ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド   作:グレン×グレン

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第二巻に突入しました。

宮白兵夜の悪魔生活、一体どんなものになるのやら・・・


戦闘校舎のフェニックス
悪魔のお仕事、始めました


 

 

 深夜、俺は自転車に乗って町中を駆け巡っていた。

 

 悪魔の仕事の最初級、チラシを配っているのだ。

 

 手元には悪魔特性の機械がある。

 

 タッチペン付きのタッチパネル。無駄にハイテクな機械だ。

 

 これによって、悪魔を呼び出すほど欲望のある人間の場所が一目でわかるのだ。

 

 割と本気で便利な能力だな。

 

 悪魔社会もデジタル化が進行しているようでなによりだ。

 

 目的の場所には赤い光点が点滅してるので、一目でわかるから簡単。しかもたくさん出ているので、相手を選ばず配ることができる。

 

 人間って言うのは本当に欲深いな。これでよく悪魔が社会に認知されてないもんだ。

 

 毎日これをするのは面倒だが、仕方ないので手足に重りをつけてトレーニングを兼用することにした。

 

「あー、時間がつぶれるぜー」

 

 しっかし、悪魔家業も忙しいな。

 

 これまでのように、放課後に探偵のまねごとをして金を稼ぐのも一苦労だ。

 

 当分は、悪魔家業を続けていかねばならない。

 

 いまごろアルジェントことアーシアちゃんも、イッセーに連れられてチラシ配りの真っ最中だろう。自転車に乗れないのは驚いたが、それでイッセーがついて行っているというのは、彼女にとって万歳だろう。

 

 アーシアちゃんがイッセーに惚れているのは、もう誰が見ても確実だ。

 

 肝心のイッセーだけが妹みたいな感じで可愛がっている。

 

 ・・・馬鹿な奴だ。ついにハーレムの一歩を踏み出したって言うのにあの男は。

 

 まあ、シスターが相手じゃハーレムは逆に難しいだろうし、一進一退と言ったところか。

 

 ア―シア学園では大人気。俺たちと同じクラスに転入したが、これは部長の差し金だろう。

 

 あのイッセーと仲がいいということで、男女問わずいろいろと騒ぎがあったそうだがそれは余談だ。

 

 イッセーが行けるならと告白した男子が多数いるが、全員見事に撃沈したのも余談。

 

 残念だがお前ら、イッセー『でも』いけるんじゃなくて、イッセー『だから』いけるんだよ。

 

 ま、俺としては彼女みたいないい子がイッセーとくっつくのは万々歳だ。

 

 松田と元浜には泣いてもらおう。

 

 などと考えながら仕事をしていたら、とりあえず今日のノルマは終了した。

 

 意外とチラシって早く配り終えれるもんだ。

 

 ま、そんなわけでありまして、

 

 宮白兵夜、悪魔やっております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな悪魔家業を続けて数日後。ついに、その機会はやってきた。

 

「初依頼!? 俺が?」

 

 なんと、部長自ら俺に依頼をこなして来いと言ってきたのだ。

 

「ええ。祐斗あての予約依頼が重なってしまったから、あなたに行ってもらおうと思って」

 

 部長が俺に魔法陣を描きながら説明してくれる。

 

 ついに初めての悪魔稼業か。

 

 うう、なんか緊張して来たぞ。

 

 あの何でもできそうなイケメンの依頼だなんて、俺にこなせるのかよ。

 

 最初の依頼に失敗して、初っ端からケチがつくとかは勘弁だ。

 

 ガンバレ俺!!

 

「イッセーくんのことがあったから調べてみましたが、兵夜くんは大丈夫ですわ。問題なく魔法陣で転移できます」

 

 俺の体を調べていた朱乃さんが太鼓判を押してくれる。

 

 そういえば、イッセーは転移できなかったんだな

 

「くそっ! 宮白はやっぱ大丈夫か!?」

 

 ・・・イッセー、お前何考えてた?

 

「大丈夫。あの人は今までも無難なお願い事しかしてこなかったからね」

 

「・・・初心者向けです」

 

「み、宮白さんも頑張ってください。私も頑張って契約が取れるようになって見せます」

 

 木場や小猫ちゃん、アーシアちゃんが俺を応援してくれる。

 

 な、なんか恥ずかしいな。

 

 と、とりあえず気を取り直して・・・。

 

「じゃ、宮白兵夜、行ってきます!!」

 

 俺は召喚の光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ガッデム! 木場きゅんじゃないなんてなんてついてないの!?」

 

 召喚された俺を待っていたのは、そんないわれのない罵倒だった。

 

 いや、指定して呼び出したのに別人だったら、そりゃあ文句を言いたい気持ちもわかるんですがね。

 

 依頼者はできるお姉さん風なOLだった。

 

 だが、この反応と動きはとても残念そうだ。

 

「残念なことをしてしまい申し訳ありません。ですが、できうる限り尽力させてもらいますので、依頼の内容を聞かせて頂けないでしょうか?」

 

 俺は極めて丁寧に依頼者にそう言う。

 

 どんな事情とはいえ仕事は仕事だ。

 

「うう・・・木場きゅんに女装してもらおうと思ったのに、彼じゃサイズが違うから似合わない・・・」

 

 木場、逃げろ!!

 

 この人危険だ!! 危険な趣味だ!!

 

 今まで無難なお願いしかしてなかったのって、もしかして女装させるための布石!? どんだけ狡猾なやり方で悪魔と契約しているのこのお姉さん!

 

「何度も何度も契約して、これぐらいやっても文句を言われないぐらいの仲になったと思ったのに! 私の3年はなんだったの!?」

 

 そ、それだけのために3年もの歳月をかけたというのか!?

 

 木場、本当に逃げろ!

 

 いや、こんな女と契約をしたらヤバくないか?

 

 しかしイッセーですら契約はできなくても結果として好評なんだ。

 

 ここで逃げれば男がすたる。

 

「よ、よし! 誰にも言わないのなら俺が着ます」

 

「・・・・・・・・・無理」

 

 別に着たくないけど、なんか傷つく!

 

「仕方がないわ。木場きゅん程の実力はないでしょうけど、とりあえず倉庫の片付けを手伝ってくれないかしら」

 

 しかも憐れまれて仕事用意してもらった! 泣きたい!!

 

「わ、わかりました」

 

 俺は何とか動揺を抑えながら、気を落としていることを気づかれないように立ちあがった。

 

 やれやれ。俺はこの調子で大丈夫なのだろうか・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 疲れた。

 

 倉庫の片づけは意外と大変だった。

 

 一応報酬をもらえるほどの仕事はしたし、部長も評価してくれたが、何かがおかしい気がする。

 

 もっとこう、誰かを呪うとかそういうダークな物を想像していたのだが、それでいいのか悪魔社会?

 

 冷蔵庫からジュースを取り出して一口飲む。

 

「・・・はあ。疲れた」

 

 つい声が出てしまった。

 

 想像を絶するほどに、この世界の裏は意外と明るのだろうか?

 

 などとのんきなことを考えるが、同時に思い出すのは堕天使のことだ。

 

 あの堕天使は、イッセーの神器が危険だということで、何も知らないというのに殺して放置した。

 

 極めて面倒な性質だ。なにも知らないなら自分の陣営に引き込むぐらいすればいいだろうに、そういう手間を嫌って止めを刺した。

 

 フリードのようなはぐれ悪魔祓いは、悪魔と契約しているという理由で人間をむごたらしい方法で殺したという。

 

 その一方で、部長達悪魔はこんな日常の片手間的なことで契約をとり、なんか世のため人のためになるようなことをしている。

 

 なにが正しくて、何が間違っているのだろうか?

 

 そんな深いことを考えてしまう。

 

 真面目な話、どうやら部長達はいい人だということだけはわかる。

 

 朱乃さんはドSだということは判明しているが、味方相手に発揮することはあまりないそうだ。

 

 小猫ちゃんや木場も、イッセーを助けに行動したところから見て、悪人ではないことが分かる。

 

 アーシアちゃんにいたっては極めて良好。教会から追放されたにも関わらず、信仰を捨てていないできた女の子だ。天使が俺の同僚と成っている。いや、悪魔だけどね。

 

 それでもやっぱり、抵抗があるのは俺の問題か。

 

 我ながら、自分の臆病さにはあきれるほかない。こればっかりは努力でどうにかできる内容ではないとわかっているんだが、自分でも頭が痛くなる。

 

 いかんいかん! こういうときは思考を変えないと。

 

 と、そんなことを考えたら、携帯電話が鳴り響いた。

 

 イッセーからだ。こんな時間に何の用だ?

 

「イッセー? いったい何があった?」

 

『ぶ、ぶ、部長が!? 部長がメイドでキスが抱いてと!?』

 

 ・・・うん、さっぱりわからん。


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