ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド 作:グレン×グレン
戦闘に関しては、正直に言ってなかなか手こずっている。
幸い数に関してはバロール化したギャスパーの闇の獣である程度対抗できるが、人数において苦戦していることは否めない。
っていうかあいつらどこからこれだけ調達しやがった。
まあ、その気になれば材料を集める方法なんていくらでもあるし、学園都市では数十万でクローンが作れたりホムンクルス技術に長けるフィフスがいるわけだから苦労はしないのだろうが、グチの一つも言いたくなるってもんだ。
「数に劣るはずのテロリスト側が物量戦術とか笑えないなホント!」
「だよねー!」
俺が龍殺し弾丸を使用したイーヴィルバレトで牽制し、そこで動きが止まったところを久遠が寄って切るというパターンで、邪龍軍団を一匹ずつ確実に仕留めていく戦法で仕掛けているところだ。
幸い、こっちにも数は結構そろってたので対処の余地はいくつもある。
ガトリングガンタイプとかの設置を行い、後半戦に突入したら志願してきた父兄の方々に砲主となって足止めを行ってもらう予定だ。
設営作業をゴーレムに任せながら、俺は久しぶりにアクロバティックな戦闘を繰り広げる。
家や大型の器具などを足場にして飛び跳ね、三次元ジグザグ移動を駆使することで、邪龍共の反応を遅らせる。加えて偽聖剣をワイヤー化させることでさらにアクロバティックな動きで翻弄ちゅうだ。
足止めはする。数も減らしていく。両方しなきゃいけないのがつらいところだ。
「覚悟はいいか?」
「私は完了してるよー」
ノリのいい愛人で何よりだ!
とはいえ、面倒ではあるが弾がある限りこいつらは何とかできるだろう。
時折フィフス製の強化型が混じってくるが、それでも相応の量をたたきつければそれで終了だ。我ながら高性能の武器を開発することに成功したといわざるを得ない。
この調子なら、邪龍軍団に対する武装として実に有効だろう。金はかかるがこれは経費で落ちそうだ!
「トリガーハッピー! 撃って撃って撃ちまくるぜ!!」
「のりのりだねー兵夜くんー。私も切って切って切りまくるよー!」
とりあえず、今俺たちがいる部分はそう苦戦はしなかった。
思った以上に簡単に片づけれて、あっという間に一休みできる状況下だ。
「どうする? ほかの連中の方に合流するか?」
「ちょっと休んでからでいいよー。結構派手に動いたし、少し冷ましてからじゃないと失敗するかもねー」
実戦経験豊富な久遠の意見に従い、俺は缶ジュースを二つ出すと小休止に移行する。
しかしまあ、結構な数が出てきやがったな。
クリフォトの主力は邪龍軍団。そこにフィフスたちがいろいろ要所で攻撃を叩き込むっていうのが狙い何だろう。
「そういえばイッセーは内通者を確保できただろうか? あいつがそれに成功すれば奴らの目的の大半は無効化できるんだが」
「アーチャーさんの宝具は使えないのー? あれで結界を消せたら簡単な気がするけど―」
久遠の意見はもっともなんだが、しかしそれにはある問題がある。
「あの紫炎が厄介だ。まずあそこから突破するという観点が必要だし、何より遺跡の防衛として要は残しておく必要がある」
遺跡が奪われたら悪魔はかなりアウトだ。優先的に防衛する必要があるからな。
「となると、やっぱりイッセーくんの力で内通者を聞くのが一番だねー」
「それさえできれば、後はアーチャーが何とかしてくれるだろう。幸い向こうにはヴァーリもいるんだからな」
と、俺たちは小休止を終えてすぐに戦闘態勢を取り直す。
まだまだ先は長いんだ。こんなところでへばってる余裕はないってね!
と、次の瞬間町のそれぞれ別の方向から爆発が響いた。
『全員警戒してください! 邪龍とアサシンがそれぞれ別方向から攻撃を仕掛けてきました。死神の姿も確認されています!!』
おいおい大盤振る舞いだな。向こうも遠慮するつもりはないってか?
「どうする兵夜くん―。ここは別行動っていうのもありかと思うけど・・・」
「いや、邪龍の方は位置からしてイッセーが近い。俺たちはアサシンが来たとされる方向に急ぐぞ」
問題は、あの地点には木場がいるということなんだよなぁ。
あのバカ、無理してなきゃいいんだが!
佑斗Side
くっ! この戦闘は非常に危険だ。
「椿姫副会長! 下がってください」
「木場君こそ下がってください! もうグラムを使ってしまったのでしょう!?」
今目の前にいるのはアサシンの1人と女死神。
双方共に英霊の力を宿しているのだが、これが非常に驚異的だ。
死神の方はおそらくアーチャークラス。獣のような雰囲気を纏わせながら、僕でも負いきれないほどの速さで欠けながら正確に矢を放ってくる。
おそらく一人で来ても苦戦しただろう。間合いに寄せ付けない弾幕と逃げれるだけの機動力を併せ持っている以上、相性は比較的悪いといわざるを得ない。
だが、それ以上に驚異なのは目の前のアサシンだ。
「やはり、この英霊の力を宿すのが最もあなた相手に効率がいいようだ」
寄りにもよって、あのセイバーの力を宿すだなんて!
いま、目の前のアサシンはグラムを持って僕と切り結びながら、余裕がれば副会長にも攻撃を行っている。
剣の性能を引き出しきっているとはいえ、余裕を見せれるのはさすがにきつい!
「こうなれば、グラムの出力を限界まで上げて出力で押し切るしか・・・っ!」
技量で勝てないならオリジナルであるが故の利点で超えるしかない。すでに薬は使ってしまったので寿命を削るだろうが、そんなことを気にしている場合ではない!
いったん仕切り直して距離を取り、僕は魔剣の力を高めていく。
「木場くん駄目! 無茶をしては―っ!」
副会長が止めようとしてきたけど、死神の方が弓を放ったため阻害される。
確かに寿命は削るだろうけど、だけどここでやられるわけにはいかないんだ・・・!
「そこまでです、木場佑斗」
後ろから、声が聞こえた。
「できればあなたとは全力での戦いをしたいと思っています。最強の魔剣と最強の聖剣による心躍る戦いを果たすためにも、ここであなたに後遺症が残ってしまっては残念です」
振り返った僕たちの視界には、切り裂かれた空間と、そこから現れるアーサーの姿があった。
「彼は私が相手をします。あなたはそちらの方と一緒に、死神の方を相手にしていってください」
言うが早いか、アーサーはコールブランドを構えてアサシンと切り結ぶ。
アサシンも剣をコールブランドに変えて切り結ぶと、そのまま切り合いを勃発した。
僕から見ても高次元だということがよくわかる戦いだ。やはり彼はまだ僕より上にいる剣士だということか・・・!
「よそ見をしている余裕があるか」
後ろから死神が矢を放つ。
くっ! 一人に意識を集中できるのは助かるけれど、それでもこの早さはかなりやりづらい。
今まで自分の速さで翻弄することの方が多かったから、逆に早さで翻弄されるというのになれていないのが現状だ。
僕たちは背中をかばい合いながら死神の攻撃を避け続けるが、しかしそれでも少しずつ傷をおっていく。
時々副会長が鏡を展開して楯にするが、一撃の威力をそこまで重視するタイプの武装でないこともあって、反射された衝撃が相手に当たることはない。
そして、アーサーの方も苦戦を強いられていた。
コールブランドに使いなれているアーサーは、真正面から後ろを刺しに行くなど、テクニックタイプにふさわしい鋭い動きでアサシンと切り結ぶ。
だが、アサシンはそれらすべてをかわしながら、正面からの斬り合いでアーサーを押していた。
「剣のシステムは引き出せていてもパワーは引き出しきれてない様子。これでは他愛ないな」
「伸ばすべきところが見えるのは好都合ですが、さすがにこの戦いでは屈辱ですね!」
あのセイバーの力の前には、アーサーですら苦戦を強いられるのか!
マズイ、アーサーは避難の要ともいえる人材だ。もしやられることがあれば、僕たちの戦術は大きく崩れ去ることになる!
「その程度ならば、ここで死んでいくがいい!」
「では限界を超えてみましょうか。ええ、それぐらいできないで聖王剣の主になどなれるはずがない!!」
アーサーとアサシンが大技をぶつける直前―
「ちょっと待ったー!」
絶妙な間で、桜花さんが野太刀を片手に割って入った!
「桜花! 来てくれましたか!!」
「お待たせしました副会長ー。騎兵隊の到着ですよ、ほらー」
そういって指をさす方向を見ると、そこには宮白くんが近づいてきていた。
だが、なぜか馬みたいなものに乗っているんだけどあれは何?
「フハハハハ! ゴーレム機能と封印系神器の技術を駆使して作り上げた機動力強化型武装。サラブリオンだ! まさに騎兵隊さ!」
そういいながらイーヴィルバレトで死神をけん制すると、そのまま宮白くんは走り続ける。
「さあこいよ! どうせお前の狙いは俺なんだろう?」
「当然だ下郎! ハーデス様の屈辱、倍にして返してくれるわ!!」
そういいながらあっという間に遠くに行って見えなくなっていく二人。
お、追いかけたほうがいいんじゃないだろうか?
桜花さんの反応が気になるが、しかし彼女はかなり平然としていた。
「ほらほら、アーサーさんはさっさと学校行ってください。副会長と木場くんも休んでてー。こっちは―」
視線は細く、動きは最小限。
ほんのわずかな時間で、彼女は完璧なまでの戦闘態勢を整えていた。
「私が頑張って、切り裂きますんでー」
最近になってふと気が付いたけどフィフスは本当に物量で押してるよなぁ。規模で劣るはずのテロリストなのに。