ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド 作:グレン×グレン
佑斗Side
城の中に突入して少し経った。
クロウ・クルワッハはゲン・コーメイに任せることにした。
おそらくだが、かなりの時間を稼いでくれるだろう。なぜかはわからないがものすごい有利に渡り合っていた。
今優先するべきは確かに聖杯の奪還だ。このまま聖杯が奪われたりしたら大変なことになる。
だから急いで駆け抜けている中、いきなり目の前の通路が崩落した。
「・・・戦闘の余波か!? く、こんな時に!!」
敵襲を警戒して僕たちが構える中、煙を突き破って現れたのは朱乃さんたちだった。
イリナさんや青野さんもいる。無事だったのか!
「イリナ! 実質無事のようですが現状は!?」
「ベルさん、ゼノヴィア! た、たたた大変なの、ギャスパーくんがなんかとんでもないことになっちゃってるの!!」
イリナさんは顔を真っ青にしてあわてている。
ギャスパー君がいったいどうしたんだ。
と、遅れながらジャンヌとヘラクレスがヴァレリーさんを抱えながら現れる。
どうやら宮白君は二人を先行させて僕達と合流させることを優先させたらしい。合理的な判断だけど自分が囮役になるあたり彼は本当に人がいい。
急いで彼の助けに行くことも考えたが、こちらの二人も顔色が悪かった。
「ゲオルグが圧倒されたってのも納得だなオイ。相手しなくてよかったぜ」
「ちょっとグレモリー眷属。アレはさすがにないんじゃないの?」
本気で思うところがあるようだが、しかしそれを続いて堕ちてきた影をみて納得した。
・・・肥大化する巨人が、しかしそれ以上の速度で獣に食われている。
食われた端から再生しているようだが、しかしそれ以上の速度で闇で出来た獣が彼の体に食らいついて食いつくす。さらに傷口にも闇がまとわりついて、次第に再生を阻害させていった。
どうやら英霊を宿した存在のようだが、それすら圧倒するとはなんて力だ。
「まさか、これをギャスパーくんが?」
「ああ、フィフスの奴が聖杯を出してからこの調子なんだが、だれかアザゼルを見つけてきてくれねーか? 気になることがある」
青野さんは目の前の光景よりもヴァレリーさんの方が気になっているようだ。
まあ確かに、この調子では僕達の出番は・・・。
『へえ、この魔性だけになったとはいえ、バロールの目を突破するだなんてやるじゃないか』
「さすがに聖杯がないとやばかったがな。・・・だがデータは取れた。これで何とかなりそうだ」
ギャスパーくんと思われる闇で出来た獣とフィフスがにらみ合っている。
フィフスの体も傷つけられて闇がまとわりついているが、しかし聖杯の力が少しずつ再生を進めているようだ。
みれば聖杯には血がついている。戦闘の余波でついたとするには違和感があるし、それ以上にフィフスらしくない。
『だけどヴァレリーを殺したのはだめだ。お前に聖杯は使わせない』
「いやだね。俺は聖杯を禁手にまで高める必要があるんだこれが。・・・俺の根源到達のために必要な儀式を邪魔するなら、たとえ神でも殺してやる」
フィフスは狂気を感じさせる表情で拳を構える。
「俺は根源到達を続行し完遂し終了する。邪魔をするならここで滅びろ。ヴァレリー・ツゥペシェと同じところに逝くといい」
『そうか、じゃあ喰らい尽くして止め尽くして終わらせ尽くしてやるよ』
次の瞬間、闇で出来た獣たちが一斉にフィフスに襲い掛かり、フィフスはそれを拳で迎撃する。
さすがはあのサイラオーグ・バアルと渡り合うだけある。あの獣は一体一体が尋常でない強さを持っているだろうが、それすらやすやすと屠っていく。
僕達も鍛え上げ、知恵を練り、そして幸運に恵まれながらも強くなっていく。そしてフィフスもまるでこたえるかのように己を鍛え上げて、知略を尽くして強化していく。
間違いなく強敵以外の何物でもない。ここはやはりグラムを使ってでも倒すべきか・・・。
「おい木場。変なことは考えるなよ」
青野さんが、鋭い視線をこちらに向けた。
「もうグラムは使ったんだろ。だったらこっから先はグラムを使わずにどう戦うかだ。グラムを使うことを前提に考えるな」
そう言い放つと、風を纏いながら青野さんは一歩前に出る。
「とっとと聖杯を回収するぞ。言い方は悪ーがヴァレリーの生死に関係なく、聖杯の確保は必要だ!」
冷たい言い方になるが青野さんのいうことは最もだ。
彼女は生前宮白君をはるかに上回る深い闇の世界にいたらしい。それゆえにこういう時に冷徹な判断ができなければやっていけなかったのだろう。
冷たいが正確な言葉だ。今は従うほかない。
僕たちは武器を構えるとフィフスに向かって突撃した。
「あーやっぱり来るかよ。そうなるかよ。だったらこっちも本気出すしかねえよなぁ」
フィフスはギャスパーくんの猛攻をしのぎながら、懐から宝玉を一つ取り出す。
このタイミングでのアイテム。間違いなく何らかの切り札といえるもののはず・・・!
「せいぜい生き埋めにならないように気を付けな!!」
イッセーSide
俺とヴァーリは左右から連続で攻撃を仕掛けるが、ふんどしはそれらすべてに完璧に対応していた。
くそ、二天龍の同時攻撃に反応とかどんだけ化け物なんだよこいつ。
「何を驚いている? 戦場で複数の敵に一斉に狙われるなど珍しくもなんともない。戦闘にはなれているが戦争にはなれてないのか?」
「なるほど。強者との戦いだけではなく本物の戦争の経験者か。これは楽しめそうだ」
ヴァーリは嬉しそうに震えるけど、しかしはっとするとかぶりを振った。
「だが今は優先順位がほかにあるのでな。悪いがすぐに終わらせてもらう」
「ああ、終わらせてUMAをprprしなければならないからな」
そういった瞬間、ふんどしは俺の斜め後ろに現れた。
桜花さんと同じ瞬動か! ええい厄介な能力だなホント!
「砕け散れ、KIAI☆ビィイイイイイイイッム!!」
なんか気合いを入れてるっぽいポーズを取ったかと思ったらビーム出てきたぁあああああ!?
し、しかもふざけた名前の割に威力がでかく、俺は思いっきり吹っ飛ばされた。
「くそ! あのふんどし格好が変なのに無茶苦茶強い!!」
「ああ、本当なら全力でぶつかりたい相手だ。邪魔してきた連中のせいで極覇龍が使えないのが本当に残念だ」
ヴァーリが本当に残念そうにそんなことを言う。
ああ、だけどこのままだとさすがにやばい。大丈夫なのかよこの戦い。
あとナツミちゃん巻き込まれてないだろうか。
『まったく、おっぱいドラゴンのつぎはふんどしか。この時代は二天龍にとって試練続きだとは思わないか、赤いの』
アルビオンがため息交じりにそんなことを言ってきた。こころなしかすごく疲れてる感じだ。
『言うな白いの。俺だってつらいんだ』
ドライグも涙語で返してくるんだけど、さすがにふんどしは俺の責任じゃないよね?
『わかっているさ赤いの。苦しんでいるのはお前だけではないし俺だけでもない。俺たちは同じ苦しみを共有している仲間だ』
『・・・っ! 仲・・・間?』
『そうだ。俺たちは同じ苦労を分け合うたった二体の二天龍。乳龍帝だのケツ龍皇だの言われる苦労を支え合うことができる。俺は、それを三蔵法師に教えられた』
あのすいません! 今俺たちふんどしにボコられてる真っ最中何で後にしてもらえないでしょうか!!
『そうだったのか。そうだったのか! そう・・・だったのか!!』
『そうだ赤いの。俺たちは敵じゃない。仲間なんだ!』
「アルビオン。悪いがとりあえずこれをしのいでからにしてくれないか?」
ヴァーリも戸惑ってる。ですよね!!
「ぬぉおおおおおお! 気合いだぁあああああ!」
ぐわあああああ! もろに殴られたぁああああ! マジで痛いぃいいいいい!!
『思えばこんな気持ちは三大勢力にあの戦いを邪魔された時以来だ』
『ああ、あの時も俺たちは同じ気持ちだった・・・』
だれかぁあああああ! この二人を現実に引き戻してくれぇええええええ!!!
などと思ったら、城の方がいきなりでかい爆発が二つも起きた。
な、なんなんだいったい!?
と、片方からなんか百メートルを軽く超えるでかい化け物が姿を現し、もう片方からはなんとリゼヴィムと宮白が組み合いながら出てきやがった。
しかもふと気づいたら、なんか町中からドラゴンがいっぱい出てきやがった。
オイなんだよこの状況! 混乱の極みじゃねえか!!
「どうやらリゼヴィムがUMAを作り出したらしいな。早く終わらせてペロペロしなくては!」
違う! あれUMAじゃなくてドラゴン!! ふんどしさんアンタそんな判断基準でいいのかよ!!
「さあ、おとなしくやられるがいい!!」
うぉおおおおおおおおお! 負けるかぁああああああああ!!!
原作の重要ポイントをおさらいする感じなので今回は短めに。
因みに、フィフスがバロール状態のギャスパーの停止をガン無視できているのには実力とかではなくもっとちゃんとした理屈があります。そして今回の戦闘でそれが有効と判断されたがため、今後の戦闘でギャスパーは苦戦を強いられることになるでしょう。