ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド   作:グレン×グレン

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フィフス、暗躍です!

 

 ・・・なんとかふんどしと変態をとっつかまえ、増援も来て一安心。

 

 お風呂無事だったらひとっぷろ浴びていいだろうか? ついでにお酒も飲んでいいだろうか?

 

 などと考えながらぼんやり空を眺めていると、すぐにあわただしくなってきた。

 

「ご主人!? 襲撃あったって聞いたけど大丈夫!?」

 

「兵夜さまぁああああああ!! ご無事ですね!? 実質役立たずで申し訳ありません!!」

 

「二人とも落ち着けよ。久遠の方も大丈夫だったみてーだし、何とかなってんだろ」

 

 慌てて駆け寄るナツミとベルをなだめながら、小雪は不敵な笑みでアウロス学園を見る。

 

 まあ余波でところどころダメージはあるが、ほぼ健在だった。

 

「ルーマニアでの騒ぎを経験してて助かったぜ。内通者のドラゴン化まで予想できてたから念のため引き離したが、まさか爆弾にしてるとはなぁ」

 

「知ってる知ってる! まさに外道っていうんだよね!」

 

「確かに外道ですね。実質そのままでは」

 

「ベル、そいつはネットスラングって奴だからな? だれだナツミにファックな言葉説明したのは」

 

 などとだべりながらいい女たちとのいい空気を吸い込んでいると、少し離れたところから足音が聞こえてきた。

 

 お、こりゃ久遠が来たということか。待ってまし―

 

「兵夜くんー! 助けてー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そこは、まるで通夜のような空気だった。

 

 強力無比な聖剣、デュランダルの担い手ゼノヴィア。

 

 最強の聖剣、聖王剣コールブランドの使い手アーサー。

 

 聖魔剣の使い手にして魔帝剣を含めた五つの魔剣に選ばれた男、木場祐斗。

 

 間違いなく世界最強クラスの剣に選ばれた、剣士としてよだれが出るほどうらやましいだろう逸材たち。

 

 当人の技量も年齢不相応といっていいほどに高く、将来の成功は約束されているといっていい若き英雄たち。

 

 そんな彼らがお通夜のような空気で沈み込んでいた。

 

 そしてその三人を心配そうに見ながら、ぼろぼろのヴァーリが困ったような表情を浮かべていた。

 

「正直リゼヴィムを逃がしたことを気にしている暇がないんだが、何があったんだ?」

 

「いやーそのーあのーそのー」

 

 悪意によって何かしたのなら許さない。と殺気すらにじませるヴァーリに、久遠はすごく困ったような顔を浮かべる。

 

「・・・久遠、何があっても俺が切り札使って守るから素直に言え。・・・何があった?」

 

「せ、セイバーのデットコピーを倒したのが原因みたいでー」

 

「デッドコピーなら問題ないだろう。セイバーそのものが先に倒されたのなら不満に思うかもしれないが」

 

「木場がそんなこと気にする奴か?」

 

 俺とヴァーリは顔を見合わせて、そして三人の方を向く。

 

「ふ、ふふふ。ザムジオの言ったとおりですね。私はコールブランドにふさわしくない・・・っ」

 

「デュランダルの担い手が何だというのだ。しょせん私はただの猪武者だ・・・」

 

「だめだ。勝てるビジョンが浮かばない。そんなのをあれで倒すなんて桜花さんは・・・化け物だ・・・っ」

 

「「本当に何をした?」」

 

「・・・あ~、あたし分かった気がする」

 

 小雪がポンと手を打って何かに納得した。

 

「ほらあれだろ? 異能力系チート相手に能力使わず倒すってやつ。あれじゃねえか?」

 

「大体その通りです」

 

 木場の肩をさすっていた副会長が、神妙な顔でうなづいた。

 

「詳細は後で説明しますが、武器の性能を引き出す勝負ではなく単純に相手を切り裂く技能で勝負して勝ってしまいまして」

 

「なるほど。・・・強大な武器を持つことを自信にしていたわけですから実質足元が崩れたようなものですね」

 

「うわぁ、そりゃキッツい。魔導士同士のバトルで魔法使われずに倒されるようなもんだよそれ」

 

 ベルとナツミが心底同情して視線を向ける。

 

 ・・・特に木場は最近魔剣を手に入れたばっかだからなぁ。反動もでかい。

 

「いや、えっとねー? だってセイバーは剣の性能100パーセント引き出すんだし、その土俵で勝負して勝つのはちょっと無理があるでしょ、若手なんだしー」

 

「お前はどう考えても中身30超えたベテランだろうが」

 

「だからだよー。禁手は目覚めて一年もたってないんだから性能引き出しきれてないしー!」

 

 いやまあそうなんだが・・・。

 

「ま、いいじゃねえか? 武器(マシン)の性能に頼ってる使い手は二流。ファックな扱いされたくなけりゃ、三流の装備で一流の仕事ができねーとな。言うじゃねーか、弘法筆を選ばずって」

 

 小雪がフォローするが、しかしそれは今言っていいのだろうか?

 

「あ、三人とももっと落ち込んだ」

 

「な、なんか部屋の中が実質薄暗くなってきたんですが!」

 

 だめだこりゃ。

 

「生徒会長? ちょっとこの人たちに説教してくれませんかねぇ?」

 

 すいません功労者を疲れさせないでくれませんか?

 

「あ、それ無理ー」

 

「なんでだよ? そりゃファックな話かもしれねーけど適任ちゃー適任だろ?」

 

 久遠の沈んだ発言に小雪が素直な感想を示すが。そこにベルが静かに肩をつついた。

 

「あの、小雪ちゃん? そ、ソーナちゃんすごい熱っぽいですよ?」

 

 ああ、そういうことか。

 

「うわ!? ソーナ顔真っ赤!! どしたのその顔!?」

 

「そ、そ、その・・・」

 

 おお、セラフォルー様がらみですら見れないようなすごい赤い顔だ。

 

 ああ、そういえばそうだったな。

 

「まさかマジで気づいてなかったんですか、匙に惚れられてること」

 

「そ、そんなことを言われましても! 匙は二人に想われてるわけですしあの子はどちらかというと、お、おと、おとう・・・」

 

「匙何やったのさ」

 

「イッセーもびっくりの男を見せてついうっかり愛の告白《ソーナちゃん大好き》ぶちかまして禁手になった。でもってふんどしにとどめ刺したときもラブコールしながらだったぞ」

 

「・・・ソーナ。真面目に答えないとだめだよ?」

 

「な、ナツミ!!」

 

 純粋なナツミの突っ込みは痛いな。これは逃げられない。

 

「まあもっとゆっくり考えた方がいいと思いますよ? あのバカできちゃった婚が目的ですから。・・・断ってもいいような気がしてきたな」

 

「それは実質知ってますけど、何も断るだなんて言わなくても・・・」

 

「いやそりゃそーだろ。できちゃった婚とかファックだろ」

 

 普通に結婚しろよ。なんでできちゃった婚だよ。難易度高いというかそれ普通失敗談だからね?

 

 しかしまあ、これで一歩前進か。いわなかったらいつまでたっても気づかなかったかもしれないもんぁ。よかったよかった。

 

「うんうんー。成功するにしても失敗するにしても、思いがわかるってのはそれはそれでいいもんねー。とりあえず今度一緒にデートしましょうー。兵夜くんは気が利くから二人ともがちがちに固まっても大丈夫ですよー。何かあったら私が守りますからー」

 

「ダブルデートを前提にするな! 一緒についてく気満々かよ!」

 

 こいつすごいな! ある意味俺よりすごいぞ!

 

「「お前が言うな!」」

 

 ぐあああ!? んなこと思ってたら後ろから突っ込みが物理的に痛い!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ああ、ふんどしはちゃんと回収したぞ? 文字通り骨折ってくれてご苦労さん」

 

「本来の魔王様に従ったまでだ。礼を言われる必要はない」

 

「んなこと言うなよ。何が目的かは知らないが、よりにもよって魔王クラスの化け物をわざと逃がすなんて裏切り行為してくれたんだからお礼は言うぜ、ディハウザー・ベリアル」

 

「しかし、捕まっても私が逃がす予定なのだからあんなことをしなくてもよかったのではないか?」

 

「理由は二つあるよ。まずヴァルプルガじゃお前を半殺しにして逃げるなんて無理だ。なんたって魔王と同等クラスの悪魔なんてあいつクラスじゃないと荷が重い。眷属が割って入る間のない不意打ちなんて言い訳までセットなんだぜ?」

 

「なるほど。確かにそれだけのことができるものは神クラスでも少ないだろう。・・・もう一つは?」

 

「あの船の中身の大半は大型の解析装置だ。今後のためにちょっとデータをとっておきたくてな。・・・あとは調整データのすり合わせに一回体当たりでデータ回収すれば何とかなるな」

 

「・・・まあいいだろう。それより、もう一つの約束の品は届いたかね?」

 

「ああ、悪魔の駒のベースマテリアルが結構回収できてよかったよ、あの魔女がいるからにはアグレアスを転移できても遺跡を転移失敗って可能性があったからな、確実に入手しておきたかったんだこれが」

 

「それで、リゼヴィム様には話は通ったのか?」

 

「魔術師はちゃんと交わした契約は守る。俺が脅してる相手にあいつが聞けば、さすがに嘘もごまかしも言わねえよ。そういう連中を選んで聞くから安心しろ」

 

「そうか。報われる・・・などとは言わないが、これでようやく確証が持てる」

 

「そうなればこっちにも得だしな。ああ、安心しろよディハウザー・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「王の駒の真実は、俺たちが必ず暴いてやる」

 




フィフスが裏で暗躍してます。彼はケイオスワールドを代表とする悪役なので、ぜひ活躍を期待してください。とんでもないことをやらかします。


それはそれとして久遠大活躍の回。敵の疑似サーヴァントを撃破し、最難関の欠点を導き出すのに協力し、とどめに味方の剣士組の半分近くへし折りました(笑

オリジナルのせいばーの場合ステータスも高いのでさすがにこうはいきませんが、セイバーの能力で引き出せるのはあくまで県の性能だけなので、剣の性能にこだわらずに相手を切り殺す技量を変化させなければこっちは模倣されません。

・・・ようは、サーヴァントを殺せるだけの霊的加護があればそれ以外はナマクラ刀でもいいんです。限界を超えて性能を引き出せるような一級品サーヴァントでなければこちらの方が対処法としては簡単です。




それはそれとしてファニーエンジェル編。・・・ここまで到達したD×D作品ってあとどれぐらいあったっけ? 長かったなぁ。

ファニーエンジェル編を担当する兵夜ラヴァーズは小雪です。原作における方向性から逆算して、彼女が一番ふさわしい展開を用意できると思いました。

そしてそれはそれとしてケイオスワールド史上、最も頭悪い戦いも勃発します。直接兵夜たちが巻き込まれる規模なら最大級の危機がD×Dを襲う!!

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