ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド 作:グレン×グレン
今回はちゃんと確認しているのでご安心ください
Other Side
一方、城の中での戦闘は早期に集結しようとしていた。
「いちいちファックな連中だな。時間かけてる暇はねーんだよ」
倒れ伏す吸血鬼たちを尻目に、青野小雪は拳銃をホルダーにしまって振り返る。
「そっちはどうだ朱乃? こっちはもう終わったけどよ」
「此方も終わりましたわ。さすがにいったん打ち止めのようですわね」
2人の周りには倒れ伏した吸血鬼たちで埋め尽くされており、はたから見れば無残というほかなかった。
逃げ道のない空間において雷光による広範囲攻撃を得意とする朱乃と、大気というそこらじゅうにあるものを操る小雪を同時に相手にしたことが彼らの不運であった。
たとえ無数の蝙蝠に分裂しようと霧になろうと、広範囲に展開できないのならばまとめて叩き潰される。ましてや二人が背中をかばいながら通路で戦闘をすれば、不意打ちを行うこともできはしない。
幼少期を共に過ごした幼馴染ということもあり、連携戦闘の訓練を積み重ねたわけでもないのに阿吽の呼吸を見せた二人の前に、吸血鬼たちは殲滅されていた。
これで一息つけるかと二人が思ったその時、通路の向こうから轟音が鳴り響いた。
「・・・さすがに敵地では気を抜けませんわね」
「つーか悲鳴が聞こえてこないか?」
構えを取った二人の視界に映り始めたのは、はぐれた仲間たちの姿だった。
紫藤イリナがギャスパーの手を引いて全力でこちらに駆け寄ってくる。
「あ、小雪さんちょうどいいところに!!」
「すすすすいませぇえええん!! 僕達じゃ相性が悪すぎるんです、えんごしてくださぁあああい!!」
そしてその後ろから、仮面を付けた異形が迫り来ていた。
腕は三本、足は五本と明らかに左右非対称のその姿は、どことなくフィフスのアサシンを彷彿とさせる。おそらくは英雄の力を憑依させたアサシンなのだろう。
だがこれはどういう英雄の力を宿したらそういうことになるのか皆目見当もつかない。
「何がどうしてそうなった!! っていうかどんなファック能力持ってんだこいつは!!」
「傷をつけると再生するのを通り越してなんか変化しちゃうの! おかげで攻撃しても攻撃しても全然意味がないのよ!!」
「しかもなぜか停止できないんですぅううう!」
「フハハハハ! さあ攻撃するがいい。そのあと全力で反撃してくれるわ!!」
それは仕方がないと小雪は納得した。
目の前の二人はオカルト研究部の中では少数派の攻撃力が低い部類に属している。
この手の回復力を通り越して進化までするようなタイプは一撃で倒すしかないが、絶妙なまでに相性が悪かった。
「・・・朱乃。ためるから時間稼ぎ頼む。下手に増強されても困るから足止め・・・できるか?」
「もちろんですわ。では束縛プレイといきましょうか」
余裕すら見せる朱乃の言葉にうなづいて、小雪は大気を収束し始める。
圧縮させたプラズマで頭部を跡形もなく吹き飛ばせばさすがに致命傷だろう。科学の産物である能力では霊体であるサーヴァントは倒せないと思われることもあるが、禁手による契約を上乗せされた小雪の能力は高位の神秘にも匹敵する。ダメージソースとしては十分すぎる。
そしてそれを理解しているからこそ、朱乃はサポートを了承した。
「ではいきますわよ。縛られるのはお好きかしら?」
そういうなり、朱乃の周囲の鉄製品が一斉に浮かぶとアサシンにたたきつけられる。
そこから生まれるかすり傷が、盛り上がり肥大しながら埋まっていくが、しかしそれは本命ではない。
あくまで朱乃の役割は時間稼ぎ。彼女の火力も高い方だが、あのフィフスたちが用意したサーヴァントの力だ。今出せる最大火力を余計な強化を相手にさせずに叩き込んだほうがいい。
問題はそれまで相手の動きを抑えられるかどうかにかかっていると全員が理解したその時だった。
「お、こんなところにいたのかよ」
後ろから聞きたくない声が聞こえる。
「・・・フィフス!!」
挟み撃ちにされている状況に小雪は舌打ちする。
この状況では時間をかけて大技を放つ余裕がない。
なにせ相手は相性差があったとはいえ赤龍帝として成長しているイッセーを圧倒することもできる戦闘能力の持ち主。加えて近接格闘という狭い場所で有利な戦闘スタイルの持ち主でもある。
いってはなんだがイリナとギャスパーでは分が悪い。
「いっておくが時間停止は無理だ。アサシンには時間をかけてキャスターの魔術で固有結界を応用した疑似的な対策を整えているし、俺も相応の対策は整えてるんだな、これが」
そう言い放つと、フィフスは静かに構えを取った。
この場で敵としてであった以上殺すのみ。フィフス・エリクシルは魔術師であるがゆえに冷酷非情。
そして一歩を踏み出した瞬間、横から爆発に巻き込まれて吹っ飛ばされた。
「・・・おお! ようやく見つけたぜグレモリー眷属!!」
「あ、ヘラクレス」
思わぬ展開に集中力が途切れかけるが、そうすると後ろのサーヴァントが殺せないので自重する。
が、微妙にギャグのような展開にもかかわらずヘラクレスは大慌てでこちらに駆けつけた。
「おい! アーシア・アルジェントはどこにいる!!」
「あ? ここにはいねーけどどうしたんだよお前ら」
「そりゃ大変ね。・・・この子、マズイわよ」
首を傾げた小雪の耳に、他人事の口調でジャンヌが告げる。
その手の中に、真っ青な顔いろで目を伏せたヴァレリーがいた。
「ヴぁ、ヴァレリー!?」
血の気が引いた顔でギャスパーが駆け寄るが、ヴァレリーは反応を返さない。
「こんな調子でほっとくと死にそうなのよ。言っとくけどけがは負わせてないから私たちの責任じゃないわよ」
「チッ! 抜き取りは防げなかったってことかよ! だが兵夜ならそんなファックな展開ならまず聖杯の奪還を優先するはず・・・」
「いや、たぶん抜き取りは阻止したんじゃねえか?」
舌打ちしながらも疑念を浮かべる小雪に応えるように、煙を振り払いながらフィフスが復活する。
そして彼の手にあるものをみて、小雪は目を見開いた。
「それは、資料に合った幽世の聖杯・・・!?」
資料そのものは精密さに欠けていたが、その存在から放たれるオーラから考えれば答えはそれ以外に存在しなかった。
すでに神器が抜き取られているというのであれば、むしろいまだに生きていることの方が奇跡的だ。
だが、いくらなんでもすでに神器を抜かれていて気づかないなどあり得るのか。
そう思ったその時、小雪は身の毛がよだつという感覚を久しぶりに実感した。
「・・・コロス」
兵夜Side
ヴァレリーの安全確保を最優先にしたとはいえ、どちらか片方は残しておくべきだったかもしれない。
俺はいま、全身激痛が走っている状態で苦戦を強いられていた。
いくら痛覚の実感を無視できるとはいえ、傷を修復している暇がない状況で大きな損傷は動きを低下させる。
そして何より、相手の能力が驚異的だった。
「いやはや。優等生の皮をかぶった問題児とは聞いておりましたが、予想以上に効果が覿面で何よりです」
「そりゃどうも。あんたこそそんな能力使ってる自分を疑問視しろ、マッドヴァンパイア」
ウラド三世。串刺しという刑罰を敵はもちろん身内の粛清にも使用したことで有名なルーマニアの英雄。
ルーマニアという現地真っただ中で発動したその能力上乗せは驚異的だが、何より厄介なのはその能力だった。
おそらく宝具であろう杭を大量に地面から突き出させる能力は天井の低いこの空間ではかわしにくい。しかも下からくるから人間ベースの俺ではさらに反応しずらい。しかも刑罰としての串刺し刑の具現化だからなのか、いろいろ不義の多い俺には粛清のためかダメージが強化されている。
そして本人の吸血鬼由来の再生能力と聖杯を使用した強化の上乗せ。固有結界が解除されていることもあってかなり危険な敵だった。
「できれば早めに倒れてくれるとありがたいのですがね。早くしないと聖杯が奪われてしまうではないですか」
「できればそうなってほしいんだがな。っていうかアンタ俺並みに性格悪いってよく言われるだろ」
・・・仕方がない。どうやら切り札を使うしかないようだ。
「我、引き抜くは理すら両断する剣の頂なり」
ほかにも強敵がいるのでできれば残したかったが、まあ相手がクロウ・クルワッハなら勝算はある。
「夢幻の想いで無限を断ち、邪道を駆ける」
「面白い! ですがその情報はすでに確保済みですよ?」
マリウスは余裕を見せて攻撃を行ってこない。
「我、万難を排す一振りの刃となりて―」
その油断がお前の敗因だ。
「蒼穹の元に進むべき大地を切り開こう!!」
これ以上時間をかけている暇はない。
これでさっさと叩き潰す。
「残念ですが聖杯によって対神聖の強化は行っているのです。だから先程の固有結界とやらを使われない限り私にその能力は通用しな―」
何やら見当違いのことをぶちかましていたのでとりあえず一発ぶん殴った。
・・・どうやら想定は当たっていたようなのでもろに喰らってぶっ飛んでくれた
「ぐああああああ!? 馬鹿な!? データを基にした弱点対策はちゃんとしていたはずだぞ!?」
「残念だがアプローチを間違えてるようだな」
どうやら以前遣り合ったときのデータをもとにして聖杯で強化を行っていたようだがそれは無意味だ。
「蒼穹剣は相手を解析してそれに合わせて天敵化する。蒼穹剣というシステムそのものに対策を整えていたのならともかく、データをもとに改造することで免疫を付けても免疫に合わせて天敵化するから有効打にはならないぜ」
これがこの蒼穹剣の恐ろしいところだ。
事前に蒼穹剣のパワーアップデータを取ってそれに合わせた対策を取ったとしても、その対策に合わせて天敵化するのでアプローチ次第では無意味になる。
神格化と悪魔化のシステムを流用しているのでその二つからくるアプローチは対処しきれないが、変化した能力に対するアプローチで覇蒼穹剣は防げない。
やはりリゼヴィムたちは適当に利用するだけ利用して切り捨てるつもりだったようだ。ボコりながら少しだけかわいそうに思ってしまう俺がいる。
だが遠慮は一切しない。ボコる。
「時間が! ないので! 殺す気で! 行くぞ!!」
「が、な、舐めるな! 吸血鬼を悪魔風情が舐めるなぁああああ!!!」
マリウスは余裕をかなぐり捨てて杭を出そうとするが、俺は足払いでマリウスを転ばせるとそのまま上にのしかかる。
飛び出た杭をマリウスをボードにして防ぐと、俺はそのまま義足を活性化させた。
「できれば生かしておきたかったが、まだこいつはテスト段階だから加減が効かないんだ。・・・怒られたくないから耐えてくれ」
「ま、待て! 私を生かしておけば聖杯のデータが好きなだけ手に入―」
マリウスが命乞いをするが、俺は全く意に介さない。
「そこはアザゼルが何とかするだろう。・・・スマンが、ダメージが大きくて俺も余裕がないんだ」
それに、蒼穹剣を使ってしまった以上一人確実に仕留める戦果は欲しいのである。
「・・・さようなら、マリウス」
佑斗Side
「行くぞ」
ゲン・コーメイは光の槍を展開するとそれを放つ。
クロウ・クルワッハはそれをあっさりと回避するが、次の瞬間五つの光線が逃げ道を防ぐように展開され動きを止める。そして続いて放たれた光の槍を防ぎきれず一発直撃した。
一瞬の間に繰り広げられた攻防。そしてその結果に僕たちは思わず足を止めてしまった。
クロウ・クルワッハは見るだけでわかるほど驚異的な実力を持っていた。
たたずまいだけでも思い知らされる。少なくとも今の僕達では単独で挑むのは無謀だろう。
そのクロウ・クルワッハに先手で一撃を当てる。それも転生者とはいえ英雄の末裔でもない人間がである。
僕たちの近くに現れる転生者の中でも、そんなことができるのは蒼穹剣を発動した宮白くんぐらいだろう。それも蒼穹剣の特性上厳密には先手を打たれているはずだ。
「・・・あれが、モルドレットの実力だということか」
ゼノヴィアが目を見開いて感想を漏らす。
ベルさんに至っては絶句しているが、しかしその表情には別の意味も感じ取れた。
「なるほど巧いな。だが、火力が足りない」
クロウ・クルワッハはそういうと、動きの鋭さをマシて行く。
どうやら先程の攻撃はほとんど聞いていないらしい。さすがは伝説の邪龍なだけあり耐久力も桁違いのようだ。
ゲン・コーメイは再びどこからともなく光線の檻を作り上げるが、しかしクロウ・クルワッハは意にも介さず突破していく。
「だめだ! 攻撃を当てることはできても突破することができない! あれでは勝てんぞ!!」
ゼノヴィアの言うとおりだ。
彼の戦闘スタイルは間違いなくテクニックタイプ。裏を返せば火力がどうにもたりない。
これでは勝ち目がない。
「まあそうだな。最初から勝てると思ってないし、本気で来られたらどうしようもないのは認めよう」
ゲン・コーメイがそう自重する間に、クロウ・クルワッハは彼の目の前まで接近する。
マズイ! 最初の攻防にあっけにとられて助けに入るのが遅れた!?
割って入ろうとするがすでに距離敵に間に合わない。
彼はあの攻撃をさばけるのか―
「・・・だが全力で来られても負けないことはできる」
次の瞬間、クロウ・クルワッハが地面にたたきつけられていた。
ゲン・コーメイ何もしている様子はない。なのにいきなりクロウ・クルワッハが地面にたたきつけられていた。
「木場。彼は一体何をした?」
「いや、僕は何もわから―」
「・・・いい加減にしろそこ。後で説明してやるから早くほかに行け」
唖然とする僕達を叱責しながら、ゲン・コーメイは剣を突きつける。
彼は転生者といえどただの人間。英雄の末裔でも血を継いでいるわけでも何でもない。
だが、そこにいるのは僕達でも太刀打ちできないような一人の強者だった。
「来い邪龍。人の姿を取って人の力を手にしたなどと勘違いする貴様に、
ハーデスの足を突かた必殺技のネーミングが思いつかなくて現在苦労してます。今後活動報告で募集するかもしれません。
ちなみに地味に無敵臭いゲン・コーメイ。ただしこの能力にはタネがあります。単純スペックや総合的な戦闘能力では本人も認めてますが大きく差があります。もちろんゲンが下です。
クロウ・クルワッハに対しても、文字通り全力を出されただけではこのようにカタにはめることも容易ですが、本気で勝ちを狙われると実は一気に不利になるバランスです。まあわかったところでクリティカルな対応ができる手合いはこの作品でもクロウ含めてごくわずかですが。・・・アポプスぐらいか、後は?
因みにいうとグレモリー眷属の近接戦闘担当はことごとくカタにはめられます。のちに結成されるD×D全体に広げたとしても、相性的な意味で彼に有利なのはフェンリルやファーブニル含めたごくわずかですしあくまで噛み合わせの問題。正しい意味で突破できるレベルとなると孫悟空ぐらいです。