ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド   作:グレン×グレン

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吸血鬼、やってきました!

 そして吸血鬼との会合の日、俺たちは代表が集まって吸血鬼を待っていた。

 

 グレモリー眷属を全員集めることもないと思ったが、アザゼルが判断しているのだからまあいいだろう。

 

 ・・・調べた限り、確実に揉め事を引き起こしそうだから少人数でことを収めたかったんだが、なぜかギャスパーに参加を要請しているし気になったんだろう。

 

 いきなり戦闘とかなりそうで怖い。吸血鬼は悪魔をはるかに凌駕するぐらい純血嗜好で種族主義だから、必ず喧嘩を売ってくる自信があるぞ。

 

 ゼノヴィアが知り合いとあって顔を青くしたりとかしているのが清涼剤になっている。さて、それもどこまで続くことやら。

 

「・・・君が神喰いの神魔かね?」

 

 と、俺に話しかける人がいた。

 

 神父の服を来た紫の髪をした男が、俺に真剣な表情を向けていた。

 

「と、挨拶がまだだったな。バチカン所属の戦闘騎士団、モルドレットの隊長を務めさせてもらっているゲン・コーメイだ。神魔の要請で警護戦力として参戦させてもらった」

 

 ほほう。鳴り物入りの戦力を用意してくれるとは、大天使ミカエルも太っ腹だ。

 

「・・・そして、最近初めて知ったが君の同類でもある」

 

 同類? 魔術師なら教会には入らないだろうし、ってことは―

 

「・・・転生者か」

 

「ああ、残念なことに記憶が戻るのが遅くてね。そうでなければ駒王会談にも参加したんだが、本当に残念だ」

 

 心底残念そうにそんなことを言ってくる。

 

「・・・兵夜、来たわよ」

 

 おっと、どうやらゆっくり会話している暇はないようだ。

 

 さて、問題が起こらないといいけどな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 やっぱり大問題だよ本当に。

 

「ああもう! なんでこう問題が連発するんだよ本当に! 久遠といい死神といい吸血鬼といい! 久遠に集中させろ!!」

 

「久遠が一番大事なんだ? ご主人にしちゃ意外だな」

 

 と、ナツミが俺の肩をもみながらそんなことを言ってくる。

 

 おれだって自分の用事を優先させたい程度の感情は持ってるんだよ。

 

 吸血鬼側の要求は至ってシンプル。和平に参加してやるからギャスパーを吸血鬼同士の争いに参加させろということだ。

 

 まあ、奴らのことだから吸血鬼なんだから吸血鬼の争いに参加するのは当然だと考えているんだろう。

 

 純血以外は道具程度にしか考えていないだろうし、まあ普通に想定していたからそこまでむかついたりはしなかったが。

 

 クソが汚いことは当たり前だ。だから汚いところを見ることになったからといって、それでクソに改めてむかついたりしても意味がない。感情的になるのは疲れるだけだ。

 

 そして生粋の貴族主義であることもやっぱり想定内。まさか冥界の英雄であるイッセーをこの期に及んでガン無視するレベルだとは思わなかった。下僕悪魔な時点で意見を聞く発想すらない。

 

 そこで部長はある程度考えて、カーミラではなくツゥペシェの方へと先に行くとのことだ。

 

 あまり刺激を与えるわけにもいかないし、こっちのことも考えなればいけないから、連れていくのは木場だけとのことだ。

 

 俺も行ったほうがいいかと思ったんだが、そこはバッサリ切られた。

 

『そのせいで死神が襲い掛かってきたらどうするつもりなの? 最近やりすぎてることを自覚できていないようね』

 

 すいません。これでビビると思ってたんです。ハーデスやられれば怖気づくと思ったんです。まさかテロリストに参加するとは思わなかったんです。本当に想定外だったんです。

 

 とはいえ、前回の襲撃もあるからまあ俺も忙しいし無理はあったか。

 

 ・・・表社会に神秘ゼロの技術流出による攻撃を警戒せざるを得なくなったからな。警察やヤクザの協力による、広範囲警戒網を作るのに結構忙しい。

 

 そして航空機の襲撃を警戒するためのレーダー技術の発展も急務だ。まあこれは世界各国の質を強化する必要もあるからアザゼルやサーゼクスさまの領域なのだが。

 

「デカいヤマが終わってようやく少しは楽になるかと思ったらこれだよ。俺悪魔になってから一年足らずなのに働きすぎじゃね?」

 

「だよね~。ご主人大変すぎ。凝ってるねこれ」

 

 うん、だからしっかり揉んでくれ。

 

「でも、毎日楽しいよ? ほんと最上級の楽しさだよね」

 

「それはそうなんだが、トラブルも最上級だから結構疲れるんだよなおい」

 

「でも結構何とかしそうだから心配はあまりしないかな。・・・うん、前よりすっごい気楽」

 

 そっか、ナツミって以前は結構大変だったもんな。

 

「大丈夫とは言わないけどさ、少しは安心してくれていいんだぜ? 俺もイッセーも久遠もベルも小雪も部長もオカ研のみんなも、仲間はしっかり守るからさ」

 

「ご主人はやばい時は介錯に回りそうだから安心できねえなぁ」

 

「いや、あんなミスは早々しないから」

 

 アレは本当に最終手段だったからね?

 

「冗談だよ。兵夜もボクも頑張るし、みんな一緒に頑張るんだから、怖い目なんてそんな合わないって」

 

 まあ、それならそれでいいんだがな。

 

 教会からも戦力が来たし、これでフィフスもそう簡単には仕掛けてこれないだろう。

 

 万一に備えて自衛隊との連携も想定し、最新鋭のレーダー技術も組み込んだ。こっそり金払ってPSCすら街の中に潜伏させているし、普通の警備会社などもかき集めている。

 

 パワードスーツも簡易版は自衛隊や警察で発表され戦力となっている。特にこのあたりに重点的に配備し、金に至ってはこちらが払うことで何とか早急に実用化にこぎづけた。

 

 うん、まあすぐにまたしてもこの街が強襲されるなんてことはないだろう。

 

 っていうかあってたまるか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 早朝ランニングは割と本気で日課になっている。

 

 やはり毎日のトレーニングは必要だ。体力はつけておいて損はないし、ウチのメンツにかかわるには努力し続けないと大変だからな。

 

 これがいいリフレッシュにもなるし、この調子でしっかりと強くならないとな。

 

「あ、兵夜さま!」

 

 と、後ろからベルが走ってきた。

 

 うん、前買ってやったトレーニングウェアがいい味出してるな。一生懸命考えたかいがあった。

 

「ベルも毎日トレーニングだな。ちゃんと遊びもいれてるか?」

 

「実質大丈夫です! 最近は抹茶の立て方を練習してますから」

 

 すごいハマってるな。茶道関連のコネを作り始めたほうがいいだろうか。

 

 だがまあ、ベルは本当にかなり強いからな。

 

 今でも単純な殴り合いなら三宝つかったイッセーとだって渡り合えるし、禁手を使えば短期決戦なら十分勝算だってあるはずだ。

 

 そこに超能力があるんだから、ホントこいつは強いよな。

 

「いやぁ、自分の女が強い上に勤勉っていうのは気分いいな。俺も負けないように頑張るよ」

 

「あ、ありがとうございます! はい、実質光栄です!」

 

 ベルは元気よくそういってくれるが、しかしその表情が少し曇っている気がする。

 

 ふむ、どうにかできるかどうかは考えてみないとわからないな。

 

「ベル、なんかあるなら行ってくれ。それとも主命令で言えって言ったほうがいい安いか?」

 

「兵夜さまは結構ずるいです」

 

 ちょっとすねたベルもかわいいな。こういうところは最近になってから見せるようになってきたというか、最近になるまでそういった感情がなかったというか。

 

 うん、これはこれでいい。

 

 などと勝手に萌えていると、ベルは気を取り直して口を開く。

 

「正直、久遠ちゃんと同じようにスランプです」

 

「そうか? 禁手の持続時間上昇とかあるだろ?」

 

「いえ、超能力の方です」

 

 ふむ、念動力は単純だが強力だし、空間転移能力は最近他人も転移できるようになったし、さらに内緒話もできるという便利能力な気もするが。

 

「正直言うと今までは慣れるだけでやっていけばよかったんですが、実質慣れ切っているのでここから先をどうすればいいのかわからないんです」

 

 ・・・ああ、それは確かに。

 

 久遠は能力じゃなくて技術がメインだったから指導方面に行くことで吹っ切れ切ったが、ベルの場合は能力だからそういったのが難しいのか。

 

 超能力者は少しずつ発見されているが、そのほとんどはベルをはるかに下回るスペックなのであまり力を発揮できないんだったな。しかも制御装置とかの保有とかもあるので、ベルのようにほとんど使わないこともあるらしい。法律でうかつな使用が禁止されてるところもあるらしい。

 

 まあ、強大な力を個人が持っているとなれば制御したくなるのは当然だ。実際高レベルのエスパーは法的機関に所属して、軍人のように力の行使に制限がかせられているしな。

 

 当然それは少数派。その状況下でどうやってベルを鍛えればいいのか皆目見当もつかない。

 

 久遠は受け継がれてきた技術を、鍛えて完成されているので力の鍛えようもなかった。そのため開き直って強化武装や指導方向で行くことに問題はない。

 

 ベルの場合は素質はともかく技量方面が未熟すぎる。だから当分鍛える余地は多いが、どうやって鍛えればいいかわからない。

 

 冷静に考えると才能オンリーで技術が伴ってない転生者って、俺がかかわってきた中でベルぐらいじゃないか?

 

 たいていの連中はスペックが高いだけじゃなく、何らかの形でそれを研鑽することができるわけだ。リットだってインフレに追いつけてないが、現実問題世界的に異能が堂々と公表されているわけで、だから技術を学ぶことだってできたはずだ。当然それを参考にして練習する方向を見据えることもできる。

 

 だが、ベルにはそれがない。

 

 せめて同能力で格上がいてくれれば何とかなりそうなのだが。

 

「・・・本格的に研究施設で調べるべきか。とにかく何らかの方向性を見つけないことにはならないしな」

 

「ですね。今まであまり使うこともありませんでしたし、実質力技でどうにかなったのですが、兵夜さまに仕える身としてこれからの戦いに備えて技量を磨いていきませんと」

 

 なるほど、意外とこの方面でも問題は多かった。

 

 まだフィフスは残ってるんだし、何とか解決の方向を模索しないとな。

 

「・・・あれ? でも大量の聖魔剣を一斉に操ったりしてなかったか?」

 

「あ、アレは個別に操っているんじゃなくて剣をくっつけた布を動かす感じで大雑把にしていたもので」

 

 とりあえず個別の精密制御を考慮に入れたほうがいいってことか。

 

 さて、これは難しいことになってきたぞ。

 




ここにきて新キャラ登場。ゲンはそこそこ重要なキャラクターになる予定ですのでお楽しみください。

そしてベルの方が一番テコ入れが必要だったり。

実はベルの設定ができたときにはD×Dは四章に入ったばかりなので、ベルの成長方面に関しては「・・・番外編とか的な感じで絶チルキャラを出して絡めるネタにしようか」などと思っていたんです。

・・・それがデイウォーカー編でグレートレッドが異世界がらみで監視しテル的なことになったじゃないですか。実に困った。

とりあえずの対策は組み立て終えましたが、その結果ちょっと無理のある展開になるかもしれません。そうなったらごめんなさい。

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