ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド 作:グレン×グレン
森の中を走って駆けつけてみれば、そこには珍妙な光景が広がっていた。
ふんどし一丁の集団が、猫耳の女の子を追い回していた。
自分でも何を言っているのかわからない。
ちなみに、全員さわやかな笑顔でいい汗をかいている。
見ていて非常に気味が悪い存在が目の前に現れていた。
しかもその行動は、猫耳が可愛いプリティガールをデンジャーな恰好で追いかけまわすという非常にアブノーマルな行動だ。
思わず脳内で英語を多用してしまうぐらいには異常な空間だ。
「・・・帰るか?」
「いやダメだろ! 明らかに女の子が襲われてるだろ!! 助けなきゃ!!」
わかってるがなイッセー?
この集団、とても関わり合いになりたくない感じなんだが。
男たちもいい加減に俺たちに気づいたらしく、全員が俺達を睨みつける。
「なんだ。このUMA同好会『ふんどしUMA』にようでもあるのか!?」
「とりあえずふんどしはどこから来た?」
思わずそう問いかけた俺は悪くない。
「おいお前ら!! その猫耳の女の子になにする気なんだ!!」
イッセーが無駄にカッコイイ!
そのイッセー相手に、ひるむことなく真っ向から対峙するふんどし軍団。
「リアル猫耳だぞ! そんな生き物現実に存在しているなんてレアすぎるだろう!」
「リアルUMAはぁはぁ。連れ帰ってお持ちかえりするんだな」
「そして俺たちは世紀の大発見で歴史に名を残すのでござる!」
口調が地味に個性豊かなそいつらの言葉は、とてもよくわかった。
・・・完全に欲に目がくらんでいるが、これほとんど人間と変わらないぞ?
追加でいえば、俺達悪魔も似たようなものである。
人間のころなら同じように欲に駆られただろうが、さすがに悪魔になった今の俺たちは彼女たちの仲間と言えるわけで・・・
さらに、どっちに転んでもイッセーがいるってことはだ―
「宮白! こいつら止めるぞ!! ブーステッド・ギア!!」
「ま、そうなるわな。天使の鎧!」
共に神器を展開してにらみ合う。
目の前に現象に男たちはひるんだが、リーダー格の男は全くひるまなかった。
「この世界にもアーティファクトが・・・? ひるむなお前達! 俺達には鍛え上げられた生命力があるだろう」
「「「「「「お、おう!」」」」」」
なにやらわけがわからないことを言いながら、男たちは一斉に構えをとる。
何のつもりがわからんが、とりあえずさっさとケリをつける。
「気力弾一斉射撃!!」
「「「「「「うぉおおおおおおおっ!!」」」」」」
なんか腕から淡く光る玉みたいなのを放ってきた。
「は? ・・・うぉわぁっ!?」
「宮白伏せろ!!」
イッセーに頭を押さえられて何とか回避できた。
現象が理解できなくて思考が止まった!! なにアレ!? 何なの一体!?
「こいつら魔力を使えるのかよ!? 宮白、どうしたらいい!!」
イッセー待て! 俺も何が何だか分からないから!?
なにアレ!? 魔術じゃない! たぶん魔力とも違う! だったらいったいなんだ!?
いや、今はそんなことを考えている場合じゃない!
後ろを見てみたが岩にひびが入ってる。
あんなもの、さっきの子に当たったらひとたまりもないぞ!?
イッセーはよくわからないなりに魔力かんけいだと適当に判断したのか俺よりうまく動けた。
こうなったらそれに頼るしかない!!
「ブーステッド・ギアを俺が言うまで倍化を続けてろ! とりあえず俺は時間を稼ぐ!!」
「わかった! ・・・って危ないぞ宮白!!」
イッセーが止めるがそんなことを言っている暇はない。
地面をけり上げると同時に、魔力を使って風を起こして砂煙にする。
同時に脚力を中心に強化して、奴らが反応するより早く猫耳少女を拾い上げた。
「きゃっ!?」
「あ!? 俺達のUMAが!?」
「にがすんじゃないでござる!!」
大きく円を描くように移動しながら、魔力で水をつくってそれを叩きつける。
本当ならこの場で片付ける必要があるのだろうが、あいにく相手は人間だ。
悪魔業界でどうしたらいいのかよくわからないし、ここは一人ずつ確実に気絶させていかないといけない。
「大丈夫か猫耳少女。名前は?」
「な、ナツミ!」
「オーライ! 舌噛まないように気をつけな!!」
俺は猫耳少女ナツミを抱えたまま、放たれる気力弾とやらを何とかかわす。
特訓のかいは確かにあった。
今までの俺だったら、ここまで簡単にかわすなんてことはできずに喰らっていただろう。回避できているのは完全に修行のおかげだ。
『Boost!』
倍化を告げるブーステッド・ギアの音声が何度目かの倍化を告げる。
これぐらい待てば十分か。
「イッセー! そのまま魔力を適当なところに向けてぶっぱなせ!!」
いくら豆粒のような魔力といえど、あれだけ待てば脅しぐらいの威力にはなるはず。
それで牽制してこう着状態に持ちこむと同時に、ついでに発生するであろう轟音で部長達に非常事態を報告して―
「いっけぇええええっ!!」
ゴッッッ!!!!!
「うわあああああ!」
「ひぃいいいいいっ!!」
・・・何が起こったと思う?
答え:山肌がごっそり削れた。
・・・これは予想外だった。
どれぐらい待ってたっけ? 二分?
「え・・・えっとぉ・・・」
「な・・・なんとぉ・・・」
「え・・・アレ・・・?」
抱えているナツミも、追いかけていたふんどしも、ついでに言うと放ったイッセーも唖然としている。
うん。やりすぎた。
じゃないッッッ!?
自然破壊にも程があるっていうか野生動物の被害が甚大極まりないだろコレ!?
やばいよやばいよどうするんだよ! ここまで壮大にぶっ壊れると、もう隠匿とか不可能じゃないか!?
終わった。俺の悪魔人生責任追及で終わるぞコレは・・・。
「ひ、ひるむな! 今の感じから見て、奴は連射はできないはずだ! 囲んで一斉にボコれば行ける!!」
「「「「「「了解」」」」」」
違うぞ! たぶん連射はきくぞ!!
とはいえイッセーも茫然としている。これはヤバいか・・・っ!!
「よ! は・・・ほっ!!」
意外と行ける!!
鍛えている分強くなってるとは思っていたが、これは想像以上だ。
「時間稼いでろイッセー! その間に本命を・・・っ!!」
「むっ!?」
こういう連中は頭を潰せば烏合の衆になると相場が決まっている。
俺は反転して突っ込みながら拳を強化。
気を取られていた野郎を殴りつけるが、相手もなんとか受け止めやがった。
野郎はそのまま空いた手で俺を殴りつけるが、俺はナツミを上に放り投げるとそれをいなす。
そのまま掴まれた手を振り払って反転。ナツミをキャッチすると同時に蹴りを叩きこむ。
これでいけるか!?
「効くか・・・」
「じゃあこれで」
耐えきった奴の顔面に、容赦ないパンチが叩きこまれた。
小猫ちゃんだ。
来てくれたのか! と、言うことは・・・。
「大丈夫かい?」
「あらあら、可愛い男の子がいっぱいですわ」
「木場! 朱乃さん!!」
「「「「「「ギャァーッ!!?」」」」」」
イッセーが歓喜の表情を浮かべる中、木場と朱乃さんが他の連中を木刀と雷で一掃する。
・・・容赦ないな、朱乃さん。さすがはドS。
「私の可愛い下僕に何かようかしら?」
いい感じで現れてくれたよリアス部長! 優雅なたたずまいの裏で、怒りのオーラが見事に漏れてくれてます。
増援の登場に起き上ったリーダー格も蒼い顔をしている。
どうやら、部員の実力をみて不利になったと理解したらしい。
「く・・・引き上げだ!」
「「「「「「は、はい!!」」」」」」
「だが覚えておけ。この世にUMAとふんどしがある限り、我々もまた存在するということを!!」
・・・捨て台詞もふんどしだよ。
どこまでもふんどしにこだわりながら、ふんどしUMAは森の中に消えていった。
「・・・さて、何がどうなってこんなことになったのかしら?」
部長、怖いんでやめてください。
「・・・ずっとずっと、変な力にこまってたの」
別荘に戻った後、俺たちはお茶を飲みながらナツミの話を聞いていた。
どうやら化け猫の一種らしいナツミは、幼少期から他にはない不思議な力に悩まされてきたのだという。
「こんな感じ」
そう言って伸ばしたナツミの腕は、猫でも人でもなかった。
あえて言うなら、鳥の翼?
「コレのせいで家でも気味悪がられて・・・。それで歩いてたらついこんなところまで」
・・・とりあえず、この子はこの方向音痴をまずどうにかするべきだと思う。
一体どこに住んでいたのか本気でよくわからないが、だからと言ってあんな山奥まで「つい」の一言で済ませれるような長距離行軍能力は、正直言ってあり得なさすぎる。
あげくのはてにあんな連中に見つかることを考えると、運の方も相当ないな。
「そりゃまぁ御気の毒に」
そうとしか言えねぇよ。
だが、この力ってなんだ?
やっぱり悪魔関係?
「神器でもなさそうだし、化け猫の力としてもおかしいわね。・・・」
「さすがに聞いたことがないです」
部長は口元に手を当てて考え込んでいるし、小猫ちゃんもなにやら一家言あるのか、そんなことを言っていた。
確かに変化する能力が異常過ぎる。
リアス部長がはっきりとこういった以上、これは悪魔業界でも異常なことなのだろう。
「神器の一種が宿っていると考えるのが自然だけど・・・さて、どうしたものかしらね」
部長は少し考え込む。
なんとなくだが、俺にはその理由がわかったような気がした。
だとすれば、彼女は一つ嘘をついていることになる。そうでないとすれば、それはそれで大変なことにもなる。
俺はどうすればいいのだろうか。
そんなことを考えていたら、部長がぽんと手をたたいた。
「そうだわ。あなた、この中の誰かの使い魔にならない?」
「え? 使い魔?」
「そう。ウンディーネとかを使い魔にする悪魔はいるし、それなら私達が世話をしても問題はないわ」
ウンディーネか。
・・・しってるか? この世界のウンディーネは、みんなボディビルダーみたいな体格をしてるんだぜ?
何を言っているのかわからない? はっはっは。俺もそう言えればよかったんだが、残念だが事実だ。
イッセーが落胆していたのが懐かしい。俺も内心で絶望したぜ。
だが、なんでそんなことを言い出したのだろうか?
「このままでも居場所はないみたいだし、私としてもほおっておくのは忍びないわ。今使い魔がいないのはイッセーと兵夜だけど、よければどう?」
ここで俺たちに振ってきたよこの人!
イッセーは猫耳娘にブーストがかかっているのか猛烈なアピールを無言で放っている。
だがイッセーよ。そんなことをしていたら・・・
「・・・赤茶の髪の人」
「兵夜がいいのね。残念だったわねイッセー」
こうなるよな。
「ちっくしょー! 覚えてろよ宮白!」
「今のはお前が悪い」
そんなことをやっていれば、引かれたとしても文句は言えないだろうに。
ま、そんなことになってしまったのなら文句は言えない。
最低限、文句が言われない程度に頑張るとしますか。
それに、ナツミもたぶん・・・。
深夜、俺は戦闘の興奮が続いたのか眠れなくなっていた。
木場はしっかりと眠っているので少し羨ましい。イッセーはイッセーで眠れなかったみたいで、既に部屋を出ている。
俺も部屋を出ると、外の空気を吸いに別荘から出る。
この別荘は山奥に建っているだけあって、空気がおいしいのが利点の一つだろう。その分来るのに大きな負担があったが、それだけの価値はあると思う。
結構な日数を特訓に費やした。これで、あのライザーと戦うことになっても、強化を組み込むぐらいやればなんとかなるかもしれない
問題は、それをやらかして大丈夫かどうかってことだ。
魔術なんて能力、下手に示せば存在を悪魔たちにばらしかねない。
はたして、そんなことをして俺の身が安全になるのだろうか。
「あ~。本当に大丈夫かオイ」
俺の悪魔人生、先行きが不透明すぎる。
そんなことを考えていたら、ナツミの姿を発見した。
屋根の上に乗って空を見上げている。その姿は化け猫なだけあってネコ科の動物を思わせていた。
猫なだけあって夜行性らしい。
「よう」
「あ、兵夜だ」
俺に気付いたナツミが軽々と屋根から飛び降りて着地する。
「それともご主人がいい? ボクはどっちでもいいけど」
「そう言うのはいいから」
それは本音だ。
こいつはそのカッコから言って町中でも行動できる。猫耳はやろうと思えばしまえることは既に確認済みだ。
と、なれば変な呼び方は俺の名誉にかかわる。
「・・・ま、最低限以上のご主人にはなれるように頑張るよ。よろしくな」
「OK! ・・・それでどうしたの?」
「眠れないのが一つ。・・・あと、気になることもあるかな」
ちょうどよかった。
二人しかないこの空間なら、効いても問題ないだろう。
一応、使い魔を別荘の方にはなって最低限の監視はする。
これから話すのは、下手をすると俺の問題を悪化させかねない事柄だからだ。
「・・・お前さ、俺たちに隠してることあるだろ?」
「うぇ!? な、なにが!?」
いきなりわかりやすい。
「例えばそうだな・・・」
ちょっといたずら心が刺激されてもったいぶるが、そんな必要は本来ない。
「例えば、産まれてから死ぬまでの記憶1セット・・・とかだな」
「・・・っ」
図星か。
まあ、予想できて当然だと言えば当然か。
異世界が、俺のいた世界以外にもないだなんて保障は一切ないからな。
おそらく、あのふんどし集団もその手の類が関与している疑いがある。
「俺も同類だ。安心しろ、誰にも言わない」
「・・・よく、わかんないんだ」
そう、ポツポツとナツミは語りだした。
どうにも、ナツミの前世の記憶は俺のようにはっきりしているわけではないらしい。
その世界は完全なファンタジーのそれっぽいそうで、人々は魔法と密接なかかわりを持っていたという。
そこで魔法を使う存在は魔導士ギルドという組合を作って行動を共にしているそうだ。
「ボクが使ってたのは、
なるほど、よくはわからんが、動物の特徴を体に宿すってわけか。
「人に言うのは初めてかな。・・・言っていいことなさそうだったし」
「言わないでくれて助かる。・・・前世異世界ってのもいろいろとあるんだな」
・・・この世界ワンダーランドすぎだろ。
「ま、安心しろ。俺も自分の身が可愛いからばらしたりはしないし、バラすとするなら俺自身が先だ」
仮にもちゃんとした契約を取り交わした奴をだしにするわけにはいかない。
さすがにかわいそうだし、利用するのも後味悪い。
これが正統派の魔術師なら喜んで利用するのだろうが、さすがにそれは心が痛む。
同病、類憐れむってやつか。
「・・・いい人だね」
ナツミはなんか笑顔を見せていた。
「よっし! いいご主人に出会えたし、ボクこれからも頑張っちゃうよ! まずはビラ配りから頑張る!!」
なんか気合入ってるな。そんなにいいこと俺言ったか?
ま、元気が出てるならそれに越したことはない。
俺は夜空を見上げて苦笑した。
自分のことだけでも手一杯なのに、余計な手間を自分から増やしてしまった。
我ながら面倒な性分だが、相手が同類なら仕方がない。
そんなことを思った時だ。ふと、耳に聞きなれた声が聞こえてきた。
「・・・私はグレモリーなのよ」
判断は一瞬。窓の下に駆け寄り、耳をすませた。
「そうですね。部長はリアス・グレモリー先輩です」
この声はイッセーか。
どうやら、イッセーは部長と話しているらしい。
どういう流れだ?
「自分の名前を言ったわけじゃないわ。ただ、私はグレモリー家のリアスということがついて回るの」
・・・なるほどね。
親の七光りには七光りなりの苦労がある。それが七光りではない物を持っていても七光りと同等扱いされてしまうということか。
「いやなんですか?」
イッセーの問いに、静かに首を振る気配を感じた。
「誇りには感じてるわ。でも、同時に私を縛るものでもある」
そりゃそうだ。
有名って言うのはいいことばかりでもないんだろう。有名税って言葉もあることだしな。
「冥界では、誰しも私をグレモリー家のリアスとしてみるわ。だからこそ、悪魔グレモリー家のことを知らない人間界での暮らしは私にとってかけがえのないもの。人間界でだけ、私はただのリアス個人としてみられるのだもの」
普通に暮らしていれば、誰かはその誰かという以外の何物でもない。
それだけの資格を持つ家の人間だからこそ持っている重荷ってやつだ。
俺にわかるだなんてことを言う資格はない。
魔術師も本来長い血筋を持つ家系が尊ばれるが、俺は別に家を継いでいたわけではない。そんな人間に部長の気持ちなんてものはひとかけらだって理解できないだろう。
「私はね、私とリアス個人として見てくれる人を一緒になりたいの。それが私の小さな夢」
そりゃそうだ。
誰だって、恋愛っていうのは個人を愛するものだと思う。
旧家とかだと政略結婚っていうのはあるのだろうが、それでは手に入ることはそうはないだろう。
「残念だけど、ライザーは私をグレモリーのリアスとして愛してくれるでしょうね。グレモリーとしての誇りは大切なものだけど、それはどうしても嫌なのよ」
なるほどね。
それが、部長がライザーとの結婚を反対する最大の理由か。
こんなもの、どういう風にフォローすればいいのかわからない。
盗み聞きにしておいて正解だった。真正面から話をしているときに聞いていれば、反応に困っていろいろと大変なことになっている。
イッセーも大変だな。こんな面倒な悩みを聞かされたら―
「俺は、部長のこと部長として好きですよ」
「・・・え? え、え!?」
イッセーのそんな言葉に、隣で同じく聞き耳を立てていたナツミが顔を真っ赤にしていた。
「難しいことはわかりません。わかりませんけど、俺にとって部長はリアス部長でしかなくて、そんなリアス部長が俺、大好きです!」
なんだ、心配することなかったか。
イッセーは昔からそう言う奴だ。
魔術とか、前世とか、そう言うのを抜きに、個人を個人として見るのがイッセーだったな。
「・・・」
部長がいろいろと困っているのがなんとなくわかる。
真正面からそんな風に答えられたら、いろいろと返答に困るというか、てれ臭いというか、顔が真っ赤になりそうだ。
「ライザーとの戦いも任せてください! 俺、今朝のナツミのことで自身がつきました!」
イッセーの言葉はどんどん続く。
「俺は木場みたいに剣の才能もないし、小猫ちゃんみたいなバカ力もないし、朱乃さんみたいな魔力の才能もありません」
聞いている限りでは自身がついた男のセリフじゃあないが、イッセーの言葉はまだ続く。
「アーシアみたいな癒しの力もないし、宮白みたいにいろいろできるわけでもない。でも、俺はブーステッド・ギアが倍増してくれるまで頑張れば、普通の奴らより結果を出しやすいってわかりました」
そうだな。
あの魔力砲撃は正直度肝を抜かれた。まさかあそこまで破壊力があふれるとは思わなかったぞ。
「こんないいもの持ってるのに、ふてくされてなんていられません。俺は最強の
見てなくても、あいつの表情に力があふれているのがわかる。
「・・・ええ。倍増が整うまでは仲間たちがフォローしてくれるわ。あなたは仲間を信じればいいの」
こころなしか、部長の言葉も嬉しそうだ。
下僕が自信にあふれているのが嬉しいのだろう。
なんか、本当にいい人だなリアス部長は。
「がんばりましょうイッセー。あなたなら、きっとライザーにも負けないって信じてるわ」
そこまで聞いて、俺は静かにその場を離れた。
これは、俺も負けてられないな。
次の戦い、絶対に勝とうな、イッセー。
・・・新たなるクロスオーバー発生。
細かい説明は次回になりますが、今回のナツミのセリフだけでクロスオーバー先は特定できたと思います。