ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド   作:グレン×グレン

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悪魔となったイッセーが生きている間にも、兵夜には兵夜の生活があるのです


悪魔、意外と多いです!

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなイッセー悪魔生活が始まって数日後。

 

「・・・俺、才能ないのかなぁ」

 

「なんだいきなり」

 

 俺はイッセーに相談されていた。

 

 内容は悪魔稼業についてのことだ。

 

 なんでも、最初はあのチラシを配るところから始まるらしい。

 

 悪魔の科学によって召喚しそうな人間の居場所を特定したら、チラシを持って入れておく。

 

 チラシには、そういった人がチラシを使いたくなるように細工されているらしく、本気で叶えたい願いがある人はそれを使う。

 

 そして、それが来たら悪魔は素直に呼び出されて願いを叶える。

 

 そして帰る時に報酬を頂いて終了。この際、報酬は願い及びその人の素質によって大きく変動する。「人は平等ではない」をモットーとしているそうだ。

 

 そして、悪魔を召喚した人はそれが癖になってまた召喚してくれるという流れ。

 

 チラシは一回限りの使い捨てらしいので、その補充をしに行くのもイッセーの仕事になる。

 

 で、それを繰り返して数日経ったときに、初仕事が入る。

 

 塔城あての依頼が二つ来たとのことで、片方にイッセーが行くことになったのだ。

 

 ちなみに、召喚される悪魔は、所属する陣営ごとに違う魔法陣を体のどこかに書いて、さらに魔法陣を経由して召喚に応じるらしい。

 

 当然イッセーもそうした。

 

 そしてできなかったそうだ。

 

 本来なら小さな子供でもできるぐらいの魔力で転送するらしいのだが、残念なことにイッセーにはそれすらもなかったそうな。

 

 その結果イッセーは自転車で現地に行くことになり、当然「んなわけあるか!」と判断されたのが原因で口論になり、ショックで泣いてたのを見かねてお茶付きで入れてもらったらしい。

 

 なお、その時の会話で共通の趣味が発覚したことで意気投合したそうな。

 

 が、ここで問題が発生。

 

 その依頼者は、塔城にアニメキャラのコスプレ衣装を来てもらいたかったため依頼の遂行は不可能。

 

 仕方ないので他の依頼に変えることにしたが、これがとんでもないことに。

 

 大金持ちになりたい→金が降ってきたところで死ぬ。

 

 ハーレムを作りたい→視界に美女が入っただけで死ぬ。

 

 その依頼人は泣いたそうだ。そりゃそうだろうと思う。俺だって、そんな残念な結果だったら泣きたくもなる。

 

 イッセーは泣いている依頼人を慰めながら、共通の趣味を語り合ってその日は終了。

 

 依頼は達成できなかったが、アンケート結果はものすごい良好だったらしい。

 

 ちなみに、これは前代未聞だそうな。

 

 まあ、肝心の依頼ができてないのに感想が「また契約したいです」なんて書かれているのは普通おかしいだろう。

 

 仕方ないので気を取り直した次の召喚。

 

 相手は魔法少女タイプの巨漢だった。

 

 まったく想像のつかない人物なのだが、それはどういうことだろうか。

 

 今回の願いは魔法少女にしてほしいということ。

 

 なんかあり得ないことに、異世界まで行ったのにも関わらず魔法少女になることができなかったので、仕方なく本来は敵である悪魔に頼ったとのことである。

 

 もちろん、そんなことイッセーにはできないのでこれも却下。

 

 この時も、依頼人は号泣したらしい。

 

 結果、依頼人を慰めるのも兼ねて魔法少女物DVDシリーズを朝まで観賞して終了したそうだ。

 

 結果。イッセーがそのアニメにはまり、依頼は一切遂行できなかった。

 

 この時も、アンケート結果はベタボメだったらしい。

 

 前代未聞な結果が二回も続けば、さすがにいろいろとへこむということか。

 

「はあ。せっかくハーレムができると思ったのに。これじゃあいつになったらできるのかわからねえよ」

 

「初手から二回も失敗したらなぁ」

 

 正直苦笑しかできない。

 

 真面目な話、悪魔を召喚してまで叶えたいことを考えた俺には、ダークなことばかり思い浮かんだものだ。

 

 ところがどっこい。広げてみたらコスプレやら魔法少女やら明るい話題でしかない。

 

 どうやら悪魔業界は、俺が思ったものより明るくクリーンなものらしい。

 

 この調子だと、他の連中がやっている契約内容とやらも意外と明るいないようだったりするのかもしれない。

 

 魔術師の暗い側面も教えられた身としては、悪魔の家庭的な感じがどうにもおかしくなってくる。

 

「まあまあ。イッセーだって初心者なんだし、そりゃ簡単にはいかないだろ」

 

「そうか? 俺がへっぽこなだけなんじゃないのか?」

 

「依頼内容が悪かったんだよ。次ぐらいにはもっと普通の依頼が来るんじゃないか?」

 

 いくらなんでも内容がアレだ。うん。きっとまともな依頼がやってくるはずだろ。

 

「ホントか? ホントにやってくるのか?」

 

 イッセーが涙目でこっちを見てくる。

 

 どうやら本気でダメージを受けてるようだ。

 

「安心しろって。変人なんて世界の比率から見れば少ないんだから、次ぐらいにはまともな奴が来るって絶対!」

 

 三度目の正直ということわざもある。うん、きっと大丈夫。

 

 二度あることは三度ある? そんなことわざは知りません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 家に帰った俺は着替えると、そのまま夜の街へと繰り出した。

 

 と、言っても別に繁華街に行くわけじゃない。

 

 目指すのは街はずれにある山の中。それも、普通では絶対に人が来ないだろう暗いところの、さらに奥深くだった。

 

 視力と身体能力を強化しているので、夜の山でも問題なく行動できる。

 

 ここに来た目的は簡単だ。

 

 人のいないところで、神器の練習をすることである。

 

 今のところ俺は襲われていないが、イッセーが襲われたことも考えると安心することはできない。

 

 堕天使は神器使いを殺すことがある。それは強力な神器の場合とは言っているが、世の中例外と言うことは普通にある。

 

 特に俺は、グレモリー眷属の一人と親友関係になっている。

 

 危険視して殺しに来ることはあるかもしれない。

 

 魔術師としての戦闘手段は他にもあるが、それはそれでいろいろと用意する必要がある。サイズも、さすがに持ち運んでいるといろいろと言われるレベルだ。

 

 となればどうするか。

 

 答えは簡単。

 

 脅威に認定されている者なら、それを使えばいいだけの話だ。

 

「頼むぜ俺の神器。使い物になってくれよぉ」

 

 とにもかくにもまずは使いこなさなくては話にならない。

 

 と、言うことで練習開始。

 

1 とりあえず右手を掲げて叫んでみる。

 

 結果、やまびこが聞こえてきただけ。

 

2 魔術を使う要領で、魔力を込めてみる。

 

 結果、神器は光り輝いたけどそれで終わり。特に能力が発動した形跡はない。

 

3 神器を適当に叩いてみる。

 

 結果、頑丈なのはいいことだが、衝撃をほぼそのまま通してしまうことが発覚。つい全力で岩に叩きつけたため、ちょっと悶絶。

 

4 魔法のランプみたいにこすってみる。

 

 これも変化なし。

 

「・・・仕方がない。こうなれば奥の手を使うだけだ」

 

 できればしょっぱなで使いたくはなかったが、なんかこのままだと何の発展もなく終わりそうな気がする。

 

 と、ここで取り出したるは一枚のチラシ。

 

 買い物してる時に配られていた、悪魔召喚の例のチラシだ!!

 

 ふっふっふっふ。普通に質問するという手もあったが、それよりもこうやって悪魔の仕事として依頼すれば、報酬をもらえる分向こうにとっても得なはず。

 

 そうすれば、グレモリー眷属の方々からも好印象をもらえること間違いなし!!

 

 よっしゃぁ!! そうときまれば即実行!!

 

「カモンオカルト研究部!! レッツサモン!!」

 

 深夜に山にこもったことでテンションが上がったのか、俺はつい過激なポージング突きでそう叫んだ。

 

 直後、地面に置いたチラシから光が放たれる。

 

 おお! こうやって召喚するのか。

 

 それっぽい感じについつい期待する。

 

 さてさて、誰が来るかな?

 

 木場か? それとも塔城か? もしかしたら姫島先輩の可能性もあるし、まさかとは思うがグレモリー先輩という可能性もある。

 

 あ、イッセーは勘弁してくれ。あいつじゃ来るのに時間かかるし、何より依頼内容的に役に立たない。

 

 輝きはさらに強さを増し、そこから・・・。

 

「・・・あれ? うちの制服?」

 

「・・・・・・誰?」

 

 なんか、見覚えのない男が現れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・そうか、チラシが違ったのか」

 

「リアス先輩とこのだと思ってたのかよ。ま、逆に俺でよかったんじゃないか?」

 

 どうやら、この街にはグレモリー先輩以外にも爵位持ちの悪魔がいたらしい。

 

 どうやら、俺がもらったのはその別の悪魔の奴だったようだ。

 

 匙とかいう目の前の悪魔は、最近悪魔に転生したばかりの転生悪魔だそうだ。

 

 運がいいことに、匙も神器を持っていた。

 

 おかげで、神器の使い方もすぐにわかった。

 

 今、俺の右手には光の槍が握られている。

 

「想いの力で起動するって、なかなかロマンチックじゃないか。さすがは神様のプレゼント」

 

「喜んでくれたようでよかったぜ。・・・こっち向けんな。さっさと消してくれ」

 

 おっと。

 

 そういえば、悪魔にとって光は天敵だったな。

 

 一度でも発動させると後は簡単なのか、光の槍はあっさりと消えてくれた。

 

 これは実にいい。

 

 サイズからしてあの時の堕天使とほぼ同等。威力もそんなに変わらないだろうし、これはいい戦力になりそうだ。

 

「サンキュー匙。おかげで助かったぜ」

 

「ま、こっちも仕事だからな。それで報酬なんだが・・・」

 

 そういえばそうだ。

 

 こんな山の中だと手持ちのものでどうにかするしかないな。

 

 えっと・・・そうだ!

 

「この警棒とかどうだ? 結構高かったからいけると思うんだが」

 

「・・・なんでそんなもん持ってんだよ」

 

 匙にはあきれられるが、別におかしくはないだろう。

 

 また堕天使に襲われることを考えると、どうしてもそれ相応の得物ってのが必要なんだよ。

 

 匙は微妙に引いた表情でそれを持つが、片手で機会をみるとうなづいた。

 

「・・・よし! これならちょうど良いみたいだし、俺はこのまま帰るとするか」

 

「サンキュー。学校であったらよろしくな」

 

 俺たちはあいさつを交わすと、匙はそのまま主のもとに転移していった。

 

 それを見送ると、俺はもう一度神器に力を込める。

 

 さっきと変らないサイズの光の槍が、すぐに発生した。

 

 俺はそれをつかむと、軽くふるってみる。

 

 ・・・うん。重さはないものと思ってたが、良い感じに手ごたえを感じる。

 

 何度か軽くふるってみてから、今度は適当な木に向かって投げ飛ばしてみる。

 

 おお、見事にあっさり突き刺さった。

 

 槍はしばらくしたら消えるが、その痕跡は大きな風穴と言う形でちゃんと残っていた。

 

 すごい威力だ。魔術師の攻撃魔術なんて、大半はこれの足元にも及ばないだろう。

 

 これが神器。これが、神が授けた人間が手に入れることができる力。

 

 とんでもない出力だな。

 

 こんなもんがイッセーにも宿っているのか。殺されたってことは間違いなく俺の神器よりも、あいつの神器の方が格上だということになる。

 

 まっすぐな所が取り柄の、ただのスケベな親友だと思ってたが、あいつもとんでもないものを宿していたってことか。

 

 俺はイッセーの今後を考える。

 

 あいつは本当に上級悪魔になれるのだろうか。

 

 あの赤い籠手があれば可能性はあるのだと信じたい。

 

 ま、俺が生きている間になるのは無理な気がするが、悪魔の長い寿命があれば不可能じゃないだろ。

 

 あいつはスケベが絡むと時々すごい力を発揮するからな。

 

 そう思いながら空を見上げると、やけに夜空がきれいな気がした。

 

 こんな日は気持ちよく眠れそうだ。イッセーも、今度は元気になるといいな。

 




イッセーよりも先にシトリー眷属と知り合いになった兵夜。

イッセーの平和な生活を願いますが、このころ彼ははぐれ悪魔と戦闘中だったりします。

願いって、かなわないものですよね・・・

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