ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド 作:グレン×グレン
最近見直すとちょっと書き溜めていたのが多かったことに気づいたので、少し更新速度が上がります。
大王、超強いです!
夜、俺はベッドで困っていた。
「・・・なあ、ナツミ?」
「なに、ご主人?」
首をかしげるナツミはマジかわいい。それは認めよう。
ああ、俺が知る限りにおいて、猫耳ランキングをつけるならば小猫ちゃんにも並ぶ強大な可愛さだろう。
だがしかし。
「なんでベッドにもぐりこんでるんだ?」
「ご主人が当分どっか行くから」
そういうと、ナツミは頭を俺の胸にこすりつけるようにしながら抱き付いてきた。
・・・いやまあ、確かに修学旅行には連れていけないから数日ほどはおいていくけど。
「最近中毒症状になってないか? いい機会だからちょっと抜いとけ」
「ぶぅ。兵夜は最近フラグ立てすぎだもん。しゅーがくりょこうとかで現地妻とか作ったらダメなんだからね? 誠実じゃないと怒るよ?」
「お前、俺をイッセーと一緒にしないでくれるか?」
最近のあいつのアルティメットフラグメイカーっぷりなら十分あり得るが、俺はそこまで節操なしじゃない。
別に意図してハーレム作るつもりは一切ないということを理解してくれないだろうか?
「それに、・・・絶対なんかあるだろありゃ。ご主人だって楽観視はしてねえだろ?」
「それはまあそうなんだよなぁ」
ぶっちゃけそこが心配だったりする。
ここ最近、俺の周りでトラブルというか大騒ぎの発生率は尋常じゃない。
近辺で発生するイベントにおいて、高確率で禍の団関係の出来事が連発しているのが厄介だ。
今回だって間違いなく騒ぎになる予感がする。
騒ぎといえば先日の大騒ぎは面倒だった。
まさかグレイフィアさんがサーゼクスさまの嫁さんだったとは思わなかった。
そしてイッセーの婿試験が起きるとは思わなかった。魔王総出で参加とかお前ら暇なのか?
どいつもこいつも一癖も二癖もある連中だし、もうちょっとまともにやれとかいう理由で反乱おこしている旧魔王派もいるんじゃないだろうかとか思ったり思わなかったり。
だが、それでイッセーのパワーアップの可能性が開けたというのは好都合だ。
悪魔の駒のブラックボックスとはなかなか興味深い。俺も解放してもらいたいところだな。
「・・・なんか、悪魔の駒の解放の影響が修学旅行でお披露目されそうで怖いな、マジで」
「絶対あるよね・・・」
俺たちは同時に溜息をついてしまった。
京都といえば陰陽師やらなにやら、日本ファンタジーの真骨頂といっても過言ではない。
まさかそんなところに襲撃をかます馬鹿はいないとは思うが、しかし禍の団って馬鹿の集まりっぽいところがあるから油断できない。
「なにかあったら呼ぶから、準備は頼むぜ?」
「・・・うん! いつでも呼んでねご主人!!」
頼られるのがうれしいのか、ナツミは満面の笑顔でうなづくと、そのままギュッとしながら目を閉じる。
「お前、このまま寝る気か?」
「もちろん! 今のうちはボクだけの特権だもんね」
・・・なるほど。使い魔だから普通にこっち来れるナツミの特権か。
「はいはい。じゃあゆっくり眠って明日も頑張ろうな」
「はーい」
さて、修学旅行はどうなることやら・・・。
「・・・シャレにならないな」
目の前で起きている戦いに、俺は結構驚いていた。
今目の前で、イッセーとサイラーグ・バアルの模擬戦が行われている。
ぶっちゃけ言おう、イッセーが苦戦している。
・・・もう一度言おう、イッセーが苦戦している。
ちょっとまてオイ、サイラオーグ・バアルってバアル家でもっとも才能がなくて、魔力に至ってはゼロじゃなかったか?
死に物狂いの努力で当主の座を勝ち取ったとか言ってたが、それにしたって度が過ぎてるだろ!?
今の状態のイッセーを格闘戦だけで有利に立ち回るとか化け物だろ!?
「・・・まさかここまでとは」
隣で木場も目を見張っていた。
だよなぁ。
「・・・ディオドラとか、マジで指先ひとつでダウンしそうなぐらい圧倒的な実力差を発揮してるんだが。頭一つとびぬけてるだろ、オイ」
ディオドラのあの戦闘能力は部長を超えていたが、それでもイッセーなら単独で十分圧倒できるだけの実力があった。
それでも下馬評で二番手だったアガレス陣営を孤軍奮闘で勝利に導くだけの実力はあったんだ。
・・・蛇を使ってそこまでいったディオドラを寄せ付けないって、才能がないわけないだろうがオイ!?
・・・そこ、倒した俺はどうなるんだとかいうなよ? 偽聖剣の性能は赤龍帝の鎧と渡り合えるからノーカウントだ。
攻撃力と耐久力はイッセー、多様性と機動性は俺って感じだ。
今の時点でイッセーが時折見失うほどのスピードを発揮している。
木場との模擬選では翻弄されることもあるが、何とか追いついて戦闘できるだけの動体視力をイッセーは発揮している。つまり、瞬発的な加速ならサイラオーグ・バアルは木場すら超えるほどのスピードで動けるということになる。
どれだけ努力したらそこまで積み重ねることができる?
これで才能がないというんだからバアル家というか悪魔はあれだな。
魔力にこだわりすぎてほかの能力を軽視しているとしか言いようがない。よくぞそんな環境で当主の座にまで到達できた。
イッセーも魔王直々の指導でそれなりの運用方法を発揮している。
悪魔の駒の集中運用により、女王の状態よりもさらに強化する特化形態の突入がそれだ。
それをもってしても向こうのほうが優勢とかどんな実力だオイ。
この人協力してくれたらロキも簡単に返り討ちにできたんじゃないだろうか?
「・・・さささサイラオーグさまが、た、楽しそう」
・・・ん? 聞きなれない声が。
ふと後ろを振り返ると、小柄な少女が立っていた。
「・・・えっと、どちらさまだっけ?」
「は、ははははい!! スパロ・ヴァプアルでしゅ!? さ、サイラオーグさまの兵士を務めさせていた、いただいております!!」
・・・ああ、レーティングゲームでは動いてないのが二人いたけど、その一人か。
なんというかちっちゃい子だな。しかも見るからに臆病そうだし。
・・・とはいえ。
「へえ。震えているけど逃げてはいない。臆病なようだけど根性はありそうだ」
ゼノヴィアのいうとおりだ。
臆病ということは逃げたいという気持ちが人一倍強いということとだ。ギャスパーなんかがいい例だろう。
それでも逃げずにちゃんと立つには、普通の何倍もの勇気がいるはずだ。
サイラオーグ・バアルの眷属なだけあってなかなかだ。根性はあるな、根性は。
・・・などと思っていたらなんか戦闘がとんでもない方向に変換し始めたぞ?
アーシアちゃん? 確かにイッセーは毎回オッパイで何とかしてきたところはあるが、模擬戦でそれやったらアカンて。
ゼノヴィアもギャスパーも乗るな。朱乃さんもあおるな。部長もいとこがいる前なんだから自重してください。
「・・・本当に乳をつつくとパワーアップするのか? 俺は噂だとばかり思っていたんだが」
「「・・・本当です」」
サイラオーグ・バアルの質問に、俺も小猫ちゃんもうなづくしかなかった。
禁手に至るわ覇龍制御するは、本当にこいつはもう。
とはいえその辺はちょっと訂正するべきなきがする。
どちらかというとおっぱいがらみで逆転することが多いんだ。つつけばいいというものじゃない、つつけば。
「い、いいいいやらしいです!? そういうのはもっと人がいないところです、するべきです」
胸をかばってスパロが逃げ腰になるが、これは仕方がない。
「や、ややややっぱり変態技は封印してもらいましょうサイラオーグさま! 私はややややです、あんなのもらうの!?」
だよね! いやだよね!!
「・・・サイラオーグ・バアル。眷属もああいってるしその辺は抑えたほうがいいと思う。と、いうかこんな子に変態技喰らわせるのは俺としても止めたいです」
イッセー。こんな子に余計なトラウマ背負わせたらさすがにぶんなぐるぞ。
「待て宮白! なぜか俺が一番悪い奴になってるんだけど!?」
「いや女にとって一番悪いやつをここで探せとなったら、お前間違いなくトップだろうが」
超ド級変態セクハラ技を二つも作っておいてその汚名を避けれると思っているのか?
俺は無理だと思う。
「畜生! 親友にまでそんなこと言われた!! こんなんじゃハーレム王なんて夢のまた夢だ!!」
いや、秒読み段階だと思う。
と、いうか最近アーシアちゃんにお目覚めのキスをもらいまくってるとか聞いたんだがどうしたものか。
まさかここまで急激に関係が深まるとか思わなかった。このままほおっておくのはちょっとまずいかもしれん。
一年かそこらでそこまでヒートアップするとか思わなかったので当分放置する方向だったが、これはもっと気合を入れてカウンセラーを探したほうがいいかもしれん。
と、いうか修学旅行というのがまずい気がする。具体的には桐生アドバイス的な理由でヤバイ気がする。あいつが絶対にいらんことを言ってゼノヴィアやアーシアちゃんが暴走して大変なことになる気が本気でする。
・・・やばい!? うっかりしていた!!
「まずは桐生を張り倒さなければ!!」
「え? なんで桐生さんにひどいことをしなければならないんですか!?」
思わずしゃべったせいでアーシアちゃんに聞かれてしまった!?
しまった、これからどうやってごまかす!?
などと騒いでいる間にサイラオーグ・バアルは帰ることにしたようだ。
イッセーのパワーアップ方法を知られてしまったのでもう少し手札を見ておきたかったが仕方がない。
とりあえず、俺は見送りのために玄関までついていくことにする。
「なるほど、バアル領ではそういったことがあったのですか。それならちょうど知り合いに頼れそうな人がいるのですが―」
「ほう? お前たちもそういった方面で苦労しているのか。ソレならバアル領に専門家がいるぞ?」
・・・そのついでに政治的な話をして独自のコネクション形成のために努力するのも忘れない。
コネとはマメに行動する奴が形成できるのだ。この辺の努力を怠る者にコネクションを形成することなどできん。
すでに京都土産のリストもできており、どの店で購入すればいいのかもリストアップ済みだ。
ふはははは! 修学旅行で俺はコネクションの強化を二手三手進めさせてもらう!! これも出世のための労働と思えば苦労のうちには入らん!!
「それでは、のちのレーティングゲームを楽しみにさせてもらいます」
「ああ。転生者の中でも出世頭と名高い宮白兵夜の実力、その眼でしっかりと見せてもらおう」
サイラオーグ・バアルは俺の肩をたたくと、ものすごい好印象を与える笑顔を浮かべた。
「おれとの試合に関しては、お前が手にしている全武装についても解禁してもらえるよう交渉している。・・・赤龍帝と肩を並べる戦果を挙げたその本領、ぜひとも見せてほしい」
・・・っ! おいおい本気か?
「アレは実戦を生き残るために開発した反則兵器です。・・・本来レーティングゲームで使っていいようなものでは―」
「だ、だだだ大丈、夫です」
スパロが、なぜか俺の言葉を遮る。
「それぐらい、じゃなきゃ、サイラオーグさまはたたた倒せませんから」
おおう。言ってくれる。
「それは恐ろしい。この子も見かけによらない実力者なのかもしれませんね」
「ああ、彼女はよくやってくれている」
サイラオーグ・バアルはスパロの頭をなでると、まるで親のような表情を見せる。
「そうだな。お前にはいっても問題はないだろう。上役がうるさいのでここだけの話にしてくれると助かる」
・・・なんだ?
「・・・おそらく、スパロはお前のいた世界出身の転生者だ」
へ? なんだって!?
「スパロは神器を覚醒させて助けを求めてきた少女なのだが、俺が助けたときには心を病んでいたのか記憶を失っていてな。最近になって入手できるようになったデータでは、
・・・なるほど。確かにあり得るな。
魔術師、それも治癒魔術は非常に驚異的な能力だ。
どうも治癒能力に関しては、こちら側の技術は非常に有効なようだ。
小雪の世界は薬みたいに結構けがに応じて種類を変える必要があるみたいだし、久遠の世界は結構有望なようだが、それでも実力者は数少ないようだ。
反面魔術師の治癒魔術は専門家でなくても魔力さえ用意できれば力技でどうにでもなるところがある。宝石魔術の技術を流用できればかなりできるだろう。
魔術礼装の技術の提供もあってかなり貢献度が高いから、その辺のことも考えると色々あったとしてもおかしくない。
「特に上が警戒しているのだが、どうもその施設は禍の団がかかわっている可能性もあるようだ。・・・そのせいで政治のことを気にした上役が魔王側には黙っていろとうるさくてな」
ああなるほど。そりゃ言えん。
「了解しました。その辺のところは胸にしまっておきましょう」
ややこしいことになって、こんな人格者の社会的地位が転落しても問題だ。
イッセーたちにも内緒にしておくか。あいつはうっかり言っちゃいそうだし。
「今後は内密に協力してもらうこともあるかもしれん。だからお前にだけは伝えておこうと思ってな」
「そ、そのときはよよよよろしくお願い、しましゅ!!」
そういうと二人は去って行った。
・・・のちに聞いたのだが、なんでもサイラオーグ・バアルはリミッターをかけていた状態でイッセーとやりあっていたらしい。
しかもスパロも最年少ながら英雄派との戦闘で敵を全員捕縛するなどの功績をたたえられた実力者なのだが。
それほどの実力者と戦闘しなくてはならないとは大変だ。
とはいえ、さすがに負けてはやれないけどな!!
スパロはチョイ役ですが、設定的には重要キャラです。・・・まあ型月のキャラで重要となると一つしか思いいたらないでしょうが、感想ではぼかしてくれるとうれしいです。
パンデモニウム編は結構ベルにスポットを当てます。さらに、対英雄派戦は知将宮白の本領発揮でもあります。
活動報告で募集した弱点も、可能な限り生かすつもりです。策士VS策士のいやらしい戦いをご覧ください。
この章の脳内プロットを見返したら、アーチャーは英雄派の天敵と呼ばれるかもしれないと思いました。