ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド 作:グレン×グレン
うわぁ、あれ痛そうなんてレベルじゃねえ。
フィフスがとんでもない一撃を喰らって一撃で壁にたたきつけられ、さらに余裕でぶち抜いて吹っ飛んで行ったんだが。
魔槍全部乗せでかろうじて直撃は避けたみたいだが、余波だけであれだけ吹っ飛ぶとかどんな威力だ。
「・・・え、なんでスパロが禁手?」
「こちらも想定外の事態だったのだが、レグルスが独立状態の悪魔となったことがよかったのだろう」
さすがに膝をつきながらだが、意外としっかりした声でサイラオーグ・バアルが警戒しつつ応えてくれる。
「俺が禁手に至った後、スパロもまたレグルスによる禁手に目覚めたのだ。・・・一撃しか使えない代わりに、その場にあるものすべての力を吸収して放ち、遠距離攻撃による迎撃を軽々と弾き飛ばす攻撃。バアル家の記録映像による推測では、全盛期の二天龍すら直撃すれば戦闘不能になりかねないといわれている」
うわすごい。
もうそれだけしか言えないな、オイ。
「まさかこんなすごいことになるとは思わなかったわねぇん」
意外とぴんぴんしているエルトリアも茫然としていた。
結局こいつ戦闘続行してるからシャレにならないんだけど。
やっぱ今の状態じゃ倒しきれんか。ナツミが楯になってくれなかったら俺全裸になってるし。
「おいご主人。これ総力戦だったらグレモリー眷属負けてたんじゃねえのか?」
「実質喰らいたくありませんね。近接戦における攻撃力なら冥界一ではないでしょうか」
ナツミもベルも唖然としている。
っていうか、戦闘が止まっている。
「よかった。このレーティングゲーム、総力戦じゃなくて本当によかった!!」
鎧が解除されたイッセーに至ってはマジ泣きしてるし!!
だよね!! あんなのと相手しなきゃならないとか絶対嫌だよね!!
「・・・ふぃ、フィフス!?」
「フィフス様!?」
ボロボロのレイナーレやアサシンたちもかなり度肝を抜かれている。
「・・・まだだ!! フィフス様はまだ生きておられる!! 誰か急いで回収しろ!!」
「だがフェニックスの涙は実験に使ってここにはないぞ!! どうやって回復する!!」
アサシンたちがかなりあわてているが、あれで死んでないのが怖いんだが。
っていうかぶった切られた下を見てみたが、大きくえぐられた地面がかなり下に見えてんだけど。
え、ここ空に浮かんでんの!?
「てめえコラぁああああああああああ!!」
あ、なんか血まみれで腕まで折れてるフィフスが突撃してきた。
あれでまだ動けるのかよ!!
「仏心出して生かしておいたのが失敗だった!! これ以上のさばらせるかぁああああああ!!!」
狙いはスパロか!!
「き、ききききき来た!?」
「さがっていろスパロ!!」
レグルスがかばうように前に出るが、しかしその目の前に魔法陣が展開される。
オイオイオイオイ!! ここにきてさらに増援とか勘弁してくれよ!!
と、思ったがそこから現れた人影は俺たちではなくフィフスに剥いて手を伸ばす。
ちょうど目の前に来たフィフスは、そこから放たれた莫大な魔力にさらにふっとばされた!
「おっと。これはおまけだ」
さらに莫大な数の光の槍が一斉に襲い掛かるが、こっちはあわてて飛びよったレイナーレがかっさらってかろうじて回避された。
「・・・待たせたなお前ら。後は俺たちに任せとけ」
「さすがにこれ以上の狼藉は見逃せないのでね」
光が収まったことで、そういって安心させるように笑顔を浮かべるその人影が判別できた。
アザゼルにディハウザー・ベリアルじゃねえか!!
「こ、このタイミングで増援とか冗談じゃないわよ!?」
さすがにボロボロの状態でこの状況は見過ごせないのか、レイナーレが顔を真っ青にさせる。
その隙を逃さず一斉に攻撃が放たれた。
「・・・バーサーカー!!」
「戦いの極致は至高の攻撃!! その戦いをもろともせぬ戦いこそ我が戦い!!」
が、放たれた攻撃はバーサーカーが瞬時に受け止める。
・・・しかもかすり傷だと!?
「馬鹿・・・め。この状況のバーサーカーを倒したいなら、赤龍帝とバアルに覇を使わせるんだな」
もう無事な場所を探す方が難しいレベルのフィフスが、しかしあざ笑う。
「確かに面倒だがそいつがかばえるのは一方向だけだろ?」
「すぐに増援も来る。あきらめてもらおうか」
しかしこっちも余裕の表情。
確かに頑丈さにはビビるが、それ以外なら今のイッセーやサイラオーグなら十分渡り合えるレベルだ。
片方が足止めしているすきにこのボロボロの二人を倒すだけならたやすいか!!
「カカカッ!! 戻ってきてみればさすがにやばいことになってんじゃねえか!!」
・・・新手か!?
しかもこの特徴的な笑い声は!
「グランソード・ベルゼブブ!!」
ここにきて新手の出現か!! 面倒極まりねえなおい!!
が、グランソードはフィフスたちをかばうように立ちふさがるが両手を前に出して俺たちを止める。
「いやいや。勝ち目がない状況下でやり合うつもりは毛頭ねえよ。・・・お前らも、完全に積んでるのはわかっただろうが、帰るぜ」
・・・いやいや。ここまでやられて逃がすとでも思ってんのか?
と、思った瞬間にフィフスたちを黒い霧が包み込む。
「絶霧だと!?」
「カッカッカ! 部下ども逃がすついでに英雄派にちょっと連絡しといたんだよ。・・・ヴァーリには俺様から説明しといたから安心しな。事故だからラーメン十杯で許すとよ」
「そりゃ助かったな・・・これが」
驚愕するアザゼルを尻目に、フィフスたちが霧に包まれる。
「んじゃまあ、機会があったらまた会おうや」
その言葉を最後に、フィフスたちは消え去っていく。
・・・とりあえず、何とかなったということ―
―ゴゴゴゴゴ・・・!
なんか不安になる音が聞こえてきたんですけど。
『・・・自滅装置発動、自滅装置発動。当艦はあと三十分で消滅します。至急脱出してください』
「あ、やっぱり空中要塞とかそんな感じだったか」
技術力高いなホント。マジ厄介だ。
「って言ってる場合じゃねええええええええええ!!」
「マジであの時は死ぬかと思った」
「本当に、話を聞いた時は心臓が止まるかと思ったよー」
思い出しただけで冷や汗を流す俺を不安そうに見ながら、久遠はコーヒーを一口飲む。
今は駒王学園の文化祭だが、我ながらよく迎えられたと不思議に思う。
結局、あのあとレーティングゲームは中止になった。というかあれから続いたらそれこそおかしい。
冥界ではいまだにニュースのトップを飾るこの事件。かなりボロボロにされたことでグレモリー・バアル両眷属の人気にひびが入るかとも思ったが、そんなことは全くなかった。
何分フィフスたちが大暴れしたことが原因で、こりゃ仕方がないとほとんどの著名人が同情票を出してくれたからだ。
特にあの後の検証でスパロの禁手がマジで二天龍の覇龍すら撃破可能レベルだということがわかると、それを喰らってなお戦闘続行した上にチャンプのカウンターを喰らってなお生きてるフィフスが化け物すぎて、生き残ったことをべた褒めされるレベルだ。
トップランカーたち曰く「生存したことがそれだけで評価に値する」「近接戦闘能力なら堕天使関係者でも五指に入る」「できれば一対一で戦いたくない」「相性が悪すぎてタンニーンは負けるんじゃないか」などとフィフスの脅威度がうなぎのぼり。アイツどれだけ強くなってんだオイ。そんなのと遣り合いまくっている俺たちに同情票をください。
まあさすがに、スパロが聖杯戦争発生の一因を担っていることが問題視されたが、それもスパロの記憶があのあとショック療法である程度戻ったことから一変。
当主が五百年生きてる=500年以上研鑽が続いている魔術師の家系の秘奥が入ってくることになり、近年の魔術師大貢献のインパクトがすごいことから利益の方が高いとしてバアル家自体はそこまでひどいことをしていないらしい。
実際さわりだけ見たアーチャーも評価しているし、こちらとしても重要ポジションで施設に入れることがほぼ確定。今後の発言力を高める重要人物にひどいことはできないだろうしそこまで心配していない。
特に赤龍帝相手の勝率ほぼ百パーセントのフィフス相手に辛勝とはいえ白星上げたことから大王派は赤龍帝大人気の現状に対していいカードが手に入ったとホクホク顔らしい
まあそんなわけでしいて言うならイッセーが傷口に塩刷り込まれまくって悶絶したことが騒ぎになったが、その後の復活劇がすごすぎてこちらも軽傷。
特に大衆のど真ん中で告白同然のハーレム宣言したことから、こっちもゴシップ誌ではトップを飾っている。
とはいえやはりいろいろあることはあるわけで。
ただでさえ玄人好みのシトリーVSアガレスのレーティングゲームは専門誌でしか取り上げられていないそうだ。
こっちはこっちで久遠が龍喰らいで暴走寸前の匙をコントロールしたことで結構唸らせてるらしいが目立たない。さすがに禍の団が介入してきたこのゲームの方が優先されるのは当然だ。
「・・・そんなことになってるのにこっちはゲームに夢中だったとかちょっと傷つくかなー」
「さすがに短時間の決着だったし連絡いかなくても仕方がないだろ」
「だけどさー」
何やらジト目で久遠が俺を見る。
因みに俺の今の状態。
松葉杖・眼帯装備。酒、後一週間禁止。そして今日まで絶賛入院状態。
神格化の反動がでかすぎた挙句、そこに無理して戦闘開始したのがとどめになって今まで緊急入院してました。
命に別条がなかったのが奇跡とまで言われており、偽聖剣による神格発動装置にはリミッターが設けられることになったというオチまである。
アーチャーが寄ってたかって研究し、各種業界が集まって制御システムの開発が決定するなど大騒ぎだった。
いや、まさかここまでひどいことになるとか思わなかった。
いや、レイナーレ憎しで頑張ったけどやりすぎた。
「兵夜くんにそんなことになるまで無理させたのはこっちだしー。仮契約カードが使えれば、さっさと大量に増援遅れたからあんなことにはならなかったしー」
はい、責任感じて落ち込まれているわけです。
実際いれば大量に送りこめたから何とかなったという意見はあり、アザゼルは試合の開始タイミングが重なったことを悔やんでいた。
これによりレーティングゲームの試合は同時時間帯に発動させてはいけないのではないかという意見が出始めるぐらいであり、そのあたりで久遠は落ち込んでいるのである。
とはいえこんなイレギュラーでいちいち責任感じてもやってられないだろうし、仕方がない。
「久遠」
「なに―」
俺はケーキを大きめに切り取って久遠の前に差し出す。
「あーん」
「ふえー!?」
おお、顔が真っ赤だ。
時々不意打ち喰らうとかわいいな、こいつ。
「助けにこれなかった分は、かわいがられることで詫びということにしてくれ。ほらあ~ん」
「あ、あ、ああああ~んー!!」
なんかやけくそ気味にぱくっといって、そのままもぐもぐと咀嚼する。
「美味いか?」
「う、うんー」
顔を真っ赤にしてうなづく久遠に対し、俺も顔が赤くなるのを自覚しながら顔を近づける。
「ひょ、兵夜くんー?」
「今度は俺の番だ。あ~ん」
「あ、あ~んー!!」
恥ずかしがっているが決断は早くて何より。第一お前弁当持ってきてよくやってるんだから顔を真っ赤にすることないだろ。
「じ、自分でするのと促されるのは違うのー!!」
なるほど、主導権を握られると弱いのか。今後の対応策として覚えておこう。
「くそがあああああああ!! なんでアイツあんなことになってるんだ!! 今回喫茶店の客だから俺たちには徳がないのに!!」
「気持ちはわかるが抑えろ松田!! 病院にいったらバイオハザードがおきてろくに動けなかったらしいし、さすがに今回はさせてやれ!!」
普段では怖い松田も、今回ばかりは抑えざるを得ないのがラッキーだ。ズタボロになったのはマイナスだ結果的にプラスということだな。
などと役得を感じていたら、嫉妬にもだえる二人に桐生がいつもの表情で近づいてくる。
「おやおや。だけどこの次はあんたたちには抑えられるのかしら~?」
な、なんだ?
「ひょ、兵夜さま!!」
「兵夜兵夜!!」
ベルとナツミの声がしたので、微妙に感じた嫌な予感とともに振り向いた。
「あ、あああ実質あ~ん!!」
「おらあーんしろご主人」
ガッチガチに緊張しながらぷるぷるしているベルと、確信犯の表情を浮かべながらサミーマモードで差し出すナツミのあーんコンボが!!
「いやちょっとまってそれさすがにマズイ!! ・・・とりあえずあーん!!」
断らないけど寿命が縮みそうだ!!
「ほらお前らもあーん」
「「あーん」」
そしてこうなったら返さざるを得ないので先にやっておく。
「誰か! 誰かリア充を半殺しにする魔法知りませんか!?」
「独占禁止法の裁きをあいつに与えてやってください!! お願いします!!」
「なんで男一人で文化祭を過ごさなきゃならないのにこんなもん見せつけられてんだ!!」
「俺、彼女持ちなのに時間あわなくてデートできないんだ。・・・殺していいか?」
「まあ待て。あいつは病人なんだから今はやめとけ。・・・やるなら完治してからだ」
体調治ったら忙しいことになりそうだけど、男としてこれは退けない!!
「おーおー大変そうだな兵夜? モテル男は大変だなーおい」
反対向きで座るという男子生徒がよくやりそうな坐り方で、小雪がニヤニヤしながらこっちを見てくる。
うん、お前はそういうことしないタイプだと思ってたよ。
だがな?
「はい小雪もあーん」
「じ、実質あーん」
「小雪さんもあーんだよー」
「お前ら先手を取るな!! ・・・まあ俺もやるけどほらあーん」
俺たちがしてくる分には構わないよな?
「ふぁ、ふぁふぁふぁファック!? ・・・あ、あああ―」
かなり顔を真っ赤にしてうろたえながら周りを見る小雪だが。
「・・・・・・・・・あ~ん」
結局やってくれるのがこいつのいいところだ。
「「「「「「「「「「やっぱり我慢ならん!! 者ども、であえであえー!!」」」」」」」」」」
・・・さて、頑張って生き残るか。
そんなわけでライオンハート編も終了。
最近フィフスを盛りすぎているような気もするが、実はまだインフレします。と、いうか次が一番インフレすると思います。
まあ第四章入ってからになるんですが、D×Dのインフレ具合だとホント宿敵ポジションは強敵にし続けないといけないから大変です。
そして最後で思いっきりいちゃつかせました。ハーレムにしちゃってるんで、いちゃつかせれるところではいちゃつかせないと。
ウロボロス編はかなり短く書きます。いろいろ考えたんですがヒーローズ編のつなぎレベルにして、ヒーローズを今回より激戦にもっていこうかと。