ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド   作:グレン×グレン

23 / 361
特訓編その2


特訓、がんばってます!

 

 美味い!

 

 特訓を終えて夕食を取っている最中だが、本気でうまい!

 

 俺の目の前には、山菜料理、牡丹肉料理、魚料理が並ぶ!

 

 全部この山で採れた自然の代物がふんだんに使われている。

 

 本気でうまいぞこれは!

 

 何でも朱乃さんの手作り料理とのこと。松田と元浜に言ったら血涙を流して恨まれるな。

 

 あまりのうまさに、皆箸を止めずにたくさん食べる。運動すると腹が減るし、これは嬉しいごちそうだ。

 

 イッセーと小猫ちゃんもすごい勢いで食べている、小猫ちゃんはものすごい静かにあの速度で食べるのには、正直引く勢いではある。

 

「サイコーです朱乃さん! 嫁に欲しいです!」

 

 コラコライッセー。そんなこと言ってると―

 

「うう・・・。私も作ったんですよ」

 

 ほら、スープ作ったアーシアちゃんが拗ねた。

 

 ・・・これなら簡単そうだし、レシピ教えてもらうか。

 

「おっと! ・・・うん、アーシアのスープもマジうめえ!!」

 

 イッセーはあわててフォローを入れる。

 

 ・・・よし、アーシアちゃんの機嫌も戻った。

 

 やっぱりメシはいい気分で食わないとな。

 

「それでイッセー。今日一日修行してどうだったかしら」

 

 部長がお茶を一口飲んで、イッセーに問いかけた。

 

「・・・俺が一番弱かったです」

 

 うん、落ち込んでいるところ悪いけどフォローできない。

 

「そうね。それは確実ね」

 

 さすがに部長もフォローできないか。

 

「朱乃、祐斗、小猫はゲーム経験こそないけど、実戦経験があるから対応できるわ。兵夜も戦いなれているし、ゲームに対応する分にはもんだいないわ」

 

 俺は思った以上にベタ褒めだな。

 

 確かに喧嘩慣れはしているが、別に前世でも実戦経験はないぞ?

 

「でも、アーシアとイッセーは実戦経験はほとんどないと言っていいわ。でもアーシアには回復能力、イッセーには赤龍帝の籠手という、相手からしたら無視できない力がある」

 

「最低でも逃げ回る力は必須ですね」

 

 部長に同意する。

 

 俺も最初の方は大変だった。これが意外と難しいんだ。

 

「逃げるのってそんなに難しいんですか」

 

 イッセーが素人らしい疑問を上げる。

 

 ここは俺が言った方がいいだろう。

 

「ただ背中向けて逃げるなんて、狙ってくれって言ってるもんだからな。これが一番大変だぞ?」

 

「マジか! そりゃ頑張らねぇとな」

 

 よし、理解はともかく納得はしてくれたようだ。

 

 特にイッセーは前衛だし、なんとしても回避を覚えてもらわないとな。

 

 しかし疲れた。こういうときは熱いシャワーでも浴びて汗を流したいもんだ。

 

「食事も終えたしお風呂に入りましょうか。ここは温泉だから素敵なのよ」

 

 ・・・温泉付き!? どこまで豪華なんだこの別荘は!

 

 悪魔社会の片鱗を覗き見た。これほどとはグレモリー眷属。

 

 ・・・しかし不味いな。イッセーの奴、視線が完全にエロの方向に向かってるぞ。

 

 ここは釘をさしておくか。

 

「覗きは厳禁だぞイッセー」

 

「僕も覗かないよ」

 

 図らずも、木場との連携攻撃になったな。

 

 視線を交わすとシンパシーを感じるぜ。

 

「あ! バッカお前ら!」

 

「あらイッセー。私達の入浴を覗きたいの?」

 

 ああ、いい気分で食事してたのにカミナリでも落ちたら台無しじゃないか。

 

 まあ、これもイッセーの失態だ。

 

 スケベを堂々とやっていると人生損だと、いい加減気づいてくれれば―

 

「なら、一緒に入る? 私は構わないわよ?」

 

 ・・・・・・・・・。

 

「部長ストップ! 正気ですか!?」

 

 思わず叫んでしまった俺は悪くない。

 

 何を考えているんですかあなたは!

 

「あら、別にイッセーには何度も見られてるし、特に問題はないわ」

 

 何度も!?

 

 あの、グレモリー先輩の胸を!? いや、この流れだと全裸を!?

 

「いやいやいやいや! ちょ、朱乃さんも止めてください!!」

 

「イッセーくんなら別にかまいませんわ。うふふ、背中を流してあげましょうか?」

 

 なんですと!?

 

 いくらなんでも寛容すぎやしませんか皆さん!

 

 こ、これは俺も便乗して記憶した方がいいのか? 天が俺にそうしろと叫んでいるのか!? いや魔王か!

 

 ダメだ、誰か常識的な範疇で止めてくれ!

 

「アーシアも、愛しのイッセーなら大丈夫よね?」

 

「い、イッセーさんなら・・・」

 

 アーシアちゃんまでうなづいちゃってるよ!?

 

 ま、まさか悪魔社会ではこれが常識なのか?

 

 そういえば、ライザーも婚約者の前でキスをするなどと言う暴挙を行っていた。

 

 そうか、そうなのか?

 

「小猫はどう?」

 

 ・・・良し、ここは小猫ちゃんの反応で確かめよう。

 

 さあ教えてくれ塔城小猫! 悪魔の世界の真実を!!

 

「・・・嫌です」

 

 両手で×までしてくださいました。

 

「よく言った小猫ちゃん! 俺の常識を守ってくれてありがとう!!」

 

「・・・よくわかりませんが、どういたしまして」

 

 あまりの展開にパニックになっていたぜ。危ない危ない。

 

「じゃあ、この話はなしね。ごめんなさい、イッセー」

 

「ち、ちくしょう・・・っ」

 

 床に膝をつくなイッセー。

 

「あ、覗こうとしたら不能にするからな」

 

「・・・うぐっ」

 

「・・・釘をさしてくれてありがとうございます」

 

 小猫ちゃんから感謝されたよ。

 

 うん、悪魔の世界も人間と大して変わらない常識だ。覚えておこう。

 

「イッセーくん。僕と裸の付き合いをしよう」

 

「木場、止めをさすな。・・・ま、背中ぐらいは流してやる」

 

「マジで殺すぞお前らぁああああ!!!」

 

 夜の山に、イッセーの嘆きが響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 深夜にも特訓があった。

 

 しかも、昼間よりハードだった。

 

 何を言っているのかわかるだろう? つまり本気でスパルタだった。

 

 非常に面倒なことに、部長は修行関連に置いて本当に鬼だということだ。

 

 かろうじて大丈夫だったが、イッセーはひどい筋肉痛にさいなまれていることだろう。

 

 本当にひどいトレーニングだった。

 

 これが後何日も続くのかと言うと正直悪魔やめたい。

 

 ちなみに、今日の午前はトレーニングはお休みして悪魔講座。

 

「・・・アザゼル、シェムハザ、アルマロス、バラキエル、タミエル・・・ベネムエにコカビエル・・・さ、さ、サハリエル!」

 

「正解。全員覚えているみたいでよかったよ」

 

 なんとか木場の質問に答えられた。

 

 さっきから、天使、悪魔、堕天使のトップの名前を答えることになったのだが、これが意外と大変だった。

 

 ちなみに、イッセーは堕天使で躓いている。

 

 何とか悪魔関係の常識を答えることができて良かった。

 

 俺も悪魔になったわけだし、最低限の常識ぐらいは覚えておかないと後が怖い。

 

 だが、悪魔側だけ勉強しても意味がない。

 

 続いて説明されるのはアーシアちゃんによる教会の知識だ。

 

「では、僭越ながら私、アーシア・アルジェントが『悪魔祓い』について説明します」

 

「よ! 待ってました!」

 

 イッセーは拍手をするな。

 

 アーシアちゃんはそれに顔を真っ赤にしている。この子は本当に可愛いな。

 

「コホン。えっと、私が以前所属していた組織には、二種類の悪魔祓いがいました」

 

 二種類もいるのか。

 

 悪魔祓いもいろいろあるって言うわけか。こりゃまた世界は広いもんで。

 

「一つはテレビなどで見る『表』の悪魔祓いです。聖書を読み、聖水を使い人々にとりついた悪魔を祓う悪魔祓いです。そして、もう一つの『裏』の悪魔祓いこそが悪魔にとっての脅威となります」

 

 なるほどアレか。

 

 アーシアちゃんの説明を木場が引き継いだ。

 

「イッセーくんや宮白くんもあったことがあるだろ? 神または堕天使の加護を受けた悪魔祓いさ。人間離れした身体能力と光を使いこなして悪魔を滅ぼすんだ」

 

 ああ、あのフリードみたいなやつのことか。

 

 正直あいつは強敵だった。戦闘能力は非常に高いし、何より性格が非常に疲れる。

 

 できれば二度と会いたくない。

 

 そんなことを考えていると、アーシアちゃんがカバンから水のようなものが入った小瓶を取り出していた。

 

 部長は何やら汚いものみたいに指でつまんでいる。

 

「次に聖水と聖書の特徴をお教えします。まずは聖水ですが、悪魔の方が触ると大変なことになります」

 

 硫酸みたいなもんか? 焼けただれるぐらいで済めばいいんだけど。

 

「そうね。アーシアももう触っちゃだめよ。お肌が大変なことになるわ」

 

「そうでした。もう・・・触れません」

 

 十字架やら光やら聖水やら、悪魔には弱点が多いな。

 

 まあ、それはいろいろと今回には役に立ちそうだ。合宿が終わったら何とかいろいろと試してみた方がいいだろうな。

 

「製法も後でお教えしますね。いくつかありますから」

 

 いくつもあるのか。聖水っていろいろと作り方があるようなもんなんだな。

 

 そしてアーシアちゃんは、今度は本を取り出した。

 

「次に聖書です。小さいころから毎日読んでいたのですが、今は一説でも読むと頭痛がすさまじくて困っています」

 

「悪魔だもの」

 

「悪魔ですもんね」

 

「・・・悪魔」

 

「うふふ。悪魔は大ダメージ」

 

「ま、悪魔だしな」

 

「ううう、もう聖書も読めません!」

 

 連続ツッコミにアーシアちゃん涙目。

 

 イッセーも突っ込めよな。おかげで俺が止め刺しちゃったじゃねぇか。

 

 つーか、この子もなに聖書読んでんだか。

 

 目を離したら勝手に浄化されてそうで正直心配になってきた。この子意外と面倒だな。

 

「ううう。でも、この一説はすごく好きな部分なんです。・・・ああ、主よ。聖書を読めなくなった私をお許しにあう!」

 

 そしてお祈りしてダメージを喰らうアーシアちゃん。

 

 アーシアちゃん。今後も大変だと思うけど、俺は心の中で応援することにするよ。

 

 ちなみに、聖書のページが目に入って、つい読んでしまった俺も地味にダメージを喰らっているのは内緒の方向だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この訓練に置いて、一番気にしなくてはならないのはイッセーだろう。

 

 イッセーは喧嘩をしたことがない。

 

 イッセーは剣を扱ったことがない。

 

 イッセーは魔力を扱ったことがない。

 

 はっきり言って、イッセーは今のところ一番弱い。

 

 ・・・正直、卑屈になってもおかしくないと思う。

 

「・・・はあ」

 

 今も、トレーニング中にため息をついていた。

 

 どうしたもんかな。

 

 俺はまあ、喧嘩慣れしていたこともあってかその辺は落ち着いてる。

 

 魔力に関しても、魔術の影響で最初は大変だったが今はなんてことはない。

 

 水から火、雷にいたるまで魔力で動かせるようになってきている。この調子なら魔力使い兵夜としてレーティングゲームで大暴れする日も近いような気がしてきた。

 

 イッセーもイッセーで何か考えているようだが、俺の目には魔力で野菜の皮をむいているようにしか見えない。

 

 ・・・それで、ライザーの皮でも剥く気なのだろうか? だとすると何があったイッセーと言いたい。つーか怖い。

 

 木場や小猫ちゃん、朱乃さんについては俺がどうこう考える必要は全くない。

 

 三人とも実戦経験を積んだ歴戦の猛者だ。喧嘩ぐらいしか経験のない俺が同行考える必要はない。

 

 アーシアちゃんについては考える必要があるだろうが、彼女はどう考えても完全な後方支援要因だ。

 

 悪魔を治療するなどという、反則じみた能力をもつ彼女は、全悪魔を見回してもほとんどいないであろうチート級存在。その存在は俺たちにとってジョーカーと言っても過言じゃない。

 

 つまり、彼女の護衛を俺たちが勤めれば問題ない。

 

 だからこそイッセーだ。

 

 下手に最高クラスの神器を持っていることが仇になってる。

 

 神器は無駄にすごいのに自分はなんて弱いのだろうかとか考えてるんだ。

 

 こうなると俺ではどうしたもんか本気で困る。

 

 どうやってフォローしたらいいものか。

 

「「・・・はぁ」」

 

 シンクロしてため息をついてしまった。

 

 ええい! なんか気を紛らわす変な出来事でも起きないものか!

 

 具体的にはなんか騒ぎが起きるとか―

 

「キャァアアアッ!!」

 

 ・・・悲鳴?

 

 おかしいな。声の感じから考えると、オカ研メンバーのものではないぞ?

 

「・・・イッセー、聞き覚えあるか?」

 

「わからない。・・・でも部長たちの声じゃないよな?」

 

 だよなぁ。

 

 ・・・これは面倒なことになってきたぞ。

 




クロスオーバーによるバタフライエフェクト発生。

次回、イッセーの特訓の成果がでるか!?

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。