ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド 作:グレン×グレン
佑斗Side
気が付いた時、僕らは建築物のようなところにいた。
金属で構成される壁で出来た、広間のような風景が広がっている。
規模からみて、相当の大きさの建物だと思われる。だが、一体どこだ?
「・・・これは一体どういうことだ!?」
「離れないほうがいいわね、もしかしたら敵陣かもしれない」
見れば、バアル眷属の悪魔たちもここにいた。
だがイッセーくんの姿は見えない。
別々の場所に飛ばされたのか? だとすると厄介なことになった。
『こ、これは一体どういうことだ!? 戦闘が最高潮に達したと思われたその時、グレモリー眷属とバアル眷属がどこかに飛ばされたぁ!?』
実況の驚愕する声が聞こえるということは、これは向こう側も想定していなかったアクシデントということになる。
いったいどういうことなんだ?
『・・・おーい、さっきから空間がゆがんでるんだがどういうことだこれが』
と、聞き覚えのある、しかし聞こえてはいけない声が響いた。
これは―
「・・・フィフス・エリクシルですね」
知覚にいた小猫ちゃんが、猫耳を出しながらそうつぶやく。
そうだ。この声は幾度となく僕たちを窮地に追い込んだ、フィフスの声だ。
だが、こんな事態を引き起こしたにしては緊張感がない。
『どういうことだも何も、お前がこの施設の空間転移装置を使ったからそのせいじゃないか? アサシン使って嫌がらせするとか言ってなかったか?』
『いや、俺は研究が進まないストレス発散にアサシンにレーティングゲーム会場で情報収集して来いといっただけなんだが?』
僕らの困惑をよそに会話が進んでいくが、割ととんでもないことを言っているような気がする。
『・・・こっそりつぶやいた爆弾発言とかを出版社に売れば現政権にダメージ与えられるし、暇つぶしにしては建設的だと思ったんだけどな』
『テメエのやり口は趣味に合わねえな。・・・そういやエルトリアはどこ行った?』
『シャワー貸してとか言ったからバスルームに案内したが?』
緊張感が全くない。
どういうことだ? これは彼らの作戦じゃないのか?
と、思っている時にすぐ近くにあったドアが開いた。
『ああ、いいお湯だったわねぇん』
湯気をまといながら出てくるのは、かつてあったことのある旧魔王派の一人、エルトリア・レヴィアタン。
それはいい。それはいいのだが。
『・・・あらぁん? なんでグレモリー眷属とバアル眷属がここにいるのかしらぁん?』
全裸だった。
もう一度言おう。・・・全裸だった。
「な、なんという格好をしているのだ! 早く服を着ないか!?」
バアル眷属の騎士、ベルーガ・フールカスが慌てるが、しかしエルトリアは意にも介さない。
「・・・なんでプライベートなのに服を着る必要があるのかしらぁん? 私、風呂上りは全裸って決めてるのよ」
堂々と裸身をさらしながら、エルトリアはそんなことを断言した。
いや、男が何人もいる所でその発言はどうかと!
「・・・女のかっこうは見せてもいいと思っているからする物よぉん。男は男の基準を押し付けすぎねぇん」
しかもわかってないみたいな上から目線で説教までしてきた!?
こ、これは一体どういう事なんだ!?
アザゼルSide
これはいったいどういう事だよ!?
俺たちの視線の先、モニターにはいろいろな光景が映し出されたいた。
その中でも厄介なのは宮白がいる区画だ。
『ししししっかりしてください!? れ、レグルス、とにかく彼を背負ってください!!』
バアル眷属の兵士、スパロ・ヴァプアルが揺さぶるが、宮白は返事を返す余裕もない。
・・・完璧に意識を失ってやがる。
まあ、あんな無茶な方法で神格化した上にさらに無理やりな方法で力を応用したりしたんだ。反動はものすごいことになっているだろう。
それが空間転移で気が動転した時に一気に来たわけだな。ありゃ当分起きねえぞ。
だがそんなことを言ってる余裕もない。
すでに視線をずらせば、そこではギャスパーやバアル眷属の戦車が、敵とにらみ合いになっていた。
『な、ななななんでここにいるって感じ!? 普通さきにレーダーに映るって感じ!?』
『ぼ、僕に言われても困ります!? っていうかそっちが仕掛けてきたんじゃないんですか!?』
震えながらもしっかりと相手を見返しながらギャスパーは反論するが、しかし相手も要領を得ていないようだ。
あいつは確かリットとか言った敵のメンバーだったな。なんでこんなところにいるんだ?
それはそれとして、ビビりながらも戦車の連中の後ろに隠れずしっかりと見返すとはギャスパーも成長してるぜ。
『我々の試合を妨害しておきながら白を切るきか。・・・サイラオーグさまの将来がかかっていると言っても過言ではない一戦を邪魔した報い、ただでは済まないと知るが良い!!』
戦車の一人がマジギレしながら睨みつけるが、リットは首をかしげるのみだ。
『いやいやいやいや。そんなことしたらヴァーリが覇龍つかって殺しに来るからそんなことしないし。フィフスだって「フェニックスのなみだを片方だけすり替えたら現政権が空中分解して動きやすいよなぁ」とかいってマジ殴り合いしてから手を引いたのに』
・・・危ねえなオイ!? そんなこと企んでたのかよ!?
ヴァーリがいて本気で助かったぜ。
しっかしどういうことだ?
他のモニターの方に視線を向けると、そこには口論しながら歩くフィフスとグランソードがいる。
『テメエなぁ。艦内放送流しっぱなしなの気づけよ。下のモンにしめしつかねえじゃねえか』
『うるせえよこれが。とにかく原因追求しない事には話にならねえ。せっかく完成した試作一号機がこんなところで躓いたら、高いかね掛けたのが台無しになっちまうだろうが』
そんなことをいいながらドアを開けた先をみて、二人は目をまん丸くした。
『『あ』』
『ようやく見つけたぞこの野郎!!』
イッセーが指を突き付けて大声を張り上げる。
『まさか我々を自陣に取り込むとは敵ながら見事。だが、あの戦いの邪魔をした報いは受けてもらうぞ』
両手を鳴らしたサイラオーグもそこに並び、さらに後ろには大量の魔力が渦巻いている。
『ヴァーリににらまれている状態でこれだけの行動をしてのけた度胸は買うけれど、わたしたちに返り討ちになる可能性は考えなかったのかしら?』
リアスも完璧頭に血が上ってるし、こりゃあいつら死んだんじゃねえか?
『・・・何の話だこれが!? っていうかなんでこの場所が分かった!?』
フィフスはそう狼狽する。
『ゲオルグに作ってもらった結界装置はアサシン用に調整しているから無理やり通ろうにもこっちが気付くはずだ!! 神と魔王が決戦でもしたのか!?』
どうやら本気で想定外らしいな。
っていうか、神と魔王が決戦・・・。
『・・・
イッセーがそうつぶやいた途端、フィフスは絶叫して膝をついた。
『何処までも余計なことしてんじゃねえよぉおおおおおおおお!?』
そのまま何かに耐えるようにごろごろと床を転がりはじめる。
『ヴァーリに殺されるじゃねえかこの野郎がぁあああああああ!? なんでこっちから手を出してないのにお前らからくるわけぇえええええええ!?』
・・・どうやら本当に想定外らしい。
ってことはやっぱりこれは
こんな非常時想定できるかよ。とにかく急がないとあいつらがまずいな。
「解析班を総動員して空間転移現象を把握しろ!! 把握出来次第増援を送れ!!」
見たところ本拠地ってわけではないだろうが、聖杯戦争を作り出したフィフスがいる拠点だ。間違いなく重要度は高いだろう。
早くしないと増援が来すぎてやばいことにもなりかねない。しかも全国中継でこれってのが大問題だ。
もしあいつらがやられることになったら、冥界に大打撃なのは間違いないぞ!!
「増援が可能になった時点で私自ら動きましょう。・・・これは非常に危険な事態だ」
ベリアルもそのあたりを理解し、準備のために席を外す。
くそっ! いくらなんでもこんな事態は想定してないぞ!?
無事でいろよ、お前ら・・・っ!!
イッセーSide
寄りにもよって向こうにとっても想定外なのかよ!?
ヴァーリがにらみを利かせるらしいから安心してたと思ったらこれか! つくづく俺たちに迷惑しかかけない組織だな、禍の団は!!
俺たちがにらみを利かせる中、フィフスはものすごいだるそうに立ち上がると、目が座った状態で視線を向ける。
「・・・しかたねえ。全員殺してその首でほかの連中の意見もらってヴァーリ黙らせるか」
うっわぁ。完璧にキレてるよあいつ!
「俺様は非戦闘員の避難すすめとくぜ。終わったら助けに行くからそれまで死ぬなよ?」
「その前にさっさと叩き潰してやるよこれが」
離れていくグランソードにそう返しながら、フィフスはガ・ボルグを取り出して腰を落とす。
「・・・なめてくれるわね。これだけの数に一人で勝てるとでも?」
「サイラオーグさまが出るまでもありません。ここで終わらせましょう」
1人で十分といわんばかりの態度に、部長とサイラオーグさんのところの女王が切れかかるが、フィフスは余裕の態度を崩さない。
「・・・赤龍帝とバアルはともかく、あんたらはなめてかかっても問題ないだろ、これが」
次の瞬間、フィフスの姿が掻き消えた。
「え、ど、どこに―」
「上だ!!」
サイラオーグさんが真上を見ながら即座に飛び、直後に轟音が鳴り響く。
俺たちが視線を向けたころには、空中でぶつかり合う二人の姿があった。
「今のに反応できない連中は素直に投稿しな。俺には勝てないぜこれが!!」
「・・・つまり、貴様を倒せば何の問題もないということか!!」
次の瞬間には、2人の姿が消え去りながらぶつかり合うときだけ見えるという高速戦闘が勃発する!
オイオイオイオイ!? 木場より早いんじゃないかこれ!!
「以前仕留め損ねたのを後悔しな!! 今までとは違うんだよこっちはよぉ!!」
「それは認めよう。だが、こちらが以前のままだと思ってもらっても困る!!」
そういえば、2人は依然と遣り合ったことがあったな。
その時はフィフスの方が押され気味だったけど、滅竜魔法を得た今ではどうなるかわからない。
よし! 俺もぼさっとしている暇はない! ため時間も終わったしすぐ介入だ!!
「そろそろ行くぜ!
素早く赤龍帝の鎧をまとって戦闘準備!
行くぜフィフス! 新技を見せてやる!!
「部長、援護をお願いします!!」
俺は一気に突進する!!
敵はいくら出てくるかわからないんだ。さっさとフィフスをぶったおす!!
・・・どうしてもレーティングゲームのまま進めるのが大変だったんだ。
と、いうことでトラブル発生でフィフスたちの基地へとやってきちゃったリアス&サイラオーグ眷属御一行。しかも兵夜は無理がたたりすぎて戦闘不能になりました。
ここからこの章は本番です。特にイッセーにとっては原作以上の大ピンチに・・・。