ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド 作:グレン×グレン
イッセーSide
グレンデルの奴はかなり手ごわかった。
なぜかドラゴンなのにアスカロンの効きも悪い。ヴァーリに使ったときよりはるかに効果がいまいちだ。
しかも明らかに危ないやつだ。ド変態のファーブニルといい、今日俺が知り合ったドラゴンはやばいやつしかいないのか。
しかもテンションが上がって一対一とか言ったくせにほかのみんなにまで手を出してくるし、これ以上は総力戦だ。
と、思ったときにフードの男が止めに入った。
なんでももう十分だからとか言っていた。どうも向こうにも都合があるみたいで、グレンデルも体がもたないとか言われたら素直に引き下がった。
「それでは、我々はこのあたりで失礼しましょう。そろそろこの空間も崩壊いたしますし―」
「あら、空間の崩壊は食い止めたから、もう少しゆっくりしていきなさい」
と、さらりとフード姿の男に言葉を投げかけるアーチャーさん!
「さすがアーチャーさん! すごく頼りになります!!」
いつものことながらいい仕事してくれるぜ!
レイヴェルにこんなひどいものを見せてくれたんだ、俺たちだって逃がすつもりはないぜ!
「これでは逃げようとしたら後ろから撃たれますか。これは困りましたね。私が動いてもいいのですが、どうせならあれが完成してからにしておきたかったのですが」
『俺は構わねえぜ? アルビオンをぶっ殺すのもおもしれえが、殺し合うって言ったドライグを先にやるのが筋ってもんだよなぁ』
フードの男は困ったように言い、グレンデルはむしろ願ったりかなったりな様子でファイティングポーズを取る。
どっちでもいいけど逃がす気はねえよ。こいつらやばそうだしここで倒せるなら倒すに限る。
「じゃあまあ、とりあえず私たちも参戦かなー?」
「だよね! こいつ等逃がしたらいけないのはわかってるよ!!」
桜花さんもナツミちゃんも乗り気になった。
よっしゃ! ドライグも復活したんだし、ここは負けてられないぜ!
「仕方がありません。こうなったら私も動くとしますか」
と、ローブの男も戦闘態勢になった瞬間。
「いや、ここは任せてもらう」
と、ふんどし男が宮白をぶっとばしながらこっちに突っ込んできた!?
「宮白!? 手前!」
宮白がぶっとばされて頭に血が上って、俺はカウンターでふんどしに殴りかかる。
だが、ふんどしは直撃したのにそのまま突っ込んで俺を壁にたたきつけた。
「・・・なぜ
「気合の入り方が違うのだ。いいか? この世の中は気合いが入るかどうかがすべてを分けるのだ」
などと、俺を吹っ飛ばしたまま会話しやがる余裕まで見せつけてやがる。
『相棒気を付けろ! こいつ、グレンデルよりできるぞ!!』
わかってるよドライグ! このふんどし、前会ったときとは比べ物にならないぐらい強くなってる!!
俺はすぐ立ち上がると今度は蹴りを放ち、ふんどしもそれを飛び退って回避した。
「いいから逃げるといい。ファーブニルというUMAをぺろぺろしてから帰る」
「ファーブニルはUMAではないのですが、まあいいでしょう」
『なんだよ、結局俺は白い方をぶっ殺しに行くのかよ。まあいいか、じゃ、次はちゃんとぶっ殺してやるから死ぬんじゃねえぞドライグ。ま、こいつ相手だと難しいかもな!!』
と、フードとグレンデルが魔法陣を展開する。
くそ! 止めたいけどふんどしが邪魔で割って入れない。
と、消え去る前にフードの男が顔を見せた。
・・・なんだ? グレイフィアさんに・・・似てる!?
「挨拶しておきましょう。私はグレイフィア・ルキフグスの弟、ユークリッド・ルキフグスです。結界は姉と似た波長があるので軽く突破することができましたよ」
グレイフィアさんの弟!? あのひと弟いたのか!!
そうか、グレイフィアさんと似てるなら結界も突破しやすいはずだ。裏切り者がいたわけじゃなくてよかったぜ!
「っていうかグレイフィアさんの弟ならなんでそっちついてんだよ! お前は一体何が目的だ!」
「姉にはサーゼクス・ルシファーがいた。それだけのことですよ。それに、
と言い放ち、ユークリッドは転移魔法で転移していく。
くそ! このふんどしのせいで逃げられた!
「にゃぁああああああああ!? ふ、ふんどし怖いぃいいいいいい!!」
そしてナツミちゃんがパニック状態だ! だよね、そりゃふんどしに山の中で追いかけまわされたらトラウマにもなるよね!!
「こ、こうなったらお前だけでもとっつ構えてやる! 行くぜ皆!」
そう言い放ち、俺は即座に殴りかかる。
ふんどしはそれをあっさり受け流すと、即座に飛び蹴りを放った。
直撃する瞬間にアーチャーさんが障壁を大量に展開するけど、それすら突破してあいつの拳が俺に直撃する。
無茶苦茶痛い! こいつどんだけ強いんだよ!
「だったらスピードでかく乱しようかなー?」
と、桜花さんが瞬動で上下左右に飛びながら素早く切りかかる。
相変わらず頼もしいスピードだ! 俺どころか木場でも追いつけそうにないぜ!
が、ふんどしはあっさりかわすと素早く裏拳を放つ。
桜花さんは剣で止めたけど、受け流しきれずに吹っ飛ばされた!
あれに初見で反応するか!?
が、次の瞬間には黒い炎が巻き起こって、ふんどしを包み込んだ。
「油断大敵だぜ変態野郎!」
おお、匙、ナイスだ!
「む、さすがにこれは少しきついな」
と、ふんどしの動きが微妙だけどゆるくなった。このチャンスは逃がしちゃいけない!!
「だがこの程度、UMAをぺろぺろする目的の前には些細ないこと―」
次の瞬間、ふんどしの周囲に剣やら槍やら杖やらが突き立って、さらに動きを拘束する!!
「俺様、ぺろぺろされるのならアーシアたんがいい」
微妙にげんなりした表情で、ファーブニルがそう言い放った。
ですよね! ふんどし一丁のおっさんより、シスター服の美少女にぺろぺろされたいよね!
こればかりはファーブニルのいうことに賛同するほかない。ふんどしは帰れ! ナツミちゃんが怖がってるだろうが!
「・・・気を付けなさい。常人なら一瞬で死ぬような呪詛を数十はかけてるけどそれでも動きが阻害される程度で済ませてるわ、あの男」
と、アーチャーさんもしっかり仕事をしてくださっている!
よっしゃ! 思ったよりキツイが負けるわけにはいかない!
こいつはここで倒しておかないとまずい気がする!
アーチャーさんたちが動きを止めている間に、俺と桜花さんが二方向から一気に攻める!
だが、ふんどしはそれを動きが悪くなっているにもかかわらず完璧にさばいてきた。
くそ、こいつ化け物か!!
「・・・ふむ、見どころはあるがまだまだだ。赤龍帝というUMAを宿しているからもっとやれるかと思ったが、まだまだ気合が足りんぞ乳龍帝!」
根性で有名な俺でもまだ足りんと!? この人基準値が高すぎませんか!?
と思ったその時には、瞬動を使っているはずの桜花さんを目で追いながら、深く肩を落としてため息をついた。
「さらに残念なのはその腑抜けっぷりだ、見損なったぞブロッサ」
「・・・・・・へ?」
その言葉に、桜花さんの動きが一瞬止まる。
素早く後退してから止まったあたりさすがの判断力だけど、ブロッサって・・・だれ?
「・・・な、なんで、その名前をー?」
桜花さんの顔が真っ青になっている。え? だれ、知り合い?
と、そこまで考えて俺は一つの事実に気づいた。
ナツミちゃんにサミーマ・エーテニルって名前があるように、転生者はこの世界の前にもう一つの人生がある。
それはつまり、宮白にもベルさんにも青野さんにももう一つの名前があるってことだ。
ってことは、ブロッサって桜花さんの―
「お前のことだ、歓喜の修羅の切り込み隊長、ブロッサ・タイム。動きで気づかないとはなまったな、本当に」
―間違いない。
この人、桜花さんの知り合いだ。それも前世の!!
桜花さんは少しの間視線をさまよわせていたけど、やがて眼を見開いて驚愕する。
「・・・まさか、健蔵・・・隊長?」
「ああ、まあ、最近記憶を思い出したばかりなので、すでにお前より年下になるのかもしれないがな」
な、なんだって!?
オイオイオイオイ! まさかこのふんどしが桜花さんの元上司!?
ありえねえだろ、世界狭すぎって言うか信じられるか!!
っていうか最近ってマジかよ! いや、待て待て待て待て!!
「それじゃあナツミちゃん追っかけてた時は記憶戻ってなかったのかよ!? 気を使ってたじゃん!?」
「あんなもの本能レベルで沁みついていただけだ。だから思い出してみろ、足元にも及ばなかっただろう。大変だったぞこの一年間、気合いで元に戻すのは」
確かに当時の俺でもさばけたレベルだけども!
っていうか今一年間ていった!? 記憶戻ったの一年前なのかよ!?
ああ、桜花さん茫然としてる!
ですよね! 記憶戻ってから一年でこれとか、ふざけてるにもほどがあるよね!!
「あ、ありえないー。そんな年で、一年でここまで戻すなんて・・・いや、戻せるわけがないはずだよー」
そりゃそうだ。
前世と体格も成長期の使い方も違いすぎたせいでスランプにまで陥っていたのが桜花さんだ。
明らかにオッサンなあのふんどしが、一年で戻したなんて知られたらショックを受けてもおかしくない!
「ふざけんなよ! 明らかに成長期すぎてんだろうが! 伸びるわけないだろ一年で!」
「何をおかしなことを言っている」
だが、ふんどしは心底不思議そうに首を傾げるだけだった。
「世の中の大抵のことは必要な気合があればどうにでもできるようになっているのだ。かつての全盛期を取り戻す程度で苦労しているお前たちの気合が足りん。大体まだ28だぞ」
二重の意味でショックだ!
あ、桜花さん崩れ落ちた。
「う、嘘だ・・・嘘だー」
ヤバイ、明らかにショックが連続しすぎて桜花さん茫然自失だ!
ってふんどしが気合いを入れてる!? え、これってやばい展開!?
「では、そろそろ気合いを入れて脱出するとしよう。ふぬぉおおおおおおおおお!?」
おおおおおおお!? なんかびりびり物理的に響いてるんだけど!?
や、やばい! これが解放されたら俺たちも―
「・・・おいちょっと待て」
ぽんと、ふんどしの方に手が置かれた。
・・・あ、そういえばすっかり忘れてた。
そうだよな。こいつはこういう奴だった。
「お前何俺の女2人もショック与えてるわけ? ぶっ殺すぞ?」
―ダダンダンダダン、ダダンダンダダン♪
宮白が、起きた!!
Side Out
はい、まあ初登場時点で出身世界は読めていたと思いますが、実は久遠の上司でした。
かなり圧倒的な力を発揮していますが、実はこいつは「一人ぐらい原作最強クラスレベルの転生者がいてもいいよね」という設計思想で開発されているため前世における戦闘能力が一番上という設定です。コンセプトは「悪いジャック・ラカン」
本作転生者の中でも屈指のチートとして設定させております。これからも搭乗した時は引っ掻き回させますのでご期待ください。