ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド   作:グレン×グレン

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レーティングゲームの闇

 

「お前、学校で何恥ずかしいことしてんだよ」

 

 イッセーに半目でツッコミを入れられた。

 

 あの後、生徒の一部が見ていたらしく大騒ぎになった。

 

 ええ、呼び出され・・・ませんでしたよ見事なまでに。

 

 思わず突っ込み入れに行きましたよ。いや、あんたら教職として仕事しろよ俺が言うことじゃないけどと。

 

 そしたら教師たちが口をそろえてなんて言ったと思う?

 

「いや、今更だし」だぜ?

 

 クソが反論できん!

 

 まあ、ご両親はそれでだいぶ気が楽になったらしいが。

 

 ああ、気持ちはとてもよくわかる。

 

 俺だって、普通の家庭に生まれて転生者なんて存在を知ったら距離を置く。それが自分の子供だからこそ逃れられない衝撃だってあるだろう。

 

 だが、あの人たちは耐えられないなりに対応してのけたのだ。それは頑張っているとほめていいと思う。

 

 うん、養父と養母には優しくせねば。今度菓子折りもって改めてあいさつに行こう。

 

「で、宮白。・・・見つかったか?」

 

 イッセーがきいてくる内容はすぐにわかる。

 

 いい加減、ライザーとレイヴェルの行くえを知るべきだということだ。

 

 とはいえ俺の推測が正しければ、ライザーの身だって十分危うい。

 

 なにせ王の駒はともかく、トップランカーのうち二位および三位が黙って使用しているのだ。

 

 これは間違いなく大騒ぎになるだろう。そして捕縛に抵抗して大暴れすれば、間違いなく大惨事になる。

 

 そしてそんなことになれば、代用品の生産を了承した俺も無傷ではすまず、それを黙認した四大魔王にも火がつくわけで・・・。

 

 終わる、冥界がマジで終わる。

 

 この政治的空白期をハーデスが見逃すとは全然思えん。あの野郎は間違いなく何かしでかしてくるにきまっている。

 

 ただでさえアサシンのせいで政治的空白期一歩手前の状態に追い込まれたばかりなのに、そんな余力は全くないぞ。

 

 ええい、なんとしてこの情報の流出だけは阻止しなくては!!

 

「とにかくだ! お前はディハウザー・ベリアルを相手にする覚悟も決めておけ。最悪の事態は想定して対策を立てておくべきだ」

 

「お、おう! わかったぜ!!」

 

 俺たちは気合を入れなおしながら、戦うためのトレーニングを始めようとし―

 

「おいイッセーに宮白! アジュカ・ベルゼブブから連絡が入ったぞ!!」

 

 ・・・どうやら、事態はもっと火急だったようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そこでアジュカ・ベルゼブブから伝えられた事実は、要約するとこういうことになる。

 

 1、王の駒についての情報。これは俺が知っていることと同様。クレーリア・ベリアルの件もこっちがメインだったそうだ。

 

 2、レーティングゲームは純血悪魔側はかなり八百長というかプロットを用意してあるということ。

 

「・・・なるほど、そうでしたか」

 

「軽いよ宮白!!」

 

 イッセーにツッコミを入れられるが、そんなこと言われてもな。

 

「実際ライザーだって懇意にしている家にわざと負けたりとかしてるんだろ? その範疇内・・・にするには過激かもしれんが、これだけ参加者が多いならそりゃそういうこともあるって」

 

「黒すぎだろ!! お前どんだけ黒い世界で生きてるんだよ!!」

 

 匙からもツッコミを入れられたが、しかしまあ想定の範囲内だ。

 

 ・・・まあ、グレモリー眷属やシトリー眷属はまっすぐだからこれはきついか。

 

「で? まあそれはおいおい他の神話体系と交流すればいいとして、つまりディハウザー・ベリアルはクリフォトとつながってるってことでいいんだよな?」

 

 小雪は冷静だったが、しかしほぼ全員が割と動揺している。

 

「・・・なあ、俺とお前の汚れっぷりが酷いことになってる気がしてきたんだが」

 

「今更すぎてファックだろ」

 

「二人とも、もっときれいになろうよ」

 

 ナツミにまで言われてしまった・・・。

 

「それより実質どうしますか? そんな情報、もし流されたら本当に冥界が大騒ぎになりますが」

 

「と、いうより獣鬼騒動でのダメージまだ残ってるからねー。・・・これ、まずくないー?」

 

 ベルと久遠も割と危険視している。

 

 だよなぁ。さすがにそれぐらいは理解していると思うんだが・・・いや、どうだろう。

 

 そして、いや、何よりも・・・。

 

「・・・と、とにかく。まずはライザーとレイヴェルさんの安全確保が、必要・・・」

 

 ・・・ソーナ先輩がマジで落ち込んでるのどうしよう。

 

 ああ、会長も頭回るタイプとはいえやっぱり綺麗な側だからなぁ。これはさすがに衝撃強かったか。

 

 うん、適任は一人しかいないっていうか、ここは一人にした方がいいというか。

 

「匙、何とかしろ」

 

「お、俺かよ?」

 

 小声で匙を促すが、ものすごく動揺している。

 

 ええいこのあほうめ。そんなことでソーナ先輩をどうにかできるものかよ。

 

「ほら元ちゃんー。早くかっこいいこと言ってソーナ様の好感度を上昇させるー」

 

「え、ちょ、ちょっとまて。そんなこと言われてもすぐに言えるわけが・・・」

 

 久遠もせかすが、このヘタレは全く肝心な時に。

 

 かといって俺が何か言ってものちのためにならんかもしれないし・・・どうしようか。

 

 だが、そんなことを心配している暇は全くなかった。

 

「・・・宮白君、聞いているかね?」

 

 何やら大変なことが連絡された。

 

 ・・・イッセーの両親が、誘拐されたとかいう大事件が勃発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クソが! まさか警戒を突破してくるとは・・・っ!」

 

 まさかここまで奴らが強行突入してくるとは思わなかった。

 

「さすがにこれは私の失態だわ。前回結界を強行突破してきたのは、侵入できないと思わせるためだったのね」

 

 アーチャーも割と悔しそうだ。

 

 当然だろう。あの野郎、結界を無効化してアーチャーに感知させずに誘拐させやがった。

 

 俺らの家族を人質にとる対策は一応取っていたんだ。

 

 駒王町の結界のアップデートは定期的に行っていたし、傭兵を雇うことで戦力も増やしていた。

 

 報酬も待遇も良くしていたし、仕事はきちんとしないと今後の展開に差し支えるから裏切る可能性も低かった。

 

 まさか、全員殺されているとは思わなかった。

 

「キャスターとアサシンを見誤っていたね。サーヴァントの力を手にできるということが、ここまで厄介だったとは」

 

 現場の検証に付き合ってくれている木場も、一周回って感心の領域に到達している。

 

 ああ、これはいくらなんでもヤバイだろう。

 

 イッセーになんていえばいい。なんていえば。

 

 裏に慣れている俺が、最も警戒しなければなかっただろうに!

 

「・・・アーチャー!! 残滓か何かであいつらの居場所を調べてくれ。俺は集められるだけ戦力をかき集めてくる!!」

 

「いや、その必要はねえ」

 

 と、そこにアザゼルが渋い顔をして入ってきた。

 

「なんだアザゼル! 俺も割と結構きついんだが?」

 

 ちょっと完全に冷静になれる自信が全くないんだが?

 

「いや、敵がどこにいるかがわかった。・・・っていうか、フィフスの奴、わざと痕跡を残していきやがった」

 

 は?

 

「冗談でしょう? あの男に限ってここまできてそんな愚かなことをするわけがないわ」

 

 アーチャーの言うとおりだ。

 

 この状況下で総力戦だと? まさか、トライヘキサの封印が解けたとでもいうのか?

 

 いや、それなら即座にリゼヴィムがヒャッハーするはずだ。その可能性は低い。

 

「それで、フィフスはイッセーくんのご両親をどこに連れ去ったんですか?」

 

 混乱する俺たちに代わり、木場がアザゼルに尋ねる。

 

 あ、そうだ。とにもかくにも場所を聞かねば話にならない。

 

 と、アザゼルは静かにタブレットを取り出した。

 

「・・・ここだ」

 

 それを見て、俺たちは頭の中が真っ白になった。

 

 そこに映っているのは、一つの現代的な軍事基地。

 

 それも、大絶賛ミサイルがぶっ放されている戦場だった。

 

「お、おいアザゼル? これ、どこだよ?」

 

「・・・軍需産業クージョーノケイの本部だよ」

 

 な、んだと!?

 




最初だけギャグで、そのあと一気にシリアスに。

今回の誘拐の主導はフィフス。その理由の一つは極めて単純。

「これ以上余計な成長をしてほしくなかった」

ゆえに準備ができたので挑発しているわけです。「ほら来いよ、大ぜい連れてこずにかかって来い!」といって「野郎、ぶっ殺してやる!」とさせようとしているわけです。

そして、この誘拐にはある意味でもっと重要な理由が・・・。

それがなぜかは、本編で説明しましょう

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