ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド   作:グレン×グレン

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今回、ついにフィフスがやらかします!







聖杯を奪ったのも






模擬戦にわざわざ乱入して兵藤一誠と戦ったのも






そしてイッセーの両親を誘拐したのも。









すべては、あの奇跡の覚醒を台無しにするというたった一つの目的のための布石です


幽世からよみがえる兵藤一誠

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イッセーSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺とヴァーリは、それぞれフィフスとリゼヴィム相手に激闘を繰り広げていた。

 

 だけど、こいつらはマジで強い。

 

「おいおいあまり暴れないでくれよ。・・・ディハウザーからお前の両親に危害を加えないように言われてるんだ。王の駒はあいつが持っていたからどうしてもデータが取れなくてな。交換条件を出されたらどうしようもない」

 

 この野郎! すでに王の駒のデータ取ってんのかよ!!

 

 まずいぞ。宮白の話では悪魔の駒をこいつらは作れる可能性があるっていうし、もしここで倒せなかったら状況がひっくり返る。

 

 王の駒につられて裏切る悪魔も多そうだし、ここで何とかして倒さないと!!

 

「この野郎! 俺の父さんや母さんまで誘拐して、いったい何のつもりだ!!」

 

 本当に何のつもりだよ!

 

 言いたかないけど、人質にするなり操って俺を狙うなりするだろ、こいつなら。

 

 それなのに、ヴァーリとリゼヴィムの戦闘の余波からかばうぐらいの安全まで配慮してる。こいつそんな性格じゃないだろ?

 

「・・・い、イッセー? お前、なんでそんなに強いんだ?」

 

 ・・・父さん、マジでごめん。

 

「悪い父さん母さん。こいつの相手は余裕がないんだ」

 

 あとで、しっかりと謝らないとな。これはマジで悪いことをした。

 

「まったくだ。自分を愛してくれる親は大事にした方がいいぞ」

 

 ヴァーリが俺の後ろに回りながら、そう告げる。

 

 神器を一切使わない魔法攻撃でなんとかリゼヴィムにダメージを入れてるが、それでもこっちもボロボロだ。

 

 少数精鋭で行くしかないから、回復薬のアーシアを連れていけないのが大変だな。

 

 俺ら、ほんとアーシアに頼り切りだなぁ。

 

「うひゃひゃひゃ! パパにいじめられた奴は言うことが違うねぇ? お母さんに慰められたことでもおもいだしたのかぁい?」

 

 リゼヴィムの野郎がヴァーリをあおるが、なんか様子がおかしくないか、こいつ。

 

 なんていうか余裕がないっていうかなんていうか・・・。

 

 いや、そんなことを言っている場合じゃない。

 

 ここで何とかしなけりゃ、ホントに世界が台無しになるぞ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Side Out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 割と本気で死にかけた。

 

 あばらが三本は折れているし、内臓もいくつか破裂寸前。

 

 だが、勝利は目前だ。

 

「これが、あのハーデス神を倒した蒼穹剣か・・・!」

 

 ぼろぼろで膝をつきながら、ディハウザーは血を吐いた。

 

 もう少し苦戦するかと思ったんだが、勝因は簡単だ。

 

「・・・やって後悔するぐらいなら、やらない方がずっとましだとはよく言うぜ」

 

「君みたいな子供に言われるとは、私も衰えたな」

 

 単純なやる気の差だ。

 

 後悔しまくりで吹っ切れてないから、こうも簡単に追い込まれる。

 

 いくら対覇龍クラスとはいえ、もう少し戦闘できるだろうに。

 

「これ以上かかわらないなら逃げても構わないけどな。こっちとしても厄介な情報をばらさないなら、リゼヴィムとフィフスに集中したい」

 

 心から本音でそう告げる。

 

 イッセーなら捕まえるかもしれないが、俺は邪悪度高いのでその辺はかまわない。

 

「そうもいかないだろう。テロリストに内通したのだから、相応の罰は受けねばならない」

 

 そういうと、ディハウザーは両手を差し出す。

 

「捕縛用の道具は持っているのだろう? さあ、冥界に反旗を翻した私をとらえて褒章を得るといい?」

 

「それで黒い取引した分を帳消しにするといいってか?」

 

 それはそれでいいが、しかしそういうわけにもいかんだろう。

 

 俺が無事で済んだとして、ゼクラム・バアルがダメージを受けたら元も子もない。

 

 それならゼクラム・バアルの手のものがとっつ捕まえた事にした方がいいんだろうけど・・・。

 

「・・・いや、そういうわけにもいかん」

 

「その通り」

 

 と、部屋の天井ぶち壊して攻撃がぶっ放された。

 

 俺とディハウザーは即座に防御するが、これかなり強力だぞ!?

 

「・・・皇帝といえどしょせんは悪魔か。この程度とは情けない」

 

 そこにいたのは明らかに化け物クラスと思しき強大な存在。あとたしかアジ・ダハーカだったっけ?

 

 同等クラスということは、想定できるのは・・・。

 

「お前がアポプスか!」

 

「その通り。私がアポプスだ」

 

 その男はドラゴンの気配を隠しもせず、余裕の表情を見せる。

 

「すまないが、リゼヴィムとフィフスがうるさくてね。ドラゴンをこき使うとは愚かなやつらだとは思わないか?」

 

「あいつらは龍をなめている。あとで相応の報復をしないとな」

 

「マジ殺す! マジ殺す!」

 

「後で必ずぶっ殺す!」

 

 そういいながら、化け物ドラゴン二人がこちらにお襲い掛かろうとしている。

 

 ああ、本気で面倒くさいんだが、これはあれだな。

 

 ・・・アレ、使うしかないか。

 

 そんな覚悟を決めたとき、爆発的なエネルギーの開放を俺は察知した。

 

 その場にいる全員が振り返る先、その力は赤と紫のオーラを放出している。

 

 おいおいおいおい。これイッセーか?

 

 あのバカ、ここ表の世界だって忘れてないか!?

 

 いや、相手がリゼヴィムとフィフスなら仕方がないか。これはどうすればいいか困るがしかし必要か。

 

 今度は何をしたんだろう? まさか実の母親のおっぱいで進化とか・・・ないよね?

 

 だが、これはこれで逆転タイムのスタートだ。

 

 毎度のことながらこいつ化け物だろう。

 

 と、思ったその時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その瞬間、兵藤一誠はよみがえった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イッセーSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺の中のオーフィスとグレートレッドの力が覚醒するその時、フィフスは歓喜の笑顔を浮かべた。

 

「それを・・・待っていた!!」

 

 途端に魔法陣が展開し、そこから一つの神器が現れる。

 

 あれは、聖杯?

 

「やれ、キャスター!!」

 

『はいよー!!』

 

 キャスターの声が響き、そして聖杯が光り輝く。

 

『さあ、復活の時だよ兵藤一誠!』

 

「このために、このためにあんたらを誘拐したんだよご両人! さあ喜べ、お前の息子は正しく復活する!!」

 

 そう二人が叫び、俺の何かが引っ張られる。

 

 なんだ? あの野郎一体何をした。

 

 そう思った次の瞬間、俺の体が引きはがされた。

 

『相棒! お前の魂が何かに引っ張られているぞ! これは・・・まさか!?』

 

 その引っ張られる何かに視線を向けると、そこには誰かが立っていた。

 

 あれは、あれは・・・。

 

「・・・おれ?」

 

 そうつぶやいた瞬間、その時映っていたのも俺だった。

 

 だが、その体の近くには父さんと母さんがいる。

 

 なんだ? いったい何があった?

 

『相棒! まずいことになったぞ』

 

 なんだよドライグ!? 俺はいま混乱してるんだけど!?

 

『今お前の目の前にいるお前は、オーフィスとグレートレッドで作ったお前の体だ。・・・お前は、体を入れ替えられた』

 

 ・・・・・・・・・は?

 

 ちょっと待て、それってつまりあれか?

 

 さっき俺が見た俺そっくりの体に、俺の魂が入れられたってのか?

 

 唖然とする俺の目の前で、俺の体がフィフスのところに移動していく。

 

 まったく訳が分からずぽかんとする全員のなか、フィフスと俺の体だけが悠然としていた。

 

「完了いたしました、フィフス様」

 

「ご苦労ザイード。龍神でできた体はどうだ?」

 

 ざ、ザイード? いったい誰だ?

 

「恐ろしく強大な体でございます。これだけの体を相手にして、フィフス様はよく戦えた」

 

 そう、体の調子を確かめる俺の体をしげしげと眺め、フィフスは満足げにうなづいた。

 

「うんうん。聖杯をわざわざ奪ったかいがあった」

 

「お、おいおいフィフスちゃん? これどういうことか説明してくれない?」

 

 リゼヴィムが全くよくわかっていないのか首をかしげる。

 

 え? リゼヴィムも知らされてないのか?

 

「OKOK。まず説明するが、今発動させたのは幽世の聖杯(セフィロト・グラール)の亜種禁手。幽世からよみがえる兵藤一誠(セフィロト・リザレクション・アズライグ)だ」

 

 そう告げながら、フィフスは聖杯を弄ぶ。

 

「次元のはざまから回収した兵藤一誠の肉体を、わざわざ誘拐した親御さんの細胞をつかって復元、そして第三魔法の残滓とアザゼルの人造神器技術を組み合わせて具現化させた。兵藤一誠の魂を体に入れる亜種禁手だ」

 

 俺は、フィフスの言っていることがよくわからなかった。

 

 え? 俺の体を・・・入れ替える。

 

「全く別物の細胞で作った体より、オリジナルの細胞と肉親の細胞を使った体の方が親和性は高い。ましてや小聖杯の技術すら流用した兵藤一誠の魂を入れるためだけの器だ。聖杯の禁手をそれだけのために使えば、確実にいけると踏んでいた」

 

 あ、あいつは何を言っているんだ?

 

 俺の体を、入れ替える?

 

 そのためだけ?

 

 そのために、聖杯を確保したのか?

 

「・・・いやフィフスちゃん? 君はあれかな? あほかな?」

 

 リゼヴィムの言いたい事はよくわかる。

 

 そんなことのためだけに、聖杯を確保するなんて何言ってるんだ?

 

 何よりあいつは、そのためだけの禁手って言いやがった。

 

 じゃあ、それ以外の機能はないってことだろ?

 

 なんでそこまでする必要があるんだよ!!

 

「・・・いや、必要経費だろ」

 

 きょとんと、何を言っているのかわからないという顔で、フィフスはそう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 兵藤一誠は、化け物だ。

 

 悪魔という意味ではない。龍という意味ではない。ましてや人間じゃないという意味でもない。

 

 人は、理解を超えた存在を化け物と呼称する生命体だ。

 

 兵藤一誠は間違いなく弱い。

 

 肉体が弱い。ただの人間ベースの転生悪魔ということはもちろんだが、特に優れた由来も何もない高校生の平均値の範囲内だ。特に戦闘訓練や格闘技をしていたという話も聞いてない。せいぜいがばか騒ぎのせいで平均値より少し体力があるという程度。

 

 異能が弱い。赤龍帝という時点で確かに規格外だが、十代後半になっても神器が目覚めもしなかった以上、その適正は低いといえる。悪魔になりたての頃は、転移すらできないというありさまだ

 

 心が弱い。日本でハーレムという困難な目標を設定し、莫大な煩悩を持ちながら、努力を行えない。覗きという明らかなマイナス行為をやめないという時点で、性根が弱いとしか思えない。

 

 なのに、この男は強大だった。

 

 覇を克服するという規格外のまねをしてのけた。

 

 ヴァーリ・ルシファーを一度は退け、魔王クラスすら倒してのけた。

 

 なにより、グレモリー眷属という弱いくせに強い意味が分からない集団の中心となっている。

 

 ましてや肉体を天敵で消滅させるという絶対に死ぬ状況を潜り抜けるというあり得ない真似すらしてのけた。

 

 そして、女の胸という現象でこの男は数々の異常事態を巻き越している。

 

 乳首をつついて禁手に至るというのはまだいい。胸に顔をうずめて興奮で覇龍を制御するというのもまだいい。胸を半減されると聞いてヴァーリを上回るというのも今ならかろうじて許容しよう。

 

 神器は想いの力で駆動する兵器だ。精神力ならまあ種類は問わなくても問題ない。性欲とは三大欲求の一つなのだから、それなりに強大な力を発揮するのは仕方がないだろう。

 

 だが、パワーアップの過程で京都を痴漢の渦にするのはさすがにおかしい。あとコストパフォーマンスが悪すぎるというか、普通に呼べと思う。

 

 しかも異世界から乳をつかさどる神がわざわざ来るとか異常過ぎる。

 

 あり得ない。

 

 どうかしてる。

 

 そんな馬鹿な。

 

 この時点で、フィフス・エリクシルは兵藤一誠を最大の脅威と認定した。

 

 真理の探究者である魔術師(メイガス)の自分がたどり着いた真理を、胸ごときで突破されるなど悪夢でしかない。

 

 一時期ノイローゼにもなったが、分割思考の応用で何とか回復できた。

 

 だから、兵藤一誠の対策は徹底的に積んできた。

 

 レイナーレの改造もその一環だ。女相手なら業魔人を使ったジャンヌすら一蹴するイッセーに、女でまともに渡り合えるようになるならこれは成功作だろう。

 

 そして、最も警戒するべきは龍神の肉体だ。

 

 なにせ規格外の頂点に到達する存在の血肉だ。もし兵藤一誠がそれをものにすることができれば、ヴァーリ・ルシファーなど足元にも及ばない超越者に到達する。

 

 だからこそ、奴が龍神の体を手にしたとわかった時点で対策を研究した。

 

 その際着眼したのは、まだなじんでいないという事実だ。

 

 ならば、無理やり引きはがすことはできるかもしれないと考えた。

 

 自分は魂を司る第三魔法の系譜。生命の創造も手を付けている以上、器を作れる可能性はある。小聖杯よりは楽な作業だろう。

 

 そして、幽世の聖杯の情報が手に入ったのは僥倖だった。

 

 魂と生命を司る神滅具は、驚くべきことに今代においては三つも存在していた。

 

 だから一つ回収し、それを兵藤一誠を移し替えるために特化した。

 

 業魔人の技術を流用し、聖杯戦争で得たノウハウも注ぎ込んだ。体当たりでデータもとり、方向性も修正した。

 

 だが、相手は龍神と天龍、そして兵藤一誠だ。

 

 そう簡単にはいかないだろう。何かしらの隙を突く必要がある。

 

 だからこそ、覚醒という揺らぎを利用する覚悟を決めた。

 

 だからこそ、覚醒しやすい状況を作り出した。

 

 おっぱいで奇跡を起こす男なら、母親の乳という初めて吸い付くものに覚醒するだろう。親の前で窮地に追い込まれるならなおさらだ。ましてやより押し付けやすい体を作るには肉親の遺伝子が必要だし、一石二鳥ともいえる。

 

 結果的には想定外の方向に発展したが、まあ大体いい感じにはまってくれた。

 

 そして、禁手を発動して魂を回収する。

 

 ついでにアサシンの一人に体を注ぎ込んで、奪い返される可能性を下げることも忘れない。

 

 龍神の肉体なら戦力としては十分だ。むしろ規格外といってもいい。

 

 ・・・そう、すべての準備は整った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあ、今こそ独立宣言を始めよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




幽世からよみがえる兵藤一誠は、正真正銘の兵藤一誠用限定の禁手です。

事前に用意した体に、イッセーの魂を入れ替える。

能力はたったそれだけ。しかも聖杯としての機能は使えなくなり、一回使えば焼け付いて使用不能。

汎用性全くなしの超限定特化型亜種禁手。ですがその分効果だけは絶大。龍神の力ですら突破できます。









フィフスはさんざん辛酸をなめさせられたことから、イッセーのことをトラウマレベルで危険視しています。そりゃもう規格外レベルで。

ゆえに理解はできないがとりあえずやばすぎる。何かあったら絶対覚醒すると踏んでおり、そのため二つのムゲンを宿した今のイッセーを心から警戒していました。

だから、そのための対抗手段を考えた結果「龍神の体奪おう。こっちにも材料ができて一石二鳥」という判断を下したのです。

そのためだけにわざわざもう一つ聖杯を奪って、その力をそのためだけに特化運用。想でもしないと龍神の力を抑制できないと思ったからです。

そして、確実に入れ替えるための器を作るためにわざわざ模擬戦に乱入してデータを改宗しようとしました。点と点をつなぐことでラインが予測でき、より有効な術式が組めるから。結果的にイッセーが復帰して戦闘したのが裏目に出た形です。

そして、限界まで最上級の材料を手に入れ、なおかつ不確定要素が増える前にイッセーをおびき出すためにわざわざ誘拐しました。母親の乳というある意味規格外のおっぱいを使えば、新たな覚醒を促せると踏んだうえでのことです。

そして、それらすべては結果的にうまくかみ合い、兵夜たちにとっては最悪の結果に。









こっから、フィフスは大暴れします。とにもかくにも大暴れします

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