ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド   作:グレン×グレン

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俺、相談します!

「木場、俺はモテ期なのだろうか?」

 

「いや、僕に相談事ってどういうこと?」

 

 俺はつい木場を呼び出してして相談してしまった。

 

 やはりこういうことはモテる男に聞くのが一番だろうとの判断だが、こいつが付き合っている女がいるという話は聞かないし、そういう意味ではもしかして失敗だった・・・とも思わなくはない。

 

 だが、誰かに相談せずにはいられなかったのだ。

 

「久遠は特殊だから仕方がないとして、ナツミはあれだろ? こういういい方はあれだが、ペットと主人の関係的なあれであってると思うよな?」

 

 レーティングゲームの報道によって、俺は間違いなくスキャンダルとなっている。

 

 転生者の情報は、上層部以外には基本的には秘密となっている。

 

 まあ、その根本的な要因が最重要機密である以上、細かい詳細を話すわけにもいかないだろう。

 

 転生者の存在は、これまで奇跡的な偶然によって発見されてなかった、まったく別種の能力を持つものという認識で語られている。

 

 で、俺はある意味で超有名なわけだ。

 

 なんてったって、件の治癒アイテムの開発者はほぼ俺だ。そういう意味では冥界の歴史を変えているわけで、一応表だって紹介するのは避けてもらっているが、もはや公然の秘密といってもいい。

 

 そこに久遠の策がかかわる。

 

 あの女。公共の電波で告白を流すことで、返答の証拠として逃げられないようにするつもりだったようだ。

 

 おかげで俺は堂々と愛人持ちということが判明しているわけで、レーティングゲームの紹介雑誌を見たら「公共愛人契約! 新米眷属悪魔の恋愛模様は複雑すぎ!?」などと書かれてしまっている。

 

 しかもどこから漏れたのか、久遠がサーゼクス様の前でキスしたことまで公表されている。おかげで俺と久遠の中は魔王公認とまで言われているのだ。

 

 恋人ができる前に愛人ができるというのはいささかどうかと思う!

 

 そんな経験があったからか、ナツミの俺への接し方に何やら主と使い魔以上の何かがありそうな気がするのは疑心暗鬼だと思いたい。

 

 思いたいので女性からの好意を向けられなれている木場に相談してみたのだ。

 

「でも宮白くんはナツミちゃんを助け出した王子様なんだろ? そういういいでは好意を向けられてもおかしくないと思うけど・・・」

 

 ・・・木場の答えは俺にとってあまりに残念なあれだった。

 

「マジか!? とはいえ助けないなんて選択肢はあの場じゃなかったし・・・ガッデム!!」

 

「そういうところも高ポイントだと思うけどね」

 

 木場が苦笑しながら肩をたたいてくるが、正直全然慰めにならない。

 

 ・・・真面目な話、俺が本気で恋愛していいのかという言う部分においても疑問が残る。

 

「恋愛ってのは相応に神聖なものだろ? 同性との友情を優先する選択しかとらない俺が、果たして本気の恋愛をしていいのかっていうことには疑問があるんだが」

 

 ・・・しかも関係が現地妻というのもアレだ。

 

 悪魔の業界ではハーレムが普通に認められているから緩いのかもしれないが、だからといって俺がそれをやるのはまずくないか?

 

 恋愛っていうのはコレクション感覚でやっていいものではないだろう。少なくとも誠実に対応するべきだ。

 

 はたして俺の今の状態が恋愛として認めていいのかどうかについては本気で疑問なんだが・・・。

 

「宮白くん、一ついいかな?」

 

「おう」

 

 木場は俺を正面から見つめると、肩に手を置いて一言いい切った。

 

「そういう風に考えられるっていうのが、まず誠実な対応の一つではあると僕は思う」

 

 ・・・え?

 

「マジ? そうなのか?」

 

「そうじゃないか。少なくとも、ハーレムが認められている社会においてならばそれは十分誠実な対応だと思う」

 

 そ、そうなのか。俺のこの対応は誠実なのか?

 

「それに何を一番大事に考えるかというのは、人によってさまざまだ。君がイッセーくんを一番大事に考えているということを知ってなお、それでもいいと本気で思っている人に対して、イッセーくんが一番大事だから断るというのは、若干ずれている考えだよ」

 

 ・・・なるほど確かに。

 

 本人がそれでもいいといっているのに、それを理由として断るというのは確かに論点がズレているな。

 

「さらに言えば、桜花さんはソーナ会長に対する忠義が一番なんだろう? 彼女に関していえば共通の価値観を持っていることから考えてもお似合いだと僕は思うよ?」

 

 なるほど。確かにそういわれると納得してしまうな。

 

 ふむ、不誠実だ不誠実だと考えるより、そのうえで付き合いたいといっている彼女たちに対してどうすれば誠実なのか考えるほうが大事か。

 

 なんか開き直っているようにも思えるが、確かに文化体系がずれていることなども考えるとそれぐらいのほうがいい気もしてきた。

 

「なんか助かった。例と言っちゃあなんだがなんでも食べてくれ。おごるぜ」

 

「そうかい? じゃあちょっと早いけど、軽めの夕食でもいただこうかな?」

 

「よっしゃ! だったら悪魔稼業の最中に俺が夜食も作ってやるよ! よし、ちょっと材料を買い込むとするか!」

 

 気がだいぶ晴れたし、その分の礼をするのは当然だな。

 

 それに仲間たちとの交流にもなる。これからも相談事をすることもあるかもしれないし、仲をよくするのは当然だ。

 

 よっしゃ! だとすると気合入ってきたぞ! ここは本気を出してちょっと凝った料理を作るとするか!

 

「そうと決まれば善は急げだ! 野菜と肉をかき集めて―」

 

「いい加減にしろファック野郎!」

 

 顔面に靴底がめり込んだ。

 

 悲鳴も上げれず思わず崩れ落ちる。つーかマジ痛い。

 

「お客様? 店内で大声を出して行動するのはファックなまでに勘弁してもらえませんか? ほかのお客様の迷惑ですよファック兵夜?」

 

 額に青筋を浮かべた小雪ににらまれ、俺はふと、ここがどこかを思い出した。

 

 小雪がバイトしているコンビニである(飲食コーナーあり)

 

「てめーは人の目の前でやれ恋愛だどーたらこーたらと! いくら人が少ない時間帯だからって、あたしがいること考えてしゃべろ!」

 

「ま、まあまあ小雪さん。宮白くんも悩みすぎて周りが見えてなかったところがあるしその辺で」

 

 追い打ちで攻撃をしかねない勢いだった小雪を、木場が何とかなだめてくれる。

 

 た、助かった・・・。

 

「まあ僕も悪かったよ。小雪さんの前で宮白くんの恋愛事情をとやかく話すのもまずかったよ」

 

「ふぁ、ファファファファック!! てめーそれをいうな!!」

 

 あれ? なんか話の方向性がおかしいような気が・・・。

 

「いやいや待て待て。それじゃ小雪まで俺に惚れているということに―」

 

 言いかけた俺の口の中に、何やら冷たいものが突っ込まれた。

 

 視線をゆっくりとおろして確認した。

 

 ・・・ショットガンだ、コレ。

 

「わ、わ、忘れろ! さっきの会話はすべて忘れろ!! ファックな思い出し方したら、わかってんだろーな!?」

 

「~~~~~~~~~っ!?」

 

 なんでだー!?

 

 お前なんだその露骨に危ない反応は!?

 

 え? な、ななななんで!? 何が原因で惚れられたの!?

 

 い、いやいやいやいや違うよな!? いくらなんでも違うよな!?

 

「べ、べ、べつにてめーのことなんかどーとも思ってねーんだからな!? なんだかんだで気が合うやつだとか、昔っから引っ張っていくタイプだからお姫様みたいに扱われたのが新鮮だとか、フィフス相手に啖呵切ったところが正直裏切りでビビったところにグッと来たとか思ってねーんだからな!?」

 

 やっぱり可能性高いっぽい!?

 

 というか語るに堕ちてるんだけどお前ちょっと落ち着け!!

 

「と、と、とりあえずちょっと待ってくれないか!? 今俺けっこういっぱいいっぱいで正面から対処するのは難しいというか、真剣に考える時間をくれ!!」

 

「だからどーとも思ってねーって言ってんだろーが!? 本当に撃つぞコラ!」

 

 ・・・なんで俺はこんなにモテ期に突入してんだ!?

 

 イッセーの心配してる余裕がなくなって来たぞおい!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 イッセーSide

 

 なんていうかとんでもない事態になって来たぞオイ。

 

 事の起こりは、悪魔としての活動で、俺たち以外のレーティングゲームを確認したことが始まりだ。

 

 圧倒的な実力を発揮するサイラオーグさんたちの戦いを見てから、続いてディオドラとアガレスの戦いを見ようとしたときに、よりにもよってディオドラが現れやがった。

 

 なんていうか、アーシアを自分の所の僧侶とトレードしたいとか言ってきやがった。

 

 惚れた女と一緒になるために眷属とトレードとかなに考えてんだ? 部長もかなり本気で怒っており、もちろん俺もマジでむかついた。

 

 そんなマネをしておきながら、さらに空気を読まずにアーシアの手を取ろうとしたディオドラの手を、掴み取る男がいた。

 

「・・・申し訳ありませんがそこまでにしていただきたい。少々お戯れがすぎますぞアスタロト様」

 

 宮白が、アーシアをかばえる位置に立っていた。

 

「・・・離してくれないかな? 薄汚い下級悪魔に触られるのはちょっとね」

 

 にこやかな笑顔のままとんでもない毒を吐きやがったよこの野郎!

 これがこいつの本性かよ! なんだコイツ!

 

 だが、宮白は笑顔を浮かべながら手を放すと、ピエロみたいなおどけた調子で一礼した。

 

「これは失礼。ですが下賤なものでもわかる非常識なマネを高貴たる魔王血族がなされようというのです。不敬と知っていてもいさめるのがその下に就くものの務めというもの」

 

 ・・・ものすごい馬鹿にしてるよ、コイツ。

 

 ヤバイ、宮白のやつなんかキレてる?

 

「愛し合う者たちがその手を取ることの何が問題なのかな? この国には、人の恋路を邪魔するものは馬に蹴られるものだとアガレスから聞いたことがあるんだけどね」

 

「残念ながら、それが該当するのはアスタロト様ですよ? 高貴な血筋を誇るのであれば、そのあたりの把握はしていただきたいところですな」

 

 にこやかな笑顔でものすごい毒を吐きあっている辺り、わりと本気で怖いんだが。

 

 レーティングゲーム始まるより先に、ここで戦闘始まったりするんじゃないだろうな!?

 

「なるほど・・・。ならその愛する者より僕が強く素晴らしい存在だと示すことが出来れば、アーシアの目も覚めるのかな?」

 

「彼女の心をそれでいとめることが出来るのであればどうぞご自由に。互いが想い合っているのにそれを邪魔するほど無粋ではありませんよ」

 

 ものすごい色々と含みを持たせた感じの宮白の言葉だったが、どうもディオドラは真っ正直に受け取ったっぽい。

 

 表情を一切変えることなく、その視線をアーシアに向ける。

 

「大丈夫だよアーシア。つらい経験で曇ってしまったその目を、僕が彼を倒すことで覚まさせてあげる。・・・だからそれまで待ってておくれ」

 

 そこまでいうと、部長の方を向いて一礼する。

 

「今日のところはここまでにしておくよ。トレードに付いてはレーティングゲームが終わってからまたやろう」

 

「何度言われても私の意見は変わらないわよ。とはいえ叩き潰されなければわからないならそうしてあげるわ」

 

 殺意満々の部長の言葉も爽やかに受け流し、ディオドラは魔法陣を発動させる。

 

「それじゃあ今日はこのあたりで。またレーティングゲームで会おう」

 

 光が強く輝き、ディオドラの姿が消える。

 

 そこまで確認してから、宮白は肩をすくめた。

 

「・・・馬鹿で良かった。アザゼル、今の会話聞いてたな? 証言が必要な時はよろしく頼む」

 

「あいよ。しっかしお前も悪党だなぁ、オイ」

 

 なにやら2人して分かり合ったかのような感じに、俺たちはちょっとドン引きした。

 

「い、いや先生? 俺はなにがなにやら全くよく分からないんですけど?」

 

「簡単にいや、ディオドラの奴を二つほど勘違いさせたんだよ、この悪党は」

 

 勘違い?

 

「一つはアーシアの惚れた男が自分だと思わせたことだ。これで例え宮白がディオドラに負けたとしても「そもそも俺じゃないから」と惚けられる」

 

 な、なるほど。

 

 ・・・って待て! ってことはアーシアに、惚れた男がいるのはほぼ確定!?

 

 な、ななななんてこった! ディオドラだけでも厄介なのにふざけるな!!

 

「で、二つ目はそもそもディオドラの言い分に直接的な名言を避けて勘違いさせたこと。・・・これでそもそも賭けは不成立だ」

 

 ああ、確かにYESなんて一言も言ってないから負けても惚けられるな。

 

「さっすが宮白! いつもながら汚い!」

 

「はっはっは! もっと褒めろイッセー」

 

 ポーズつけてカッコつける宮白だが、少しして表情を鋭くすると、素早くパソコンを取り出した。

 

「ここまで喧嘩を売ってくるならこっちも容赦しない。アザゼル! お前の側から要望で、とにかく戦闘において攻撃力が生かせないようなルールだけは何としても封じてくれ! 出来れば超短期決戦タイプの戦闘スタイルだとなおいい!!」

 

「お前、俺を便利屋か何かと勘違いしてないか?」

 

 アザゼルがあきれるが、宮白は結構どこ吹く風だ。

 

「安心しろよアザゼル。これからサーゼクス様に土下座しに行くから」

 

 サムズアップでとんでもないことをのたまいやがった!?

 

 宮白!? まさかお前、本気でアーシア狙いなのか!?

 

 だ、駄目だ駄目だ! そりゃ宮白はいいやつだからディオドラと違って安心だけど、それでもアーシアちゃんはあげませんよ!?

 

「仲間の貞操がかかってるんだ。俺の土下座で敵の一方的な展開にならずに済むなら安いもんだ。・・・安心しろ、俺の独断ってことにするからデメリットは起きん」

 

 そういうと、宮白は素早く魔法陣を展開するといきなり転移の準備まではじめて来やがった。

 

 と、あっけにとられている間に、ナツミちゃんもその魔法陣の中に飛び込んだ。

 

「ボクもいく! ご主人様が土下座するなら、使い魔も一緒のほうがいいもんね?」

 

「え、いや、俺一人で十分だと思うんだが―」

 

「いいのー! 行くのー!!」

 

 戸惑う宮白をゴリ押しするように説き伏せると、そのまま話されないようにしっかりと抱き付いてしまう。

 

 ・・・前から思ってたけど、ナツミちゃんって宮白のこと好きだよな?

 

 そんな状況下で桜花さんと愛人契約成立って、宮白のやつ罪作りだな。

 

 親友にこんなこと言うのもあれだけど、こいつマジうらやましい! なんで俺の親友はモテ期なんだ! 俺もモテたい! モテたいんだよぉおおおお!!

 

 と、俺が心の中で絶叫しているときに、宮白は振り返るとサムズアップした。

 

「ま、そういうことでアーシアちゃんのことは心配するな! あとはお前が男を見せるだけだぜ?」

 

 と、そこまで言うと宮白とナツミちゃんは転移していく。

 

「・・・兵夜には世話になりっぱなしね」

 

 光の残滓を見ながら、部長が苦笑しながらそうつぶやいた。

 

 いや、さすが中身三十台なだけあるよなぁ。こういう時の手際じゃ俺たち一生勝てそうにない。

 

「あのあたりの手際は真似できそうにないな。さすがは宮白だ」

 

「宮白先輩はこの手の行動に非常に長けてますからね。とても助かります」

 

「あの根回しの速さは見習いたいよ。僕らにとって足りない部分を見事に補ってる」

 

 聖剣騒ぎでそのすごさを見ているゼノヴィアや小猫ちゃんは木場もなんというかあっけにとられている。

 

 ヤクザとすら繋がりあったもんなあいつ。それなのに警察にも知り合いとかいるし、ちょっとシャレにならない。

 

「それでは私たちも負けてはいられませんわね」

 

 いつものようにニコニコ笑顔を浮かべながら、朱乃さんが皆を激励する。

 

 確かにそうだ。わざわざこっち向きのルールにするために宮白が動いているなら、俺たちがそれに答えなくちゃ話にならない。

 

 パワー重視のグレモリー眷属の本領を、ディオドラの野郎に見せてやらなきゃな!

 

「ぼ、僕も当たっても砕けないぐらい頑張りますー!」

 

「わ、私のせいでご迷惑かけてすいません! せめてお手伝いします!」

 

 緊張しまくりのギャスパーや、当事者なんでいろいろと大変なアーシアも気合いを入れてやる気満々だ。

 

「仲間のために全力で助け合うその姿、感動したわ! うん、模擬戦の相手は任せて頂戴!!」

 

 イリナに至っては感動しまくりで号泣している! この子アレなところあるけど本当にいい子だ!

 

「・・・公式ルールでは偽聖剣が使えない兵夜は本来本領を発揮しようがない。戦闘は本来私たちの役目だもの、出し惜しみなしで行くべきね」

 

 部長が皆を見渡しながら、凛とした声を張り上げる。

 

「皆! 兵夜を残して全滅しかけたソーナとの戦いでの汚名も返上すわよ! 目標はだれ一人欠けることなくディオドラの眷属を全員撃破!巫山戯たことをいったディオドラを叩きのめしてあげなさい!!」

 

「「「「「「「はい!!」」」」」」」

 

 俺たちは気合いを入れて勝利を宣言する。

 

 待っていやがれディオドラ! てめえのそのむかつく笑顔、思う存分叩きのめしてやる!!

 

SideOut

 




ディオドラは喧嘩を売ってはいけない人に喧嘩を売ってしまいました!

オカルト研究部はもともと喧嘩を売ったらただじゃすまない組織ではありますが、兵夜はむしろどう報復してくるかわからないところが恐ろしい

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