ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド 作:グレン×グレン
振り下ろされる斧を全力疾走で距離を取って回避。
だが、後ろから砲撃が襲い掛かってきて、余波で思いっきり宙を舞った。
明らかに破壊力が高すぎる!!
アーチャーの宝具でひっくり返したかと思ったら、逆にひっくり返されちまったぞ、オイ!!
「アーチャー!! 破戒すべき全ての符は!?」
「無理ね! キャスターの奴、宝具クラスにまで高めている! 核を狙わなければ無力化はできない!!」
歯ぎしりしながらのアーチャーの言葉に、俺は割と泣きたくなった。
アーチャーの宝具で無力化できないってどんな性能だよ!!
しかもちょっと上を向いたら、なんかミサイルが大量に飛んできた。
ヘラクレスの奴、容赦なく攻撃しやがったなオイ!!
しかもディオドラがらみで運用してきた、パワードスーツ部隊まで運用してきやがった。
クソが! 動きが前より早い!!
フォーメーションを組んで襲い掛かってくるパワードスーツ部隊は、そこそこ性能が高いのかイーヴィルバレトも当たらない。
しかも、デカブツはパワードスーツを無視して攻撃をしてくるからさらにやりづらい。
だが、甘い!!
「かかったな、馬鹿め!!」
言いつつ俺はスイッチを押す。
そして、設置していた爆弾が一斉に起爆。
念のためトラップを大量に設置しておいてよかった。何事も準備が一番だ。
そして、攻撃が止まった瞬間にさらに奥の手を呼び出す。
「吹き飛ぶがいい。対艦ミサイル、ファイヤ!!」
こっそりアザゼルの協力で調達した、大型対艦ミサイルを発射。デカブツの装甲を砕く。
パワードスーツも装甲が砕け、中の連中の顔が見えていた。
俺はその二つに視線を向け―
「・・・・・・・・・なん、だと」
―動きを止めた瞬間に、さらに想定外の不意打ちを食らった。
イッセーSide
白い髪に赤い目。
まるでフィフスみたいな特徴だけど、パワードスーツを着ている連中は全く違う印象だった。
なんていうか、人形みたいだ。
フィフスが持っているような、目的に向かって邁進する、ギラギラした感じが全然しない。
感情がよくわからないぐらいの、変な感じだった。
「・・・なんだ、こいつら」
「ホムンクルスだよ、これが」
フィフスはそういいながら、ホムンクルスごと俺をガ・ボルグで貫こうとする。
俺はあわてて回避するけど、ホムンクルスはよけきれずに刺し貫かれる。
「お前! そいつは仲間じゃねえのかよ!?」
「仲間? いやいや、こいつは俺が作った
フィフスの奴は、何を言っているのかわからない感じで槍を引き抜く。
なんだよそれ! ホムンクルスだって生きてるんだろうが!!
魔術師ってやつはみんなこうなのか!?
俺は我慢できなくてにらみつけるが、フィフスは意に介さず拳を握る。
「まあいい。やっぱりお前は面倒だよ。・・・ここで仕留める」
いいぜ。俺もあんたをぶっとばしたくなってきたよ。ここで倒す。
正面から突っ込んでくるフィフスに、俺はカウンターで拳を見舞う。
それをフィフスは、本当にかすめてもおかしくないギリギリで交わす。
格闘技術じゃやっぱりあいつの方が上か! だけどパワーとディフェンスならこっちの方がはるかに上だ!!
気合いを入れて耐えようとした俺の目の前で、しかしフィフスの拳が変化する。
突然、フィフスの手が炎に包まれた。
「火竜の、鉄拳!!」
その拳が鎧にめり込み、難なく粉砕して俺の腹にめり込んだ。
「な・・・っ!?」
・・・なんだ、これ。今までとは全然違う痛さだ。
「・・・龍殺しの力はどうだ、赤龍帝?」
フィフスが殴った感触を味わうようにゆっくりとそう聞いてくる。
その口からは、チロチロと炎が漏れ出ていた。
「とある異世界に存在する、対竜戦闘用魔法、
炎をまとった連続攻撃で俺を滅多打ちしながら、フィフスは自信満々にそう告げる。
「パワーアップするのが自分たちだけとでも思ってたか? おれたちだってそれぐらいの準備はやってるんだよ、これが!!」
宣言しながら、フィフスは勢いよく息を吸う。
なんか出す気か!? だけどなめるな。
俺も息を吸い込み、倍加させて一気に噴き出す。
ブレスだったら俺だってできる!!
「喰らいやがれ、おっさん直伝の火炎攻撃!!」
フィフスも出そうとするが、俺の方が一歩早い。
あいつが動くよりも先に、炎のブレスをたたき込んだ!
よし! 直撃だ!!
諸に食らったならあいつだってただじゃすまないはず―
「甘いな、これが」
フィフスの余裕たっぷりの声が俺の確信を打ち砕き、さらに信じられない光景が広がる。
俺の出した炎があっという間にフィフスに吸い込まれると、そのままあいつは炎を飲み干しやがった。
「・・・これが滅竜魔法の特色の一つ。自身の属性にかかわる物を、喰らうことで急激にエネルギーを回復するのさ」
なんだよその反則能力!
俺は突っ込みを入れたかったけど、それより先にフィフスが突っ込んでくる。
反撃として殴りかかるも、フィフスは全部片手間にさばいて、俺に連続攻撃を畳みかけた。
「センスも経験も足りてないんだよ。実戦経験一年足らずのど素人が、俺に勝てると思ってんのか、ああ!?」
文字通り手も足も出させない状態でフィフスが吠える。
しかも、対ドラゴン用なだけあって、あいつの攻撃は俺の鎧を難なく砕いてきた。
俺は何とか振り払って距離を取る。
このままだとマジでまずい! なんとか仕切り直さないと―
と、思った瞬間動きが止まった。
な、なんだこれ? 動けない!?
気づけば、俺の体には細い糸のようなものが絡みついていた。
「・・・ご要望通り、縛り上げました、フィフス様」
「ご苦労、アサシン」
何処からか聞こえてくる声に、フィフスが返事をする。
ちょ、ちょっと待て!
フィフスのアサシンって毒使いじゃなかったのか!?
なんて思った瞬間には、フィフスは俺の懐に潜り込んでいた。
「滅竜奥義―」
勝ち誇るようなフィフスの声に、俺は心底悪寒が走った。
ヤバイ、こんなの喰らったら。
「―紅蓮爆炎刃!!」
灼熱の連撃に吹き飛ばされて、俺は思いっきり打ち上げられる。
その時、視界にGSとかいう巨人の顔が映る。
宮白が何かやってのけたのか、一対だけ頭部が破壊されているのがいた。
その中身を見て、俺は目を見開いた。
あ、あの爺さんは・・・っ!?
Side 佑斗
頭部を破壊されたGSを見て、僕は目を見張った。
神を封印した人造神器だと聞いていたが、どうやら宝玉に取り込むというわけではないようだ。
カプセル状の物体の中に、丸ごと神らしき人物が取り込まれている。
見かけは小柄の老人だが、そこそこの力を持つ神のようだ。
その姿を見たゼノヴィアが、目を見開いて狼狽した。
「あ、あの方は!?」
「ゼノヴィアさん? お知合いですか?」
アーシアさんの言葉に、ゼノヴィアは茫然としながらもうなづいた。
「キットロケットの大会で、宮白の実家の会社で馬鹿がいたことは覚えているな? その時の一件で世話になった、アスノミコトというアザゼル先生と親しい八百万の神だ。まさかあんなところでとらわれているとは・・・っ!」
そういえばそんなこともあった。
まさかこんなところでつながりがあるとは!
「何分急務だったので、神そのものをとらえたのはごく最近なんだけどね。マイナーで連絡のつきにくいところを重点的に狙っていたから、気づいてなかったとしても無理はない」
そういいながら、聖槍を構えた曹操がこちらに近づいてくる。
「悪いけど、さすがにこの状況下で回復役まで放っておくわけにはいかなくてね」
「言ってくれるな・・・っ!」
「あまり舐められても困るね。グレモリー眷属はイッセーくんや宮白くんだけじゃない!」
余裕すら感じさせる態度の曹操に剣を向け、僕はゼノヴィアと同時に切りかかる。
曹操はそれを受け止めながら、しかし余裕を崩さない。
「まあ、一人で何とかできるとも思わないけどね。・・・だからこちらも増援を用意させてもらう」
曹操の視線が僕らの後ろに向けられる。
つられて視線を向けたところには、ふらついている様子のベルさんの姿があった。
ランサーを倒したのか!? このタイミングでの救援は助かるが、しかしかなりダメージを受けているようだ。
「ベル! アーシアを任せる! 曹操はこちらが引き受ける!」
ゼノヴィアも今のベルさんに任せるのはマズイと思ったのか、そう声をかける。
だが、ベルさんは聞こえていないのかそのままふらつきつつ僕らの元へと近づいてくる。
よく見れば、目も虚ろで様子がおかしい。
・・・想像以上にランサーに消耗したのか? 宮白くんの話では、そこまで強力なサーヴァントとも思えなかったが。
「ベルさん? どうしたんで―」
「―逃げろ二人とも!!」
僕の声を遮って、宮白君が真上から降下してくる。
鎧は半壊して右腕も折れているが、それを忘れさせるほど鬼気迫っている。
なんだ!? いったいどれだけあわてて―。
「今のベルは・・・っ!」
割って入った宮白くんの視線のさき、ベルさんの表情があらわになる。
・・・正気にはとても思えない、凄絶な笑みを浮かべていた。
「・・・敵だ!!」
結界が間に合うのと、ベルさんから無色の力場が放たれるのは同時だった。
Side Out
かろうじて、間に合った。
不意打ち気味に攻撃を喰らったときは焦ったが、どうにも正気を失っているらしく、その攻撃には精密性がかけていたおかげで致命傷は免れた。
そのあと耐性を立て直しているすきに距離を取られ、あわてて探して何とかこの状況になっている。
「・・・てめえら、ベルに一体何をした! っていうかいつの間に!?」
状況から考えて、いまだ禁手を見せていない曹操が一番怪しい。
だが、曹操は肩をすくめると、まるで理解できてないことを憐れんでいるかのような表情を見せる。
「俺は何もしていないよ。したのはランサーの力さ」
「森長可に洗脳能力があるだなんて話は聞いたことがないが?」
知りうる限り、そんな能力があるなんて話は聞いたことがないぞ。
だが、その答えを聞いた曹操は、心の底から溜息をついた。
「・・・まさかここまで完璧に引っかかるとは。半分冗談のつもりで試してみたんだけど、君は意外と馬鹿なんだな」
なんだ? いったい何を言っている?
俺の不安を示すかのように、ランサーが霊体化していたのか、曹操の隣に現れる。
だが、その姿はあまりにもイレギュラーだった。
ジーンズにジャケットを着、しかし槍だけは日本風。
「・・・馬鹿な。霊体化している状態で現代の衣服を着れるはずがない!?」
ありえない姿にあわてるが、そんな中、隣の木場が歯を喰いしばって唸った。
「・・・違う。アレは・・・森長可じゃない!」
「どういうことだ? 人間無骨という槍を使うのは森長可とかいう戦国武将だと聞いているが」
ゼノヴィアがそう返すが、木場は静かに首を振る。
「人間無骨は十文字槍だ。あの槍は大身槍で、全くの別物だ」
・・・なにぃ!?
思わず目を見張るが、ランサーは嫌な笑みを浮かべながら首を振った。
「いやいや、こいつは人間無骨だぜ? 実家に伝わる大事な大事な相棒だ。こいつで何人もの女や男やガキやジジイを殺していっぱい血を飲んできたんだからなぁ」
「馬鹿げたことを! 人間無骨の伝承は有名だ。いくらなんでも槍の種類が間違っているなんてことはない!」
木場はそう断言するが、それを見て曹操はため息をついた。
「案外頭の回転が鈍いな。・・・これが人間無骨なのは本当だが、森長可の使っていた人間無骨だなんて誰が言った?」
・・・・・・・・・は?
いや、ちょっと待て、人間無骨は森長可が使っていた槍の名前で、え?
・・・あ。
「・・・名前だけそれからとっただけの、全くの別物?」
「おうよ! 平成20年に生まれてから、実家に伝わるこの槍片手に殺して血を飲むこと10年間! 邪魔する魔術教会の連中を殺しまくって、ついたあだ名が「現代のヴァンパイア」だ!!」
胸を張ってそう言い張るランサーの姿を見て、俺はようやく絡繰りに気づいた。
謀られた・・・っ!!
「因みに彼自身は固有名を持つ英霊でも何でもない。その所業ゆえに核に選ばれただけで、個人単体では英霊未満の亡霊に過ぎないらしいよ?」
そう茶化すように曹操がいい、それがツボにはまったのか、ランサーは大笑いする。
「そういうこった! 俺は無銘の吸血鬼! ただのヴァンパイア擬きらしいぜ!? あっはっは! 笑えるなオイ!!」
ふっざけんなわかるかボケ!!
よくそんな英霊を引き当てたな! 聖杯バグってんじゃねえのか、オイ!!
「まあ、正直言って弱い英霊らしいんだけど。こいつのおかげで君たちの行動に対するカウンターができて実にラッキーなんだよね。どんな能力だと思う?」
・・・後ろで戦闘態勢に入っているベルを見ればすぐにわかる。
「吸血鬼の魅了の類か?」
「残念。こいつ等じゃあ、吸血鬼伝承の一部を具現化する程度しかできないんで、そこまでの力は使えない」
楽しそうに曹操は槍を揺らし、ランサーは耐え切れずに大声を出す。
「血ぃ吸った奴を眷属に変える伝承の宝具化だよ! つまり、今のその姉ちゃんは俺の言うことを聞くしもべってわけだ、わかったなら血くれよ、血!!」
・・・最悪だな。
表情を硬くする俺たちを見ながら、ランサーは槍を構えて狂気を見せる。
「んじゃあお前らも血を寄越しな! 美味い血が呑めて家来も作れる! サーヴァント化様様だぜえええええええ!!!」
ランサーの正体については賛否両論な気がします。
アヴェンジャーの設定を参考にしたサーヴァントは出してみたかったのですが、そこに以前募集した攻略法の意見を参考に、誤認させるような情報があるのをいいことに、そっちに見せかける作戦を曹操に取らせました。
通常の洗脳よりもはるかに効果的であるため、使いどころによっては非常にいやらしい戦法として使うことができます。