ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド 作:グレン×グレン
進路指導。高校生なら年に一度は経験するイベントだ。
こと、俺の場合は割と本気でどうしようか考えたものではある。
「なあ親父。とりあえず親父の系列会社の人事部に就職しますってことでごまかせないか?」
「表向きはそうでいいかもしれないが、それよりやるべきことがいくつもあるだろう?」
ふむ、やはり真剣な内容だ。やはり親父は遊び半分でこんなことには参加しないか。
「お前の実力なら、大学には一年行かなくても入る分には問題ない。加えて言えば、冥界の大学なら余裕で入れるだろう。そっちに一本化するというのも一つの手だぞ?」
「そっちはグレイフィアさんに止められてんだよ。姫様が駒王の大学に入って出る気なら、眷属である俺たちもできる限りそれに倣えってな」
「お前にその気がないなら、親の立場として一言いうぐらいはしてやるが、いるか?」
と、真剣に考慮してくれている親父に引きずられながら、俺は真剣に考慮する。
実はアーチャーは自分の魔術を発動できる魔術礼装を開発済みだ。
アザゼルの人造神器技術と、これまで手に入った幻想兵装の技術を組み合わせたこの技術。冗談抜きでサーヴァントとして枷にはまってない魔術行使を可能とする。
そして、それの運用支配権は俺とアーチャーにしかない。
そういう意味では実力すら補完できる方法もできたし、今から魔術師組合のトップに収まるという選択もなくはないんだ。
クリフォトとの戦闘でポイントも上がっているし、上級昇格に必要な条件もそろっている。
だが、俺の頭の中にはアーチャーたちとの酒盛りや、あいつの服着てコスプレしてる姿も映るわけで・・・。
「・・・まあ、高校卒業してから考えるよ。俺の成績なら大学部はほぼ合格だから受験勉強の必要薄いしな」
「なるほど。では、卒業してからはお前を中継点とすることによるグレモリーさんのコネクション形成を考慮・・・といった形で行こう」
そういってこの話を終えた親父は、ふときょろきょろすると、耳元に口を近づけてきた。
「それで、いろいろとすごいことになっているようじゃないか、お前の恋愛模様」
「・・・ま、知ってるとは思ってたよ」
運動会の件は当然知られているし、おそらく小雪とベルの件も耳に入っているはずだ。
「誰もかれも美人さんじゃないか? それに戦闘方面とはいえ腕もたつし、わざわざこっちにあいさつに来てくれるぐらい礼儀もある。・・・小雪さん、だったか? 彼女、上から怒られるのも覚悟のうえで使える技術を持ってきてくれたぞ?」
「あいつ何やってんだ」
小雪さん。確かにあなたの知っている技術は親父の会社にとって超最高だけどね?
「まあ、悪魔なら当然できることである以上、頭ごなしに否定はしない。だが、ちゃんと責任を取ることを考えろ」
「わかってる。・・・不倫などするものかよ!」
風俗ぐらいなら何の問題もないとか、いっそのこと増やしてみたらとか言ってくるぐらいだが、俺にだって限度というものがある。
そんなあほなことはしないぞ! しないぞ!! しないんだからね!!!
と、親子で馬鹿な方向に話が進んでたら、なぜかまっすぐ前を進んできている男女がいた。
おそらく夫婦なんだろうが、三者面談とはいえ両親がまとめてくるとは不思議な展開だ・・・。
と、その夫妻はなんと俺たちの目の前まで来た。
む、なんかさっきとは違うけど妙な気配と緊張感が・・・っ
「・・・なんでしょうか?」
「申し訳ない。私はあなた方とは面識がないはずなのですが」
少し警戒しながら、俺たちは立ち上がってすぐに動ける力具合であいさつをする。
まさか、まさかとは思うがクリフォトの刺客・・・?
「初めまして、久遠の父です」
「は、母です」
・・・・・・・・・・・・
来たよ、大イベント。
「ほ、ほほほ本日はおひがらららららららららら」
「落ち着け! 命がけの戦いでも動揺しないお前はどこに行った?」
人のいない教室に案内したが、俺は割といっぱいいっぱいだったりする。
親父、悪いんだけど水持ってきてくんない? といいたいけど、そんなことを言っている余裕もない。
あ、水筒からお茶出してくれてるね! ありがとう、親父! なんでそんなにできる男なんだ!!
ナツミとベルは親に捨てられ、小雪は死別しているから油断した。
関係はあいつの転生問題で悪めとはいえ、それでも両親がいるというのは間違いなく問題点の一つだったんだ。考えてなかった・・・うっかり!
「そ、そ、そ、そ、そ、それで・・・」
「・・・既にご存知かと思いますが、私達と久遠の間には壁があります」
・・・いきなり踏み込んだな。親父も驚いている。
「それは私達にもありました。彼女から、理由は聞かれているのですか?」
「支取さんという方が仲立してくださったおかげで多少は」
「・・・ショックで、三日間寝込みました」
あのバカ、そういうことは俺にも話せってのに。
大方、大規模模擬戦とかが忙しくていう暇なかったな? おくびにも出さないあたりは評価するが、後でしっかり説教せねば。
親父さんは、いろんな意味で言葉にするのを嫌がっていたようだが、それでも決意を込めて顔を上げる。
「・・・私は、心のどこかで彼女を実の娘じゃないと思いたくなるような、弱い人間です。そして、それは妻も同じです」
「ええ、それについては理解できます」
自分の子供に過去の記憶があるとか、実際になってみると気持ち悪いだろう。
そういうの全くなく付き合ってくれている。堂々と息子だと断言してくれる。本当に息子として接してくれている、そんな親は少数派だ。
そう、親父に感謝することこそあれ、彼らを非難する必要はない。
悪い久遠。俺は、そういう弱い人間の気持ちがわかるから責められないよ。
それにな、久遠。
お前、それでも恵まれてる方だよ。
だって、この人たち、腕が震えてるよ。
恐怖に耐え、立ち上がろうとしている。そんな人間だけがだせる震え方だよ。
「それでも、それでも私の娘なんです! 初めてできた子供なんです!!」
「長い間幸せになってほしいと思ったから、久遠と名前も付けたんです!!」
と、お二人は俺に詰め寄った。
「それがいきなり愛人だなんて! ちょっと進みすぎですよ君たち!!」
「本当に、本当に娘を幸せにする覚悟があるんでしょうね!!」
「落ち着いてくださいおふたがだ。あれは彼女の方から言い出したことですよ?」
と、親父が止めに入るほどの剣幕だった。
っていうかちょっと待て。なんであのバカそこ言った! あと親父もなんでそこまで詳しく知ってんだ!!
いやいやいやいや。まずはこの質問に答えるべきだろう。
幸せにしたい。それは間違いなく断言できる。
そこに嘘はかけらもない。心の底から愛しているし、そういう相手を幸せにしたいという感情も本物だ。
だが、現実問題
さて、それを踏まえたうえでの最適解は―
「大丈―」
「―夫です!!」
直後、窓を突き破ってナツミとベルが乱入した。
「何やってんだお前ら!? わぷっ?」
飛び散ったガラスは全く気にせず、二人は俺に抱き着いた。
「兵夜だけだとうっかり何かしそうだけど、ボクやベルに、ここにはいないもう一人もしっかりいるから大丈夫だよっ」
Vサインを浮かべて、ナツミはそう断言する。
「みんな一緒でみんな好きだからね♪ あ、でも一番は兵夜だよ? なんたってボクの王子さまだもんっ」
顔を真っ赤にしながら、そのままぎゅーっと俺を抱きしめる。
そして、そんな俺たちにしなだれかかりながら、ベルもまたうなづいた。
「確かに兵夜さまは甲斐性を分割しなければいけない分苦労もあるでしょう。ですが実質久遠ちゃんは良妻になれる立派な方。娘さんを実質信じてあげてください」
そう力強く断言し、そしてベルもまた俺に頬ずりする。
「それに兵夜さまは、久遠ちゃんのことが大好きですから。実質私達も大好きですし、みんなで幸せになるよう頑張り続けますよ?」
急展開に何も言えない俺の耳に、今度はドタバタと駆けつける音が。
ああ、これはあれですな。彼女ですな。
「ファァアアアアアック!! 何をやってんだお前らは!!」
「にゃぅん!?」
「きゃぅん!?」
ドロップキックを二人の顔面に叩き込んで、小雪は俺の襟首をつかむ。
「お前もお前だばか兵夜! こういうのはなぁ、マジモードの顔で「幸せにします!」っていうのが基本だろうが!!」
「いや、しかし一年足らずでぽっくり戦死するかもしれず―」
そう、そこが一番問題。
まだクリフォトが動いている以上、そんなことは口が裂けても言えないわけで。
そのあたりをちゃんと組んだうえで、小雪は頭突きになるレベルで俺と額をぶつけ合わせる。
「気合で生き残れ! そしてあたしらも死なせないように全力尽くせ! そしたらあたしたちもお前を死なせないように全力尽くす!!」
そう断言し、視線を反対側のドアの向こうへとむける。
「そうだろ!?」
え、え、え、え、え、まさか!?
と、静かにドアが横に開き、そこには顔真っ赤にした久遠の姿が・・・。
「久遠!? お前・・・大丈夫か?」
「涙まで浮かべて・・・。まさかいじめ!?」
と、動きはぎこちないが、それでも慌てて心配し始める。
いい両親、持ってるじゃねえか。
俺の親父に比べれば低い点数だが、それでも十分及第点だよ、これは。
「あ、あう、あう。・・・そりゃぁ、守りますけど・・・・」
指を突っつき合わせながら、久遠は心底心から顔を真っ赤にする。
と、いつの間にか間近にいたナツミが、久遠の目の前に立っていた。
「久遠っ」
「え? ―むぅ!?」
と、ここで勢いよくキス!?
ああ、周りの人たち半分以上固まってるよこれは!!
と、思ったら今度はベルが久遠に抱き着いて―
「はい、久遠ちゃん」
「ちょ、ちょっとむぐぅ!?」
これまたおいしく啄み始めた。
あ、しかも小雪までその顎に手を触れて。
「まあ、ファックだがそういうことだ・・・」
「ひゃう!? ん、ぬちゅ・・・ちゃぷ・・・」
ディープ行ったー!?
と、やることやった三人は、そのまま久遠を俺の方へ。
「ほら、ファックにやることやれ」
「実質兵夜さまの番です!!」
「ま、というわけでボクたちみんなみんなのこと大好きだから、ほら、証拠!!」
と、どんどん話を先に進めている。
と、俺は久遠と顔を見合わせて。
「かお、真っ赤だぞ」
「兵夜くんこそー」
ほんと、こいつ想定外の恋愛事情に弱いな。
最初に口火切ったのはお前だろう。そこからどんどんエスカレートしていったんだろうが。
付き合うことになってからも、ストレートにわかりやすく愛妻行為を働くから、イッセーと違ってからかわれているとかかわいがられているとかいう勘違いも起こりやしない。
まったく、そういうことなら・・・。
「・・・むしろ逃がさないって、逃げる気になれないぐらい幸せにしてやる」
「が、がんじがらめー!? ・・・あ、ん」
意識は恥ずかしくて飛びそうだけど、しっかりすることはさせていただきました。
ホント開き直りましたよ、兵夜も