ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド 作:グレン×グレン
Other Side
ナツミは朦朧とした意識の中で恐怖に震えていた。
今でも手に取るように思い出せる。
誰も頼るものがいない。自分の力もよくわからない。そんな中で一人で生きなければならない状況で、明らかに異常な風体の男たちに追いかけまわされるという事態。
それゆえにそこから引っ張り上げてくれた人のこともまた容易に思い出せるが、だからといって恐怖が消えるわけではない。
ナツミにとってあのふんどしは恐怖の象徴だ。
その直後に救い上げられたがゆえにその思い出は輝かしい。しかしそれゆえにその傷跡は、とても深い。
かろうじて意識はあったが体が全く動かない。それどころか体の感覚すらよくわかっていなかった。
気温とは関係なく寒気がする。震えが全く止まらない。呼吸が全く落ち着かず息苦しい。
それらすべてが精神的なもので気の持ちようで何とかなるのもわかっていた。
だが、心から恐れるものが目の前に現れたとして、気の持ちようだから気にしなければいいなどといわれても簡単にできるものがいるだろうか?
少なくとも、彼女はそれを簡単になせる方ではない。少なくともその類の強さは彼女にはない。
ナツミ自身それがよくわかっている。自分がそういう意味では弱いことなど承知の上だ。
そういう強さがないならこそ、肩を貸してくれた彼に恋い焦がれた。
そういう強さがないからこそ、同じくないものたちと共感を抱いた。
ある意味そうだからこそ今の関係を築き上げているし、ゆがんではいるがゆがんでいるなりに前に進もうと努力している。弱さを自覚しそれでもなお強くあろうと努力している。
そしてそれでも倒れそうになる中、肩を貸してくれる人たちがいるからがんばれる。そして倒れそうな人に肩を貸して頑張らせる。
だからこそ、その肩を貸してくれる人がいないナツミは倒れたままだった。
―兵夜ぁ。
だから思わず助けを求める。
弱いから、異端で異物という事実に耐えられるほど、自分の心は強くないから。
だから肩を貸してほしい。だから安心させてほしい。
その分だけ頑張って肩も貸すから。支えてくれた分力になるから。
それはいびつかもしれないが、そのかみ合わせが自分たちを前に進ませてくれるから。
弱いなりに力を出したいから、そのためのかみ合わせがほしいと願う。
自分一人で立ち上がれるほど強くないけど、誰かが肩を貸してくれれば、その分自分も支えられる。
それが、自分たちなりに強くあるということ。
だからお願い、どうか自分に杖をください。それがなければ進めないけどあれば必ず進んで見せるから。
最後の一歩を踏み出すためのきっかけだけが、手に入らない。
その一歩踏みとどまってしまう意識の中、すぐ隣で轟音が鳴り響いた。
「どうした赤龍帝! その程度では我がUMAを求める気合いには届かんぞ!!」
耳にするだけで怖気のする声が響き、今度こそ意識をなくしてしまいそうになる。
暗くなっていく視界の中、しかし声が響いた。
「・・・舐めんな! 俺の仲間には絶対手を出させないぜ!!」
実は、結構微妙な扱いというかナツミの中でイッセーの順位は低い。
友達として付き合う分には非常に好感が持てるのだが、欠点がいろいろひどすぎるというか個人的にすごいきついというか。
兵夜とともに真っ先に助けに来てくれたというか助けに来てくれた順番ではある意味一番早いが、いかんせんスケベすぎる。
何度も怒られてるのに覗き行為を連発するのが特にあれだ。リアスとか全然気にしてないが、それ自分たちとは別の意味で問題あるだろう。おっぱいドラゴンとか面白いけどニチアサ的な番組で出すのはどうかと思う。アレ? 異形社会全体が問題児じゃないのこれ?
そんなわけで正直扱いが悪いのだが、イッセーはそんなことは全く気にしていないようだった。
「確かにナツミちゃんは俺に対して容赦ないときあるけど、それでも俺の大事な仲間達だ! 俺は仲間を絶対にあきらめないし見捨てねえ!!」
戦闘経験が豊富なサミーマの記憶があるからよくわかる。
間違いなくイッセーはいつも以上に無理をしている。
すでに相当にダメージが入っている。下手な意志力の持ち主ならすでにあきらめて戦闘を放棄するレベルだろう。今すぐにでもアーシアを呼びに行きたいダメージだ。
それでも、それでも兵藤一誠は立ち上がる。
「いや、俺たちオカルト研究部だってみんなそうだ! ・・・宮白はやっちゃうときあるけど、それだって本当に手段がないか真剣に考えてるだけで、頭いいし時間ないからすぐ考え終わっちゃうだけで冷血なわけじゃ絶対ない!!」
骨のいくつかにひびが入っているだろうし、内蔵にもダメージが入っているだろう。
「そんな俺たちの目の前で、お前はナツミちゃんを怖がらせた! っていうかショックで倒れさせた!!」
そういえば兵夜から聞いていたが、あったばかりのアーシアのために、一人でも堕天使たちが集まってる中に飛び込もうとしたことがあったらしい。
コカビエルの時も、教会全員を一人で敵に回してもアーシアを守ろうとしたと兵夜から聞いた。
「やらせねえよ。誰が何といおうとやらせねえ。俺の仲間を勝手な理由で傷つけようっていうなら、まず俺を倒してからにしてもらおうか!!」
・・・全くホントに、馬鹿はこういう時、良くも悪くも考えない。
会い方次第ではこっちに惚れていたかもしれない。そう思わせる熱血漢。
リアスたちがベタ惚れになるのもまあわかるし、グレモリー眷属の支柱になるのも当然だ。
それにまあ、今頃主は一人でいろいろ大変なんだ。
・・・使い魔としては頑張らないといけないわけで。
イッセーSide
「ふんにゃあああああああああ!!!」
突然ナツミちゃんが飛び起きて、俺は思わず振り返りそうになった。
我慢我慢! 今振り返ったらふんどしにボコられる!
「ナツミちゃん! 大丈夫!」
「全然大丈夫じゃないけど大丈夫! 悪いけど肩借りるからね!」
そういいながらもナツミちゃんは、全然肩を借りずに俺の前に出る。
「もうなんかいろいろ馬鹿らしくなった! とりあえず追いかけまわされたオトシマエはつけるからね!!」
「ナツミちゃんそれ意味わかってないよね!?」
と、とはいえ戦力アップはありがたい。
「ヴァーリぃいいいい! こっちも時間がねえ、畳みかけるぞ!!」
「いいだろう、俺もリゼヴィムの相手のしたいからな。ここで決めるぞ!!」
行くぜ、ふんどし!!
俺とヴァーリが左右から攻め、そしてナツミちゃんが真正面から突っ込んだ。
「サタンソウル、ヴァプラ!!」
獅子の姿に変じたナツミちゃんが真正面から組み付いた。
ふんどしはそれに耐えるけど、その状態で俺たちを同時に相手できるか!!
「もらった!」
「甘いぞ!!」
ふんどしはナツミちゃんと組み付いたまま軽くジャンプして両足で俺たちを蹴り飛ばす。
くそ、今まで手を抜いてたのか!?
そういえば、桜花さんが行く前にこんなことを言っていた。
『隊長が私よりどれぐらい強いかー? ・・・強さの次元が違うから比較にしないほうがいいかもー』
本当にシャレにならない。
っていうか吹っ飛びすぎて距離を取られた! このままだとナツミちゃんがヤバイ!!
「まだまだ! グレゴリー!!」
やばいと思ったのか距離を取ると、素早く砲撃をぶちかます。
が、ふんどしの奴は桜花さんに負けないような瞬動で懐に潜り込んだ。
まずい、アレは俺が曹操にやられたのと同じ手段だ。変身した形態の能力が特化型メインだから、それ以外で攻めれると一気にやられる!!
「さあペ―」
「甘いわデカブツ!!」
舌をだしたふんどしの顔面にストレートが入った。
あ、あの豪快な音はヴァプラを発動状態じゃないとおかしい! でもどうして・・・あ。
「その手のトラップなんてわかってんだよ! 右手だけ残しといてよかったぜ!!」
器用だよナツミちゃん! やっぱりこの子も天才だ!!
だがふんどしはまだ頑丈で持ちこたえてやがる。くそ、このままだと時間がかかる・・・。
「おーおーやってんなぁ三人とも」
と、俺たちの後ろから声が聞こえ、通り過ぎて光の槍がふんどしに突き刺さる。
「待たせたな。吸血鬼たちは大半片づけたぜ」
「アザゼル先生!!」
うぉおおおおおお! 頼もしい援軍が来てくれたぜ!!
「・・・潮時か。そろそろ時間だし先に帰るとしよう」
ふんどしはそういうとナツミちゃんから距離を取る。
「あ、待てやコラ! まだ殴り足りねえぞ!!」
「悪いがそろそろ男のUMA特集の時間でな。それにこっちに時間をかけている余裕もないはずだぞ?」
ふんどしはそういうと街の方を指さしてからすごい速度で飛び去った。
・・・あ、なんか町中でドラゴンが出て暴れてやがる!!
「ちっ! リゼヴィムの野郎何しやがった! ・・・おいお前ら、とりあえず手分けしてこいつらを片付けるぞ!!」
「俺はリゼヴィムの相手をしたいんだが、まあ邪魔な奴等は片づけるとするか」
「え、え、あ、はい!」
「ご主人ほっとくのかよ!? ・・・あ~でもこいつらほっとけないし・・・畜生が!!」
俺たち三人とも行きたい方向一緒だけど行くにいけないよほんと!
くそ、宮白無事でいろよ!!!
Side Out
恐怖に震えながらも頑張る女の子は燃える上に萌える。異論は認めない。
ナツミちゃんもいろいろと影響を受けて成長しているのです。兵夜にべったりなわけではありません。