ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド   作:グレン×グレン

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対神戦線、構築中です!!

 

 

 ヴァーリたちの提案は正直驚いた。

 

 対ロキ&フェンリル戦において、共闘を提案してきたのだ。

 

 曰く、さすがに自分たちだけじゃあのコンビを相手することはできないが、それはそっちも同じだろうということ。

 

 まあ、何を考えてるのかは大体予想がつくが。

 

 ・・・どう考えてもフェンリル狙いだろ。

 

 牙だけもらえばいいのか、それとも死体を持ち帰ってレイヴンに加工してもらうのか、それとも飼いならす当てがあるのかは知らないが、神を確実に殺せる牙と爪は、むしろ禍の団にこそ必要なアイテムだろう。

 

 なにせ神は基本的に体制(こちら)側だからな。そりゃあ対神武装は必要不可欠だって。

 

 はっはっは。考えることは皆同じということか。畜生!!

 

 ヴァーリがバトルジャンキーなのはすでに周知の事実だし、対神プランを組み立てるのはむしろ当然だろうしな。

 

 ・・・とはいえ、現状では打つ手がないのも事実だ。

 

 英雄派のテロのせいで、こちらはこれ以上の戦力を送るのは難しいらしい。

 

 つまり、ほぼこの戦力だけでロキとフェンリルをどうにかしろとか言ってきた。

 

 しかも奴が攻めるとすればほぼ確実に会談のタイミング。アザゼルは仲介役として行動しなければならない。

 

 ・・・一言言おう、無茶である。

 

 そこまで考えて交渉したというのなら見事といわざるを得ない。さすがはかつての魔王の血筋。交渉の能力もそれなりにあるようだ。

 

 つまり、こっちは戦力を確保する必要が必須なのだ。

 

 ヴァーリの力を借りて、しかしフェンリルは奪われないようにする必要がある。とはいえそれは非常に難しい。

 

 肉を切らせて骨を断つというより、骨が砕ける可能性を受け入れて肉を切らせない感じになってきた。

 

 ええい、迷惑なタイミングで襲撃をかけやがって!!

 

 とにかくこっちもそれなりに戦力を用意しなければならない。

 

 ヴァーリたちはできる限りロキ戦に戦力を集中させるためにも、対フェンリルを可能とする戦力を用意しなければならない。

 

「・・・と、いうわけで堕天龍の鎧を早く堕天使バラキエルかウチの真エース木場祐斗用に調整しろ。戦力の出し惜しみしてる場合じゃないからマジ急げ!!」

 

「無茶いうな。設計段階から俺用に調整してるもんをそんな短期間で出来るわけないだろうが!!」

 

 そんなわけで絶賛口論中だった。

 

「木場に使うなら防御力だけ引き出せればいいんだから何とかなるだろ!! 当たれば終わる木場が当たっても終わらなくなればそれだけですごく変わるぐらいわかるだろ!?」

 

「俺だって素で禁手のイッセーと渡り合う木場を強化するのは妥当なのはわかるがな!? 雷光や聖魔剣を前提とすれば、そのための調整まで必要になるんだよ!! どう考えても間に合わん」

 

 ええい! 使い勝手の悪い武装を!!

 

 俺の偽聖剣だっていざというときのために聖なる鎧としてなら人造聖剣使いクラスならだれでも使えるように調整しているのに!!

 

 さらにシステムを調整して、イリナなら擬態の力は使えるぐらいにまでチューンしたんだぞ!!

 

 お前は「こんなこともあろうかと!」とかいうタイプだろうが!! こういう時のための備え位ちゃんとしとけよ!!

 

 現実の軍事兵器では明確な乗る奴が完全に限定されている専用機とか存在しない理由がよくわかる! すごく不便!!

 

「なんか面倒なことになっとるなぁ。ホレ、宿賃代わりに信州蒸し作ったから食べぇや」

 

「「いただきます!!」」

 

 ムラマサが持ってきた信州蒸しを食いながら、何とかできないかあわてて調整する。

 

 毒の心配は一切してない。この状況下で俺らに毒盛ったらフェンリル確保の難易度が上がるだけだからな!!

 

 っていうかうまいなオイ!!

 

 こっちの様子を見ながら、ヴァーリがカップ麺を食いつつうんうんとうなづく。

 

「ムラマサは料理が得意だからな。まあ、俺たちはカップ麺で十分だから気分転換位にしか作らないんだが」

 

「ルフェイでことたりるさかいなぁ。何分ジャンクフード大好きやから作らなくても平気やし」

 

 もったいない才能なことで!

 

 しかしどうしたものか。

 

 あんな化け物を相手にするのならそれ相応の戦力を投入しなければならないのに。

 

 アーチャーはアーチャーで奥の手の開発に時間がかかってるからこっちには送れないし!

 

 と、頭を悩ませていたら、カップ麺を食い終わったヴァーリがこっちに近づいてきた。

 

「だったら小雪に使えないか? たしか、初手からアザゼルが使うのはリスクが高いとか言って、試作品のテスターになるとか言っていたが、それじゃないのか?」

 

 なに!? あいつそんなことしてたの!?

 

「ああ! そういやそうだった!! 相性悪かったんで結局すぐ終わったが、その時のデータは残ってるしそれならすぐ使えるな」

 

「よっしそれでいこう!! なんか微妙な内容だが、つかえないよりかははるかにましだ!!」

 

 よし、これで俺が取れる最低限の準備はできた。

 

「・・・そういえばヴァーリ。ライダーはどうした?」

 

「ああ、あいつはキャスターのほうに行っている。会談までには間に合わせるから安心しろ」

 

 まあ、なれ合う必要はないしそれはいいだろう。

 

 とはいえデータを取っておければ真名を知ることができるかもしれないし、そういう意味ではちょっと残念だったな。

 

 だが、ヴァーリはふと考え込むと、微笑を浮かべた。

 

「・・・そうだな。共闘のための手土産にもなるし、ヒントぐらいは教えておこう」

 

 ほう? なかなか余裕なことだな。

 

「以前からフィフスはサーヴァント召喚の実験を行っており、ごくわずかな時間だけ英霊を呼び出すなどを行っていたのだが、外気に面白いものを召喚したらしい」

 

 あいつそんなことやってたのか。

 

 なんか厄介な武装を開発しそうだな。キャスターと組み合わせたらいろいろと最悪な事態になりそうで怖い。

 

「なんでも病という概念そのものが、ヨハネの黙示録に伝わるペイルライダーという概念の影響を受けてサーヴァントとして呼び出されたそうだ。他にも絵本のジャンルであるナーサリーライムという概念が、その子供たちの夢という信仰を受けた結果、マスターの夢見た形になって現界するという特殊な宝具をもって英霊となったこともあるそうだ」

 

 ・・・サーヴァントのジャンルというのは意外と広いな。

 

 まあ、人々の信仰によって押し上げられるのなら、必ずしも人がなるわけではないのだろう。

 

 もしかしたらドラキュラ伝承や人狼伝説という概念も英霊になるのかもしれないな。まあ反英霊なのは間違いないだ。

 

「ライダーとセイバーはその類だ。どちらもその真名にふさわしい宝具を持っているが、下手に真名を探るのは徒労に終わるだろうな」

 

 ・・・待て待て待て待て。

 

「セイバーのサーヴァントについてまで言及していいのか? レイヴンが怒るんじゃないか?」

 

「別にそれだけで正体がわかる者ではないから問題ない。とはいえそちらにとってはある意味で厄介な敵ではあるからな。レイヴンには悪いが、それで兵藤一誠が倒されるとこちらが困る」

 

 ああなるほど。なんだそのライバルキャラの伝統的ツンデレパターン。

 

「セイバーについて付け加えておくと、セイバーというクラスで無ければ呼び出せない英霊でもある。わかりやすいかもしれないな」

 

 セイバーのクラスでなければ呼び出せない、概念系の英霊・・・ねえ?

 

 それがわかれば手の内も見えるか。まあ、頭脳労働班の本領発揮と行きますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「兄上! 大丈夫ですの!?」

 

 作戦会議中に、なんかいきなり雪侶がやってきた。

 

「・・・お前、なんでこんなところに!?」

 

 おいおいどういう事だ? 今それどころじゃないんだけどな。

 

 だが、その姿に全く慌ててないやつが一人いた。

 

「お、ようやく来たか」

 

 アザゼルは片手をあげて応じると、雪侶の隣に立つ。

 

「知らないやつに紹介しておく。兵夜の妹の雪侶ってやつだ。こんななりだがこっちの世界のメディアの末裔の血を引いていて、アーチャー召喚の触媒となったすごい奴だぜ? 魔法使い組織の一つ、女王の嗜み(コルキス・ホビー)の一員でもある」

 

 へえ、雪侶のいるところってそんな名前なのか。

 

「今回、英雄派にちょっかいをかけられてない事もあってから、本来一部組織に限定される魔法使いとの契約の仲介をする事と引き換えに協力してくれることになった」

 

 マジか! それは助かるな!

 

 とにかく人手が足りないのが現状の問題点なんだ。それが少しでも解決できるなら願ったりかなったりだ。

 

 つーか魔法使いとの契約だったら俺は雪侶一択だろう。仮にも妹なんだしそれぐらいのサービスはするぞ。

 

「YES! そういうわけですので、空間転移はこちらに任せてほしいですの」

 

 えっへんと胸をはる雪侶が頼もしい!!

 

 そして、雪侶を特に凝視する視線が二つあった。

 

「ほー」

 

「ふぅん」

 

 ・・・久遠? ナツミ?

 

 なんか嫌な予感がしたが、それより先に二人は雪侶に一気に近づく。

 

「What? どうしましたの?」

 

「雪侶ちゃんって言うのかー。私は桜花久遠っていうんだよー」

 

「ナツミっていうんだ。サミーマでもいいぜ?」

 

 あの、お二人さん?

 

 ちょっとよくわからない俺だったが、静かに木場が俺の方に手を置いた。

 

「愛されてるね、宮白くんは」

 

「え? どういう事だ」

 

 なんでみんなわかってる風にいう? っていうかヴぁ―リたちまでこっち見てるんだけど!?

 

「お話は伺っておりますの。久遠姉様とナツミ姉様と呼ばせてもらいますのよ」

 

「「・・・っしゃ!!」」

 

 ガッツポーズまでしやがった!!

 

 え、あ、そういう事か!!

 

「っていうかちょっと待て!? 俺はお前にキスとかしたなんて伝えてないし、第一久遠は確認不可能じゃねえか!?」

 

 待て待て待て待てどういう情報収集手段使ってんだ!?

 

 駒王学園に親父たちは来てなかったはずだし、久遠の場合はそもそも情報なんてどうやって―

 

「・・・お父様は学園に繋がりありますわよ? 系列社員のお子様にお小遣いを払って聞き出してますの」

 

 ・・・なん、だと?

 

「っていうか冥界の情報は当然こちらにも入ってきますの。最近有名なグレモリー眷属のラブコメ情報なんて当然世間話の種ですのよ?」

 

 マジなんだとぉおおおおおおおおお!!

 

 は、ははははは恥ずかしい!!

 

 え、ええい! とにかく話を変えたいところだがなどと思っていたら、雪侶の視線がベルと小雪にロックオンされた。

 

 い、いやな予感。

 

「・・・ほぉ?」

 

「な、なんだよ」

 

「?」

 

 意味深すぎる視線に、小雪が戸惑いベルは首をかしげる。

 

 雪侶はそっと視線を俺に戻すと、ゆっくり親指を挙げた。

 

 いや、だからなに!!

 

「それはそれとして、個人的にはサービスが欲しいですの」

 

「あ、それぐらいは良いよ。俺が手伝えることなら何でもするけど」

 

 イッセー、安請け合いは事故の元だぞ?

 

 雪侶はイッセーのその言葉に、満開の花畑のようなきれいな笑顔を浮かべる。

 

「そうですの? だったら―」

 

雪侶は背伸びをすると、その勢いで軽くイッセーにとびかかり。

 

 ・・・わお。舌入れたよ。

 

「せ、雪侶ちゃん!?」

 

「将来の輿入れの誓約ですの♪ それでは皆様ごきげんようですの」

 

 ・・・お前はどんだけ引っ掻き回してんだよオイ。

 

 と、思いっきり引っ掻き回しながら、わが妹はそのまま帰宅して行った。

 

 ちなみにイッセーが正座で会議となったのは、言うまでもない。

 

 


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