ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド   作:グレン×グレン

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逆転、開始します!!

 

 ぬぉおおおおおおおお!!! 誰か、助けてくれ!!

 

「クソがぁああああ! 種がわかったがどうすればいいんだ此畜生が!!」

 

 絶叫を上げながら俺たちは銃弾を交わしていく。

 

 ああ、種は本気でわかった。

 

 奴の神器は奴のノリを周囲に押し付ける能力。そして、奴はギャグ補正を現実化する超能力者。そして禍の団には神器のドーピング剤が存在する。

 

 全部使って徹底的にギャグ作品のノリを作りやがった!

 

 どうする? さすがに二度も吹っ飛びモールス信号は使えん。

 

 このままだと徹底的におちょくられてこっちがばてるぞ!!

 

 割と真剣に歯噛みする耳に、通信が届く。

 

『・・・聞こえるか』

 

 その声はゲン・コーメイ!

 

『何とか奴の注意をひきつけろ。そうすればこちらで何とかして見せる』

 

「え、マジ? どれぐらい?」

 

『一瞬でも本格的な隙を作れば、こちらですべてを終わらせる。しかし勘付かれればそれで終わりだ』

 

 ふむ、どうしたものか。

 

 なにせ奴の能力は逆展開。まじめに対応するタイプの俺みたいなタイプにとっては鬼門に近い。

 

「ばーららーばららーばららーららー♪」

 

 しかも今回はミュージカル仕様。このタイミングでどうやってノリを切り替えるか・・・。

 

「兵夜さま! ベルにいい考えがあります!」

 

 と、ベルが何やら自信満々な顔で俺に声をかける。

 

 

「なんだ?」

 

「私たちも歌いましょう! 歌で対抗するんです!!」

 

 ・・・・・・・・・

 

「いや待て、即席であいつの歌に対抗しろと? どうするつもりだ?」

 

「大丈夫です! 兵夜様ならできます!」

 

 実質無茶振り!?

 

 期待が、期待が重い!?

 

 だが、ベルは割とまじめな表情を浮かべていた。

 

「ベルは兵夜さまをずっと見てきました。兵夜様はノリがいいですし、結構ボケ体質で暴走体質なので適応できます! ベルを信じてください!!」

 

「え、あ、うん。傷ついたけどわかった」

 

 あれ、俺そんなにあれな性格?

 

 ・・・いや、ここは気合を入れよう。

 

 とりあえずこっぱずかしいのでテキーラを一気飲み・・・と。

 

「ベル、頼みがある」

 

「はい!」

 

「・・・・・・恥ずかしいから目を閉じててくれ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ガトリングガンの嵐が鳴り響く中、スクンサ・ナインテイルは指揮棒を片手にリズムをとっていた。

 

 ここにいるのは一騎当千のアホ達。戦闘の真っ最中に歌って踊りたいという願望の持ち主たちを厳選して、支援のために連れてきた。

 

 ギャグ補正の力とノリを具現化する神器。加えて禁手により広範囲化し、業魔人により強制力を上昇させている。

 

 ただいまミュージックは過激な方向にシフト中。さあ、この状況下をどう戦う?

 

 そう自信に満ち溢れた勝利の確信をもち、しかし彼は宮白兵夜を見誤っていた。

 

 そう、一度はギャグ補正を逆手にとって逆転勝利を喫した宮白兵夜。やけになった彼を甘く見てはいけなかった。

 

「・・・宮白兵夜、踊ります!!」

 

 突如、逃げまどっていた宮白兵夜が反転して突撃をかけてきた。

 

 スクンサはそれをあざ笑う。

 

 ギャグ補正の力により死にはしないとはいえ、そんな状況下を狙えばどうなるかはわかりきっている。

 

「集~中~砲~火~!」

 

「撃ちまくれ~♪」

 

 一斉に攻撃が集中する中、兵夜はあるものを取りだした。

 

 赤いマント。

 

「オ・レ!」

 

 明らかに自棄になりましたという顔で、宮白兵夜はマタドールの姿で弾丸を回避する。

 

 ここにきて、ギャグマンガの補正が最悪に働く。

 

 出力が増大化したがゆえに、その気になれば彼らもギャグの力を使うことができる。それこそがこの能力の最大の欠点。

 

 もちろん、普通はそんな精神などできるわけがない。できるわけがないが。

 

「愛した女に~おだてられ~、豚のごとくに木に登~る」

 

 なぜか気を垂直に歩いて登りながら、兵夜は弾丸を捌き続ける。

 

 ちなみに今はフラダンスになっていた。

 

 割と本気で腹を立てるが、しかしスクンサはすぐに冷静さを取り戻す。

 

 ギャグ補正を即座に切り替えているのが失敗だ。これならネタ切れはすぐに来る。

 

「ふははははは! さてどうするかなぁ?」

 

「ああ、こうする」

 

 次の瞬間、手に何かが付いた。

 

 その瞬間、兵夜の体に弾丸が直撃して悲鳴が上がる。

 

「こ、これは・・・ESP(ロック)!?」

 

 それは対超能力者(エスパー)装備。超能力者を拘束するために開発された、超能力の発動を阻害する拘束具。

 

「ば、馬鹿な。こんなものをどこから―」

 

「悪いが、以前は対超能力者戦も習得していたのでな。・・・記憶をもとにある程度作っておいて正解だった」

 

 ぽん、と肩に手が置かれる。

 

 ゆっくりと、スクンサは振り返った。

 

「げ、ゲン・コーメイ・・・」

 

「因みにECM(Esp Counter Measure)も研究が進んでいる。木原とやらに研究させなかったのは好き勝手するためだろうが、裏目に出たな」

 

 気づけば、周囲を光の槍が取り囲んでいた。

 

 逃走しようにも、自分の能力は超能力が根幹だ。それがなければどうしようもない。

 

「え、あ、ちょっとたん―」

 

「待つと思うか?」

 

 さらに宮白兵夜の槍まで追加された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ぎゃぁああああああああああああああああ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 祐斗Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 敵の攻撃を捌きながら、僕たちは劣勢を強いられていた。

 

 かつて、キャスターはルレアベを作り上げることに成功していた。

 

 旧四大魔王の遺体を加工し、結晶化させたものを材料としたそれは、聖王剣コールブランドとすらまともに渡り合う最強クラスにして最新の魔剣と化した。

 

 そして、その旧魔王の末裔を取り込んだ戦闘兵器が僕たちを追い詰める。

 

「ほーらほらほら☆ その程度かい?」

 

 大型でありながら軽快な動きで僕たちを翻弄するキャスターは、両手から光線を放ちながら僕たちに迫る。

 

 迎撃のために攻撃を放っても、しかし素早く回避される。

 

 これでは魔剣を引き抜いたとしても勝ち目がない。一撃を与えるより先にこちらの生命力が尽きてしまう。

 

 これが、本来の意味で英霊でないものの本領だというのか!!

 

「ほれほれほれほれ! こっちだよ~ん」

 

 高い機動力を生かしながら、様々な方向から攻撃を行ってくる。

 

 その戦力にホムンクルスを投入しているのにもかかわらず、彼はそれを一切気にせず攻撃を続けていた。

 

「命を何だと思っている?」

 

「おやおや、人間だって薬の実験のためにモルモットを犠牲にしているじゃないか。ホムンクルスは工業製品なんだから、むしろもっと軽く扱っていいと思うけどね?」

 

 そう躊躇なく返答してから、キャスターは指を鳴らすと杖を取り出した。

 

「さあ、とどめといこうか、カテレア!」

 

 その杖は地面に突き立つと、周囲の土を取り込んで巨大なハンマーへと姿を変える。

 

 そして、それを巨人が手に取った。

 

 ・・・あの巨体であの武装は危険だ。一撃喰らうだけで全身が吹き飛んでもおかしくない!!

 

「それ一発!!」

 

 全力で振りかぶられての一撃を、慌てて僕らは後退する。

 

 その次の瞬間、地面が豪快にはじけ飛んだ!!

 

 旧魔王の末裔を材料にすることで、これだけの出力を発生させれるということか。

 

 どうする? どうやって攻略する?

 

 グレンデルほどのサイズ差がないせいで、懐にもぐりこむのもかなり大変だ。

 

 ほかのメンバーもホムンクルスや魔獣の相手で精一杯。そして魔獣は無尽蔵に量産がきく。

 

 この調子で行けば、僕たちは全滅だって十分にあり得る・・・!

 

 その推測に肝が冷えた瞬間、後ろからホムンクルスが殺到する。

 

 まずい、これはかわし切れるか・・・っ!

 

 それでも何とか回避しようとしたその瞬間。

 

「おいおい俺たちのことを忘れるなよ」

 

 後ろからホムンクルスが串刺しにされた。

 

 そこには、すでにリタイアして待機室に移動した悪魔祓いの姿が。

 

「まったくだ。邪悪な悪魔を滅することこそ我らが仕事。本来の仕事をしないで八つ当たりにうつつなんて抜かせねえって」

 

「ほら悪魔たちも急いで援護しなさいよ。戦ってるのまだ子供じゃない!」

 

「うるせえな。お前らのところにも何人もいるじゃねえか!」

 

「あ、そういうこと言う? そういうこと言っちゃう!?」

 

「男ども! いいからまずは目の前の連中倒すわよ? いい!?」

 

「「「「「あ、はい」」」」」

 

 見れば、多くの戦力が戦場へと舞い戻り、ホムンクルスや魔獣を相手に押し込んでいる。

 

 と、そのうちの一人が僕の頭に手を置いた。

 

「待たせたな坊主。こっからは大人も助太刀するぜ?」

 

 そういうと、男は光の剣を片手に戦場へと突貫する。

 

「子供ばかりに苦労かけちゃア、大人として涙が出てくるんでなぁ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イッセーSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 レイナーレとフィフスに、四方八方から攻撃が放たれる。

 

 増援としてきてくれた悪魔や悪魔祓いたちが、一斉に攻撃を仕掛けてきたのだ。

 

「撃て撃て、撃ちまくれ!!」

 

「おっぱいドラゴンばかりに目立たせるな! 信徒的にいろいろとマズイ!!」

 

「おっぱいドラゴンに貸しを作るんだ! 絶対に出世するから役に立つぞ!!」

 

 なんかいろいろと思惑が透けて見えるけど、それでも彼らは力になってくれる。

 

 ああ、こんなところでやられるわけにはいかねえよな。

 

 全力で殴り合って、それで少しすっきりして。おかげでとりあえず同じ戦場で協力できる程度には仲が良くなった。

 

 これが俺たちが頑張ってきた成果だ。特に宮白が頑張ってきた成果だ。

 

 親友が頑張った結果を、ここで台無しにするわけにはいかねえもんな!

 

「うっとうしいわね雑魚の群れが!! まとめて消し飛ばしたいのに・・・っ」

 

 特にレイナーレは劣勢だった。

 

 なにせここには女性封印の能力を持った曹操がいるのだ。まともに戦えてるだけあいつが強い証拠だけど、それでも不利になっているのはわかりやすい。

 

 そして、曹操そのものは徹底的にフィフスを邪魔していた。

 

「こ・の・や・ろ・う!!」

 

「そういうな。俺はお前と戦ってみたかったんだ」

 

 だから俺は何とかバーサーカーの相手に集中できてるけど。

 

「争い! 血と憎しみと怒りが燃える! ああ、炎が我が身を焦がす!!」

 

「しぶとい!!」

 

 どんだけ頑丈なんだよこいつは!! さっきから戦車で殴ってんのに傷一つつかない!!

 

 これ、どう考えても何か裏があるだろ!? あるって言ってよ宝具だよね!?

 

「むだよイッセーくん! これだけの数を前にすれば、バーサーカーは決して倒れない!!」

 

「戦力を集めて注目されて! だが残念だったな、お前はバーサーカーを倒せない! 全部裏目になってるな!!」

 

 うぉおおおお腹立つ! だけどこのままだと確かに大恥かくかもしれない。

 

 俺がバーサーカーを倒せなかったらここにいるみんなも危険になるし、いったいどうすればいいんだ。

 

 ・・・ん?

 

 そういえば、なんか気になることを言ってたな。

 

 これだけの数を前にすれば?

 

 全部裏目になってる?

 

 ・・・あ、もしかして。

 

「曹操、バーサーカーに専念するから、ここは任せていいか?」

 

「ああ、それ別に構わないが」

 

 言質はとった! 当分任せたぜ!!

 

 行くぜ、バーサーカー!!

 

 俺はバーサーカーに体当たりをすると、そのままその腹を抱え込んで空を飛ぶ。

 

 目指すは誰もいないところ! こんだけ広いんだしどっかに一つぐらいあるだろ!!

 

 そして、二人の表情は明らかに悪くなった。

 

「レイナーレ! 令呪で呼び戻せ!!」

 

「令呪に―」

 

「おっとさせない。令呪に集中で女宝を使わせてもらう」

 

 曹操が的確な援護をしてくれたおかげで、俺はそのまま引き離せる。

 

 そして手ごろなところで手を放すと、そのまま奴の顔面をアスカロンで切り付けた!!

 

「激痛! これこそ戦場の証明! 痛みが我を窮地へ追い込む!!」

 

 よし、効いたぞ!!

 

 どうやらこいつは、敵や観客がたくさんいると防御力が跳ね上がる仕組みのようだ。

 

 つまり―

 

「一人っきりならやりようはあるってことだよなぁああああああ!!!」

 

 より人が少ない方向にふっとぶように、騎士の状態で切り刻みながら一気に追い込む!!

 

「苦戦! これもまた戦場の一つ。これこそ戦いの一つの形勢!!」

 

 やっぱり! このバーサーカー、戦闘技術自体は大したことない!!

 

 それでも英霊相手にここまで戦えるって、俺も強くなったもんだぜ。

 

 だから・・・

 

「これで決めるぜ、バーサーカー!!」

 

 俺は空高く跳ね上げると、僧侶を展開して砲撃準備。

 

 ようやくだ。鬱憤がたまっていた人たちは、それをしっかり抜いて和平に足を進めやすくなった。

 

 俺にとっての平和が苦痛なやつは何人もいるんだろうけど、同じように俺にとっての平和が心地いい奴だって何人もいる。

 

 だったら、そんな人たちのために全力を出さねえとなぁ!

 

「ふっとべこの野郎、ドラゴンブラスター!!」

 

 バーサーカーを砲撃に飲み込ませながら、俺は心底気合を入れなおした。

 

 ああ、こういうことのためなら、いくらでも命を懸けてやるってな

 


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