ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド   作:グレン×グレン

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深夜の、邂逅

 夜、俺は一人でベッドの上に横になり、静かにしていた。

 

 ・・・アーチャーは例の礼装にかかりきりになっている。手伝ってやりたいが、今の段階ではアーチャーの職人芸になるので手が出しようもないと断られた。

 

 まあ仕方がない。今作っているのは、完成すればアーチャー自身の宝具にも匹敵する神秘になるだろう、極めて強大な代物だ。

 

 そんなものに手を出せる魔術師など、この世界にはキャスターぐらいしかいないだろう。

 

 イッセーたちも内容を聞いて期待を寄せ、そしてアーチャーに任せることに負い目を抱いていた。

 

 あれが完成するかしないかで、次の戦いの難易度が大幅に変わる。本当に重要なポジションを任されていた。

 

 ・・・それに報いようと、戦闘終了後を想定したパーティーの準備とかに動いている連中もいるのが嬉しいことだ。

 

 どうせこんな進んだ文化の世界に来れたんだ。是非楽しんでもらいたいものだ。

 

 さて、そろそろ会談も近いし俺もある程度体を休ませないとな。軽く一杯飲んで寝るか。

 

 いや、その前に差し入れでも作った方がいいか?

 

 と、レシピを考えた次の瞬間に、ノックが響く。

 

「開いてるぞ」

 

 こんな時間に誰だろうか?

 

 と、入ってきた人物を見て、俺はちょっと驚いた。

 

「小雪か? どうしたこんな時間に」

 

 最近は準備のために動きまくっていて、こっちに顔を出してすらいなかったのだが、どうしたんだろうか。

 

 なんか微妙に顔も赤い。

 

「おい、どうし―」

 

 声をかけようとした次の瞬間、俺は足を払われていた。

 

 慌てて受け身を取るが、さらに小雪が倒れてきて、衝撃が走る。

 

 ・・・なにコレ?

 

「オイ、どうしたんだ?」

 

「・・・抱け」

 

 え? 抱け?

 

 とりあえずギュッと抱きしめてみるが、なんか殺気が出た。

 

 いや、わかってる。わかってるけど。

 

「お前、正気か?」

 

「正気だよ。つーか、一回しないと正気を保てる自信がない」

 

 小雪の肩は震えていた。

 

「朱乃が暗い顔するのが怖い。学園都市の闇にもう一度触れるのが怖い。そして何より、怖いからって手を出さないでまた悲劇が起きるかもしれないと考えるのが一番怖い」

 

 ・・・また?

 

「朱乃のお袋とあたしの両親が死んだのは、同じ事件だ」

 

 そう、ぽつりと小雪は漏らした。

 

「そしてあたしは、学園都市で殺しの技術は一通り磨いた。ナイフ、銃火器、毒薬はもちろん、竹串で人ひとり殺すことができる方法だっていくつも学んだ」

 

 蹴りが殺す類だったのはそのせいか。

 

「初めて人殺しをしたのは中学生ぐらいの時。・・・戦術的価値を持つ大能力者であることも考えれば、並の術者ならあの時簡単に殺せたんだ。実際殺した」

 

 なるほど。確かにそれは行けるだろう。

 

 異世界の能力を使いこなす殺しの経験者。それが幼女だなんて想定できないし、おそらくそいつらは混乱したまま死んでいっただろう。

 

「だけどよ? あたしはそうするまで部屋の中で震えてたんだ」

 

 そうつぶやく小雪の声も、震えていた。

 

「あのファックな世界でファックに死んで、どんな偶然か今度こそ平和な生活が送れると思ったところに術者の襲撃。あたしは、そんな現実受け入れたくなくて親の言う通り隠れてたよ」

 

 そして、その結果大人たちは皆死んだ。

 

「あたしがあの時自分の力を使うことを恐れてなければ、あたしは両親を失うこともなかったし、朱乃はお袋さんを失うこともなかったんだ」

 

「小雪・・・」

 

 それは反論できない。

 

 実際術者は殺せている以上、そうしていればできたというのは確実だ。反論したくてもすることはできない。

 

 だから、強く抱きしめてその震えを止める。

 

「・・・イッセーなら、ただ抱きしめるだけで終わらせるんだろうけどな」

 

 あいつはそういうやつだ。

 

 どれだけエロいから出して大好きな人であったとしても、いやだからこそこんな理由で女を抱いたりなんてしないだろう。

 

 ・・・だけど、今はだめだ。

 

 今はたとえかりそめだろうと、依存だろうと、この恐怖を抑えることだけが重要だ。

 

 少なくとも、俺はそういうタイプじゃない。

 

「・・・だから頼んでんだよ。今必要なのはやさしい慰めじゃない、ファックでも確実なつっかえ棒だ」

 

 そりゃ計算高いことで。

 

「第一、あたしはそういうやつのほうが性に合ってる。そういうやつって、お前ぐらいしかいねーしな」

 

「へいへい。そりゃお眼鏡にかなってうれしいことで」

 

 軽口をたたき合いながら、俺はこいつと気が合う理由が本当の意味で分かった。

 

 魔術を知り、非道を行え、科学を利用し、転生した。そしてこの世界でもアウトロー。

 

 細かいところはいろいろ違うが、しかし俺たちは共通点が多いんだ。

 

 似ている奴は、反発するか仲良くなるかの二択になりやすい。

 

 だとするなら、俺とこいつがこうなるのもある意味で必然か。

 

「・・・できる限り愉しませてやる。腰ぬけるのは我慢しな」

 

「あいにくあたしは経験豊富だ。やれるもんならやってみな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・とりあえず、プランはしっかり立ててきました!!」

 

 学園祭の会議で、俺は速攻でプランを立てた。

 

 ちなみにオカルト全く関係ないオッパイ喫茶とか言った馬鹿はとりあえず叩き潰している。

 

 欲望に忠実なのはいいがもう少し考えような、イッセー。

 

 学園祭ともなれば、こちらもそれ相応のものを考えるのは当然だろう。

 

 そして、文科系の部活であるオカルト研究部ならば、オカルトに関係する何かであるべきだ。

 

 とはいえオカルト方面においては客が少ないのは事実。これでは人は集まらん。

 

 しかしオカルトと関係ないものにするのもあれだろう。ゆえにイッセーのプランは却下。それ以前の問題が多すぎるし。

 

 そしてお化け屋敷は部長の方針でこれも却下。同じことはしたくないとのことだ。まあ、本物連れてくるとかいろいろと問題rのでそれは避けたかった。

 

 そしてウチで目玉というならば、ルックスの高さだ。

 

 自分でいうのもなんだが俺だってポイントは低くないし、イッセーだって行動の生でマイナス入っているがルックスはいいほうだ。木場は言うまでもないし、ギャスパーだってすごいレベルだろう。

 

 そして女性陣は言うまでもない。三年生二大お姉さまと二年生教会トリオ。さらに一年のマスコットと恐るべしラインナップだろう。

 

 そしてオカルト研究部の能力を組み合わせた場合、一つの答えが導き出される。

 

「・・・シチュエーションコスプレ写真展はどうでしょうか!」

 

「へえ? それで、それはどういったものなのかしら」

 

 部長が興味を示したのか、こっちに食いついてくる。

 

「やろうと思えば世界中に移動できる俺たちの立場を利用して、吸血鬼ならルーマニアの古城で、ドラキュラ伯爵、もしくはウラド三世をほうふつとさせる格好で写真を撮影するのです」

 

 そう、これぞオカルト研究部でなければできない写真撮影。

 

 オカルトに対する詳しい知識があるからこそ、そのシチュエーションに忠実なコスプレを作ることができる。

 

 それを最もぴったりの環境で撮影すれば、それはとてもいい出来なるだろう。

 

「以前写真撮影関係での依頼人がおりますので、彼に報酬込みで動いてもらえるかどうかについては許可を取っております。・・・衣装はまあ時間はかかりますが、服飾関係者のこれまでの依頼人に連絡を取れば、報酬次第で受けてくれる人はいるでしょう」

 

 そしてそれをさらにシチュエーションに沿った形で一つ一つの部屋にまとめることで、旧校舎をフルに使った展開を行うのだ。

 

 旧校舎自体には俺が魔術をかけることで変な悪さをしないようにし、これで全体をカバーしやすくする。

 

 さらにそれらの写真をまとめた写真集も作成すれば、相応の収入を見込めるはずだ。ちなみにのちに冥界でもグレモリー眷属特集とかで売り込めれば財源がゲット!!

 

「さらに! 写真購入者には投票権をプレゼントすることでオカルト研究部内で人気コンテストを開催!! これで優勝した人に投票した人物は、好きな写真をポスターサイズでプレゼント!!」

 

 行ける! これはいけるぞ!!

 

「・・・宮白! 俺も投票していいか!? いや、これは全員分買って全員に投票すれば誰か一人のポスターは手に入るのか!?」

 

「魔術的に多重評は無効化できるようにしてるから無理だぞ」

 

 いや、そんな反則はさせませんからね?

 

「あらあら。これは下剋上の時が来たのかしら?」

 

「何を言ってるのかしら? 私が勝つに決まってるでしょう?」

 

 二大お姉さまが火花を散らしている!!

 

「・・・おい馬鹿ご主人!! 俺様も参加させろよ?」

 

 ナツミがクッキー食べながら提案してくるが、お前オカルト研究部どころか駒王学園生ですらないだろうが。

 

「宮白くん! 私はなんていうか大天使様のコスプレとかしてみたいわ!! そういった方面で作ってもらえるように言ってくれない?」

 

「あ、あの! 僕この格好がいいかなーって」

 

 イリナやギャスパーが自分の格好を要求するが、しかしギャスパー、お前はやはり女物なんだな。

 

 だがまあ、コレならたぶん結構行けるんじゃないだろうか?

 

 くっくっく。学園祭での大人気は間違いなく俺らだな。今のうちに無所属の連中に協力を要請せねば。

 

「・・・そのためにも、この戦いは終わらせないといけないわね」

 

 部長が、窓の外を見てそうつぶやく。

 

 外は黄昏。逢魔が時。

 

 そういえば、ラグナロクとは神々の黄昏と呼ばれているらしいな。

 

「まだ、ヴァルハラに黄昏がくるのは早いってわけか」

 

 俺の言葉にこたえるように、アザゼルが立ち上がると俺たちを見渡す。

 

「そういうこった。お前ら! ロキは任せたぞ!!」

 

「「「「「「「「「「はい!!」」」」」」」」」

 

 俺たちは気持ちを切り替えると、全員で声をそろえた。

 

 さて、神殺しと行きますか。

 

 ・・・間に合わせてくれよ、アーチャー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ビルの屋上で、俺たちはロキを待ち構えていた。

 

 すでに和平会談はスタートする直前。タイミングから言ってもこれが仕掛ける最大のチャンスだ。

 

 ・・・さすがに結構緊張するな。全員少し硬くなってるか?

 

「兵夜くんー」

 

 と、久遠がこっちに飛び移ってきた。

 

 ・・・今回、久遠はロキ戦に参加しない。

 

 俺たちとロキを転移させるのがシトリー眷属の役目。

 

 匙は何やら改造手術を受けてパワーアップする予定だが、久遠は万が一の保険として残ることになった。

 

 ロキとフェンリルは何があっても転移させるが、それ以外に戦力がいないという保証はない。

 

 さすがにあれクラスの化け物はいないと信じたいが、それでも万が一の時がある。

 

 さすがにシトリー眷属の主戦力は残しておくべきだと全員が判断した。

 

 ある意味特に重要な役割だし、何よりその想定では会長が窮地だ。

 

 むしろ久遠が提案してきた内容で、しかしそれは当然の保険だろう。

 

「会長の安全は真っ先に確保しないといけないからねー。悪いけど、兵夜くんは二番手だからー」

 

「わかってるって。気にするな」

 

 俺たちはそういうところで惹かれあったんだ。むしろそうじゃなければそれこそ立腹ものだ。

 

「・・・神相手に、勝算ある?」

 

「アーチャーからは報告があった。例のアレはシステムが固着するまであと少し。今は待機して準備万端だ」

 

 切り札は速攻では使えない。

 

 使うまで持たせるか使うことすらなく倒しきるかが勝利条件だろうな。

 

 とはいえあの化け物どもを相手にそれが大変なんだが。

 

「悪魔じゃなければ気休めに神社にでもお参りするところだな」

 

「そっか。じゃ、お守りだよー」

 

 と、久遠の顔がゆっくり近づいてくる。

 

 なるほど、だったらこっちからも―

 

「「・・・ん」」

 

 時間にして数秒。少しの間時を止めた俺たちは、微笑を浮かべながら顔を離す。

 

「・・・じゃ、続きは帰ってからねー?」

 

「妙な死亡フラグだが、勝利の女神の加護があるなら大丈夫か」

 

 微笑が苦笑に変わっちまうが、まあ、少し気は晴れたかな。

 

「イッセーくんが見たら嫉妬でおこっちゃうよ?」

 

 木場が隣に来ておれの肩をたたく。

 

 見ればイリナなんて顔を真っ赤にしていた。

 

「うっわぁ、うっわぁ! 宮白くんのハーレム街道は本当にびっくりね!! ナツミちゃんにもなつかれてるし、な、なんていうか桜花さんとは大人な感じ!?」

 

 ・・・言われてみると素っごく恥ずかしくなってきた!!

 

「宮白くんがやられたら桜花さんに恨まれそうだ。・・・1人で無茶しちゃだめだよ」

 

 それは前回単独行動しまくった俺に対する嫌味か。

 

「・・・無理をするならみんな一緒だ。僕らは部長の眷属なんだから」

 

 ・・・・・・。

 

「・・・・・・おう」

 

「ならいいよ。・・・ほら、来たみたいだ」

 

 見れば空間がゆがんでいく。

 

 ああ、いいぜロキ。相手してやろうじゃないか。

 

 お前とフェンリル。俺たちが倒させてもらう!!

 




この話は、意図的に本編でのイッセーと朱乃の流れの反対を取らせていただきました。


イッセーならしないとわかっていても、そうせずにはいられない兵夜の、イッセーとの対称性を想像してくれるとうれしいですね。

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