ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド   作:グレン×グレン

263 / 361
襲撃終了、準備完了

 ザムジオの捕縛に成功したことで形勢はほぼ逆転した。

 

 なにせ、こちらは圧倒的に数で優っているが、相手は雑魚をごっそり削られたのだ。

 

 あとは包囲殲滅すればいいだけの話。これはかなり有利だろう。

 

 うん、これが体制側のあるべき戦い方だ。数の利は本来体制にあるべきなのだ。

 

 なんで、いっつもいっつも俺たちが数で不利になってたんだろう。何かが大きく間違っているような気がして、涙が出てきそうだ。

 

 だが、今回ばかりはそうはいかん。

 

「ふははははははははははははははははは!! これが、正義! 多数決は民主主義における正義!!!」

 

「いや大将、冥界は民主主義じゃねえぞ?」

 

 グランソードが外野から何やら言っているが、そんなことは知ったことではない。

 

 ああ、この一年足らず、本当に数で不利な状況ばかりだったからなぁ。なんで体制側に所属しているのにこんな目に合わなきゃいけないんだって不条理を感じていた。

 

 どうだテロリストめ! これこそが正しい世の在り方なのだ。数の暴力はいつの世も体制を敷いている者の基本なのだよ!!

 

「さあ覚悟するがいいフィフス・エリクシル! 毎回毎回お前が味合わせてきた数の暴力の味、今度はお前が味わうのだ、クソ野郎が!!」

 

「俺もう行くからなー。大将冷静になれよー」

 

 などといわれたが、しかし俺は動じない。

 

 だってさー。毎回さー。俺さー。苦戦しすぎだしさー。

 

 魔王の妹とかいう勝ち組に所属することになったのに、絶望しろと言わんばかりの苦難のフルコース。下手をすれば死人が万単位で出かねない大規模な戦いがつるべ打ちですよ?

 

 まだ俺たち十代ですよ? いや、俺はある意味三十越えてるけど。それでも冥界じゃ若手どころの騒ぎじゃない。

 

 どう考えてもあれだろう。いくらなんでもおかしいだろう。これ、正しい意味で悪運が強すぎる。

 

 いや、出世は確かにするつもりだよ? だけど必要以上苦難と責任を負うつもりもないっていうか。

 

 イッセーが上級悪魔を目指す以上、その親友である俺もそれなりの地位を求めるのは当然だし、魔術師どもを監視すると決めた以上、機関の長として当然の地位に立つのは当然だ。だから出世はもちろんするし、豪華な生活が送れるならそれに越したことはない。

 

 だが、権利と責任は表裏一体。面倒ごとをどんどん抱え込むことになることを忘れてるわけじゃない。

 

 だから限度ってものはあるし、出世するにしても速度に限度ってものがあるのにこの速度。もちろんそれに比例して莫大な負担があるわけだ。

 

 そりゃグチも言いたくなるって。

 

 ふむ、だがこれなら何とかなるかもしれないな。

 

 ・・・いや、フィフスのことだし隠し玉の一つぐらいはあるかもしれん。

 

 ここは様子を見ながら蒼穹剣の発動準備を―

 

「あ、おい、なんだあれ?」

 

 ん?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イッセーSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 宮白がいろいろテンションがおかしくなる少し前。

 

 よっしゃ! これでホムンクルスたちは全部倒したぞ! あとはフィフスたちだけだ!

 

「ここまでだな、フィフス!」

 

「ザムジオの奴! 突出したうえにやられやがってからに! ・・・だから前に出るなといったのに!!」

 

「まあ、私たちが言っても説得力がないわよね」

 

 追い詰められたフィフスとレイナーレが歯を食いしばる。

 

 いやぁ、こんだけ圧倒的な状況になったの初めてかもしれない。

 

 だって今まで苦戦し続けてきたもん。そうじゃない時だって、こんな圧倒的な数の不利をどうにかできたことなかったしね!

 

 いや、相手はフィフスだから油断しちゃいけない。

 

 ここは俺が出てきてなんとかどっちかだけでも倒さないと。

 

「ではあきらめてもらおうか。すでに分散した敵戦力は、ストラーダ猊下たちが各個撃破を続けているぞ」

 

 ゼノヴィアもデュランダルを突き付けて言い放つが、だけどフィフスはまだあきらめない。

 

「・・・いや、そうはいかないぜこれが!!」

 

 なんだ? 急に喜び始めたぞ!?

 

 と、次の瞬間空間を突き破って、なんかでかいものが何隻も現れた。

 

 な、なんだあれは!?

 

「あれは!?」

 

「知ってるのか、ゼノヴィア!!」

 

「クリフォトがアウロス学園を襲撃しに来た時、救援に来た船だ!!」

 

 そういえばそんなものあったね!

 

 でも何隻も出てきてるよね。どういうことだ?

 

「ああ、砲艦も連れてきた」

 

 ああ、なるほどねぇ。それはねぇ・・・。

 

 ・・・え゛

 

 そう思った瞬間、ビーム砲やミサイルが大量に飛んできた。

 

 うぉおおおおおおお!? こいつらマジでできる!?

 

「大艦巨砲主義万歳!! ・・・さて、今のうちに帰るか」

 

 あ、あの野郎逃げる気だ!!

 

 くそ、このまま逃がしてたまるか!!

 

「・・・イッセー。このまま逃がすわけにはいかない。ここは私の番だな」

 

 と、ゼノヴィアはデュランダルをもってうなづいた。

 

 ああ、何が言いたいかはよくわかるぜ。

 

 とりあえず、喧嘩売ってきておいて楽に帰れると思ってんじゃねえよ!!

 

「行くぜ、おっぱいゼノヴィアバージョン!!」

 

「・・・第一砲艦、急速後退!!」

 

「「遅い!!」」

 

 俺はゼノヴィアのおっぱいの力を借りて、一気に出力を具現化させる。

 

 それに感応し、デュランダルが莫大なオーラを放出した。

 

 それは結晶化して剣となり、刃渡り何百メートルもある剣となる。

 

「ライザ〇ソード!?」

 

「そう・・・」

 

「・・・かもな!!」

 

 全力で、全力で俺たちは聖剣を振り下ろして、敵の巡洋艦を一隻両断した。

 

 よし! ついでにもう一隻―

 

「馬鹿め! 狙うところが間違ってるなこれが!!」

 

 あ、フィフスの奴もう後退している。

 

「この野郎待ちやがれ!!」

 

「やだね! せっかくデータが取れたのに、ここでやられるなんてばからしいなこれが!」

 

 そういうフィフスは、返り討ちにあったのにもかかわらず笑っていた。

 

 なんだ? あの野郎、何を考えている。

 

「なに。どうせもうすぐ決着がつく。・・・首を洗って待っていな」

 

 フィフスには余裕があった。確信があった。そして何より自信があった。

 

 勝つのは、俺だ。

 

「招待状はくれてやる。それまで牙を研いでおくといい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、データはとれたの?」

 

 撤退する航空揚陸艦の中、レイナーレは失った水分を補給しながらフィフスに尋ねた。

 

 死ぬところを救ってくれた恩義はあるが、利用するつもりしかないうえにさんざん実験体にして地獄の苦しみを味合わせてくれた男だ。感謝の感情はあまりない。

 

 なにより、フィフスも感謝の感情より実利を求める生きものだろう。魔術師(メイガス)という生き物は本質的にはそういうものだとわかっている。

 

 今回の件は大打撃を喰らったのは事実だろう。

 

 リゼヴィム・リヴァン・ルシファーに次ぐカリスマ性をもつザムジオが捕縛された以上、旧魔王派の参加者は大きく混乱する。そしてリゼヴィムに縋り付くだろう。

 

 あの遊びが過ぎるのが悪い癖の男に自由に使える権料が増えるのは、多少問題がある。

 

 しかもあの男はいろいろと大変なことになっているのだ。間に合わなければ大変なことになるだろう。

 

 そのくせ邪龍の筆頭格であるアポプスとアジ・ダハーカも裏でいろいろと動いているようだ。クロウ・クルワッハも離反した以上危険度は高い。

 

 とはいえこれはどうにかなるだろう。幸いすでに対抗策はできている。

 

 今のフィフスたちは、たとえグレートレッドが本気で排除に来ても対応できる準備は整っていた。たかが邪龍ごとき三頭、ヴァーリ・ルシファーとオーフィスの残りかすが組んでも勝算は十分にある。

 

 だが、兵藤一誠だけは別だ。

 

 あの男は正解が通用しない。理不尽としか思えないような現象を巻き起こし、サマエルすらかろうじてだが突破した。

 

 そして、あの男は無限と夢幻の力すら宿している。

 

 たとえ夢幻であろうと恐れるだけではなくなったが、それに兵藤一誠が加われば、事態は大きく動くかもしれない。

 

 だからこそ、データだけはどうしても必要だった。

 

 これまで収集してきた点の数々に、最後のピースが加われば、あの男をどうにかする切り札が手に入る。

 

 ・・・フィフスにとってのこの襲撃は、まさにそれこそが本命だった。

 

 しょっぱなから脱落していた時はどうなることかと思ったが、参戦してきてくれて助かった。

 

 バーサーカーも令呪三画で何とか回収。ザムジオは本当に残念だったが、しかしそれでもデータが取れれば―

 

「大丈夫だ。データはとれた」

 

 だから、フィフスの勝利の確信に満ちた言葉にほくそ笑む。

 

 ああ、これで彼に対する復讐は完了する。

 

「そうね。だったらそろそろばらしましょう? あまり時間をかけるとデータが意味をなさなくなるわよ」

 

「ああ、トライヘキサもあそこに入れているしな。・・・くっくっく、名前聞けばわかる奴は一発でわかるのに、結局あいつら一度も査察にすら来てないでやんの」

 

 フィフスはそう愉快そうに笑うと、一つの瓶を取り出す。

 

「あら、ワインなんて飲むの、貴方?」

 

「俺だって酒の一つぐらいの呑むさ。祝杯ぐらいはしないとな」

 

 そういうと、グラスを持ってこさせてワインを入れる。

 

 そして、レイナーレに一つ差し出した。

 

「あとで船の連中にも差し入れをしてやろう。怨敵兵藤一誠は、無残にもごみ屑となり果てる」

 

「あらあら、さすがにそれは言いすぎじゃない? 赤龍帝のままなのよ?」

 

 そういいながらも、しかし言いえて妙だとレイナーレも思う。

 

 極限の領域に到達し、空前絶後の進化を遂げた兵藤一誠。

 

 それが、一瞬で無に帰すのだから。

 

「俺たちが自由に遊べる理想郷の完成に」

 

「そして兵藤一誠の苦悶の叫びの予約に」

 

 二人は微笑あうと、グラスをぶつけ合う。

 

「「乾杯」」

 

 前祝の勝利の祝杯が、食堂の内部に響き渡った。

 




はい、次の章ではフィフスがヒャッハーしますよ?








調子ぶっこいた兵夜が度肝を抜かれるぐらい、緊急事態が起こりますとも。

フィフスの今回の最重要目的はイッセーのデータ収集。ぶっちゃけ、それができればどれだけ損害が出ても割が取れるとあの男は半ば思っています。それぐらいイッセーを危険視しています。

田って考えてもみてくださいよ? おっぱい一つで常識というか物理法則すらぶっちぎる男。そんなの脅威に思わないわけがないでしょう?

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。