ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド   作:グレン×グレン

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ようやく兵夜の本領発揮。


万象に触れし命の水

 

 Other Side

 

 

「それで? これからどうするつもりだい?」

 

 内心で驚愕しながら、しかし曹操は冷静さを取り戻していた。

 

 キャスターの力をもってしても神を完全に御することは難易度が高かったのは残念だが、どうやらこれが最後の力だったようだ。

 

 制御数値は今まで以上に安定し、これ以上の反撃は見込めそうにない。

 

 兵藤一誠と宮白兵夜は今ので大きく証明した。

 

 木場佑斗たちも連戦で疲労困憊だ。

 

 一方こちらはほとんどの主力メンバーがGSの戦闘を見物していたこともあって回復している。

 

 敵は消耗して味方は回復する。戦況を有利に運ぶには十分すぎる条件だ。

 

 ましてや、今はフィフスとそのホムンクルス部隊が戦闘に参加している。

 

 正直フィフスの発想には感心している。

 

 ホムンクルスとパワードスーツを設計段階から二つで一つの組み合わせにすることにより、完璧な適合を発揮したセットとして運用する。

 

 これにより高い性能と生産性を発揮した独自戦力の確保には舌を巻いた。

 

 数々の戦闘によるデータを組み込んだ第二次生産仕様の能力は魔獣創造で生み出されたモンスターよりも強力だ。

 

 負ける道理はどこにもない。

 

 ゆえに冷静になっていたが、しかしわずかな変化に気が付いた。

 

 赤龍帝から妙な気配が発生している。

 

「仕方がねえ。まずはお前から仕留めさせてもらうぜ、これが!!」

 

 真っ先に感づいたのか、フィフスが炎をまとって一気に迫る。

 

 グレモリー眷属たちは、疲労が重なっているのか即座には反応できない。

 

 だが、そこに割って入る影があった。

 

「させませんよ!」

 

 光力をまとったベル・アームストロングが、フィフスと拳をぶつけ合う。

 

 一瞬の間拮抗するが、しかしフィフスは押し通す。

 

「無駄だな、お前相手なら俺の方が強い!!」

 

 断言しながら、フィフスはベルの周囲に爆弾を大量に展開する。

 それを回避しようとするベルだが、フィフスの方が一瞬速かった。

 

「火竜の・・・咆哮!!」

 

 灼熱の息吹が爆弾を誘爆させ、ベル・アームストロングを包み込む。

 

「うっし! 今度こそ赤龍帝を―」

 

 視線を赤龍帝に戻しかけたフィフスは、しかしとっさにベルのいた方向へと戻す。

 

 理由はすぐに分かった。

 

 ・・・まだ、彼女は生きている。

 

「クソが! 数が足りなかったか?」

 

 舌打ちしながら構えなおすフィフスの前に、ベルは炎を振り払いながら前に出る。

 

 その姿を見て、曹操は状況が変わっていることを把握した。

 

 ・・・神器は思いに応える。

 

 そう、強い思いに神器は必ず答えを返す。

 

 そして、ベル・アームストロングは思いを遂げ、死地から生還した。

 

 それは彼女の精神に大きな影響を与えていることは想像に難しくない。

 

 そのことをもっと早く理解するべきだった。

 

「実質、今までの私と同じと思ってもらっては困ります」

 

 黄と黒で彩られたボディスーツ。

 

「兵夜さまに受け入れてもらえた私は、いわばver2」

 

 両手と両足のメカニカルな装甲。

 

「・・・ここから、反撃と行かせてもらいますよ」

 

 間違いなく、彼女は禁手へと至っていた。

 

天使の鎧(エンジェル・アームズ)禁手(バランス・ブレイク)大天使の(アークエンジェル)決戦武装(フルアームズ)! この力で、目にもの見せて差し上げます!!」

 

 そう断言するベルは、少し口元に笑みを浮かべ、後ろに視線を向けた。

 

「そうですよね、兵夜さま?」

 

 そこに、神がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side Out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 勝機は、見えた。

 

 今間違いなく、俺は勝算を大きく引き上げている。

 

 神格化したことで、俺の能力は大幅に向上した。

 

 そのおかげでようやく理解した。

 

 俺が、魔術師としてどういった存在なのか、今になって本当の意味で理解できた。

 

「アーチャー。みんなの護衛を頼む」

 

 俺はアーチャーをみんなのサポートに専念させる。

 

 全員かなり消耗している。回復するまでの時間稼ぎと護衛役が必要だった。

 

 実力を過信していると思われるかもと思ったが、アーチャーは微笑を浮かべると素直に後ろに下がった。

 

「時間はしっかり稼ぎなさい。・・・ついでに全滅させるぐらい、やって見せなさい」

 

 ・・・パス経由で大体把握してくれたようだ。

 

「にしても、奇妙な才能だと思ったらそういうことだったのね。まったく、とんでもないマスターに引き当てられたものだわ」

 

「そいつは失礼。・・・ついでに少し休んでな」

 

 因みに、イッセーからなんかおっぱいおっぱいつぶやいている幻影が出てくるがそこは完全にスルーすることにした。

 

 こいつのおっぱいがらみの出来事をいちいち気にしていたら身が持たないと最近理解したからな。

 

 俺は正面から曹操を見据え、宣言する。

 

「今から、お前ら思いっきりぼこらせてもらう」

 

 そう宣言し、俺は魔術回路を解放させる。

 

「我が魂、天の光にひかれる人の光」

 

 俺は、輝きがあったからこそここまで来れた。

 

「その心は柳の如し。その身は愚かな英雄擬き」

 

 おれだけでは決して高みへは立てない。

 

「負けぬ、倒れぬ、砕かれぬ。されど超えれぬ赤き道」

 

 食らいついたとしても、たぶん一生イッセーにはかなわない。

 

「それでも我は並び立つ。届かぬ頂が友と呼ぶのだから」

 

 例えそうでも、あいつは俺を友というなら、俺はそれにふさわしくあり続ける。

 

「この道に意味がなくとも構わない」

 

 馬鹿らしいといわれようとも俺はこの道を歩き続ける。

 

「赤き輝きをともすことこそ、我が大望と知るならば!」

 

 だから、お前も思いっきり暴れてこい。

 

「この弱光、万象を照らす光となろう!!」

 

 一足先に、暴れてるぜ!!

 

 詠唱の完了とともに、俺は世界を浸食する。

 

 生み出されるのは、霧に包まれた世界。

 

 濃い霧でありながら、遠くまで見渡せる矛盾した濃霧の中、俺は静かに言葉を紡ぐ。

 

 それは一つの世界の名。そう―

 

「・・・万象に触れし命の水(オールシング・アクア・ヴィタエ)! さあ、お前ら全員叩き潰す!!」

 

 固有結界を、思う存分味わいな!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 イッセーSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 正直、俺はとてもいろいろと微妙な気分になってる。

 

 いつの間にか宮白が曹操たちと一緒にいなくなっているけど、そんなのも気にならないぐらい嫌な気分だ。

 

 なんというか、俺から飛び出した可能性が痴漢にしてしまった人たちの残留思念が大量に出てきた。

 

 おっぱいおっぱいいいながらなんか輪になって魔法陣になるとかツッコミどころが多すぎて話にならない。というか、俺の可能性はどれだけの人を痴漢にしてるんだよ。被害者も含めると万を超えるんじゃないだろうか?

 

 しかもそのあとなぜか部長が、俺に乳首をつつかれるためだけに召喚されて乳首をつつかれた後帰って行った。

 

 あの、俺の可能性はどんな方向に行ってるんでしょうか? いくらなんでもこれはひどいんですけど。

 

 そしてあれよあれよというまに歴代男女最強の赤龍帝の残留思念が成仏するとか言ってきました。

 

 最後に、黙ったまんまの男の赤龍帝さんが俺に一言。

 

―ぽちっとぽちっと、ずむずむいや~ん。

 

「・・・なんでだぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

 

 ほかに何かあるだろぉおおおおおお!?

 

 なんなんですか、歴代赤龍帝ってもしかして馬鹿なのか? バカばっかりなのか!?

 

 俺ももしかして同レベル!? いや、勘弁してくれません!?

 

 宮白がベルさんと一緒になんか甘い雰囲気作りながらすごい燃える展開を作った直後にこれかよ!? さすがにいろいろと思うところがあるんだけど!?

 

 ・・・よし、この苦しみをあいつらで発散しよう。

 

 俺の目の前にはランサーが残っていた。

 

 ランサーは割と本気で呆れてるけど、同時に何か面白そうな感じだった。

 

「わけわかんねえな、わけわかんねえなぁ! こういう時はぶっ殺して血ぃ吸って発散するだけだなぁ、オイ!!」

 

 そう叫ぶと同時に、なぜか出力が大幅に上昇する。

 

「マスターからの礼呪のブーストだぁ! 赤龍帝をぶっ殺せってよぉおお!! これでお前相手なら俺はステータス軒並み上昇だぁ!」

 

 そういった瞬間、今までとは比べ物にならない速さで突撃してくる。

 

「これで終わりだ、赤龍帝ぃいいいいいいい!!」

 

 突き出されるその槍を、

 

龍剛の戦車(ウェルシュ・ドラゴニック・ルーク)!!」

 

 真正面から受け止める!

 

「・・・こんなもんか?」

 

「んな・・・にぃ!?」

 

 目を見開いて驚くその顔面を叩き潰すべく、俺は拳を振りかぶる。

 

 肥大化した籠手の撃鉄が動き、その勢いのまま拳を振り落した。

 

 ランサーは間一髪でかわすが、勢い余って地面にぶつかった瞬間、数十メートルはあるだろうクレーターを思いっきり作る。

 

「ちょ、ちょちょちょちょっと待てぇえええええ!?」

 

 明らかに狼狽するランサーだが、俺は全く構わない。

 

「ランサー、てめえ、よくも俺の仲間を使って俺たちを攻撃してきやがったな?」

 

 てめえには、マジで腹が立ってるんだよこの野郎。

 

「お前は俺が、叩き潰す!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Side Out

 

 




魔改造二つ目。固有結界覚醒。

・・・まあ、名前の元が士郎で、しかも魔術特性が妙だということで想定内だった人も多いとは思います。

能力は次回判明しますが、とりあえず二人叩きのめしますのでご期待ください。

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