ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド   作:グレン×グレン

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前半と後半でがくんと温度差があるので、ご注意ください


禁断の関係とは、いったい何なのか

 

 それはそれとして微妙に面倒な事態になっているようだ。

 

 なんでも、教会の人たちに襲撃が行われているらしい。

 

 敵対勢力の暗殺なんて珍しくも何ともないが、しかしそれにしたってこのタイミングはクリフォト以外ないだろう。

 

 フィフスですら、アサシンを使った暗殺ではなく恐喝を重点に置いている状況下で今更暗殺というのもあれな話だが、相手がリゼヴィムなら話は別だ。

 

 あいつは根本的に愉快犯。フィフスのような目的のために犯罪を犯すタイプではなく、ある意味で犯罪そのものが目的だ。物事に遊びを入れずにはいられない。

 

 だから厄介なんだ。遊びの要素があるから予想外の行動をしかねないし、下手なリスクも遊びの要素として取り入れる。

 

 そういう意味ではフィフスの方が読みやすい。あいつらは目的さえ分かっていれば、その目的のための行動をしているとわかる。行動さえ分かればその後のラインもある程度は読める。

 

 それがないというだけでこうも厄介だとは。読み合いが難しいと俺みたいなタイプは苦労する。

 

 まあそれはそれとして。

 

「さあ、イッセーくんにイリナちゃん! この部屋があればいくらでも子作りし放題だよ!!」

 

 ・・・一度、天界はクーデターを起こされた方がいいような気がしてきたんだ。

 

 今俺たちの目の前にいるのは、イリナの親父の紫藤トウジさん。

 

 一応イッセーたちの家族構成は把握しているが、この人一時期は教会の支部長を務めていたというかなり偉い人なのだ。

 

 今回のクリスマスにおいても担当に選ばれ、こうして昔住んでいた町に戻ってきていたということなんだけど・・・。

 

 持ってきたものがアレすぎだ。

 

 なんでも、天使がエロいことしても堕天しないようにする異空間へと入るドアノブだそうだ。

 

 ・・・ひとこと言おう、アホである。

 

「いや、ミスター紫藤? あんた聖職者としてそれでいいんですか?」

 

「何を言っているんだい宮白君! 私は牧師で子持ちだよ? 娘が子供を連れて帰ってくることを望まない親がいるものか!!」

 

 いや、そうなんだけどね? そうなんだけどね?

 

「聖職者としてこのイッセー(女の敵)を娘の彼氏に思うところはないのかといってるんですが」

 

「宮白! なんでお前は俺に対して辛口なんだ!?」

 

 いやイッセー。この場合はむしろ紫藤氏に対して辛口なんだ。

 

 仮にも色欲を大罪としている宗教の側として、少しイッセーに対して甘すぎないか?

 

 本気でそう思ったのだが、紫藤氏は神妙な表情を浮かべると、俺の肩に手を置いた。

 

「・・・私もおっぱいは好きだ」

 

 この不良牧師が。

 

 何が腹立つって、俺もたいがい不良優等生だからツッコミが入れづらいんだよ。

 

「ギャスパー。ああいう人になったら友達やめるからね?」

 

「む、むりですぅううう! 僕はあんな図々しくなれません!!」

 

 ロリっ娘とショタっ娘にすらあきれられている。最早紫藤の血筋はあほばかりだ。

 

 天界本当に大丈夫だろうか? 一回クーデターで痛い目見た方がいいような気がしてきたぞ?

 

 ベルはベルですぐに特訓に行っちまったし、ええい、そんなにゲン・コーメイがいいのか!?

 

 ああくそ、なんか想像したら腹が立ってきたぞ!

 

 女どもはどいつもこいつも自分が使用することすら考えている節があるし、頭痛の種が増えた!!

 

「とりあえずそこの女子ども!! 使用の際は俺の許可をとること!! これは俺が預かっておきます!!」

 

「兵夜!? あなたそれは横暴よ!?」

 

 速攻で部長が怒り、そして臨戦態勢に入る女ども。

 

 だから渡せんのだから!!

 

「これまでの経験則から言って、あんたらに自由にこれを使わせたらイッセーのプライベートがいろんな意味で台無しになるのが目に見えてる!! 馬鹿に核ミサイルの発射スイッチを持たせる奴はいない!!」

 

「そ、そこまで!?」

 

「というより、なんでみんな私を馬鹿扱いするんだ!?」

 

「いつも以上に真剣な顔でそんなひどいこと言わないでください!!」

 

「やかましいわ教会三馬鹿娘!! 仮にも信仰の徒ならエロスはほどほどにしろ!!」

 

 ある意味お前らが一番危険なのだ!!

 

「ああもう! 小雪、お前からも一言言ってやってくれ!!」

 

 ったくもう! 少しはツッコミを入れてくれよ! お前ツッコミポジションだろ!?

 

 と、思ったら返事がない。

 

「・・・小雪? どうしましたの?」

 

「・・・・・・え? あ、いや悪ーな。ちょっとぼーっとしてた」

 

 ・・・思った以上に重症か。

 

 はあ、こりゃ少し面倒なことになりそうだな。

 

 などと思っていたら、携帯に電話が鳴ってきた。

 

 ・・・そして出た後、俺はさらに頭痛の種が増えることになったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何事ですか、ゼクラム・バアル。俺とあなたの仲ですから正直に言いますが、割と忙しくて時間を捻出するのも大変ですので、できればもっと時間を用意してほしいのですが」

 

「すまないな、宮白兵夜。私も少し前に状況把握できたのだが、君にはすぐにでも知らせておくべきだと踏んだのだ」

 

 冥界で、俺はゼクラム・バアルと顔を合わせた。

 

 ぶっちゃけると、新旧試験直後の会談の後も、ちょくちょく会話することはあったのだ。

 

 サーゼクス様からの覚えのいい俺の意見は、普通に会談で大王派が発言するよりサーゼクス様たちや魔王派からの心象がいい。ましてや俺の方から魔王派の反論を考慮した調整ができるので、大王派としてもむやみにストレスをためながら意見を少しでも押し通すよりも楽でいい。

 

 そんなわけで、利害が一致している打算的な友情を築いている俺たちは茶飲み友達だ。実際魔術師(メイガス)たちからの心象は彼の方が圧倒的にでかいので、そこらへんも考えるとマジで必要不可欠である。

 

 そのうえで経験則と同類という観点で肝心の制御権を与えてくれている以上、彼には割と感謝しているのだ。

 

 だからこそ、こういった急激な要望にもこたえなくてはいけない。

 

「それで火急の要件とは? あなたが直接話すとなれば、相応の大事なのでしょう?」

 

「ああ、そちらに紫藤トウジという牧師が来ているのだろう? 単刀直入にいうと、彼の身に危険が迫っている」

 

 ・・・なんだと?

 

「教会にて、クリフォト主導と思われる暗殺事件が多発していることは耳に挟んでおります。そのターゲットに彼がかかわっていると?」

 

「そうだ。そして厳密にいえば、これは教会だけでなく我らバアル家の関係者も含めた襲撃事件だ」

 

 バアル家からも? どういうことだ?

 

「理由をお聞きしてもよろしいでしょうか? バアル家の主要派閥としては教会とは距離を置きたいのが本心でしょう?」

 

「それはそうなのだが、だからといって過去かかわりを持たなかったわけではない。暗部といえば君なら理解できるだろう?」

 

 なるほど。

 

 確かに、敵対している者同士といえ連携を全くとらないというわけでもないだろう。

 

 お互いに取って不利益しか生まないことが起きようとしているのなら、何らかの形で示し合わせて連携をとるという黒いこともある。ましてや彼ならそれぐらいはできるだろう。

 

 ましてや彼は、和平を結ぶことそのものにもろ手を挙げては賛成はしないだろうが逆でもない。今の段階で戦争をしてもリスクとダメージがリターンを上回ることぐらいはわかっている方だ。戦争回避のためにあえて連携をとるぐらい、割と簡単にやってのけるだろう。

 

「・・・和平前の教会とバアル家にどんな共通の不利益があったのですか?」

 

「簡単にいえば戦争の危機だよ。十数年前の価値観では、上級悪魔と高位の悪魔払いとの間の愛情など許されるものではない・・・といえば、やはり君ならわかるのだろうな」

 

 ああ、なるほど。

 

「それほどまでの大物同士の恋愛ですか? 確かにそんなことになればもめにもめますし、暗殺するのも分かりますが・・・」

 

「そう、教会側の人間は凄腕の悪魔払い八重垣正臣。そして悪魔側の女性はクレーリア・ベリアル。・・・そこまで言えば、教会側がどれだけ危険視したかはわかるだろう?」

 

 うわぁ。うわぁ。うっわぁ。

 

「寄りにもよってナンバーワンの親族ですか。最悪彼が出てきてもめ事になると思えば、そりゃ教会側も大慌てでしょうな」

 

「そう。我々としてもそれは望ましくなく、連携して背得しようとしたのだが、結局失敗してね。・・・それに」

 

 なんだ? いったい何がある?

 

「君は口が堅いからあえて言うが、彼女はそれ以上に踏み込みすぎた。そのうえであのようなことがあっては、我々としては情をかけすぎるわけにはいかないのだよ」

 

「・・・機密事項を知ってしまったというわけですか。確かにそんなときにそんなことが起これば歯止めは利かなくなる」

 

 哀れな人だその二人も。何のつもりか知らないが、知らないことを知ろうとした末にそんな危険な行為など。

 

 愛とは制御できるものじゃないかもしれないが、機密事項に触れるのは正直やりすぎた。

 

「とはいえ、それで殺された方はたまったもんじゃない。・・・聖杯のせいでしりぬぐいされるとは思ってもみませんでした。おじいちゃーん、お駄賃ちょうだーい」

 

「たしかに孫みたいなものだ。大丈夫だ、利権(お小遣い)ぐらいは奮発しよう」

 

 わーい! 迷惑かけた分恵んでくれるおじいちゃん大好きー!!

 

 ・・・これイッセーたちに言えねえよ。どうしよう?

 

 とはいえ、これは急いで戻らないとな。

 




今ではすっかりお人よしの仲良し会になってる三大勢力ですが、やはり戦争中はいろいろあったのです。

そして、次回は・・・。

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