ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド   作:グレン×グレン

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防衛戦、佳境です!

Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 アグレアスの大地は雪に埋もれていた。

 

 その豪雪はまるで来るものすべてを拒む拒絶の意思を感じさせ、事実来報者たちに悪意を持って凍結という名の排斥を示す。

 

 冬将軍。侵略者を襲う極寒の象徴がライダーとして召喚された結果、彼は侵略者に対して特攻効果を発揮するこの力を発揮する。

 

 そして、その空間内では外敵は凍え震えることを余儀なくされる。

 

 だが、その中でも脅威というものは確かに存在するものである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 拳と剣がぶつかり合い、その余波で雪が吹き飛び周囲を白く染め上げる。

 

 サイラオーグバアルの拳は、すでに冥界でも有数のそれとなっている。

 

 直撃をもらって耐えられるものなど、上級悪魔でも少ないだろう。

 

 しかし、それと真っ向から渡り合えるものがまだいるのも事実。

 

 旧魔王アスモデウスの末裔、ザムジオ・アスモデウスもその一人だった。

 

「なるほど。魔王を目指すと豪語するだけあって重い拳だ。才能も修練も執念も込められていては、脅威としかいうほかあるまい」

 

 罅だらけになったルレアベをしげしげと眺め、ザムジオは目の前の脅威を確かに認めた。

 

「言ってくれる。獅子の鎧をもってしても砕けぬその剣。そしてそれを使いこなすその技量、魔王の名にふさわしい」

 

 サイラオーグは拳を構えながら警戒する。

 

 武器はこれで使用不可能にしたが、それで終わるなどとはとても思えない。

 

 ザムジオの力はまさしく魔王の血を引いていると思わせるだけのものがあった。

 

 そして鍛錬の重なった堅実な強さでもあった。血の宿命にこだわり努力を軽視する旧来の悪魔ではこの手の強さには至るまい。

 

 お互いがお互いの実力を認め、しかしそれゆえに相いれない。

 

「・・・解せんな。なぜおまえはリゼヴィムに協力する」

 

「今の組織の長はリゼヴィムだ。ならばそれに仕えるのは当然だろう」

 

 サイラオーグの問いに、ザムジオは間髪入れずに答える。

 

 クリフォトの前身は禍の団であり、ザムジオ・アスモデウスは禍の団の一員。

 

 ならば現状の組織の長に仕えるのは当然のことだと、彼はそう言い切った。

 

「元よりグレートレッドの撃破は禍の団の根幹の目的だ。少なくともそれを遂行するという時点において、我々は一切ぶれていないだろう?」

 

「なるほど。お前もグランソードと同じタイプということか」

 

 サイラオーグはザムジオの危険度を高めに修正する。

 

 彼は確かにこれまでの旧魔王派とは一線を画す人物だが、しかしそれゆえにそれ以上に危険だ。

 

 真面目すぎるがゆえにグレートレッド撃破が絶対条件になってしまっている。自身の目的達成とそれは同じ道の先に決めてしまったのだ。

 

 ならば、今の冥界を守るものとして彼は倒さねばならない。

 

「その武器でどこまでできるがわからんが、このアグレアスを奪おうとするのならば、まず俺を倒していくがいい」

 

 サイラオーグは今ここが彼を倒す好機だと認識した。

 

 主武装が大きく破損している現状ならば、勝機は十分にある。

 

 これ以上アグレアスを危機に巻き込むわけにもいかない。できればここで倒しておくべきだと判断する。

 

「・・・貴様は冥界の敵だということがよくわかった。ここでその武器と同じように砕け散るがいい」

 

「私はともかくこのルレアベを舐めてもらっては困る。四つの奇跡のうちの一つをお見せしよう!」

 

 ザムジオはそう言い放つと、剣を天へと掲げる。

 

 その瞬間ルレアベは輝き光へと変わる。

 

 光と変わった刀身はそのヒビを埋めていき、そして再び刀身へと戻った時には、傷一つない美しい姿を見せつける。

 

「修復だと?」

 

「そう、これがルレアベの奇跡の一つ。刀身の自動修復だ」

 

 直った剣の調子を確かめるようにザムジオはルレアベを振るい、そしてその切っ先を突きつける。

 

「さあ来るがいい。貴様は魔王を目指しているのであろう。誇り高き四大魔王の字名を借用しようなどという愚か者には、相応の叱責というものが必要だからな」

 

 静かに、静かにザムジオは一歩を踏む。

 

「では、第二ラウンドを始めようか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side Out

 

 

 

 

 

 

 

 くそ、死神を見失った!

 

 状況不利と見ていったん仕切り直しやがったか。乱戦状態だとあの機動力は厄介だし、できれば今のうちに倒しておきたかったんだが!

 

 仕方がないのでいったんアウロス学園まで戻ってみれば、こっちはこっちでみんな集合して大詰めになっていた。

 

「おいイッセー! 状況は一体どうなった!」

 

「見りゃわかんだろ! やっぱし魔法使いの中に裏切り者がいやがった。プランBに決定!」

 

 つまりアーサーに運び屋をやってもらう方向で確定と。

 

 因みに避難場所はアグレアスの深部。あそこもターゲットにはなっているが重要防衛地点があるので、下手に分散させるよりかは安全だということになった。

 

「アーサーの方が戦闘したくて我慢できなくなりそうな懸念があるんだが、大丈夫かね」

 

「なんか落ち込んでたぞ?」

 

 何があった。俺がいない間に一体何があった。

 

 とはいえ、そうなったのならばこっちも本腰を入れて戦闘を行うべきだろう。

 

 足止めのためにゴーレムを大量展開。全部に特注弾丸を装備させて攻撃を行わせる。

 

 俺の方は攻撃を当てるのではなく逃げ道をふさぐ方向でぶっ放し、的確にクリティカルな攻撃を叩き込む方向でいった。

 

「イッセー! 量産型ならそこまで耐性できてないだろうし、アスカロンでぶった切れ!」

 

「おうよ!」

 

「じゃあ私も本領発揮できるかなーっと!」

 

 対龍武装を持っているイッセーと久遠が堅実に一対ずつ確実につぶしていく。

 

 木場もグラムを使いたがるかと思ったが、こちらもなぜか動きに精細さがかけている。

 

 久遠は一体何をしたんだろうか?

 

 とはいえアグレアスの方は戦力が充実しているから大丈夫だと思うが、奴らもこのまま終わらせるとは思えない。

 

 何とかしてここで奴らを倒さなければ・・・。

 

 などと思っていた時に、ゴーレムが集まっていたところが何やらどっかんぼっかんぶっ飛び始めた。

 

「おほほほほほ! 燃え燃えできないので直接燃やしに来ましたわん!」

 

『よう赤龍帝! ここをぶっ壊そうとすればお前らが本気出してくれるって聞いたぜ?』

 

『なかなか面白そうな方々が多いですな。私の結界がどれだけ通用するか楽しみです』

 

 オイオイオイオイ! ここにきて幹部格の登場かよ!!

 

 確か、人型ドラゴンがグレンデルで、微妙に似合ってないゴスロリがヴァルプルガで、あの木製ドラゴンはラードゥンとかいう奴か。

 

 チッ! まだ避難も終わってないってのにまとめて登場とか面倒だな、オイ。

 

 だがそれは仕方がない。

 

 こうなれば確実に叩き潰す!

 

「行くわよ皆! ここが正念場と心得なさい!!」

 

 部長が激を飛ばし、真っ先にかなり収束された消滅の魔力を叩き込む。

 

 ああ、ここで負けるようではグレモリー眷属の名が廃るぜ!!

 

『面白い! グレモリーの娘の消滅の魔力とは、防ぎがいがあるというものです!』

 

 目の前に障壁が展開され、部長の魔力を真正面から受け止める。

 

 さすがは邪龍といったところだが、俺たちは複数いることを忘れてないか、ああ!

 

「はいはいいただくよー!」

 

 瞬動で加速を付けた久遠が素早くラードゥンの懐に潜り込んで切りつける。

 

 ラードゥンはそれを結界を張って防ぐが、直後に久遠は瞬動の連発で全く別の場所に移動して再び切り付ける。

 

 それもラードゥンは防いで見せたが、しかしそこに隙が生じるのもわかりやすい。

 

 俺はそこに躊躇なく対龍弾丸をまとめてたたきつけた。

 

『むぅ。グレンデルほどではありませんが、体の頑丈さには自信があったのですがね』

 

 軽傷ではあるが確かにダメージは入った。この調子ならなんとか行けるか?

 

 と、思ったその時視界の隅に棒が伸びたかと思うと、そのまま掬い上げるように俺が動かされる。

 

 そしてその直前までいた場所に紫色の炎が駆け抜けた。

 

「あらあら、隙をついて燃え燃えしちゃおうかとおもいましたのにん。さすがに簡単にはいきませんわねぇ」

 

 あっぶねえ! さすがに集中力が切れてきたか!?

 

「悪い助かった!」

 

「あまり油断しないでくれ。君に何かあったら桜花が悲しむ」

 

 例の如意棒擬きをうまく使ってファインプレーをしてくれた由良に礼を言ってから、俺は気を引き締めなおした。

 

『全く、眷属になって日が浅いのにこうも出来事が盛りだくさんだとは思いもしませんでしたぜ』

 

「私がリアス部長の眷属になってからもこんな感じだ。あきらめたほうがいいぞ」

 

 邪龍軍団を相手に、ベンニーアやゼノヴィアが全力で戦っている。

 

 こりゃ俺も気を引き締めたほうがいいが、しかしこれは非常に面倒だ。

 

 蒼穹剣を使えば1人は確実に押させられるが、しかし誰を相手にすればいいのかという難点がある。

 

 蒼穹剣は連射が効くような代物ではない。そもそも化け物じみたグレモリー眷属をどうにかできる化け物が少数派なうえに、それが多数同時に襲い掛かってくる状況かなど想定しても対処できるわけがないからあえて度外視していた。つまり設計思想的にそんな化け物を何体も相手にすることを想定していない。

 

 ゆえにこの状況はある意味最悪だ。蒼穹剣の使用を考えるレベルの敵を複数投入するというのは実に面倒な展開だ。

 

 だが想定してしかるべきだ。蒼穹剣に限らず、強敵に対して戦力の集中投入は基本といえば基本。そうなる可能性は考慮に入れるべきだった。

 

 どうする? 策はあるがだからといってどうにかできるかどうかがわかりずらい。

 

 この状況下に俺は腹立たしくなる。

 

「・・・兵夜。蒼穹剣をグレンデルに使いなさい!」

 

 その時、部長が声を上げた。

 

「部長! しかし一度使えば再使用は・・・!」

 

「気持ちはわかるけど今ここで倒されたらそれこそ負けよ! 出し惜しみをしている状況ではないわ」

 

 部長に切って捨てられるが、確かに正論だ。

 

 敵が勝負をかけに来てる感じである以上、これ以上出し惜しみをしている暇はない。出せるものを出せずに負けるとかあほでしかないのは確かに事実だ。

 

 だが見極めが足りないこの状況下でやっていいのか?

 

「安心しなさい。もう片方は私が倒すわ。少しは主に期待しなさい」

 

 そういうと、部長は魔力を収束し始める。

 

 ああ、そういえば必殺技を作ってましたねあなた。

 

「皆! 少しだけ時間を稼いで。そうしたら面倒なのはこちらで片づけてあげるわ!!」

 

「まあそういうわけなんでよろしく頼む! とりあえず1人は確実に叩き潰す!!」

 

 




ザムジオとの戦闘に追記、この話ではサイラオーグは参戦不可能です。

いや、主人公がいないところでも幹部が暴れることだってあるんだよって感じを出してみたかったんです。

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