ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド 作:グレン×グレン
イッセーがデートをすることになった。
イッセーがロスヴァイセさんとデートをすることになった 。
なんでもお婆さんをごまかすためにデートをすることになったそうだが、どうにもこうにもこればれてるよねって感じだな、うん。
まあいい。それは良い。
ならば俺がすることはただ一つだ。
イッセーのデートを陰ながら見守り、しかし状況の急激な変化を抑制することただ一つ。
なんでも部長がゼノヴィアたちに釘を刺したようだがどうやら俺が動いていることには気づいていないようだ。っていうか前回バレバレの尾行した人がいうことではない。
そして前回はそのせいでいろいろとトラブルが発生したからな。今回はある意味偽装デートとはいえど成功させてやりたいと思うのだよ。
いろいろときな臭いことが多いわけでもあるし、そういうのを忘れて美人とデートを満喫させる。これ重要。
ゆえに今回も本気モードで対処する。
事前にヘリを一つ用意し、魔術的迷彩をかけたドローンを複数展開し、さらにそれを操作する人員を用意し、感づかれないようにするための連携行動パターンまで叩き込む。
これだけの準備を短期間でできるわけがなく、次のデートをより円滑に動かせるようにするために前もって準備していたものだ。前回朱乃さんが急激に動いたことで手こずったことを反省して備えは万全にしておいたのだ。
ふはははは! さて、それではじっくり安全を確保するために監視を―
「目下お前が一番危険度ファックなんだよ」
後頭部に手刀が叩き込まれた。
ぐ、ぐぉおおおおお!? 絶妙に意識がもうろうとなる威力!
「久遠とベルは引っ張り込めなかったのか? こいついろいろと暴走しすぎだろ」
「朱乃のデートで似たようなことしてた小雪がいう?」
声色からして呆れている小雪とナツミの声が聞こえ、俺は驚愕した。
「お、お前らいつの間にヘリに乗り込んでいた・・・?」
「お前やっぱり疲れてるよ。隙だらけだぞ」
「明日一日休んだ方がいいんじゃない?」
マジか! くそ、これでも休憩はちゃんと入れてるつもりだったんだが。
だが今更やめるわけにもいかん。何としても完遂しなければならない。
「まあ止めないから安心しなよご主人。っていうか止めようとしたらヘリ堕ちるし死人でるし」
「
「え、あ、そう? それはよかった」
そしてイッセーは見失ってなかった。うん、よかった。
「しかし久遠とベルはいないのか。久遠は学園がらみだとしてベルはなんでまた」
「いや、兵夜が心配だから誘ったんだけどね?」
ナツミはそこでいったん切って、少し変な表情を浮かべた。
「・・・なんかプラモたっぷり買ってこれから修行だってベルが」
「「何がどうしてそうなった」」
アイツ、確かゲン・コーメイが超能力者だという事実が発覚したことにより指導役に任命されてたんじゃなかったっけ?
あいつに限って訓練という名目でさぼるだなんて真似はしないというか無理だろうし、何か意味があるのだろうか?
「一体何を考えてるんだというかなんというか。プラモづくりをどうやって戦闘に生かせばいいのか皆目見当もつかない」
「ファックにわからん。何がどうしてプラモデルなんだよ」
「だよねー」
などと三人で考え込みながらイッセーのデートを調べまくっている。
すいませんロスヴァイセさん。なんであなたデートに至っても百均何ですか。デートぐらいもっと奮発してもいいんですよ?
などと思いながら様子を見ていると、ドローンの一つが厄介なものを映しだした。
・・・うわぁ、これは動かないといけないような気がしましたよ。
「やあ」
「これはこれは。今回は別に戦闘をするつもりはなかったのですが」
あわてて付近のビルの真上に移動→そこからダイレクトに着地→急いで降りる→気づかれないように早歩きで移動→今ここ。
って感じで間に合った俺は、ユーグリットの前に姿を現す。
「悪いんだけどイッセーもロスヴァイセさんもデート中なんだよ。要件なら俺が聞くから帰ってくれない?」
「そうですか。できれば間近で顔を拝見したかったのですが残念です。となれば日を改めることにするべきでしょうね」
余裕の表情を崩さずにユーグリットが素直に納得した。
まあ、こんな街中で暴れられたら困るのは俺たちなので逃がさざるを得ないわけだが。この野郎わかってるからこそ余裕だなオイ。
「実は彼女が666の研究をしていることを把握しまして、スカウトに来たのですよ。できればあなたともども来てくださると我が主が喜びそうなのですが」
「その返答は間違いなくNOだな。まあそんなことがおきていたとは想定外だから後でしっかり調べておくとしようか」
しかしまあ、この男東京のど真ん中に出現してスカウトとか正気か?
さすがはリゼヴィムの側近。ぶっ飛んでるにもほどがあるじゃねえか。
「それでは残念ですがお暇することにします。できればいい返事を期待したのですが、無理そうですしね」
「そういうことだ、さっさと帰りな」
できれば追跡したいが、うかつにやって勘付かれるとその瞬間に東京のど真ん中で頂上バトルの開幕確定である。
うん、そんなことしたら犠牲者の数が一瞬で数千突破するな。
と、言うわけで素直に見逃す。
「・・・666の封印解除のためには手段を選ばない、か。こりゃ大変なことになってきそうじゃねえか」
『同感だな。どうする? デート中の二人は呼び戻すか?』
別の場所に移動して狙撃準備に入っていた小雪がそう聞いてくるが、俺としてはそれは避けておきたい。
せっかくのデートなんだ、ここで中断させたら俺が割って入った意味がそれこそなくなっちまう。
しかし封印は意外とてこずっているようだな。直死の魔眼があればすぐに解除できそうだが、聖書の神の封印は伊達ではないということか。
「部長たちに報告だけしてイッセーたちはゆっくり楽しませておこう。・・・こっちから携帯にハッキングもしておいた方がいいかもな」
「兵夜、それもんすたーぺあれんとってやつになりかけてる」
ナツミが何か言ってくるが、しかしこればっかしは聞き入れるわけにはいかない。
せっかくのデートぐらい邪魔されずに楽しんでほしいんだよ俺は。それぐらいする権利はあいつにだってあるだろうし、それだけの余裕をもらうぐらいのことはしてるはずだ。
ま、というわけだからしっかり楽しんでから苦労してくれ。
こっちはこっちでいろいろと最低限の準備ぐらいは整えとくからよ。エスコートはしっかりとな?
「それで? 携帯のハッキングを解く気はないのね?」
「はい。あと2時間は粘って見せます部長!」
「あらあら、というよりそんな大掛かりな準備までしてデートの監視とは暇なんですの」
「何をおっしゃる朱乃さん。・・・この時間を作るのに俺がどれだけ頑張ったと思ってるんですか」
二大お姉さまが怖い笑顔を浮かべてくるが、俺はキリッとした表情を浮かべて徹底抗戦の体制を取る。
簀巻きにされてぶら下げられてるからサンドバックにしかならないけどね! でも頑張る!!
「まあいいわ。それより問題はユーグリットの方ね。クリフォトは人間界を巻き込むことに躊躇する気がないということだけはよくわかるわ」
「その通りですね。前回のテロ行為といい。彼らは必要とあれば人間界で堂々と暴れることすら厭わない。何かしらの対策をする必要があります」
部長の懸念に木場がうなづくが、確かにその通りだ。
これまでの禍の団は、一応物事を人間界から隠すことには気を使ってきていた。
だが、今回はそうはいかない。
クリフォトの目的は達成される過程においてこの世界に甚大すぎる被害が出る可能性がある。なにせグレートレッド級同士の激突だ。余波だけで世界地図が変更される規模の戦闘になるだろう。場所によってはギネス記録にでも乗りそうな大津波や火山の爆発だって考えられる。
そして厄介なことに、近年の禍の団のメンツの減少もこれに拍車をかけている。
なにせ転生者はことごとく生き残っている。しかもどいつもこいつもスペック高めの連中がだ。
久遠のところは堂々と公表されている世界がある。
ベルの場合はもはや堂々過ぎるというか社会常識。
ナツミは世界そのものが社会的に溶け込んでいる。
小雪の世界は魔術そのものは秘匿していたようだが、超能力の方は社会的に知られている。むしろそれウリにしてる。
総じて秘匿に対する意識が緩くなる。むしろ俺は、禍の団の介入が遅ければ学園都市流の能力者はどっかの国の発展のために堂々と公開されていたのではないかと割と本気で考えている。
たぶんフィフスが小雪の正体を想定していたからストップかけてたんだろう。出した瞬間にあいつが勘付くからその時点でアザゼルたち経由で異形勢力の介入が始まるからな。
逆にいえば大っぴらに特殊能力者開発技術が公開ってことにはならないのは確実か。そうなった時点で拠点であることがばれる以上、うかつなことはできないはずだ。
「ですが逆にいえばその手の研究家を張っていればクリフォトに仕掛けられるかもしれませんね。わざわざロスヴァイセさんを狙ったってことは、ロスヴァイセさんの研究テーマが666の封印解除の正解である可能性は高いですし、そこから狙われそうな人たちを探せるかもしれません」
俺としてはそこを突いてどうにかしたいところだ。
まあ、何はともあれ必要なのはこれからだ。
さて、クリフォトはどう動くのやら・・・。
アホがアホやってアホやらかした話。兵夜はある意味でヤンデレです。