ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド   作:グレン×グレン

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区切りところが見つからなかったので、かなり長くなってしまいました。

長くてすいません。


外伝、公開授業のアキレウス
見学、されました!


 

 

 

 

 

 

 

 

 イッセーSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ふう、いろいろと大騒ぎだった騒動も終わって、俺たちは少しだけ日常を満喫することができる。

 

 フィフスがどんどんパワーアップしてるというか戦力を強化してるだなんて恐ろしいことになってるけど、それでも今は平和なんだ。

 

 たとえ慰安旅行に連れていかれるときにアザゼル先生のモンスターマシンで暴走運転に巻き込まれて心がくじけそうになっても平和だ!

 

 グレイフィアさんが酒癖悪くて温泉で迫られたとしても平和だ! すいませんお茶目すぎます!!

 

 そう、そしてそんな平和な時に思いがけないイベントが訪れた。

 

「家で手作りのピザを食べるのって初めてですけど、美味しいですね! イッセーにいさま!!」

 

 そう、ミリキャスさまがうちに遊びに来たのだ!

 

 悪魔として人間界で依頼を受ける業務をいずれすることになるから、タイミングがあってたので俺たちの仕事の様子を見学したいというのだ!

 

 まさかこんなイベントがあるとは思わなかったけど、今までの大騒ぎに比べたらとても心が癒される暖かいイベントだと本気で思う。

 

 だから、手作りピザなんていいイベントでも出してもてなしてる。

 

 いや、ピザとコーラのコンボはマジ美味い!! うん、まだまだ食べられるよ俺は!

 

「ってことで宮白、次作って早く!!」

 

「お前ら病み上がりに容赦ねえな!!」

 

 宮白が叫ぶけど俺たちももう知らない。

 

「いや、最近宮白くん暴走酷いからこれぐらいの制裁はねぇ?」

 

「ぼ、僕もすごいことしたみたいですけど、宮白先輩はいろいろとダメかなぁって思いますぅ!」

 

 木場とギャスパーのバッサリと切り捨てたが、うんひどいことは言ってないよな。

 

 なんてったって、俺たちに何も言わずにいきなりハーデスに特攻かますとかやらかしてんだからな。

 

 しかもそのせいで昏睡状態だからシャレにならない。そこまでしなくても報復できるだと証拠がもろにあればやりようはいくらでもあっただろう。

 

 そしてナツミちゃんたちがお仕置きしたみたいだけど、そのあと体力使い果たしてまた病気ぶり返すとかどういうオチだよ!! 何やってんのお前!!

 

「いつものことだけど、兵夜って独断専行が多いもの。たまにはいい薬だわ」

 

 リアスはそう言い切りながらピザを食べる。うん、ピザを食べる姿も優雅ですリアス!!

 

「あらあら、じゃあ私はトッピングをあとこれとこれとこれを追加でお願いしますわね」

 

「さすがは朱乃副部長だ。ドSだ」

 

「容赦なく今から作らなくちゃいけないトッピングを要求してるわ! 主よ、宮白くんにちょっとだけお慈悲を!!」

 

「容赦ない上に頭痛が!? そこ、俺に祈りの効果を出すな!!」

 

 イリナのお祈りの恩恵が降り注いで、システムのせいでダメージを受けながらも宮白もなんだかんだでちゃんとトッピングを作り始めている。

 

 ・・・そんな状況でピザの生地とトッピングとソースをちゃんと準備して作れてるあたり、こいつ実は余裕?

 

「ですけどイッセーさん。あの人たちはあのままでよろしいのでしょうか? さっきから作り続けですけど」

 

「別にいいんじゃねーか? あいつら一応ファックな罪人だったろ?」

 

 アーシアが外の様子を見ながら気遣い、それに気遣うかのように青野さんがあっさりとそんなことを言う。

 

 ・・・ちゃっかり朱乃さんの隣にいるあたり、この人意外とわかりやすいな。あ、朱乃さんのコップにジュース注ぎなおした。

 

 で、アーシアが何を気にしているのかというと―

 

「ほれ坊主。こういう時はガッツリいかねえと体が成長しねえぞ? もうちょっと肉多いの食っとけ」

 

「あ、はい! 親切にもありがとうございますグランソードさん!」

 

 グランソードが部下と一緒にピザを焼く担当だったりする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あのあと、グランソードの扱いに冥界政府は困り果てた。

 

 仮にもこいつは魔王血族。扱いに対しては慎重になる必要がある立場だってことぐらい俺でもわかる。

 

 そして、禍の団に所属していたとはいえグランソードは自発的にこっちの味方をして投降したわけだ。こうなると処刑するのはさすがに無理。

 

 しかもオーフィスが気に入ってることから減刑を嘆願してきた。ここでオーフィスの機嫌を悪くすると余計なトラブルが発生するので、なおさら減刑する必要があるわけだ。

 

 だが、グランソードたちはグレートレッドの撃破に協力的な連中。まあだからこそオーフィスが気にしてそんなことを言ってきたわけだけど、下手に減刑しすぎてオーフィスと協力してグレートレッドと戦闘を始めるとそれはそれで大迷惑だ。

 

 で、サーゼクスさまたちが頭を悩ませたときに、グランソードが自分からこんなことを言ってきた。

 

「カッカッカ。なんならボランティア活動にでも参加しようか? 少人数で行動してりゃあ、連携もとれないから監視もしやすいだろ?」

 

 と、これにサーゼクス様たちが乗り気になったことでこいつらはいろいろな場所でボランティア活動をしまくっている。

 

 なまじっかかなり鍛えている連中なので肉体労働で大活躍。なんていうか不良集団的なノリだったのだが、意外ということ聞くし頭もそこそこいいのですっごい便利と大評判!

 

 なんでこんなに優秀なのかとついさっき聞いてみたけど、

 

「いや、もてるもん全部使って強くなるにゃあ、頭よくねえとやってらんねえだろ? 俺は魔法使うのは趣味じゃねえが、魔法理解してなきゃ魔法破るのも大変だしな」

 

 ・・・ヤンキーみたいな外見のくせしてとてもまともなご意見です。

 

 この人が休戦直後の冥界にいたら、魔王の座について統治してたかもしれない。

 

 そうなれば魔王の血とかにこだわってる旧魔王派の連中も反論しにくかったろうし、ホントもったいない。

 

「ほらお前ら! 動きのろくなってんぞ気合い入れろ!! お・・・大将も飯食ってんだからな!!」

 

「「「押忍!!」」」

 

 ノリが体育会系だけどすっごい便利! もうすごい手際よくピザを焼いて行ってる!!

 

「・・・よし、最後の四枚も終了したしこれで食える」

 

 全部終わらせた宮白が、堂々と酒飲みながらピザに手を付けた。

 

「兵夜! 卵乗せピザ美味しいよね! 明日も作って!!」

 

「はいはいコレステロールがひどいから来週以降な」

 

 ナツミちゃんとそういい合いながら、なんていうか自然な動きで食べさせ合いっこしてるのを見ると割と本気でムカってくるんだが。

 

 病院でのお仕置きで吹っ切れたのがさらに加速したのか、もう人目を気にすることが全くなくなってるよこいつ。

 

「ほらベルもがっつくな。口が汚れすぎだ」

 

「じ、実質すいません! 兵夜さまのお手製だと思おうと食べないともったいなくて!!」

 

 そして流れるようにベルさんの口をナプキンで拭いていく。オカンか!!

 

「っていうかベル、袖も汚れてんじゃねーか。まくれよおまえ、ガキか」

 

「はうあ! 夢中すぎてすっかり忘れてました!」

 

 そして青野さんも面倒見がいい! なんていうか年上のはずのベルさんが子供みたいだ。

 

「あ、ベルそれいらないの? もらい!!」

 

「ああ!? それとっておいたのにひどいですナツミちゃん!?」

 

 仲いいなぁ、この人たち。

 

 うん、今日も平和だなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなこんなでピザを食いながら、俺たちは和気あいあいとしゃべっている。

 

「よお宮白兵夜。残りのピザはもうすぐ焼けるが、終わったら次は何すりゃいいんだ?」

 

「いや、それはお前らのぶんだから食べてりゃいいんだが?」

 

 律儀にピザに焼け具合を確認していたグランソードに、宮白はあっさりと返した。

 

 え? それその人達の分なの!? やけに量が多いと思ったらそんな理由だったのか!!

 

 その言葉にグランソードの部下たちが、うつむくと肩を震わせる。

 

「く! なんだこの人! 今までの依頼人で一番気前がいいぜ!!」

 

「テロリストだから雑な扱いだと思ったらなんだこの待遇。現魔王だってここまであっさりとサービスしたりしねえぞ!?」

 

「っていうかピザもちゃっかり全部種類違うし! ちょっとこの人いい人じゃない!?」

 

「お前ら! 依頼人にここまで気を使わせたんだ! 食ったら片づけは倍気合入れるぞ!!」

 

 ・・・宮白はさらりとサービスしっかりしてるよなぁ。

 

 こういうところが人気の秘訣だ。人心掌握に余念がないというかなんというか、サービス精神が豊富というか。

 

「あなたいつの間にそんなことしてたの? 四種類作ってたのは彼らの人数分?」

 

「いや、いきなり依頼してこっち来てもらってんだからその分サービスするのは当然じゃないですか?」

 

 部長に聞かれても何を言われてるのかわからない感じだ。

 

 報酬をはずむ男なんだよな、宮白。なんだかんだで恐喝して部下にしたはずの不良連中にも雑用の報酬は別途用意してるし、一時期誕生日のケーキを毎日作るのは無理があるとか悩んでたし。ちなみにケーキは月に一回まとめて作る方向に行ったらうまくいったそうな。

 

 こういうマメなうえに出費をいとわないのがこいつが人を集めた秘訣なんだろう。俺も将来上級悪魔になったら眷属を持つんだし、参考にしよう。

 

「雇った相手に対してもサービスを忘れない。兵夜の対応は見ていて参考になるわね。ミリキャスも少しは覚えておいて損はないわよ?」

 

「はい! 宮白さんはこういった観点での交渉術にたけてるとは聞いてましたので、参考にしたいと思います」

 

 未来の王たちが参考にするほどか! 現場で鍛えた交渉術は参考になるようだ。

 

 で、その宮白はというと・・・。

 

「・・・うー」

 

「あ、また兵夜さまが沈んできました」

 

 などと妙に落ち込んでベルさんの胸に顔をうずめていた!

 

 とてもうらやましいが何だか調子が悪そうだ。病気は治ったから退院したはずだけど、ぶり返したのか?

 

「あー、気にすんな。ちょっとお仕置きのときに想定外のミスがファックなことにあってな」

 

 青野さんがあきれながらそういうけど、一体何があったんだ?

 

「あらあら。兵夜くんが沈むなんてどんな厳しいお仕置きをしたのかしら? ちょっと興味がありますわ」

 

「え、いや、別にえっと・・・」

 

 朱乃さんに聞かれてむっちゃ言いにくそうにしてるけど、確かにTSネタなんでいいずらいよね!!

 

 と、青野さんはごまかすかのように咳払いまでし始める。

 

「・・・げ、原因は直接関係ねーよ! ただ、そのせいで久遠がちょっとな!!」

 

「桜花さんが?」

 

 桜花さんがどうしたんだ?

 

「なんかアイツ、経験豊富なふりしてるくせにウブなところがあるじゃねーか。・・・我に返って恥ずかしがってんだよ」

 

 あー。確かにお仕置きの内容は聞いてる限りすっごいことでした。

 

 堂々とレーティングゲームで告白したり、魔王さまの前でキスしたとかいうけど、宮白のキス関係じゃ人数少ないし、宮白がグっと迫ると顔を赤くすることが多いらしい。

 

 宮白みたいに許容範囲内でガッツリ行くタイプなんだろう。で、範囲外に行っちゃったので恥ずかしくなったと。

 

「見舞いにきてもアガっちまってファックに逃げやがってな。それで兵夜の奴は嫌われたんじゃねーかと気にしてんのさ。・・・実際反撃モードに入ったら激しかったし」

 

 さらりと言ってるけど、それってつまり!?

 

 この人何気にこういったこと平然としてるけど、どんな人生送ったんだろうか。

 

「うふふ。宮白くんは攻めるのが好きみたいですし、それもあるようですわね。・・・いじってみたらかわいいのですね、あの子」

 

「それは同感。兵夜の奴の性癖ぴったしだし、今度かわいがってやるのも面白そうだ」

 

 朱乃さんがドSな表情を見せている、悪戯的な意味で! しかも青野さんもエロ的な意味で意外と乗り気!? 桜花さん逃げるんだ、ターゲットにされたぞ!!

 

 そういえば、最近ソーナ会長が桜花さんが指導を真面目に考えて研究してるって言ってたっけ。

 

 なんでも道場破りに行って、看板の代わりに指導のコツをもらって帰ってるとかなんとか。

 

『今までなまじ実力があったので、根本的なところで自分でどうにかすることを考えていたからこそ行き詰っていたのでしょう。指導する側に立つことを本格的に考えてからは、だいぶすっきりした表情です』

 

 どうやらスランプを開き直れたようでよかったよかった。

 

 桜花さんはそもそも出世して独立するのが目的じゃないんだし、宮白みたいに試験じゃ使えない方面で強くなっても問題ないよな。それでも宮白よりは才能あるから上級なれそうだし。

 

 教育方面をこれから鍛えるということは、桜花さんが眷属作ったら神鳴流の使い手たちが瞬動使いまくってすっごいことになりそうだ。あのひと戦術とか頭使う方面も意外とすごいからそれはそれで面白いことになりそう。

 

 まあ、宮白との関係を改善してからにしてほしいけど。

 

「ご主人もちょっとは落ち着きなよ。別に久遠は兵夜嫌いになったわけじゃないんだから」

 

「兵夜さましっかり! ゆっくり軌道を修正していけばいいんですよ実質!!」

 

「ああ。わかってはいる、いるんだけどな・・・」

 

 ああもうしっかりしろよ、親友!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 で、そんなことをしながらトレーニングもしっかりするのが俺たちだ。

 

 そりゃ大変なことがあったばっかりで、それも何とか解決したけど、だからって禍の団が壊滅したわけじゃない。

 

 主要どころは壊滅したけどサーヴァントはほとんど残ってるし、フィフスは戦力を増強させてるからこれで終わりってわけじゃない。

 

 何が起こるかわからないし、それにレーティングゲームでも勝ちたいから鍛えることは忘れないさ。

 

「イッセーにいさまは、あんなことがあった後も自分を鍛えることを忘れないんですね、尊敬します」

 

「気にしないでください。俺はほら、努力しないとやってけませんからね」

 

 ヴァーリの奴もとんでもないパワーアップをしたばかりだしな。俺も三宝だけに頼らず、どんどん鍛えていかないと追いつけない。二天龍対決は激しくなるばかりだ。

 

 部長たちもトレーニングの方向を決めて鍛えてるし、これから俺たちはどんどん強くなるはずだ。

 

 でもまあ、一人だけ方向性があやふやになってるやつがいる。

 

 ゼノヴィアだ。

 

 エクス・デュランダルがなまじ強力なんだけど、ゼノヴィア自身が使いこなせてないっていうのが問題だ。

 

 威力については問題ない。だいぶ制御できるようになってきたし、冗談抜きで攻撃力なら俺と張れるだろう。

 

 だけど、それでも曹操相手にあっさり叩き潰されたのがゼノヴィアとしてもきついようだ。実際あれは俺もショックだった。

 

 そんなわけでゼノヴィアも鍛えることには余念がないんだけど・・・。

 

「ゼノヴィアさんより木場さんと宮白さんのほうが白熱してますわね」

 

 レイヴェルがあきれる通りだ。

 

 今、俺の目の前で木場と宮白が静かににらみ合っている。

 

「いや、2人とも。何はともあれまずは私に考えさせてほしいのだが・・・」

 

「ちょっと黙っていてくれないかゼノヴィア。宮白くんとは一度話をしたほうがいいと思ってたんだ」

 

「奇遇だな、木場。俺もちょっと腹を割って話したほうがいいと思ってたよ」

 

 ゼノヴィアがとりなそうとしても気にしない二人の会話だが、簡単にいえば今後のゼノヴィアの方向性だった。

 

 エクス・デュランダルとゼノヴィアの組み合わせについて、2人の意見は正反対になってるのだ。

 

 木場はこれを機にゼノヴィアをテクニック重視で鍛える方向で行きたいようだ。

 

 ぶっちゃけテクニック方面で負担がでかいから減らしてくれって感じだけど、たしかに俺たちはパワータイプばかりだからな。

 

 あるものはしっかり使っていこうってノリは確かにわかる。

 

 で、それに反対しているのが宮白だ。

 

「・・・ぶっちゃけゼノヴィアと相性が悪いだろ。面倒すぎるし無理があるだろうが」

 

「いや、これはグレモリー眷属のテクニック方面の薄さを解決するいい機会じゃないか」

 

「それは俺らがフォローするべきところだろう。パワー重視のグレモリー眷属の筆頭格であるゼノヴィアを方針変換というのはどうかと思うね俺は」

 

「何でもかんでもしょい込みすぎるのはよくない。それが原因でひどいお仕置きを受けたんじゃないか。負担はもっと皆で軽減することができればそれがいいじゃないか」

 

「ふぐお!? ・・・って、そもそもテクニック投げ捨てたゼノヴィアに防御投げ捨ててるおまえがエラそうなこと言えるか!?」

 

「ぐぅ!? って話がそれてる!! エクス・デュランダルなんてテクニックを補完する高性能な武器が出てきたというのに、それを使わないなんてもったいないと思わないかい?」

 

「それを言うならパワータイプのゼノヴィアに、いくらデュランダルのオーラを制御できるからってテクニックタイプの武装を盛るのが設計ミスだろ」

 

 おいおい、宮白のやつエクス・デュランダルの設計理論にまで文句言い始めたぞ?

 

「まあ、実際エクス・デュランダルはエクスカリバーとデュランダルを合わせたらすごいという意味では子供の発想じみたところはありますわね」

 

「そうですか? 結果として攻撃力と制御を両立したいい案だと思いますけど」

 

 レイヴェルとミリキャスさままで議論し始めた!?

 

「アイテムは持てばいいってもんじゃない。それを使いこなせる人材が保有してこそ初めて意味があるだろう。設定盛れば強いなんて言うのは人を見てないぜ?」

 

「それを鍛えていくことが必要なんじゃないのかい? 僕達はただでさえ欠点が多いんだ。今後のフィフスがそれを突いてくる可能性は大きいし、そこは警戒していくべき内容だ」

 

「それで進行方向自体がゆがんだら、それこそ空中分解するだろう・・・」

 

 今後のグレモリー眷属の戦闘まで視野に入れた話になってる。

 

 なるほど、つまり木場は俺たちがテクニックが弱いから、そこを突かれてやられることがないようにしたい。そして自分たちの負担を減らすべきだと。

 

 一方宮白はテクニックの負担はこっちで何とかすることだと。で、長所を伸ばすことで突破力をつけたいと。

 

「まあ、欠点なんて確かに誰にだってありますし、あえて長所を伸ばして吹き飛ばせるようにすればいいというのは正論ですわね。わたくしも前から少し思ってましたわ。グレモリー眷属のパワー指向は何も欠点ばかりではありませんわ」

 

「ですが、単一の戦力に頼るというのは必ず対処されます。そうならないよう複数の手段を模索することも必要ではないでしょうか? 今のグレモリー眷属はテクニック方面において木場さんと宮白さんに頼り気味です」

 

 おお、こっちも議論が白熱している。

 

 よく聞いて参考にしたいけど、同時に二つの議論なんて俺じゃあ理解できないしどうしよう!?

 

「第一、エクス・デュランダルという存在を長期間使うことが不安なんだよ俺は」

 

 お、宮白のほうが何やらすごいこと言いだしたぞ?

 

「・・・どういうことだい?」

 

「どういうことも、教会の連中がゼノヴィアにこんなものをいつまでも残しておくことを我慢できるとも思えないんだよ、俺は」

 

 おや、なんか難しいことになってきたぞ?

 

「仮にも教会にいたことがあるおまえならわかるだろう。日本ならともかく、欧米などの世界で本来悪魔と堕天使が教会と仲良くなんて想像なんてできないだろう?」

 

 え? そうなの?

 

「言われてみればその通りだね。正直、もう少しもめるかとも思ってたけど」

 

「だろ? 主の意向だと思ってるから何とかなってるけど、これで聖書にしるされた神の死まで広まったらどんな騒ぎになるかわかったもんじゃない。冗談抜きでひっくり返るのは間違いない」

 

 ああ、俺その辺ちょっとわかりにくいけど、それでも大変なのはよくわかる。

 

 アーシアやゼノヴィアなんて気絶しかけたからな。実際最重要機密だし、やばいことぐらいはまあわかる。

 

「だからってこれまで亡ぼすべき邪悪と教えられてきた悪魔に対して、誰もが皆友好的に行動しろなんて無理があるのはわかるだろう? ・・・デュランダルやエクスカリバーを悪魔の手に残しておけば不満点も増えるはずだ。どちらかは教会の手に残しておいた方が余計な波風は立たないだろう」

 

「つまり、宮白くんはエクス・デュランダル自体をなしにしたいということかい!?」

 

 すっげえこと考えるな宮白のやつ!!

 

「そもそもパワータイプのゼノヴィアの強化法にテクニックタイプの極致みたいな武装を持ってくることが首を捻る。テクニックを鍛えるにしても極端すぎるだろうが、弱点をフォローするのと長所を逆転させるのは全く別物だと思うがね」

 

「ぐ・・・」

 

 なんか微妙に話の方向が間違ってる気がするけど、宮白がようやく元に戻した。

 

「ぶっちゃけ理論先行だと思うからなアレ。まあ安心しろ。ちゃんとゼノヴィアとの相性を考慮した予備武装を開発中だから!!」

 

「それ絶対パワータイプだよね!? 僕はやっぱりもうちょっと負担を減らしてほしいんだけど・・・!」

 

 宮白と木場には本当に迷惑かける。宮白はあんなこと言ってるけど、あいつ俺たちの代わりに負担しょい込むところがあるから木場の方が正論だ。ホントゴメン!!

 

 俺ももうちょっとテクニック方面勉強しよう。今度罠の作り方でも勉強するよ。

 

「いろいろな視点からの会話を聞くのは勉強になります。僕はそういった方向は見てなかったので新鮮でした」

 

「それは同感です。宮白って俺にはそういったところ考えさせないようにしてるところがあるからこういうのは俺もいい機会ですよ」

 

 俺はミリキャスさまと笑い合う。

 

 うん、王になったら必要にもなるし、よく覚えておこう!!

 

 




兵夜の思考・・・足りないところはこっちでフォロー。味方は基本長所を伸ばす。









それはともかくとして、実は意外とウブだった久遠。まあ、今までもお姉さん風を吹かしている風で要所で責められると真っ赤になる感じで言ってました。

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