵夜とくっつけることを目的としたキャラでした。

初期段階から作っていたため、そのキャラとしての方向性として「近い人種であるがゆえの好意」を前提とし、それゆえの同類としての設定を行っております。

ゆえに評価対象として戦術面でもデキる人物であり、何より絶対の優先対象があるというわけです。

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