ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド   作:グレン×グレン

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遂にルーマニアの戦いもクライマックスに入りました!


錬金術師の野望は進む

 

「ルシファーウイングすごいはやーい! ほ~らほら、追いついて御覧なさ~い」

 

「うおおおマジでむかつくくたばれ!!」

 

 当たってくれないな本当もう!!

 

 神格能力を制御して祝福との相乗効果に割り振ったこいつは、いうなれば邪悪な存在に対する天敵だ。

 

 さすがに単独の相手を倒すことにおいて蒼穹剣には及ばないが、それでもチートじみた出力を発揮する。少なくとも一撃当てればかなり削れる自信がある。

 

 けど当たってくれない!!

 

 しかもよく見ると町中ドラゴンだらけだし、しかも豪獣鬼まで出てくるしでとんでもない大騒ぎになってるぞこれ!!

 

「ルシファービームはすごい痛~い。ほらほら喰らったら大変だぞい」

 

「お前もうほんと神経逆なでするよね!!」

 

 さすがに直撃喰らうとやばいので、聖剣の能力をフルに生かしてかく乱しながら、加えて装甲版を空中に展開して防ぎきる。

 

 超越者を名乗るだけあってかなりきつい。これは一人で挑むのは無謀だったか。

 

 とはいえここまでやばいやつをほおっておくなんて選択肢は存在しない。幸い相性はいいしできれば体当たりでデータぐらいは取っておきたいところだが・・・。

 

「そろそろ面倒だから帰っていい?」

 

「駄目に決まってんだろうがコラ!!」

 

 このおふざけ野郎マジでむかつく。

 

 俺も挑発目的でふざけた発言だしたりすることはあるけど、自分がされるとすごいむかつく!

 

 だがこんなところで逃がしたままでいいわけがない。こいつはここで確実に・・・。

 

「だからこいつをぶつけちゃうぜ☆」

 

 次の瞬間、真上からなんかでかいものが降ってきたのであわてて回避した。

 

 うぉおおおおお!? 豪獣鬼がこっちきやがった!!

 

「くそが! てめえこれはねえだろ!!」

 

「うひゃひゃひゃ! 俺を倒したいっていうならそれぐらいは何とかしてくれないと困るぜ☆ じゃ、がんばってね~」

 

 そのままリゼヴィムが逃げるていくが、しかしこのままでは追いかける余裕がない。

 

 それが分かっているのか、リゼヴィムは余裕の表情を浮かべると空間をゆがめてなんか取り出した。

 

 なんだあれ、カップ?

 

「因みに、聖杯はすでに確保済みなのでこれからも好き勝手暴れるぜ! あ、ヴァレリーちゃんの聖杯は特別性で三つぐらいあったからまだ死なないんじゃないかな? フィフスも一つ回収してるからやばいかもしれないけどね?」

 

 オイオイオイオイちょっと待て! そんなこと今沢言われてもマジで困るんだけど!?

 

 あ、ちょっと待て!

 

「ど畜生がぁああああああああ!!!」

 

 リゼヴィムは逃がすし聖杯は奪われてるし、挙句の果てに今のモードじゃ豪獣鬼相手には相性差が生かせないし蒼穹剣もガス欠。

 

 どうしろっていうんだよこの状況!!

 

 振り下ろされる剛腕を回避しながら、俺はとにかくひきつけるだけ引き付けようと牽制のガトリングを叩き込む。

 

 このデカブツが街中で動いているということがすでに大惨事以外の何物でもない。間違いなく死者大量に出てるだろこれ。

 

 とにかく破壊が激しくて建物も少ない方向に誘導して、犠牲者を少なくした方がいいだろう。

 

 どんどん出てくる小型の魔獣を撃ち落としながら、俺は何とか誘導を試みる。

 

 だがそれはそれとして実に厄介な事態だ。

 

 マリウスは本当に道化だった。おまえ聖杯がいくつもあるならまず一つ確保しておけよとか本気で思う。まさか気づいてなかったとするならなんかそんなの苦戦した自分が嫌すぎて涙出てきそうだ。

 

 しかもフィフスまで確保済みだというのが非常にきつい。

 

 ホムンクルス(生命)を生み出す錬金術師であるフィフスと、生命を司る神滅具(ロンギヌス)である聖杯の相性は間違いなくでかいだろう。さすが聖杯戦争を生み出したホムンクルスに長けた御三家。なんていうか奇縁というかなんというか。

 

 あ、業獣鬼がビーム出してきた。回避回避。

 

 っていうか三つあるとはいえ三分の二もとられたらヴァレリーはやばいことになっているんじゃないだろうか。

 

 ヘラクレスたちはアーチャーやアザゼルと合流しているだろうか。せめてアーシアちゃんが来てくれれば何とかなるんだけど。

 

 しかし滅びた邪龍すら復活させる幽世の聖杯と英霊という一度死んだ存在を呼び出す聖杯戦争のシステムの相性も心配だな。ここにきてサーヴァントが追加召喚とかされたら笑えないというかひっくり返るというか。

 

 今度は火を噴いてきたが、こんなこともあろうかと鎮火魔術礼装は開発済みである。

 

 そういえばフィフスって超獣鬼も回収してたよな。でもこんなところで獣鬼使うって大盤振る舞い過ぎないだろうか。

 

 ・・・聖杯を使って強化とかされたらすごく嫌だ。でも間違いなくやるだろうなぁ。対抗術式対策ぐらいは間違いなくするだろうしなぁ。俺だったら絶対やるしなぁ。

 

 やはりここは聖杯のデータをしっかりと調べたほうがいいよなぁ。っていうか、聖遺物のくせに邪悪すぎなんだよ聖杯。なんでこんなやばいもんがランダムに出てくるわけ。

 

 聖書の神もその辺考えて作ってほしいな。仮にも聖遺物を信徒でもない奴にわたらせるとか思い切りがよすぎだろ。悪魔の駒のシステムがなかったとはいえ、ハーフ悪魔に使われる可能性とか考えてなかったのかねぇ。

 

 腕を回避するのは面倒だけど、距離を取りすぎると陽動できないしこれは難易度が高い。

 

 いっそのこと悪魔の駒を使って神器取り出してから転生させるというのはどうだろうか。あ、でも一度殺すわけだから部長もイッセーも賛同するわけないか。

 

 どうせ生き返るならそれはそれで問題ないような気もするが、さすがにそれは魔術師脳すぎるからOK出ないだろう。これを独断でやるのはさすがの俺も気が引ける。

 

 こりゃ早めに取り返さないとまずいというわけだ。できれば埋め込みなおす前に精密解析したいところだがそんな余裕があるかどうか。

 

 ・・・さて、これだけはなれていれば何とかなるだろう。

 

 平行作業で今後のことについて考えていたら、いつの間にやら都合のいいところまで来れた。後は俺がしっかりと仕事して時間を稼げばいいだけだ。

 

「とりあえずイッセーたちが合流してくるまでは粘らせてもらう。時間稼ぎに付き合ってもらうぜ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イッセーSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あのあとマジで大変だった。

 

 ユーグリットが赤龍帝の鎧をコピーしてやってきたせいでぼこぼこにされちまった。

 

 くそ、性能なら間違いなく本物の俺の方が上なのに、本体の性能さで圧倒されちまった。俺が弱いのは知ってたけど、ここまでやられるとさすがに凹むぜ。

 

 まあそれは白龍皇の力が新しく変化してパワーアップしたおかげで何とか追い返せたけど、聖杯が奪われたのはシャレにならない。

 

 フィフスもどさくさに紛れて逃げちまったらしいし、くそ、俺たち今回やられっぱなしな気がするぜ。

 

 とりあえず町の破壊は俺とアーシアの合体技で何とかなったけど、街の人たちの心の傷まではこれじゃあ治せない。

 

 この様子じゃカーミラの方も大変なことになってるかもしれない。くそ、今回は本当にぼこぼこだ。

 

 そして町から離れたところでは戦闘がまだ続いている。アーチャーさん曰く宮白が戦闘中らしい。

 

 あの野郎嫌な置き土産しやがって。後で覚えてろよこの野郎!!

 

 とりあえずまだ残ってる邪龍の相手などもメンバーを分けて対応しつつ、俺たちは何人かで宮白の援護に向かっていた。

 

「ベルさん! 宮白はまだ大丈夫ですか!!」

 

「大丈夫です! 感覚的に特に異常はありませんので、特にひどいダメージを受けてるとかそういったことは実質ありません!」

 

 つながってるベルさんはこういう時に頼りになるぜ!!

 

「しかしフィフスも嫌な置き土産を残してくれる。どれだけ回収したのか知らないが、いくらなんでも使い切ったことはないだろうな」

 

「そうですわね。これからもたぶん出してくるでしょうけれど、でも足止めのためだけにおいていくとか妙ですわね」

 

 ゼノヴィアと朱乃さんは首を傾げるけど、確かにフィフスらしくないよなぁ。

 

 あいつ数で責めたり力押しで行くけどバカじゃないし、すでに逃げるんだったらもっと使い捨てにしやすいやつらを残していくと思うんだよ。

 

 ってことは間違いなく勝算があるわけで・・・。

 

 みんな早くこっち来て! もしかすると結構やばいかも!!

 

 と、そんなことをしている間に宮白が見えてきた!!

 

「宮白大丈夫かぁああああ!!!」

 

「イッセー、ベル!! しかもゼノヴィアに朱乃さんまで!! これはマジ助かる!!」

 

 宮白が嬉しそうに声を挙げながら敵の攻撃をかわしていた。

 

 マジで苦戦してるみたいだな。どうやら蒼穹剣はすでに使っちゃったみたいだ。だって最初に使ったときはあっさり倒してたし。

 

「どうするんだよ宮白! やっぱりこれは俺がオッパイで・・・」

 

「いやそれは最終手段な。そんなので助けられる吸血鬼たちの身になってみろよ」

 

 ひどい!! でも反論できない。

 

「大丈夫だ。この数なら対抗術式もあるし十分行ける。・・・いくぞ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その光景を、フィフスはサーヴァントを使って確認させていた。

 

 宿敵ならデータを取るのに一番だと思ったが、やはりそう簡単には勝たせてくれないと確信する。

 

「こりゃ駄目だな。やっぱプランBで行くべきか」

 

「承知いたしましたフィフス様。そのようにキャスターに伝えておきます」

 

 アサシンの1人がそういって霊体化する。

 

 獣鬼の一つをここで使いつぶすのはフィフスとしても少し思うところはあったが、今グレモリー眷属がどれぐらい強いのかを試すのには好都合だ。

 

「しっかし今回は運がよかった。俺じゃなければギャスパー・ウラディはどうしようもなかったしな」

 

 聖杯を使って傷を治したが、衣服までは治らない。

 

 かなりボロボロになっている白衣を見ながらフィフスは今後の展開を考える。

 

 グレートレッドクラスが全力で戦闘を行えば、もはや人類社会でも隠すことはできないであろう大破壊が生まれるだろう。世界地図が書き変わるレベルの大きな変更がおきてもおかしくない。

 

 当然そんな事態を見逃す体制側ではない。三大勢力や同盟側はもちろんのこと、それ以外の神話体系も裏で動くはずだ。

 

 そしてリゼヴィム側は邪龍軍団によってそれに対抗する。

 

 だが、双方の思い通りになることは決してない。

 

 すでにこのために準備は整えてきた。想定外の事態はあったが、策謀の経験もあり、諜報で真価を発揮するアサシンの力もあっておおむね最大のプランは遂行できている。

 

 この戦いで最終的な勝利を手にするのは自分だと思う。いな、あえてそう断言する。

 

 万物の根源へとたどり着く。魔術師ならだれもが思う思想の極み、世界の極点に触れるという人類の極限を達成する。

 

 そのための行動は常に続行し、そしてここまで進んできた。

 

 その計画も本格的に始まっている。そして今更気づいたところで三大勢力ではそう簡単には防御できない。

 

 最大の懸念事項に対する対策もつかみ始めた。後は理を壊すだけだが、この根源到達へと懸ける意思があれば必ず到達できる。

 

「行くぞアサシン。マスターとして約束する。俺の目的の第一段階(最初)ができたその暁には、お前たちの願望を聖杯でかなえてやる」

 

「承知いたしております」

 

 アサシンの1人が、視覚を共有することで戦闘を見据えながら応える。

 

 もとよりサーヴァントとマスターは願いをかなえるための同盟。絶対命令権こそあるとはいえ、本来サーヴァントが格上である以上対等な関係なのだ。

 

 ゆえに、そこにあるのはただの上下関係ではなく利害関係。

 

「我々は統一された自我を確立し、フィフス様は根源到達のための道筋を作り出す。それこそがこの聖杯戦争の真の目的」

 

「ああ、結果的に聖杯を狙わない連中を確保できたのは好都合だ。おかげでお前らも強化できた」

 

 すでに豪獣鬼は倒れ伏しかけている。

 

 まあ、それを見越して一番弱い個体を選んだのだから当然といえば当然だが、彼らは間違いなく宿敵になるだろう。

 

 来るなら来い。たかが二天龍ぐらい屠れないようで、根源到達を妨害せんとする世界の意思をどうにかできるわけがない。

 

 研究をつづけた。鍛錬をつづけた。人脈も作った。そして何より願い続けた。

 

 文字通り全力を費やしたこの百年。凡百の努力と同列に扱われては本気で困るというもの。

 

 願いに賭ける想いの強さなら負けてない。お前たちが仲間とともに行動するというのなら、こちらも戦力をかき集める。

 

 世界平和? 世界侵略? ああどれも確かに面白そうだ。

 

 だが、邪魔になるなら叩き潰す。

 

「世界が根源到達の邪魔をするというのなら、まず世界そのものを改変しよう。さあ、聖杯戦争を終わらせようか」

 

 漆黒の白が英雄たちを嘲笑う。

 

 今この日、一介の堕天使が正しい意味で世界に牙を剥いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side Out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ほかのことを考えながらでも雑な攻撃なら余裕で対処できるようになった兵夜。改造や強化武装で上乗せしてばかりではないのです。

そしてフィフスも動き始める。

彼もまた、目的のために極限まで努力を重ねた宿敵ですから、それにふさわしい力を持って兵夜たちの前に立ちふさがります。

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