ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド 作:グレン×グレン
異世界移動の二つの実例とそこからくる発想。
異世界の侵略だと? 正気の沙汰じゃない。
一つの世界の侵略なんて、それこそ一つの世界がまとまってでもいなければ難易度の高さは明確なぐらい高すぎる。
確かに俺が知りうる多くの世界は複数の勢力が争っている状況下だ。そんな中にイレギュラーが一つ出てきたところで、それを利用しようとする派閥が多く存在する。一つの世界がまとまって戦争するといったってそうはうまくいかないだろうということは間違いない。
だがそれでも一勢力クラスの組織が一つの世界に挑むとか、明らかに無謀以外の何物でもない。
「・・・非現実的だな。この世界の征服すら難易度が高い現状で、異世界に侵略だなんて無謀だろう? 普通にかんがえてグレートレッドクラスが一つはいると考えるべきだろうに」
人道的な観点は別にした指摘を俺はする。
ぶっちゃけいなくなってくれるならそれはそれで好都合ではある。間違いなく異世界からしてみればいい迷惑だが、外敵がいなくなるという点では好都合以外の何物でもない。まあ反撃してくるかもしれないが勝手に出ていった件に関してそこまで責任を求められても困るというのが本音だ。謝罪はしても、過度の弁償は意図的に追放でもしない限りリゼヴィム本人に求めるべきだろう。
そういう意味では利益はあるが、それにしたって無理がある。
神秘は世界によって変わるからバランスそのものは取れるのだろうが、それにしたって無謀だろう。
素直にいったが完全な状態のオーフィスを何とかできるレベルの戦闘能力がなければ、そんなことをするのは難易度が高いといってもいいはずだ。
「まーそーだよね。実際グレートレッドはそういったのを監視してるからさ、侵略するならやっこさんを何とかできないといけないわけよ」
「おたくのリリスちゃんは約半分だろうに。なに、お前倒せるの? サマエルはドラゴン限定だから侵略するときあまり意味なくね?」
サマエルがいなくなってくれるとある意味好都合だしハーデスぐぎぎしそうだしで嬉しいが、まあそれは避けたほうがいいんだろう。
ぶっちゃけ実行に移されると止めに行かざるをえない。そういう意味ではやっぱり何もしないでくれるほうが嬉しいんだが、さてこいつはどう考えてる?
「いやいや。俺なんかが挑んだって舐めプでやられるし? サマエル奪っちゃったらハーデス爺さんマジギレするだろうしこっちの邪龍軍団が滅びちゃうし?」
だったらあきらめてほしんだが、つまりは・・・。
「なんの切り札を持ってる、リゼヴィム・リヴァン・ルシファー!」
「ふっふ~ん。やっぱりそこに気づいちゃうか! そうだよ! 俺たちは聖杯を使って生命の理を知ることで、グレートレッドや全盛期のオーフィスちゃんに匹敵するかもしれないとんでもないものを見つけちゃったのだぜ!!」
やっぱりか。
この男は短い間しか知らないがそれでもわかる。
根本的に演出家気質の愉快犯。自分の行動を人に見せたがる遊び半分がモットーだ。
ゆえに派手に動ける根拠があると踏んだが、マジであんのかよ。
「666って言葉が不吉なのは知ってるだろ? 俺はその本元、トライヘキサっていう化け物が封印されてるのを見つけちゃったのさ!!」
おいおい全盛期のオーフィスクラスが三つもいんのかよ!
勘弁してくれマジで俺たちが相手をする羽目になりそうなんだよ! くそ、しかもこの調子じゃ封印の解除も進んでると考えたほうがいいなオイ!
「因みに封印を施したのは聖書の神だっぜ! たぶんそれで弱ったから俺の父ちゃんたちとやりあって死んだんじゃねえかな? そうだとしても驚かないぐらいのやっばい封印が満載だったぜ!」
そんなやばい封印を解除し続けてるってか?
解除してるのはおそらくレイヴンの直死の魔眼。一発で一つは確実に解除できるだろうし、そう考えると封印の数は二桁どころか四桁超えてもおかしくないだろう。そうでなければむしろもう解除されていてもおかしくない。
もしくはレイヴンが不調なのか? 確かにあんな能力早々連発できないだろうからぶっ倒れても不思議じゃないが・・・。
考え始める俺を目にしながら、リゼヴィムは本題といわんばかりに俺に手を差し伸べた。
「つーわけでさ、こっち来ない?」
「・・・は?」
何を言っているこいつは?
「いや、前から思ってたんだけど君はオジサン側じゃん?」
こいつ側、か。
「君は間違いなく悪の側だ。赤龍帝みたいな正義の味方なんかじゃ決してない。悪魔らしい、裏で手をまわして自分が優位に立つのが大好きな側だ。おじさんとはタイプが違うけどオジサン側ではある」
リゼヴィムは割と真面目な顔でそう告げる。
少なくとも、真実そうだと確信してる。
「ぶっちゃけそこいてて息苦しくね? この中二病おじいちゃんみたいにはっ茶気て、その結果死んでもそれはそれでいいやって思える破綻者だと思うんだよねぇ、おじいちゃん」
その目は悪意に満ちていたが、少なくともストレートだった。
ああ、確かにこいつはシャルバなんかより悪魔の王らしいよ。
人の邪悪を見抜く資質は間違いなく俺が見てきた中でも最上位だ。
「・・・否定はしないよリゼヴィム。俺は正悪でいうなら間違いなく悪だ。出なければ裏社会に自分から乗り込んだりはしないだろう」
ああ、それは否定しない。
社会的なルールは知っているし自分の中でもルールはあるが、必要とあればそれを踏む超えることを厭わない。手段を選ばないという側面においては俺は間違いなくグレモリー眷属でトップクラス。サーヴァントになれば属性悪と設定されても何一つおかしくない。
できるできないはともかくとして、一つの世界を混沌に導くという行為に対して一種の興奮がないといえば嘘になる。かたっくるしい社会規範にのっとるよりかは性に合ってるだろう。実際今でもそこそこ守らないしな。
というより、俺は自分を必要悪と定義したことはあっても正義の味方と定義したことは、ない。
そういう意味では俺のことをよく見ている。
ああ、お前は確かに俺のファンだ。
「・・・リゼヴィム。なら俺の根幹もわかるだろう?」
「うん。なんだい言ってみなよ」
たぶんだが、こいつは答えを予想していてあえて訪ねてきた。
ああ、俺がいうことでもないが性格悪い遊び人だよこの爺。
「俺の行動理念は根本的にはただ一つ。俺を救った兵藤一誠に胸を張れる自分でい続けること。・・・その前提に合致しないんだよお前の理想は!!」
そう、俺の行動理念なんてぶっちゃけそれだ。
あの時、諦観と絶望に埋もれていた宮白兵夜をすくった何気ない一言。
その一言を言った兵藤一誠という輝きを浴びるにふさわしいと思える自分でいつづける。そのためならば今の兵藤一誠と戦うことすら厭わない。
そんな人格破綻者だからこそ、こいつの誘いに乗る余地はない。
だから、ためらうことなく神器を発動させて一撃叩き込んだ。
「・・・うらやましいねえ。そんな早くから望みがあって」
なぜか、リゼヴィムは傷一つどころか当たることなく平然としていた。
どうやら何らかの対策を取っているようだ。マジでめんどいなこいつ。
「おじいちゃんなんかユーグリッドが乳神君の情報くれるまでさ、生きる理由ってのが全然ないんだよ。ほんとアレは生きてるって言わない、ただの考えることができる物だ。・・・なあ、君ならその気持ちわかるんじゃないか?」
「それは同感だ。まさにイッセーと出会うまでの俺がそうだったからな」
生命活動を続けていることと生きているってことは確かに違う。
そういう意味では、リゼヴィムは今頃になってようやく生きているということなんだろう。
ならば説得は無意味。むしろ殺してやる方が優しさだろうし、その方がいろいろな意味で好都合かもしれない。
いろいろな意味でいいことなので遠慮はしない。
とりあえず神器の使用はやめたほうがいいだろう。となれば・・・。
「神器を使わなければいいと思った? 残念、実はリリスちゃんは君の後ろにいるのです!!」
え、うそ! 後ろ!?
やべ、切り札間に合うか・・・!
Other Side
リゼヴィムは心底残念に思いながらその光景を見ていた。
断られるのはわかっていたが、たぶん彼を味方に引き入れれば面白いことになるとは思っていた。
だがまあ、さすがにリリスを相手にして勝てるわけがない。単純なステータスが圧倒的に開きすぎており、単独では技巧派とかそんなことでどうにかなる次元ではない。
蒼穹剣を使われたら話は別だろうが、アレはおそらく何度も使えるものではないし、不意打ちの強襲では使えない可能性はすでに分かっていた。
我ながら若干遊び心が足りない判断だったが、結果がこれでは実に残念だ。
「いや、残念だよ兵夜くん。俺は半分ぐらいマジで、君と一緒に異世界に混乱を巻き起こしたかったんだぜ?」
これは本当に本気だ。
「だって異世界の一つに詳しい君がいれば、その異世界なら攻略本があるわけじゃん。これはだいぶ有利に展開できるし本気だったんだよぉ」
だが断られたら仕方がない。
ほっといて様子を見るのもありだが、それはそれで悪っぽくない。
ここで死体の一部でも持ち帰って見せつけ、兵藤一誠たちの怒りをあおるほうがまだ面白そうだろう。
「んじゃ、アザゼルおじさんあたりに君の死体と一緒に大公開しておおあばれしようかねぇ」
「・・・いやいや、それはまだ先走りすぎだぜおじいちゃん。もしかしてボケた?」
煙を突き破って、再び光の槍がたたきつけられる。
さらにほぼ同時に実弾や聖水もたたきつけられてさすがにちょっとかゆかったりするが、それはほぼどうでもいい。
「・・・物理攻撃と魔術攻撃は掻き消されない。どうやらやっぱり対神器特化の能力か何かを持っているようだな」
煙が晴れたところにいた宮白兵夜は一つを除いて変化がなかった。
傷はない。汚れはない。鎧の形状の変化もない。
だが、装備が一つ追加されていた。
鱗のように小さな金属片を、大量にくっつけて作られたかのような黒い楯。それをリリスの方向に向けて構えていた。
「おいおいおいおい。まさかと思うけどそんな楯でリリスちゃんの攻撃防いじゃったの? おじさんでも大変なのに防いじゃったの?」
割と本気で驚いたが、むしろ宮白兵夜はその姿にあきれているかのようだった。
「馬鹿かお前は。俺が、イッセーの、宿敵の、ヴァーリの、対策を、取って・・・ないわけがないだろうが!!」
言うが早いか、兵夜は楯をリリスに向かって投げつける。
投げつけられた楯はその過程で分裂し、リリスに絡みついた。
そして次の瞬間にはリリスは力を封じられたかのように倒れ伏す。
「・・・くだんのクソ馬鹿小僧曹操君が、オタクのお孫さんを弱らせるのに使ったサマエルの毒。それをアーチャーがちゃっかりお猿のおじいさんから回収していてな。おかげで対龍疑似宝具を作り上げることに成功したよ」
結果を確信しているのか、宮白兵夜はリリスには一瞥もくれはしない。
「さあ、フィフスからアサシンを借りているなら呼び出したほうがいい。キャスターでもセイバーでもバーサーカーでもいい。ないなら少し覚悟しろ」
次の瞬間、偽聖剣の聖なる輝きが増幅した。
圧倒的な出力にリゼヴィムの肌がこの距離からでも焼けそうになる。
魔力を放出して防ぎながら、リゼヴィムは少し遊びすぎたと反省した。
「祝福の出力の相乗効果を狙って開発した、対邪専用特化形態。
鎧越しだが間違いなくわかる。性質が近いから絶対に確信できる。
この男、今間違いなくすごく悪い笑顔を浮かべている。
「さあ、聖杯戦争を始めよう。今すぐアサシンあたりに助けを呼びな!!」
蒼穹剣の攻略法その一。とりあえず使いつぶさせる。
連発が効かない上に一人にしか使えないので、連戦に持ち込むと意味が大きく薄れるのが蒼穹剣の難点の一つ。先の展開を予測して運用しないと無駄遣いになりえるのです。
とはいえそんなことは当人が一番よくわかってるのでしっかり反撃していますが。
サマエルの毒を利用した対ドラゴン武装はかなり前から構想していました。対邪龍戦が頻発するであろう四章では非常に便利なアイテムになるでしょう。とはいえ兵夜発案なので癖も強いのですが。
そして宮白兵夜にとってイッセーが重要なのが、世界にとっても重要だったというお話。一歩間違えればトリックスターとして兵夜が三大勢力と禍の団を引っ掻き回す可能性もありました。