ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド 作:グレン×グレン
このあたりで、主人公である兵夜のクロスオーバー先がわかる人にはわかります。
下校時刻を過ぎた駒王学園。
部活動に励む生徒たちをしり目に、俺、松田、元浜は茫然と芝生に腰をおろしていた。
花の女子高生が健康な汗を散らしているにもかかわらず、松田も元浜もそっちに視線を移さない。
気持ちはわかる。
俺も、いつかは必ず来ると信じてはいたが、それは決して今ではないと確信していた決定事項が跳ね返されてるから同意見だ。
そう、
『宮白! 見て! 見てくれ! 俺の彼女!!』
あの、
『罰ゲーム? ないない、後ろよく凝視したし』
スケベな、
『ドッキリ? ないない。看板見つからなかったし』
イッセーに
『イッセーくんのお友達ですか? はじめまして! イッセーくんの彼女の天野夕麻です』
彼女ができたのだから!?
・・・思わず疑問符が付いてしまったが、それぐらい信じられないのだから仕方がない。
二人に至っては真っ白に燃え尽きてる。
「イッセーが・・・イッセーがリア充に・・・」
「くそぉ。俺だって・・・俺だって・・・」
同類の一抜けに本気で絶望してる。
さすがの俺も同情しちまうぜ。
「安心しろ。女抱きたいなら知り合い紹介してやる。経験豊富のセッ○ス大好きなエロ姉ちゃんだ」
「「いるか!? そんな爛れた恋愛!?」」
「その割によだれでてるぞ。あと愛はない、体だけ」
「「むなしいだろそれじゃあ!!」」
覗き常習犯がわがままを言うなって。
「とにかく落ち着け二人とも」
絶望に打ちひしがれる二人を何とか現実に戻さねばならない。
「イッセーの恋、もしかしたらヤバいかもしれないぞ?」
「なんだと? それはどういうことだ宮白」
俺の言葉に、元浜のメガネが光る。
「だってそうだろ? あの制服、このへんじゃ見ない奴だ。・・・そんな奴がイッセーに告る流れが想像つかないだろ?」
その言葉に、二人は無言でうなづき返す。
そう、俺たちはあんな制服知らない。
それはつまり、深くかかわるような接点が存在しないということになる。俺は学校では先生にも信頼されているから、交流するイベントとかがあったらすぐにわかる。
そこから導き出される回答は・・・
「1 実は・・・実は一目ぼれ・・・うぅ」
元浜泣くなよ。
お前は子猫ちゃんに代表される幼女体形大好きなロリコンだろう。夕麻ちゃんの体形、どう見てもエロティックでグラマラスだったぞ。
ま、それならイッセーのスケベに幻滅するというオチで終わりそうだがな。
「2 実はイッセーを絶望させるためのここの生徒の仕込み。順調にイベントを積み重ねてからばらして絶望させる」
松田、カメラを構えるな。
地味にあり得るのが怖い展開ではあるが、それほとんど犯罪ギリギリだぞ。適度にせっかんしてる連中がそこまでするとは・・・、考えられるってのが怖いな。カメラのせいでサスペンス臭が漂ってきたぞ
下手すると自殺物だ。はずれてくれ。
「3 実は電波。その本性は妄想にまみれたキチ○イ」
自分で言っててなんだが、俺はイッセーに彼女ができるって信じてんだろうか。どう考えても信じている男がいう発言とは程遠い。
いや、これはイッセーのことが心配なだけだ。
あいつのことを本気で好きになるのは、スケベの裏側を覗けるほど近くに居続けた人物のはず。
ぽっと出の女の子がほれるなんて展開、ちょっと考えづらい。
いや、ビ○チなら普通にあのスケベもオッケーなんだろうけど、それは何気に純情なイッセーにはショックが強すぎる気がする。
「ま、結論がどうだとしても調べた方がいいな。元浜、彼女の制服からどこの高校か調べてくれ」
「おう! こういうときは仕事人宮白の出番だ」
「何かあったら俺たちも手を貸すぜ!!」
全ては、イッセー彼女事件の解決のために!
俺たちは、ある意味イッセーにとってとてもはた迷惑かつありがた迷惑な理由で、イッセーの彼女について追及することを決定した。
・・・本当に、俺はイッセーに彼女ができるって思ってるのだろうか。
さて、ここまでの流れでわかっただろう。
俺はいわゆる仮面優等生だ。
学校での顔は側面の一つ。
未成年飲酒をしたことはあるし、喧嘩も結構日常茶飯事。ギャンブルにだって手を出したこともある。
あの変態三人衆なんかではたどり着けないぐらい、エロいことも経験豊富だ。
ぶっちゃけ、俺は実家とは限りなく離縁されている。
生まれ持った能力のせいなのだが、それについてはまた後ほど説明するとして、俺はそのせいで実家とは仲が悪かった。
幸いプライドの高さに比例するほどのカネ持ちだったおかげで、一人暮らしには困らない金はもらっていたが、今でもいろいろと注文をつけてくる。
駒王学園に入学したのも、半分は実家からの要請にこたえたからだ。
このわずらわしい生活から抜け出すには、完全に自立する必要がある。
俺は生まれ持った能力をいかして探偵まがいの尾行調査をすることで金を稼いできた。
あとはストーカーをぼこって近寄らせないようにする、用心棒まがいの仕事とかもやったよ。おかげで、風俗店のお姉さんとかに気に入られちゃってもうあんなことやこんなこと・・・ゴホン。
今じゃあ、この辺りの裏の連中にもコネがあるし、それなりに貯金もたまっている。
将来はこのコネを活かして私立探偵でもやるつもりだ。
ちなみに、イッセー達にはあいつらがエロビデオを集めている関係でへんなのにからまれてたのを助けたからバレた。
それ以来、奴らのエロDVD入手ルートの一つに俺のコネができたのはここだけの秘密だ。
あれだけ通報したのに告げ口してこないのは、割と本気で感謝してる。
と、言うわけで元浜からの情報をもとに調べてみたのだが・・・
「・・・いない」
そう、いない。
彼女の制服からわかる高校には、天野夕麻なんて子は存在しなかった。
退学したとか転校したとかじゃない。
念のため数年前の在校生まで調べてみたが、天野夕麻なんて女の子は、その学校には存在しなかったのだ。
「どうなってんだよ!」
ベッドに寝転がりながら俺は吠えた。
俺の能力は、やろうと思えば拷問よりも情報を引き出すことができる。
だから、誰もが知っててかばってるというわけではないはずだ。
まさか本当に2なのか? だとすれば、正体を察知されないようにするために別の学校の制服を用意することぐらいは手の込んだとか言える範囲内だと思うが。
だとするとさすがにむかつくな。
確かにのぞきは犯罪だが、毎回毎回ボコったうえでこんな行動はやりすぎだろ。
腐っても俺の親友だ。奴の心をえぐるのなら容赦はしねぇ。
そんな決意をするころには、もう夜も間近の時間帯だった。
そろそろ晩飯にしないとな。
キッチンに向かいながら釈然としない気持ちを抱えていると、なんか一瞬頭痛がした。
「っ! なんだよ一体?」
まだ推測の段階なのに、ストレス溜まりすぎて脳の血管でも切れたか?
一度健康診断でも受けとくかな・・・。
などと考えて眠ったせいか、よく眠れなかった俺は思いっきり寝坊してしまった。
くそ! ウケがいいから皆勤賞狙ってたのに!
などと考えつつも、ウケがいいので大したダメージにはならずに、遅刻がらみの作業もあっさりとして終了。
そんな直後だ。顔色の悪いイッセーを見つけたのは。
「どうしたイッセー? 夕麻ちゃんに振られでもしたか?」
だとすると答えは1か。なら残念だがまあマシなオチだ。
などと考えようとした瞬間に、俺の目の前にイッセーの顔のどアップがあった。
「・・・なに?」
「宮白? お前、覚えてるのか?」
覚えてるって、夕麻ちゃんか?
むしろあのインパクトでどうやって忘れるんだよ。下手したら一生焼きつくぞアレは
「出来たばかりのお前の彼女だろ? それがどうして・・・」
「覚えてないんだよ! 松田も元浜も!! まるで『暗示』を受けたみたいに!!」
暗示
その言葉に、俺は本気で戦慄した。
それは、イッセーが決して人前では言わない秘密の言葉。
俺の能力の一つを人前で言うだなんて、こいつがどれだけパニックなのかがわかる。
「イッセー。とりあえず屋上行くぞ」
屋上で、俺はイッセーと向かい合った。
ぶっちゃけもう授業中なのだが、親友の一大事にそんなこと気にしてらない。
「それで? いったい何があったんだ?」
「あ、ああ・・・三時間前に変なチラシでメガネっ子100人・・・」
筋道立てて話せ。
・・・解読に苦労したが、要約すると次の通り。
初めての天野夕麻とのデートが昨日あった。
金のない学生デートの基本パターンを行いながら、夕方の公園へ。
だが、ここからがおかしい。
夕麻ちゃんがいきなり、イッセーに「死んでくれないかな」などと言ってきたのだ。
しかも、その瞬間には背中に黒い翼が生えたとかいう。それも、なんかまがまがしい光の槍を出して、イッセーに投げつけたとかいう。
突然の事態にパニックを起こしていたイッセーは当然避けられず直撃。腹にでかい風穴を残してぶっ倒れる。
その後夕麻ちゃんはセイなんとかいう力を宿した神を恨めとかいって姿を消した。
「で? 女の胸のこと考えながら気絶したと思ったら、なぜか怪我もなく家のベッドにいたってか」
「改めて思い出すと、俺ってホントどうしようもねぇな」
イッセーらしいといやらしいんだけどな。
だが、問題はそこではない。
一応イッセーの腹をめくってみたが、そんな風穴のあとなんてどこにもない。
「ま、風穴なんてあいてたら助かるわけないしな」
「だ、だよなぁ」
まあ、これだけなら変な夢とごっちゃになったとか言いたいんだが、夕麻ちゃんのこともある。
あれだけ絶望していた二人が、奇麗さっぱり忘れたふりなんてするわけがない。
なら、あの二人から記憶は本当に消えたということなんだろう。
いったい何がどうなってんだ。
俺は、この事態が想像以上にヤバげなことになっていることを、この時になって初めて実感した。
話は変わるが、皆は前世の記憶と言うものを知っているだろうか?
自分が生まれる前の、死ぬより前の記憶ってやつ。
俺はある。しかも、一族が持ってる特殊能力もだ。
その家系は、なんでも一族の誰かが宇宙の始まりでありアカシックレコードでもある根源の渦というのを目指して、その特殊能力を研究していたというものだ。
あいにく俺は跡取りではなかったが、親がその特殊能力を素晴らしいものだと考えていたことから、最低限の指導を受けていた。
まあ、それが交通事故で15ぐらいで死んでから、気が付いたら保育園でおもちゃを握っていたんだ。
ま、こんなとんでもないものがついてたら家族との関係にもギクシャクとしたものが出てしまうもので、俺は家族と疎遠になった。
当然友達も出来ずにいたのだが、そんな俺に初めてできたのがイッセーだというわけ。
そんな親友がわけのわからないことに追い込まれていると知って黙ってはいられない。
俺は、力を使うことを決意した。
魔術使い、宮白兵夜。
今のおれのことはそう呼びな!
楽しんでいただけましたか?
兵夜のクロスオーバーは、ここでも良く出ているFateシリーズでした!!
今後も何作品かクロスオーバーを出す予定ですのでお楽しみください!