ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド 作:グレン×グレン
祐斗Side
最初に仕掛けたのは僕だった。
「行きます!!」
龍騎士を召喚し魔剣を持たせ強襲を仕掛ける。
魔剣の攻撃力はレプリカのエクスカリバー程度なら十分突破できる性能。まともに打ち合えばそれだけで破壊することも狙えるはずだ。
だが、クリスタリディ猊下はそれらを苦も無くさばいていく。
・・・速度そのものは天閃だろうけど、それだけじゃない。
軌道を逸らす際に刀身の形状を擬態で変化。それによって効率のいいそらし方を成功させていっている!!
間違いない、剣の性能を完全に引き出している!!
「・・・なら勝負しましょうかー!」
今度は桜花さんが切り込んだ。
剣の性能を引き出すということにおいて規格外の領域に到達しているセイバーのサーヴァント。
いかに後付けのまがい物とはいえ、それを相手にして剣の性能を引き出すのではなく剣で切り裂く技量をもっとして上回った彼女ならどうだ!?
「話には聞いている。ソーナ・シトリーの懐刀だと」
「胸を借りますよー!!」
次の瞬間、二人の持っている剣が一気にぶれた。
一瞬だけとはいえ目で追いきれないとは、やはりこの二人は剣士として別格か・・・っ
周りにいる者たちが一時的に目を奪われるが、しかしそこで冷静だったものがいた。
「・・・では、こちらも戦闘を開始するとしよう」
気づけば、ぼくらの間にゲンさんが入り込んでいた。
隙があったとはいえいつの間に!?
「おっと。危ないなぁ」
冷静にムラマサが反撃するが、それを素早くかわしたゲンさんは、右手をふるう。
その後、様々な方向から放たれた光の槍を、ムラマサは魔剣を超能力で操って正確に防いだ。
やはり二人とも強い。
強いが、ゲンさんの能力はいったいなんだ?
「話に聞いてた情報を総合すると、
数合戦ったムラマサは、冷静にそう判断した。
「・・・それで、さっきの攻撃の種は?」
「瞬間移動能力の方やな。たぶんやけど、
そんな器用なことができるのか。
「・・・まあ、こちらはあくまで通常攻撃手段なので正解だといっておこう」
そう言い放つと、ゲンさんの姿が一瞬で消える。
次の瞬間には氷の槍や落雷などといった様々な属性の攻撃がその場所に放たれていた。
「うっわぁ。さすがモルドレットの隊長。不意打ちにも完全対応だよ」
「まあ、瞬間移動能力は空間認識能力が高いからなぁ。実力者なら目を閉じてても迷路とか攻略できるで」
デュリオとムラマサがあきれ半分で感心するが、しかしこれは非常に危険だ。
彼らは、あまりにも強い・・・っ!
これが、転生もしていない人間の強さなのか!?
「あまり、人間をなめてもらっては困るな」
さらにクリスタリディ猊下も桜花さんを弾き飛ばした。
「・・・うわー。あれ隊長の領域片足突っ込んでるよー」
口元を引きつらせる桜花さんの衣服は、いくつも切り裂かれていた。
それでいて肌を切り裂かれていないのはさすがというところか。しかしクリスタリディ猊下の服にはかすり傷一つない。
天閃や破壊で上乗せできるとはいえ、剣士としての技量ですらここまでとは。
「まあ、それはそれとしてやるしかないわなっと!!」
「だよねー」
それでも気合を入れなおし、桜花さんとムラマサは突撃を開始する。
僕も負けるわけには行かない。ここでエクスカリバーを越えなければ!!
そして同様に突撃を開始し―
「いや、そういうわけにもいかん」
―気づいた時には、転倒していた。
これは、クロウ・クルワッハがゲンさんと戦った時に陥った現象―!?
「そ、そういうことかいな」
慌てて立ち上がりながら、ムラマサは僕を引っ張って後退しながら構えを取り直す。
「な。いったい何が?」
「いや、簡単にいえば念動力による合気道?」
あ、合気道?
「こっちが動くのと同じタイミングで、膝裏とかつま先とか、バランス崩しやすいとこをな? 念動力でちょんと押してすっころばせとんねん」
そ、それが人体との戦い方という意味か。
確かにそれはクロウ・クルワッハにも効果がある。
思えば彼はあの時点でそれに気づていたのだろう。だからあえて誘いに乗って人型のまま戦っていたのか。
「そ、それ口で言うのは簡単ですけどー・・・」
「・・・前人未踏のウルトラCやな。どんだけ技術を習得しとんねん」
唖然とする桜花さんと、一周回って完全にあきれているムラマサ。
そ、それほどまでに圧倒的な技量を持っているのか!?
「念動力最大の特性は、いくつもの不可視の腕を持つということ。それを最大限に生かし、かつ低い出力で運用するにはこれが最適解なだけだったからな」
ゲンさんはそういいながら、一歩を踏み出す。
そして、気づいた時には何人ものクリスタリディ猊下に包囲されていた。
まずい、これは圧倒的にこちらが不利だ・・・!
「・・・僕がグラムを使います。そうすればいったん仕切り直しにはできる」
逆転するにはそれぐらいするしかない。
せめて、せめて一矢ぐらいは入れたいんだ。
あの実験が無駄ではなかったと、それを証明してみたい・・・!
と、いきなり後頭部に発動時に拳が入った。
「あ痛っ!?」
「・・・このド阿呆が。だからこれは模擬戦やっちゅうねん」
「兵夜くんが警戒したわけだよー。・・・何やってるのかなーもう」
ため息を思いっきりつきながら、ムラマサと桜花さんは僕を拘束し始めた。
「え、あ、ちょっと!?」
「木場くんは戦闘禁止ー。いろいろ見えてないからねー」
「そんな曇った剣やったらない方がましや。そこでちょっとおとなしくして反省しとらんかい」
そ、そんな!? そこまで!?
「まったくだ。木場きゅん。これは言うなればただの喧嘩。そんなことで命削ったらいけないって」
そしてデュリオが僕を抱えながら声をかける。
「どうしても我慢できなかった不満を、とりあえず拳でぶつけるのがこの模擬戦。命かけるような戦いじゃないんだよ」
「そうそうー。何のために兵夜君が寝る間も惜しんでこの模擬戦作ったと思ってるのさー」
デュリオと桜花さんがそう説教してくるが、だけど、だけど・・・!
「それでも、目の前にエクスカリバーがあるんです・・・!」
あの実験は無駄ではなかった。僕らの苦しみには意味があった。
そう、思いたいんだ・・・っ!
「ん~。これは重傷だ。ちょっとお二人さん、時間稼ぎお願いしてもいいかな?」
と、デュリオは桜花さんとムラマサにそう頼み込んだ。
「了解了解ー」
「ま、任せとき」
そして二人はうなづくと、真正面から強敵二人に突撃していった。
Other Side
桜花久遠とムラマサは、同時に敵陣へと切り込んでいく。
「馬鹿正直に来るわけではあるまい。対策ぐらいは立ててるのだろう?」
ゲンは真正面からそれを見越して、いつもの念動攻撃を開始する。
千年以上の長い間修練を積んで、ある意味人体の極致に到達したクロウ・クルワッハですら対処困難だったこの攻撃をどうやって回避するのか?
その疑念は単純明快だった。
「兵夜君お願いー!」
桜花久遠はカードを額に当てるとそう声を上げ、そして同時に羽衣を展開する。
その瞬間、彼女の移動速度が大幅に上昇した。
もはやそれは残像による分身すら展開して、こちらをかく乱してエヴァルド・クリスタリディに切りかかる。
「第二ラウンドですよー!」
「なるほど、君はそれを使ってからが本領だったな・・・っ!」
高速での剣劇が勃発する中、それでも狙いをつけようとしたゲンは、しかし瞬間移動能力でその場を離れる。
次の瞬間には大量の剣がそこに突き立っていた。
「あんたら相手に剣技で勝とうと思うほど、こっちは耄碌してへんで・・・!」
ムラマサは剣をキーワードとする合成能力者。
その基本戦闘は剣で構成された人型の戦闘及び―
「剣そのものの操作だったか!!」
四方八方に放出できる光の槍で撃ち落としながら、ゲンはにやりと笑う。
やはり戦闘はある程度歯ごたえがある相手でなければ意味がない。
モルドレットは精鋭部隊であると同時に暗部組織でもある。
強大な力を持ったものが内通しているときに動く部隊であり、つまりは内部粛清を目的としている暗殺組織だ。
だから知名度が低い。工作員などというものは、基本的には隠れてなんぼなのだ。
かつての自分もそうだった。
超能力という突然の進化に対応しきれない人間たちが多い中、神の教えを守るものを守るために動く暗部組織。
その教えに真っ向から反論を唱えるような輪廻転生を行ったうえで、さらにまた似たような教えの神の組織の一員として動くことに、彼は皮肉を感じていた。
だからこそ・・・。
「うっぷんは、かなりたまっていたのさ・・・!」
だからいい機会だ。この戦いですべてを発散する。
ゆえに躊躇なく魔剣の群れを迎撃する。
そしてそれを行うのはゲンだけではない。
「・・・神の愛す子供たちが、悪魔の儀式で救われる。それに不満を持つものは数多い」
突如魔剣の群れの何割かが、飛ぶ方向をかえ二人の少女に襲い掛かる。
「いっそ破壊してしまえというものも多く、私もまた否定しきれない。君たちなら、そんなことより彼らを救うことを優先するのだろうがな」
支配の聖剣の力を使い、エヴァルド・クリスタリディが魔剣を支配したのだ。
「だが我々に取ってはそれは重要なのだ。・・・その思いを受け止めもしないで、和平などといわないでもらおうか!!」
支配された魔剣はすべてがムラマサに襲い掛かる。
「いや、そぉ言ぅんは冥界の連中にゆうてくれんか?」
しかし、それらのすべてをムラマサは掌握した。
剣の支配は我が領域。たかが剣一本の力ふぜいで、抑えようなど片腹痛い。
「ほら、和平賛成派が受け止めんかいな」
「はいはい了解ー!」
次の瞬間、懐にもぐりこんだ久遠がエヴァルドに切りかかる。
先ほどは、技量の差で有利に動けたエヴァルドだが、しかし今回はそうはいかない。
なぜならば、今の彼女の身体能力は先ほどの比ではないのだから。
「和平は会長の願いでもあるからねー。鬱憤晴らしぐらいはつきあうよー!!」
「そうでなくては!!」
超高速での切り合いが繰り広げられるなか、ゲンは即座に動く。
近接武術系の相手は自分の領域。相手が接近して仕掛けてくれるのならば、躊躇なくカタにハメられる。
そういわんばかりに念動力を行使したいが、しかしそうは問屋が卸さなかった。
「いや、逃がしたりはせえへんで?」
敵の存在を察知して攻撃を向けようとするが、その荒唐無稽な姿に思わず唖然としてしまう。
・・・それは、魔剣でできた巨大な獣。
「本当は人型が本領なんやけどな? ま、それやとあんたにやられそうやしな」
「魔剣の巨人を作る禁手だと!?」
確かにこれは危険度が高い。
ゲンの本領は人体研究の成果である。
それを抑えられれば、自分の攻撃は無力化される。
「ほな、行こうか!!」
そして大規模な反撃が開始された。
刃でできた巨大な獣が、大地を割りながらたった一人を蹂躙するべく襲い掛かる。
一気に相性が悪くなったこともあり、ゲンは防戦へと追い込まれる。
「なるほど、これは確かに相性が悪い!!」
圧倒的なパワーの前には、小技でしかない技量など神のごとく吹き飛ばされる。
しかし、それならそれでやりようはある。
「禁手に至らねば出力が上がらないなどということはない!!」
天使の鎧をシンプルに運用し、莫大な光の槍を形成する。
「おもろいな! だったらパワー勝負といこか!!」
ムラマサもそれにこたえ、獣の腰を落とし始める。
大出力同士の勝負が決しようとしたその瞬間―
「そんじゃまあ、みんな大事なものを思い出そうか」
戦場中に、シャボン玉が生み出された。
Side Out