ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド   作:グレン×グレン

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ナツミ 好かれてます!

 いろいろと面倒な展開が続いているものだ。

 

 緊張感が漂う状況の中、俺は何をしているのかというと。

 

「・・・兵夜、なんでノートに書きこんでるの? ボクのほうみてよ」

 

「まあまて、とりあえず予習だけは終わらせとかないとな」

 

 ナツミの勉強を見るついでに俺自身の勉強もしている真っ最中だ。

 

 いや、最近忙しいから暇な時に勉強しとかないといけないわけでね?

 

「あの、勉強を見ている私が言うのもなんですが動かなくていいんですか?」

 

 と、ナツミの計算式をチェックしながらロスヴァイセさんが訪ねてくるが、しかしそれはどうしようもない。

 

「監視の目もあるのでできることには限度がありますしね。フィフスのことだから俺がここにいると気づいた時点でアサシンを差し向けているだろうし、うかつに動くと先手を打たれかねない」

 

 うん、まだ顔を合わせてはいないが、イッセーを嫌いながらも警戒しているあいつのことだから、何か動いているはずだ。

 

 いくらこっちにアーチャーがいるとはいえ、気配遮断をもつアサシンを二桁投入できるアイツをなめてかかるわけにはいかない。うかつなことをして攻撃する理由を作ったら動く前に叩き潰される。

 

「まあ、初日のうちにやるだけのことはやっておいたのでその辺はご安心ください。ことが起これば見事に引っ掻き回してやりますよ」

 

「・・・今すぐ内容を説明してください」

 

「ご主人正座」

 

 しまった!

 

「え、あ、大丈夫大丈夫! なんていうかディオドラボコった時の奴を応用して、必要時に即座に全く違う場所に移動できるだけだから! 単独行動を避けるための保険もちゃんと用意してるから!!」

 

「・・・鞄持つ必要もねえのに荷造りしてたからおかしいとは思ってたけどよ、ご主人最初から考えてたな?」

 

 まあそりゃそうです。だって敵の本拠地だし?

 

 俺はそういうのは準備をしっかり整えてから動くタイプなので。

 

「基本的に行き当たりばったりとかしないからな俺。・・・トラブルの方から全力突貫してくることが多いけど、データもとらずに本腰入れて戦闘とか本来俺の柄じゃない」

 

 戦争とは情報と準備を制したものが有利なのである。

 

「やりたいこともやるべきこともいっぱいあるからな。こんなところで死ぬわけにもいかないし」

 

「宮白くんは死ななければまあいいじゃないかと考えている節があるので、さらに考えて行動してください」

 

 したり顔でいったらロスヴァイセさんに釘を刺されてしまった。

 

 ・・・少し魔術師脳が過ぎたかもしれん。足並み合わせて何とかできるよう頑張ろう。

 

 まあ、それもこれも事態を解決してからになるとは思うけどな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 イッセーSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 しっかしいろいろと不安で心配だよな。

 

 ヴァレリーと話す機会があったけど、その時マリウスがすっごく不安なことを言ってきたんだよなぁ。

 

 ヴァレリーを解放するって、絶対裏の意味があるに決まってる。

 

 だけど今のままじゃどうしようもないし、どうしたらいいんだろうか。

 

 と思ってたら、いつの間にかナツミちゃんが俺の顔を覗き込んでた。

 

「あれ? ナツミちゃんどうしたんだよ」

 

「いや、イッセーがなんか変な顔してたから」

 

 ・・・そういえばナツミちゃんって俺より年上だよな。

 

「なあナツミちゃん。ヴァレリーを助けたいんだけどどうしたらいいんだろうな」

 

 正直アザゼル先生や宮白に聞くことだとは思ったけど、なんだかんだでナツミちゃんも鋭いときあるし聞いてみようかと思った。

 

 と、ナツミちゃんの表情が何というか野性的な感じになった。

 

 あ、これサミーマモードだ。

 

「カッハハハ。別に心配しなくても大丈夫だとおもうぜ、イッセー」

 

「え? でもマリウスの奴が明らかに怪しいし・・・」

 

「だからだよ。ご主人の奴がすでに細工してるみてえだからな。ああいう奴等って動くときにボロを出すって相場が決まってるし、その時動けば何とか間に合うだろ」

 

 そんな能天気な。

 

 だって神器って引き出すと死んじまうんだぞ。たぶんグリゴリからその方法ぐらいは盗んでるだろうし、すっごく心配なんだけどなぁ。

 

「どうせ馬鹿が考えたって意味ねえだろ。俺様たちは考えて動いている奴らが動くときに、そこに合わせて勢いよく動けばそれでいいんだよ」

 

「・・・それは遠回しに俺が頭悪いって言ってる?」

 

 上級悪魔目指すみとすると、さすがに馬鹿なままじゃいけないって思うんだけどなぁ。

 

 だけど、ナツミちゃんは半目で俺を見ると胸を両手でかばいながら一歩下がった。

 

「まいどまいどオッパイで解決するような奴は馬鹿で十分だろ。考えてもいみねえじゃねえか」

 

「それは馬鹿の意味が違うと思う!!」

 

 そりゃ今までの戦いほとんどおっぱいが絡んで解決してるけど! 反撃の糸口ほとんどおっぱいだけど!!

 

 あ、確かにそんなの考えてどうにかできるわけないのかな? いや、最近は方向性が定まってきてるから何とかなるはずだ!!

 

「いや、イッセーって基本的に土壇場でひらめくタイプじゃん? そういう前もっていろいろ考えておくのはほかの人に任せたほうがいいって。うまくいかないよそれ」

 

「いきなりナツミちゃんモード!?」

 

 いや、確かにそういった裏でしっかり根回しするとか言うのは宮白のやることだけど!

 

 ・・・あー、でも確かにいうとおりかな? 俺ってなんか勢いで何とかしてるところが多いっていうか、そういうのは確かになれてないし。

 

「なんかナツミちゃんってそういうところすっぱり割り切ってるよね」

 

「そりゃ馬鹿が考えたって意味ねえしな。・・・ご主人はしっかり考えて動くから任せていい時は任せるよ」

 

 したり顔でうなづくナツミちゃん。

 

 さすがは人生やり直してるだけある。なんだかんだでナツミちゃんも転生者なんだよなぁ。

 

「そういえば、ナツミちゃんってどんな人生送ってたんだ?」

 

「え? 別にあの世界じゃ珍しくもなんともないよ? 魔法が使えたからそれで食べてただけ。ギルドっていう何でも屋みたいなところに所属して、悪いやつが暴れてたら殴り倒したりしてたの」

 

 賞金稼ぎみたいなもんか。ナツミちゃんなんだかんだで戦いなれてたもんな。

 

「まあ強かったよ? なんたってボクはギルド最強候補って呼ばれてたもんね!」

 

「そっか! じゃあ暴れるときは期待してるぜ? ふんどしとか出てきたら大変だもんな!」

 

 ほんとあのふんどしには困ったもんだ。

 

 あいつほんとに人間かよって思うからな。

 

 と、思ったらナツミちゃんの姿がどっかに消えた。

 

「あれ? ナツミちゃん?」

 

 あわてて周りを見渡すと、壁の向こうからナツミちゃんがこっそり顔をのぞかせていた。

 

「・・・どしたの?」

 

「・・・・・・・・・ふ、ふんどし!?」

 

 あ、やべ。

 

 これ完璧に地雷踏んだ。

 

「ふふふふんどしどこ!? どこにいるの!? は、ははは早くぶっとばして早く!?」

 

「落ち着けナツミちゃん俺が悪かった! ふんどしはまだここにはいない! いないから!!」

 

 やっべえ! これ完璧にトラウマになってるよ!

 

 これ次にふんどしが現れたらすごいことになるんじゃないか!?

 

 くるなよ! 頼むからふんどし来るなよ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

佑斗Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さすがに何もしないわけにはいかない。

 

 禍の団がかかわっている上にギャスパー君の大事な人物がかかわっている以上、僕らは常に警戒する必要がある。

 

 ゆえにいろいろと調べて動いているのだが、しかしこれまでとは勝手が違う。

 

 今までは相手から仕掛けてくる形だったが、今回は相手の陣地に乗り込んでいる立場になっている。

 

 一応警備の時間などは調べて入るし、アザゼル先生や宮白くんもいろいろと動いてはいるが、相手が警戒している中を行動するというのはなれていない。

 

 ゆえにそのあたりになれている人物の力を借りざるを得ないわけだ。

 

「・・・こっちから仕掛けるとすりゃあ、警備の流れから見て一番ファックじゃねーのはこのあたりか。問題は逃走経路だが二つは用意しときたいところだな」

 

「となるとおとりとなるメンバーを用意したほうがいいのかもしれませんね。確実に生き残ることを考えるとイッセーくんを入れたほうがいいでしょうか」

 

 そのため、僕は青野さんとプランの構築に余念がなかった。

 

 以前は潜入暗殺というある意味で近い経験をしていたらしい青野さんはこういう時に力になってくれる。

 

 僕が集めた情報を基に有効な潜入経路を即座に組み立てただけではなく、陽動を兼ねたプランも作ってくれた。

 

「やるなら早い方がいいかもしれねーな。アザゼルならアドリブで反応してくれるだろうし、クロウ・クルワッハの存在がなけりゃ今から動いてもよかったんだが」

 

「やはりあの男が一番の難敵ですか。イッセー君でも単独では勝てそうにない相手ですからね。宮白君の蒼穹剣が頼りですか」

 

「あまり時間をかけるとそれこそフィフスあたりが対策立てそうだしな。今のうちに大まかな流れを立てといて、アザゼルが戻ってきたら一気に詰めるしかねーだろ」

 

 時間をかければフィフスが何らかの対策を立てることが分かり切っているが、しかしクロウ・クルワッハの存在が性急を止める。

 

 青野さんもどちらかといえば実行役であり計画を立てる側ではないようだし、今の段階ではやはり準備が限界か。

 

「あらあら、2人ともご苦労様。お茶が入りましたわ」

 

「とりあえずこのあたりの細工は終わったわよ」

 

 と、お茶をもった朱乃さんと、盗聴対策を取ってもらっていたアーチャーさんが部屋に入ってくる。

 

「お疲れさん。んじゃまあ、お茶にするか」

 

「そうですね」

 

 キリがいいタイミングだったのでお茶を飲みながら休憩を取ることにする。

 

「さすがに貴族的な吸血鬼の本拠地なだけあって、上質な茶葉が手に入りましたわ。お茶菓子もグレモリーに匹敵する高級品ばかりですわよ」

 

「そりゃ豪勢なこって。入れる側としてもうれしくなるか?」

 

「ええもちろん。小雪も味を期待していいですわよ」

 

 ・・・2人とも会話がスムーズだ。やはり幼馴染は距離感が違う。

 

「それで、動くとするならそろそろ兵夜に釘を刺しといたほうがいいわよ。・・・すでに事がおきたときの陽動用に、ディオドラのときに使った礼装の改良型を使ってるから」

 

「いつものことだけど行動が速いですね」

 

 そして宮白くんは独断専行気味なのはどうしようもない。

 

 ディオドラの時の改良型ということは、入れ替わりのあれだろう。

 

 確かに宮白君は単独行動にもなれているけど、彼は頭脳労働タイプなんだからこういう時にはできれば一緒にいてほしい。

 

「まあ安心しなさい。私がついていればよほどのことがなければ念話で会話はできるから作戦指揮についてはそこまで心配することはないわ。問題は例のごとくうっかりをした時にフォローする味方がいないことだけれど」

 

 アーチャーさん。それはシャレになってません。

 

「なんだかんだでアイツ自力で生き残りそうだからそこはファックでもなんでもねーんじゃねーか? 問題はリカバリーするときにファックな方法を取ることのほうな気がするんだが」

 

 なんだかんだで好きな人のことだからか、青野さんは信頼している意見をだすが、その肩に朱乃さんは静かに手を置いた。

 

「過信してはいけませんわ。そもそも宮白くんが悪魔になったのはうっかりで死亡したからだもの。・・・むしろ自分一人の時ほどひどいことをしてる気がするわ」

 

 そう、宮白くんのうっかりは最終的に宮白君が自分でつけを払うことになることが多い。

 

 ライザー氏とのレーティングゲームでも敵女王の攻撃を直撃することになったし、そのうえで念入りに焼き尽くされるところだった。

 

 ほかのうっかりにおいてもなんだかんだで自力でリカバリーしたりすることが多いが、それは裏を返せばしっかり自分で負担を請け負っているということだ。

 

 単独行動の時にうっかりをした場合、僕達がフォローに行けないわけだからそこが不安になる。

 

 正直とても不安になるが、しかしアーチャーさんはそのあたりはあまり不安ではなさそうだった。

 

「まあそのそこはあの子も対策はとっているから深く考えなくていいわ。生き残るだけなら何とかするでしょう。そのあとが大変になりそうだけど」

 

「あら、アーチャーさんはうかがってますの?」

 

「いつも私たちがやっていることの応用といったところかしら」

 

 含みを持たせたアーチャーさんの言葉に、僕は少し不安になった。

 

 ・・・おっぱいで何とかするにしても、イッセーくんぬきでどうやってするのだろう。

 

 いや、根性かな? だけど宮白くんって策でどうにかするタイプだからあまり向いていないような。

 

 いや、宮白君やアーチャーさんの常套手段と考えるべきか。となると魔術を使用した方法だろうか?

 

「・・・あいつの常套手段? 吸血鬼用の弱点攻撃に特化した武装はひねりがねえし。ドラゴンスレイヤーでも自前で仕入れたか?」

 

「超強化した聖水でも作ったのかしら? それで霧を作ってあたり一帯を包み込んだら・・・うっかり私たちも巻き込みそうで怖いですわ」

 

 青野さんも朱乃さんも首を傾げるけど、アーチャーさんは答えずそのままお茶を飲む。

 

 ・・・2人とも言い方は悪いけどあくどい手段を取ることに抵抗があまりないから少し不安だ。なにかすごい手段を取っている気がする。

 

 と、開いていたドアの隙間からナツミちゃんが顔をのぞかせた。

 

 どこか不安げな表情だったが、お菓子を見つけたとたんに

 

「あ、朱乃だ! お茶あるなら頂戴!! お菓子もおかしも!!」

 

「分けてやるからがっつくな。お前二週目なのに落ち着きがねーぞ」

 

 とびかからんばかりのナツミちゃんを青野さんが押しとどめて、その口にクッキーを押し込んだ。

 

「はむはむ」

 

「あらあら。ナツミちゃんはかわいらしく食べますわね。ちょっと悪戯しちゃいたくなるかも」

 

「ええ、なぜこんな時に動きやすさを重視した服を着ているのか・・・っ」

 

 朱乃さん、あなたが言うとちょっとシャレにならないです。

 

 あとアーチャーさん。今のナツミちゃんのかっこうも十分かわいらしいものだと思おうんですが。最近凝ってませんか?

 

「ん~おいしー。嫌なことあったからいっぱい食べて忘れるからねー」

 

「どうかしたのかい?」

 

「イッセーがふんどしのこと言ってきたんだよ。うぅうううううううう!」

 

 ああ、やはりトラウマになっているのか。

 

「アレはホラーでしたものねぇ。よしよし」

 

「何があったんだ? っていうかあのふんどしは一体何をしたんだ? ほれクッキー食って忘れろ忘れろ」

 

「こんなかわいい子にトラウマを植え付けるなんてひどい奴もいたものね。これだから筋肉達磨は苦手なのよ」

 

 一斉になだめられているが、まあ気持ちはわかる。 

 

 一人ぼっちの森の中、目を血走らせたふんどし一張の男たちに追いかけまわされればトラウマにもなるだろう。

 

 ましてやその戦闘能力が自分ではどうにもできないかもしれないほどにまで高まっていると思われればなおさらだ。

 

「大丈夫。あのふんどしは僕達が相手をするよ」

 

 ナツミちゃんにかかわらせるわけにはいかない。なんとしても僕たちが何とかしなければ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side Out

 




ナツミは転生者の中でもかなり特殊な部類のキャラクターです。

記憶が微妙に残っていたのでズレこそあるのは他と同じですが、完全に戻ったのがつい最近なので精神年齢は外見年齢とほぼ同じ。そしてキャラが違うので時折わざと違和感があるように作っています。

まああの世界のギルド出身なので荒事経験値は非常に豊富。そのためイッセーにはアドバイスできるぐらいですが。

そして外見相応のマスコットキャラなのでかわいがられております。

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