ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド 作:グレン×グレン
「・・・大体そういう事情なわけですが、タイミングが致命的に悪い!」
我慢できずにとりあえずお土産に持たされた酒をヤケ飲みしながら、俺は真剣に頭を抱えた。
「ええ。私もお父様からバアル家に被害者が出ていることは聞いたけど、まさかそんなことになってたなんて」
部長も本当に頭を抱えている。
イベントごとに共鳴するかのように非常事態が発生するのは、割と本年度の俺たちの定番ネタだ。ネタではあるがうれしくも何ともないし普通に死ねる。
本当に何で生きてるんだ俺たち? 神話級の実力者がつるべ打ちで襲い掛かってくるとか俺たちが何をした?
「それで、小雪と朱乃さんは?」
俺としてはそれが一番気になる。
あの後すぐに照合がされ、事態の内容はおおむね把握できた。
クリフォトの刺客として仕掛けてきた二人の正体は把握できている。
一人は、ゼクラム・バアルは話していた八重垣正臣。重要機密とやらに触れかけていたクレーリア・ベリアルと恋仲になり、それらが原因で暗殺された男。
まあ、この辺については同情しよう。わずか十年で殺した男の娘が同じく殺した連中の末裔と義理の姉妹丼とか怒りたくもなるだろう。それはそれとして状況的に仕方がないので八つ当たりじみてるからこれ以上はさせんが。
まあ、生まれてもいないイッセーや子供たちを積極的に巻き込むハーデスに比べれば気持ちはわかるし、少しぐらいは手心を加えてやってもいい。正当性ははるかに上だし、イッセーやイリナに任せた方がいいのかもしれない。
そしてそれ以上に厄介なのが一人。
すでにアザゼルの手でデータが照合。顔が一致したことで確証に至った。
青野小雪はもともとある世界の魔術組織の一員だった。そして危険視していた大規模組織である、学園都市に年齢的な都合もありスパイすることになる。
だが、子供には限界があったのか彼女は即座につかまった。このまま殺されるか、それとも一員となってどす黒い人生を生きるか。その二択しか彼女には選べなかった。
そして結果として彼女は後者を選択。その後の後続部隊を売り、そして獣同士が喰らい合う、血で血を洗う裏の抗争を生きて死んでいった。
そんな彼女が裏切り殺した女は、巡り巡って来世ですら組織の一員として生きて小雪に殺されるという因果を果たす。
その名をスカイライト。小雪の両親を殺し、それでタガが外れた小雪に殺された、彼女のかつての友人だ。
「・・・もうあいつに同情しかできない。運命はもう少しあいつに手心を加えろよホント。呪われてんのか、オイ」
「まったくだね。イリナにも同情するが、しかしそれどころじゃないだろう」
ゼノヴィアが目を伏せて俺のボヤキに同意する。
イリナにも同情するが、明らかに小雪の展開がひどすぎる。
過去の陰鬱な人生を帳消しにするかのごとき光の人生を台無しにした奴が、寄りにもよって自分の陰鬱な人生の始まりの象徴。挙句の果てにそいつを実は殺してて、そしてよみがえって清算を要求。なんだこの地獄は。
そして、何より厄介なのが。
「この事態、間違いなく小雪は自力で清算しようとするってことだ」
「と、止めれないんですか?」
ギャスパーの言葉は、おそらくみんなの代弁だろう。
気持ちはわかるさ。悲劇や復讐の連鎖なんてこいつらは基本的に望まないし、何より小雪の人格をよく理解してるから、そんなことに巻き込まれてほしくないと思っている。
だけど・・・。
「駄目だろ。もしここで俺たちが無理に割って入って解決したら、たぶんあいつは一生しこりを残す」
闇の側の住人だからこそ断言できる。そんなことになったらあいつは耐えられない。
よりにもよって、過去のトラウマがフラッシュバックしているときに来たのが厄介だ。下手な刺激を与えると爆発する。
「どうにかできそうなのが朱乃さんしかいないんだが、相手が悪いからな」
アザゼルはアザゼルで忙しいし、バラキエル氏も同様。そして一番可能性のある朱乃さんは刺激が強すぎてこっちも部屋にこもっている。
朱乃さんにしてみれば親の仇なわけだし、あの人が倒す形なら小雪も文句は言わないと思うんだが・・・。
いや、それ以前にあいつはしなきゃいけないことがあるかもしれない。
俺が言うのもあれかもしれないが、それが一番あいつにとってすっきりする結末になると思うんだがなぁ。
「・・・とにかく俺たちは露払いを徹底するべきだ。世の中には当人が解決しないといけないこともある・・・というわけだ」
俺はそうまとめるが、しかしどちらにしてもこれはまずい。
引き当てた幸運があるとはいえ、意図的にタッグを組ませて襲撃させる当たり、リゼヴィムの野郎はほかに何か考えているはずだ。
・・・これは間違いなく事前準備をしておくべきだな。
「で? 俺様を選んだ理由はなんだよ」
「呼び寄せられる増援で、一番常識人で強いのがお前だった。場所が場所だから厳選しないと」
展開で、俺はグランソードとともに襲撃を警戒していた。
わざわざそのために、合流しないで第一天で待機しているのだ。襲撃してくるならここが一番可能性が高いというかここしかない。
「普通魔王の末裔を天界に連れてくるか?」
「いいじゃん、どうせ魔王の妹が天界に来てんだから」
俺たちは戦意をみなぎらせながら、そんな軽口をたたき合う。
はっはっは。いい加減慣れてきたもんだ、クソが!!
「できればお前の舎弟共も全員連れてきて、っていうか全部任せたかった。・・・なんで魔王の末裔とかなんぞと殺し合わねばならないんだよ、常識的に考えて。俺もうさすがに限界なんだが」
「天命だと思ってあきらめとけ。割り切らないと死ぬぜ?」
「割り切ってるけど、不満がないわけじゃないんだよ」
俺は割と本気でいろいろしてるが、それはあくまで平穏を守るためだ。
俺に日常を、輝きを、日溜りを。それらが闇にけがされないように、前もって防波堤を作っておく。
なのに波どころか世界記録クラスの津波に積極的にぶつかりに行くなんて本意ではない。誰があんなトンデモ連中なんかと戦いたがるか。歯ごたえのある戦闘には興味がないでもないが、それにしたって限度があるわ。
人からキチガイ扱いされることの多い俺だが、その辺はノーマル度高い自信がある。
「加えて小雪の件が心配過ぎて吐きそう。八重垣正臣のことも気になるが、あれに関してはイリナに奥の手を持たせたから何とかなるだろ。イッセーにも離れるなといってるしな」
「んで下がった部分を俺様に頼るってわけか。ま、こっちもオーフィスや舎弟の罪状下げるためにも頑張らねえとな」
なんでこいつテロリストやってたんだろう。いいたかないけどサタンレンジャーよりよっぽどまともなんだけど。
「まあいいさ。来たなら来たでその時は叩き潰すだけだ。いい加減ヤケだよやってやるよ」
「同感だな。だからこそ、俺様達がこうして出てくるところに―」
気合を入れなおしたその瞬間、耳元に連絡を入れていた監視役の声が響いた。
『大変です! 敵が、第三天より襲撃してきました! 悪魔と死神です!!』
「なんでだぁああああああああああ!?」
「おいこらぁあああああああ!!! 死神ども俺が狙いなら俺を狙いやがれやぁあああああああ!!!」
暴れてる悪魔と死神に光の群れを叩き込みながら本気で叫んだ。
なんでお前らが
しかも想像以上に被害が大きい。
転生含んだ天使たちの群れが当然迎撃に来たわけだが、なんだこれは?
百を超える数が堕天している。なぜ天界でそんな事態が勃発している。ここは清浄な空間ではなかったのか?
そして、そんな中にいる死神は心底あきれた顔を見せてきた。
「何を寝ぼけたことを言っている? 信仰を奪われた報いは天使たちに払わせろといったのは貴様だろう?」
・・・・・・・・・
「ああ、それはそうか」
そりゃ納得。確かに正論というか、俺似たようなこと言ったな。
反論できん。っていうか心底腑に落ちた。
「大将!?」
「いや、確かに恨み節を正当にぶつけているわけだし。そういう意味では迷惑度は大きく下がるというか・・・」
さんざん信仰を広げたのは確かに天界だし、生まれてもいない悪魔の子供たちを巻き込むよりかは正当だよなぁ。
とはいえ・・・。
「生まれてもいない奴らがかかわっているのは
とはいえ気分的にはまあましだ。
正当な恨み節で来るというのなら。そしてそれに対抗することが仕事なら。
まあ、八つ当たりで襲われるよりかははるかにやりがいがある仕事だろう。少なくとも真正面から向き合ってやろうという気分にはなる。
「どっちにしたって、お前ら俺が嫌いだろう? 相手してやるから来るといい」
「それはいい。我々としても冥府に隠された情報を、あのような下劣な輩にくれてやったのだから報酬は欲しかったのだ。貴様の首をハーデス様にささげてくれる」
死神たちも一斉に鎌を構え、そして一斉に襲い掛かる。
それはそれとして、この襲撃の情報は冥府経由か。
あの世同士何らかのつながりがあるのだろうが、それにしても重要情報だろう。
・・・ハーデスの野郎、この情報をテロリストに問題なく提供するためにわざと離反者を送り込んだのか?
機密を盗み出したやつがいただけだといわれたら反論しずらい。ええい、あのジジイ速攻で反撃してくるとは両腕ももらっておくべきだったか。
まあいい、とりあえず死神どもは任せておけ。
お前らはお前らで親父さんの因縁を清算しな、二人とも?
正直すまんかった、小雪。
そしてここからが遂に本格戦闘です。天界を崩壊させかねない大激戦ですので、皆様お楽しみに。
天使がすでに百人以上堕とされている。
これがなぜかを考えてください。前哨ラストでいった意味が分かります。