ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド 作:グレン×グレン
京都サーゼクスホテル。
京都、サーゼクスホテル。
大事なことなので二回言った。
・・・日本が冥界に経済的な侵略されてる!?
修学旅行で泊まるホテルの名前を見て、俺はそう思うとどう反応していたらいいのかわからなくなった。
他に名称なかったのかオイ。
内装もシャレにならないほどの豪華さだし、これはあれか、妹が行っている高校だからサービスしようとか言った感じか?
そりゃウチ相当立派な高校だけど、修学旅行で徴収した金額はそこそこだろうに。サービスしすぎじゃないだろうか?
・・・と、思ったのだが。
「・・・なんで、八畳間があるんだよ」
「・・・こんなことならスイートルームでもこっそり取ればよかった」
止まることになった部屋をみて、俺とイッセーは頭を抱えてしまった。
なんでこんな豪華なホテルに八畳間の和室があるんだ?
なんでもいざというときの合流地点だそうだが、ほかに何かなかったんだろうか?
と、いうか八畳間に全員集合したら確実にあまるだろうが!!
普通にアザゼルの部屋にしておけよ!! いや、アーチャーを送り込んでたんだから、その部屋をスイートにすればよかったんだろうが!!
「まさかアーチャーの部屋が安かったりしないだろうな。そうなった暁にはサーゼクスさまにはちょっと悪戯心がひどすぎるのでなんとしても一矢報いねば―」
「落ち着いてください宮白くん。アーチャーさんは京都セラフォルーホテルのほうに泊まっています。ばったり会ってややこしいことにならないようにという配慮だそうです」
俺のものすごい不安から出た言葉に対し、ロスヴァイセさんのその言葉は救いどころかものすごいダメージになった。
冥界は京都を浸食しすぎだろう!?
「宮代、おれはちょっと離れたところに京都アジュカホテルや京都ファルビウムホテルがあっても驚かないぞ」
イッセーが多分冗談でそんなことを言っているのだが、それシャレにならない。
「実は東京アザゼルホテルとか大阪ミカエルホテルがあるのかもしれないな」
もうどっから突っ込んでいいのかわからねえよ!!
まさか今回のトラブルってこの方向性ってオチはないだろうな!!
だとしたらましかもしれんが、それならそもそもトラブルなしのほうがよかった!!
本当にトラブルがあったよ。
今俺たちは、京都の観光名所を巡りに来ていた。
だがそれどころではない。今目の前に、明らかに妖怪変化と思しき連中が攻撃を仕掛けていた。
「面倒なことに・・・なったな!! 松田たちは大丈夫か!?」
「ベルがいるから大丈夫・・・だろっと!!」
手早くさばきながら、俺たちは様子を確認する。
いきなりイッセーを攻撃してきたときはどうしたものかと思ったが、思ったより手こずらないレベルだ。
偽聖剣抜きでここまで渡り合えるとは思わなかったが、どうやら俺も結構強くなっているようだ。
とはいえこれはどう考えても誤解によるものだろう。
何とか理解してもらわないと余計な犠牲者を生み出しかねない。
「・・・いい加減にしてもらいたい!! 我々はそちらの上役から了承を得て参ったリアス・グレモリー眷属のものだ!!」
許可証をしっかりと見せながら、俺はしっかりと声を張り上げる。
こういう時は自分の立場を明確にするのがいい。そうするのとしないのとでは説得力が違う。
「そちらがどういう事情をかかえられているのかは知らないが、我々は本日午後にようやく到着したのだ。嘘だと思うのなら京都駅の監視カメラを確認するといい!!」
加えてアリバイもちゃっかり言おう。これで到着時より早く起きた出来事が原因なら、無実を証明するのも容易になる。
「この来訪はそちらのトップである八坂さまと、我らが長であるサーゼクス・ルシファーとの間で合意されたもののはずだ。これ以上の狼藉は妖怪と悪魔の全面戦争の火ぶたとなりえることを覚悟してもらおうか!!」
しっかり最悪のパターンを発言して脅しもかけるのを忘れない。
これをするのとしないのとでは相手が暴走する確率が大きく変わるのだ。
その言葉にさすがに警戒したのか、全員の動きが少しの間止まる。
「さすがは宮白だ。・・・こういう時の話の持っていき方が一味違う」
「宮白くんナイスよ!! 政治的手腕が光り輝いているわ!!」
「年季が違うぜ!! ほ、ほら、そういうことだし俺たちは京都サーゼクスホテルにいるから話があるならそっち来てくれよ」
まあ自信はあるからなゼノヴィア。もっとほめたたえるといいイリナ。
だがイッセーはホテルの名前を出すな。大軍で押し寄せて桐生たちに被害が出たらどう責任を取るつもりだ。
「・・・いいだろう。そこまで言うのなら引き下がるが、それが偽りであった場合は覚悟しろ!! 母上をさらった報いは受けてもらうからな!!」
妖怪の筆頭らしい幼女がそう吐き捨てると、妖怪たちは姿を消していく。
「チッ。面倒なことになったな」
とりあえず俺は携帯を取り出すと、即座にメールを部長とナツミに送る。
件名:妖怪がらみでトラブル発生
内容:明らかに緊急事態っぽいので、例のごとく大騒ぎが起こりそうな予感。 いざというときの救援要請に対応できる準備求む。
と、これで最低限の備えはできただろう。
「とりあえずベルたちと合流するぞ。手早く済ませてアザゼルやロスヴァイセさんとも合流しないとな」
「宮白、何が起こってると思うんだ?」
イッセーは妖怪たちが逃げてった先を見ながらそう聞いてくる。
いろいろと向こうの連中が心配なのかもな。まったくいいやつ過ぎるだろこいつ。
「よくわからんが、あの嬢ちゃんは立ち振る舞いから見てかなり高貴な立場だろう。・・・キツネ系であることから見て、もしかするとここの代表の八坂どのの関係者かもしれん」
妖怪連中もかなり気を使っている動きだったし、もしかすると親族の可能性もある。
「それが直接動いて暴走しているとなると・・・。八坂殿を含めた妖怪陣営のトップに何かが起こった可能性もあるな。・・・先に合流してくれ。俺はアザゼルに連絡しておく」
携帯を即座につなげながら、俺はイッセーたちを先に送ると携帯をつなげようとして―
「―誰だ?」
気配を察知して、これをかけた。
「勘が鋭いな。いや、まあ詫びを入れておこうかと思ってな」
そういいつつ姿を現す男は、ジーンズにセーターというありきたりな格好をしていた。
とはいえその姿はよく覚えている。
「・・・グランソード・ベルゼブブ」
「久しぶりだな宮白兵夜。カカッ! そう警戒すんなよ」
・・・まさか京都で魔王血族と顔を合わせることになるとはな。
偽聖剣を出しながら警戒するが、グランソードは両手を前に出しながら後ろに下がる。
「カッカッカ! 今日は喧嘩しに来たわけじゃねえよ。様子を見てたらこっちのせいで面倒事に巻き込んだみたいなんでな。詫びっちゃあなんだが質問があるなら少しは答えるぜ?」
どこまで本気かわからんが、遣り合う気がないなら付き合ってやってもいいか。
気が変わって戦闘されても困る。今この場には一般人が多いんだ。
「・・・さっきの妖怪がやってきたのはお前らの仕業か?」
「英雄派がいろいろやってるみたいでな。たぶんそいつらの仕業のはずだ」
「目的が何かは知ってるか?」
「オーフィスの目的達成のために何かするみたいだぜ?」
「・・・グレートレッドか」
「多分な」
「・・・お前の目的は?」
「頭の目的達成を手伝うのは舎弟の仕事だろう? カカカッ。俺様は一応オーフィスを頭に認めてるからなぁ」
・・・どこまで本当かはわからんが、しかしだとすると面倒だな。
「・・・なんでそれを教える? お前に何のメリットがある?」
「いやなぁ。ガキんちょ泣かせて悦に浸る趣味がねえってだけだよ。そういういみじゃあ、俺様はあいつら好きじゃねえんだ」
「内輪もめで争ってくれてるとこっちは楽で助かるよ」
どこまで信用したらいいかわからんが、まあ最初見たときから直接戦闘タイプなのは読めてたし、参考にしても問題はないだろう。
「んじゃまあ、俺様はそろそろ帰らせてもらうぜ。これ以上しゃべるのも組織的にあれ何でな?」
そういった瞬間に、目で追いきれないほどの速さでグランソードは後退する。
・・・これで追いかけても追いつけそうにないな。下手に京都のど真ん中で戦闘になるのもいただけん。
だが、これはある意味で最悪だろう。
つまりまあ、予想通りということで。
「やっぱり面倒なことになりやがった」
どうすればいいんだこの状況。
よくはわからんがどうも誘拐っぽい感じだし、このままだとさすがにいやな予感がしてきやがる。
「・・・遅いですよ。何をやっているんですか?」
ベルが声をかけれるぐらい近くにいたことに気づかなかったのは、動揺しすぎていたからだろう。
「悪い、ちょっと面倒な奴に絡まれてた」
「よくはわかりませんが、その辺も詳しくお話ししてください。何があるかわかりませんので」
「ああ、無関係でもないしちゃんと話す」
しかし京都も大波乱だな。予想はしていたがここまでとは。
「しかし了承を得て行動しているというにもかかわらず警告も抜きに戦闘行為を仕掛けてくるとは。もしかすると中枢に位置する人物に何かあったのかもしれません」
「それで制御が利かなくなった連中が暴走か。・・・普通にあり得るな」
だとするなら、まず連携をとることも難しいかもしれない。
制御ができていないほどのダメージを受けているのなら、果たして上から一括したところでどれだけの効果が見込めるかわからない。
こりゃトラブルを装って修学旅行を中断することも考えたほうがいいかもしれないな。
「悪いなベル。楽しませるつもりがこんなことになって」
「お構いなく。私は実質ミカエル様の拳ですので、そういったこととは無縁に生きていても何の問題もありません」
と、平然とベルはいう。
うん、表情も確かに平然としているのだが・・・。
「・・・口元にみたらし団子のタレがついてるぞ」
「んぅ!? こ、これは桐生が差し出してきたものを断るわけにもいかなかっただけです!! そ、そんな十本も食べる羽目になるとは思いませんでしたから―」
「餌付けされてんじゃねえか!!」
おのれ、ちょっと見てみたかったぞその光景!!
ま、それどころじゃないみたいだがな。
英雄派・・・か。
あいつら、禁手を量産して何をたくらんでやがる・・・っ!!
政治的に揺さぶりをかけてきた兵夜。やることが本当にえげつないです。
そして仁義にあつい男グランソード・ベルゼブブ。彼は三人組の中では一番常識人にする予定です。
追記:活動報告に味方側キャラクターのイメージモデルを投稿いたしました。気になる方は是非ご覧ください。