ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド 作:グレン×グレン
だめだ、どうしてもシリアス一辺倒にできない!?
佑斗Side
呼び出されたのは、機械仕掛けの犬。
完全なカウンターで呼ばれたそれは、僕らに向かって口を開く。
そこから波動が放たれるのと、僕が聖魔剣を楯にするのはほぼ同時。
次の瞬間、聖魔剣が弾き飛ばされた。
「・・・な!?」
かなりしっかりと握っていたはずなのに、しかしあっさりと弾き飛ばされたことに驚いた。
相手の攻撃を弾き飛ばすアーティファクトか!!
僕が警戒して後ろに飛んだとき、周りのみんなが一斉に視線を逸らした。
「・・・? どうかしました?」
「あ、えっと・・・。とりあえずこれを羽織ったほうがいい」
そういって、リーバン・クロセルがマントを差し出した。
服に何かあったのだろうかと思い、僕は自分のかっこうを見る。
・・・八割ぐらい裸だった。
「な、ななななんだ!?」
え!? なんで服がこんなに破れてるんだ!?
「ふむ、木場も同じようになっているか。これはどういうことだ?」
離れたところからゼノヴィアが近づいてきた。どうやら彼女もデュランダルを弾き飛ばされていたらしい。
そして服がほとんど破れ去っていた。こちらはコリアナ・アンドレアルフスが上着を貸している。
・・・いや、どういうこと?
「ふっふっふっふ! これが私のアーティファクト」
視線がずれたことで神器から解放されたのか、エルトリアが立ち上がりながら猟犬をやさしくなでる。
「自立駆動して相手を追い、武装解除魔法で相手の武器を弾き飛ばし、人を生まれたままの姿えと戻すアーティファクト!!」
・・・どんな武装だ。
「ぶっちゃけ
・・・どんな世界だ。僕は素直にそう思ってしまった。
まさかそんな魔法があったとは。遠距離攻撃と男女両用と初歩の初歩。イッセーくんが知ったらショックのあまり卒倒しそうだ。あんがいそれを読んで桜花さんたちは内緒にしていたのかもしれない。
だがこれは非常に危険だ。
イッセーくんの洋服崩壊の上位互換なんて悪質すぎる!! ものすごく気になってうかつに動けない!!
「さぁて。それじゃあ反撃しようかしらぁん?」
ええい! まさかここまで面倒な敵だとは思わなかった。
イッセー君たちは大丈夫か!? 無事だといいんだが―
Other Side
「イッセー!?」
悲鳴を上げるリアスの前で、鮮血をまき散らしながらイッセーが倒れる。
赤龍帝の鎧は解除され、その表情は真っ青だった。
このままいけば確実に死ぬ。
その瞬間、スパロが動いた。
「・・・行って!!」
レイナーレの後ろから、高速で飛来する小さな影が映る。
「・・・虫?」
素早く切り捨てながら、レイナーレは怪訝な表情をする。
それは小さな虫だった。
だが、その手ごたえは明らかに虫のそれではない。
しかも、即座に数十倍の数が襲い掛かる。
それを警戒してレイナーレが飛び退った隙に、蟲の一団はイッセーを拾ってリアスたちのところに引きずっていく。
「は、ははは早く治療を!! フェニックスの涙を!!」
「・・・! え、ええ!!」
我に返ったリアスがフェニックスの涙を使う中、それをかばうようにサイラオーグが割って入る。
「隙が少ないがそれ以上に力が強大。・・・さすがにマズイか」
その強大さにサイラオーグが警戒する。
単独で正面から相対し、リアスやクイーシャでは反応すらできない機動力をもつフィフス。
リアスの本気の攻撃を苦も無く掻き消し、イッセーを一瞬で無力化したレイナーレ。
いくらサイラオーグの戦闘能力が高くとも、これだけの実力者は非常に脅威だった。
だが、フィフスもレイナーレも動かない。
「どうするの? これ中継されてるし、二人がかりで倒すのはやっぱり言いわけがくるんじゃないかしら?」
「別に一対一でも倒せるが、せっかくの機会だ。奴を使おうか」
余裕の表情を浮かべながら、2人は二人にだけわかる回話をする。
そして、合意を取ったのかレイナーレがその胸元を見せつける。
そこに刻まれているのは、赤で彩られた三画の紋章。
「・・・令呪!?」
スパロが目を見開く中、レイナーレが声を張り上げる。
「来なさい、バーサーカー!!」
その言葉とともに、何もないところから揺らめくように鎧が浮かぶ。
血のように真っ赤に染まった鎧の騎士。それもそこから撃つ目は明らかに常軌を逸している
「・・・サーヴァントか」
静かに腰を落としながら、サイラオーグが警戒する。
最上級悪魔クラスと評されるサーヴァント。間違いなく警戒に値する。
「と、ついでに―」
フィフスが指を鳴らすと、さらに周囲からホムンクルスがパワードスーツを着て現れる。
「くっ! こうなれば頭をつぶす!!」
状況が不利なのを察したサイラオーグが一気にフィフスに迫る。
その時、バーサーカーが動いた!!
「戦いを面白い敵が戦う!! 戦うためにさあ戦おう!!」
その顔面に、サイラオーグの拳が叩き込まれた。
人体でなってはいけない轟音が鳴り響く。
防御の体制も整っていない攻撃を受け、リアスたちはバーサーカーが吹き飛ぶところを一瞬で想像した。
だが、現実はそんな想像を破壊する。
「喜びの痛み! 敵意が喜ぶ私の戦い!!」
なんの通用もないかのように、バーサーカーは攻撃を再開する。
「・・・やはりサーヴァントなだけはある・・・っ!!」
相手の攻撃をかわしながら、サイラオーグは唸る。
そして、それと同時にホムンクルスたちの攻撃がリアスたちを襲う。
全方位から襲い掛かる魔術の群れに対し、しかしリアスとクイーシャは反応した。
「あまり舐めないでもらえるかしら!!」
「スパロ! 下がってなさい!!」
一瞬で、超高速魔力戦が展開され、部屋中を破壊の嵐が包み込む。
そんな中、フィフスが一歩一歩その目の前へと近づいていく。
「さて、俺はとりあえずこっちを片付けるかね、これが」
ガ・ボルグを構えながらフィフスは接近する。
その目の前に、スパロと兵士が立ちふさがった。
その姿を見て、フィフスは静かに肩をすくめる。
「どうせ殺すから止めやしないが、お前がどうやって俺に勝つんだ?」
スパロ・ヴァプアルの能力は十分理解している。
彼女の能力では今のフィフス相手には足止めにもならない。それがわかっているから警戒できない。
だが、スパロは兵士の後ろに立つと、その背に手を置いた。
「レグルス、おおおお願いします」
「わかっている」
兵士は仮面を外すと、静かにフィフスをにらむ。
その姿が膨れ上がり、獣のそれへと変化していった。
「・・・ちっ! どうやらそううまくはいかないか」
舌打ちするフィフスの眼前に、それは現れた。
巨大な獅子。それも、明らかに下手な龍王や邪竜すら超えるであろう力を秘めていることがわかる。
「このデータ。
ものすごい嫌そうな顔をするフィフスの前で、スパロが獅子の上に乗る。
「・・・しょしょしょ正直、悪魔になったせいか不安定です。サイラオーグさまか私でないと、いざというとき抑えられません」
その言葉に、フィフスは得心する。
「そうか。マキリの爺は使い魔が得意だったな。そいつから教示されれば必然的に使い魔の扱いには長ける。獣の使役にはもってこいか」
そういうと同時、静かに腰を落とす。
「・・・じゃあ、俺が神滅具にどこまで届くかやってみるか」
そして、そこをすり抜けるように一歩踏み込んでレイナーレが迫った。
「とりあえずイッセーくんは殺そうかしら!!」
光の槍を構え、レイナーレが迫る。
そのタイミングは、あまりにも最悪だった。
ほかの全員が戦闘を行っている状況下で、戦力を割く余裕は一切ない。
ゆえに、その攻撃を止めるものは―
「・・・男は根性!!」
―いまだ戦闘を行っていないものに他ならない。
飛び起きた兵夜が、光魔力の槍をもって光の槍を受け止める。
「兵夜!!」
復活した兵夜の姿に、リアスは歓喜の声を挙げる。
「く、くっくっく。くははははは! あいたかったぜレイナーレとやら!! 本当に会いたかった!!」
「何か用かしら? あなたとは初めて顔を合わせると思うのだけれど?」
哄笑をあげる兵夜に、レイナーレは怪訝な表情を浮かべる。
その瞬間、莫大な魔力が放出され、レイナーレを弾き飛ばす。
「何か用? イッセーだまして殺したクソッタレって意外に、俺がお前を殺したくなる理由なんてないだろうが!!」
疲労困憊で消耗甚大。
それでも宮白兵夜はいま、最高のコンディションだった。
「しかも思いっきりイッセーぼこりやがって。俺がお前を見逃す理由は、一ミクロンたりとも存在しない!!」
Side Out
兵夜、気合いと怒りで復活。
とはいえ神格の力はさすがに打ち止めなので、決定打には程遠い。
さあ、イッセーがいない状況下でどう戦う!?