ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド   作:グレン×グレン

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ウロボロス編ラストです。



速いよ!! というツッコミはなしでお願いします。


英霊たちの影

 五分後。

 

「な、なんだこの強さはって感じ・・・」

 

「思った以上にあっさり終わったねー」

 

「俺たちって予想以上に強くなってたんだな」

 

 あっさり勝てました。

 

 いや、強くなった強くなったとは思ったけど強くなったな本当に。

 

 以前戦ったときは苦戦した驚異の1人だったが、こうも簡単に終わらせられるとは思わなかった。

 

 まああの時からなんというか小物臭はしていたが、こうも情けないと苦戦した俺たちを怒りたくなってくるな。

 

「で、どうする? こいつたぶんそんな地位高くないしここで殺しとくか?」

 

「確かに無理して生かしておくには中途半端な地位だよねー」

 

「待って待って待って待って!! い、命だけはお助けを!!」

 

 割と本気でビビっているようだが、こいつ操られてもいない完璧なテロリストだしなぁ。

 

 ぶっちゃけ暴動が治まってないからこいつにかかずらってる暇はないし、かといって生かして反撃されるといらん被害が出そうなレベルの中途半端な実力だし。

 

「イッセーくんたちが来てるなら一人ぐらい監視に割いてもいいんだけどねー。やっぱり無理っぽい?」

 

「正直向こうも向こうで大変だろうからな。アザゼルの性格なら現地に任せると思うし、どうしたものか」

 

 余り悩んでいる暇もないしな。

 

 かといってうかつに殺して俺に責任がくるとせっかくの交渉が無駄になるし。

 

「兵夜くんはとりあえず暴動止めにいったらー。こういうのはやったことあるからとりあえずやっとくけどー」

 

 ん~。自分の女に汚れ仕事を任せるのは気が引けるが、慣れてるっていうなら無理に引き止めるのもあれだろうか。

 

 俺たちの会話を聞いたリットはもう顔が真っ白だ。うん、やっぱりすっぱり殺してやった方がこいつの心にも優しいだろうか?

 

 ぶっちゃけ命乞いを聞いてやるような奴じゃないし、やっぱりここで驚異を排除しておくべきか?

 

「お、お願いだから助けて!! ・・・助けてくれたらいいこと教えてあげるから!!」

 

 ほらあっさり裏切るし。敵にとっても扱いに困るレベルだったんだろう。

 

 俺は割と本気で始末しようかと思ったが、次の言葉で動きを止める。

 

「そ、曹操とハーデスの密会を録音してるの!! ほ、ほら、司法取引には十分な感じ!?」

 

「・・・おい、詳しく話せ」

 

 ちょっと冗談抜きで待て。

 

 言っちゃなんだがこの暴動を無視してもおつりがくるようなとんでもない内容だぞそれ!?

 

「テロリストと密会って穏やかじゃないねー。まさか出資者とかー?」

 

 まあ一人ぐらいはいるかと思うが、果たしてそうだろうか?

 

 禍の団はおそらく結構前から形はできていたと思うが、だからといって大元は旧魔王派だっただろう。

 

 三大勢力の内紛に、わざわざほかの神話体系が積極的にかかわるか?

 

「な、なんかサマエルを使ってオーフィスを削るとか言ってた!! ほ、ほら、コレ録音したテープ!!」

 

 ・・・おいちょっと待て!!

 

「ヴァーリがオーフィスを連れてきたのはそのせいか!!」

 

 いくらなんでもむちゃくちゃだとは思ったし、そういう可能性もあるとは思ってたが、ちょっと待てサマエル!?

 

 たしか以前調べた限りドラゴンに対する絶対存在とか言われてなかったか!?

 

 おいおいおいおいちょっと待て、そんなのイッセーやアザゼルも割とやばいぞ!!

 

「おいカマセ!! お前今回の襲撃誰から指示された!?」

 

「え!? ふぃ・フィフスからだけど!?」

 

 ・・・まさか―

 

「・・・陽動か!?」

 

「そういうことだぜ、宮白兵夜ぁ!!」

 

 真上から、影が下りた。

 

「兵夜くん!!」

 

 久遠にかっさらわれて俺がその場から遠のくと、そこに男が舞い降りた。

 

「ちっ! 外したか」

 

「ヘラクレス!!」

 

 英雄派の連中がこんなところに!!

 

「まさか宮白兵夜が釣れるなんて思わなかったわね。リットといったい何を話してたのかしら?」

 

「・・・ジャンヌまで出てくるとは面倒だねー」

 

 久遠もマジで警戒している。

 

 ええい面倒な奴が面倒な時に!!

 

 幸いリットが俺たちに情報を漏らしていたことはばれてないようだが、それはそれで大変だ。

 

「お前ら、一体なんでこんなところにいる!? イッセーたちはどうした!!」

 

 年のど真ん中に登場とか面倒すぎだろ!! 監視は一体何をしていた!!

 

「赤龍帝は曹操たちが動いてるわ。・・・私たちはフィフスの実験を見学しに来たのよ」

 

 フィフスの実験?

 

 あいつ今度は何をたくらんでいる。

 

「ちょうどいい。奴にやらせてみたらどうだ?」

 

 ヘラクレスがめんどくさそうにそんなことを言う。

 

 ・・・なるほど、そいつが今回の元凶ということか。

 

「よかったわねヘラクレス。言われずとも来たみたいよ?」

 

 面白がっているジャンヌの言葉に、俺と久遠は視線をそちらに向ける。

 

 ・・・それは、ホムンクルスだった。

 

 それだけならそこまで恐れることはない。っていうかパワードスーツもつけていない。

 

 だが、その気配は明らかに異常だった。

 

「我が・・・使命。狂気の・・・拡散・・・」

 

 バーサーカーもビックリの狂いっぷりなんだが、あいつ一体何を作りやがった?

 

「狂気・・・悲劇・・・彼らの死は・・・悲劇・・・!」

 

 その視線が俺たちに向けられた瞬間、奴は一気に駆け出した。

 

 速い・・・っ!

 

「だがまっすぐだ!!」

 

 カウンターで結晶体を召喚。剛速球でたたきつける。

 

 奴はよける体制も見せず直撃。まずは一撃!!

 

「さあどうなる!?」

 

「死を・・・送る。さあ・・・滅びよ!!」

 

 血は流してるが軽傷か!

 

 奴は突進しながら拳を振りかぶる。

 

 俺たちはバックステップでそれを回避。勢い余った拳は地面に突き刺さり、クレーターを生み出す。

 

 かなり筋力が高い。B+ランクといったところか!!

 

「久遠! 倒せるか?」

 

「ちょっと試すよー」

 

 腕を引き抜いているすきをついて、久遠が横に回り込んで太刀をたたきつける。

 

 一瞬遅れて鮮血が飛び散るが、ホムンクルスはうめき声を挙げながら反撃を叩き込んだ。

 

「ちょっと頑丈だねー。でも、コレなら楽に倒せるよー!」

 

「OK! だったら援護するぜ!!」

 

 ヘラクレスたちは様子見に徹しているようだ。コレならさっさと片付けられるか!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ホムンクルスによるテストは良好。なかなかいい拾い物をしたが、クラススキルを加えて使用するとあまりスペックを発揮できないなこれが」

 

「フィフスさま。我々に対する使用はいかがなさいますか?」

 

「できればもう少し実験をしてからにしておきたいところだ。・・・英雄派の連中をダシに使えればいいデータが取れそうなんだが、さすがに曹操が怒るしな」

 

「そういえば、なぜ英雄派はヘラクレスとジャンヌにリットまで送り込んだのでしょうか? 実験相手にグレモリー眷属を利用するといったときに急に食いつきましたが」

 

「そのあたりの腹芸は苦手だからな。素直な意見を言ってくれ」

 

「は。・・・英雄派とヴァーリチームの間で妙な牽制があります。またオーフィスがヴァーリチームと行動を共にしている情報と、最近のオーフィスが赤龍帝に興味を持っていた状況から判断して、オーフィスはグレモリー眷属に何らかの接触を図っている可能性があります」

 

「ふんふん」

 

「加えて、英雄派は前々より龍喰者(ドラゴン・イーター)なるコードネームを話しております。そもそもオーフィスの目的自体がこの世界に大きな悪影響を与えることと、英雄派そのものがオーフィスの蛇に頼らないことから考えますに、彼らはオーフィスに何かしようとたくらんでいるのではないかと」

 

「・・・ああ、言われてみれば納得だなこれが。それで、俺たちはそれを利用できるか?」

 

「その影響で蛇の供給に支障が出れば、それを理由に英雄派に報復を行う大義名分は取れるでしょう。・・・またシャルバが英雄派を相手に衝突を行っており彼らは混乱しております。・・・密偵を送るなら今かと」

 

「任せる。・・・そろそろ帝釈天も接触してくることだろうしな、いい加減動いたほうがいいだろう」

 

「ならば我々も急がねばなりません。・・・ザイードが立候補しておりますゆえ、あれだけはすでに行っていたほうがいいと思われます」

 

「・・・できればテストしておきたかったが仕方がないか。じゃあ行くぜ、計算の通じないバカに対抗するには、計算を凌駕する英雄が一番だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side Out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・全身を傷だらけにして、ホムンクルスはようやく倒れ伏した。

 

 思った以上に時間がかかった。言ってはなんだが一介のホムンクル相手にここまで手こずるとは思わなかった。

 

「おいおい。結構弱いじゃねえかフィフスの新兵器! なさけねえなぁ」

 

「まあ試作段階だしこんなものじゃない? 私たちより強いやつなんてそうはできないでしょう」

 

 ヘラクレスもジャンヌも想定内だったのか余裕の表情だ。

 

 まあいい。これ以上時間をかけるのも面倒だ。

 

「久遠。神格化を使って一気に片づける。たぶん倒れるからイッセーたちのことを任せる」

 

「兵夜くん!?」

 

 正直デメリットが大きいが仕方がない。

 

 あの曹操に限ってイッセーたち化け物軍団を相手に何の勝算もなしとは考えずらい。

 

 ここで余計なことをしている時間はない。可能な限り最短時間で片づける!!

 

「いやいや、そうはさせないぜこれが」

 

 ・・・後ろから、最悪のタイミングでいい加減なじんだ声が聞こえてきた。

 

「フィフス・エリクシル!!」

 

「最近ぶりだな。昇格試験にでも出たんだろうが、まあお前なら順当どころか遅すぎるぐらいだな、これが」

 

 余裕の表情を浮かべながら、フィフスはゆっくりとこちらに近づいてきた。

 

「・・・させない!!」

 

 俺が対策を考えるより早く、久遠が一瞬で距離を詰める。

 

 今この状況下でこいつまで相手にするのは危険すぎる。油断しているすきに一瞬でけりをつけるのはいい判断だ。

 

 振り下ろされた刃をガ・ボルグで防ぎながら、フィフスは余裕の表情を崩さない。

 

 だがあまり舐めてもらっても困る。今の俺たちは二対一だ。

 

「あまり調子に乗るなよフィフス!!」

 

 光魔力の剣を展開しながら、つばぜり合いになっていた久遠を飛び越えて強襲する。

 

 フィフスはうまくさばいてそれをかわすが、ヘラクレスたちは割って入る気配を見せない。

 

「お! なんか面白い展開になってきたぜ? 見物するか!!」

 

「予定外の事態だしべつにいいわよ? 最近アイツ偉そうだし、ちょっとぐらい困るところを見たいわねぇ」

 

「へいへいこいつ等ほんとにうるせえなこれが。少し位手伝えよ同盟結んでんだろ」

 

 仲が悪いようで何よりだ! このチャンスは逃さない!!

 

「挟み撃ちで終わらせるぞ、久遠!!」

 

「わかってるよー!!」

 

 俺と久遠は攻め立てるが、フィフスはガ・ボルグですべてさばく。

 

 チッ! 偽聖剣無しじゃ面倒だな。

 

「フィフス!! あのホムンクルスは一体なんだ!! お前は何をたくらんでいる!! そしてどうやってこんなところまでもぐりこんだ!!」

 

「応える義理は・・・ない!!」

 

 俺たちの攻撃を真上にかち上げ、フィフスは俺たちの首をつかむ。

 

「ぐ・・・っ」

 

「が・・・っ」

 

「いい加減面倒なんだよお前ら。・・・そろそろ終われ、アサシン!!」

 

「承知」

 

 クソ! 偽聖剣と感卦法なしじゃこいつの相手は無理があったか?

 

 アサシンは注射器らしいものを取り出すと、それをフィフスに投与する。

 

 その瞬間、フィフスの気配が大きく変貌した。

 

 なんだ、一体何をした!?

 

「それじゃあ、これでサヨナラだ」

 

 その瞬間、空間が大きくゆがんでいく。

 

「運が良ければ助かるかもな!! まあ当分バカンスにでも行っていろこれが!!」

 

 そのままその歪みの中に、俺たちを放り投げた。

 

「ちょっと待てぇええええええ!?」

 

 オイオイオイオイ何があった!?

 

 あいつ一体何をした!?

 

 ・・・って、

 

「言ってる場合じゃねえよなぁ!!」

 

 投げられたのなら仕方がない。

 

 正直この流れは想定外すぎるが今はそんなことを言っている場合じゃない。

 

「・・・久遠!!」

 

 何より今この場で重要なことはただ一つ。

 

「つかまれ!!」

 

 久遠の安全を確保することだけだろう!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ちょっと待ちなさいよフィフス。あなた今、何をしたの?」

 

「ん? ああ、薬学に長けたアサシンとキャスターが合作して作り上げたドーピング薬だよ。ちょっとしたラッキーで魔王の血が手に入ったから試しに作ってみたら完成したんだこれが」

 

「マジかよ・・・」

 

「そこまで呆然とすることはないだろ。一応同盟結んでるんだし、欲しけりゃやるが?」

 

「いらないわよ。必要ならこっちでも似たようなのは用意してるのよね」

 

「そりゃ残念。・・・まあいいか、それでお前らはこれからどうするんだ?」

 

「やることぁ終わったしそろそろ曹操の用事も終わるだろ。それが終わったら何しようかねえ」

 

「・・・みんなヤバイ!! 曹操から緊急連絡!!」

 

「「「何?」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シャルバが暴走してレオナルドを暴走させて暴走魔獣がこっち来て暴れるって!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「意味が分からない」」」

 

 




ウロボロス編終了! 間違いなく最短エピソードです!!









いや、ほんと自分でも賛否両論ありそうな展開なのはわかっていたんですが、いろいろとあれでして。

兵夜の性格だとイッセーのラストの行動を確実に止めるか、代わりに自分が残って対処るかのどちらかになりそうだったんで、兵夜を参戦させるとストーリー上うまくいかないのがわかり切ってまして。

まあある事情で後者は物理的に不可能になるんですが、だからといって止めないわけがないだろうというわけで。


あと流れ的に久遠が曹操戦に参戦する確率も上昇するんですが、そうだとするとそう出て戦うと曹操が逆にやられかねないという難点もありまして。

かといってさすがにグレモリー眷属単騎で追い詰めた久遠は昇格試験には確実に出そうだしさてどうしたものかと悩みまして。


いっそのことオリジナル展開で別口で動くことにしました。



結果的に四章から出す予定のフィフス側新兵器の伏線も晴れてよかったです。

まあ、Fate詳しい方ならたぶん今回ので大体の予測はできていると思います。念押しまでに追加しておくと、あのホムンクルスはどちらにしてもすぐ死にます。

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