ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド   作:グレン×グレン

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イッセー、新技発動です!?

 

「では気を取り直して行くぞ、リアス・グレモリーの兵士よ!」 

 

 ライザーの戦車がイッセーを襲うが、イッセーは何とか攻撃をさばく。

 

 上手い! あいつがここまで腕をあげているとは思わなかった!

 

「きみを侮っていたようだな。二段ほどギアをあげさせてもらう!」

 

 とはいえ向こうも動きが早い! これは不味いか!

 

 と、いうよりあの動きはボクシングのフリッカー!? 悪魔業界でもボクシングは流行ってるのか!

 

『三人とも聞こえる?』

 

 このタイミングで通信かよ!

 

「・・・」

 

「構いませんわよ。どうせこの戦いは私達の勝ちですし」

 

 ちょっとむかつく物言いだが、許可をもらったので通信に応じる。

 

 全力で一応距離を取りながら、俺は部長に返答した。

 

「今、木場とイッセーはちょっと出れません。・・・状況は?」

 

『小猫の回復は終わったわ。ただし、体力の消耗も激しかったから少し休ませているわ』

 

 結構モロだったからな。撃破されてないだけマシと考えるべきだろう。

 

『私達もそろそろ移動を開始するわ。あなたたちはそのまま敵を引きつけて頂戴』

 

「了解部長。イッセー達には?」

 

『頑張っているようだしそのままでいいわ。負けちゃダメよ?』

 

 了解了解。

 

 戻って来た時、イッセーはガードを固めて持ちこたえていた。

 

 ・・・なら、俺もそろそろ行きますか。

 

「そろそろ混ざるぜ仮面女!!」

 

 光の槍を投げつけてけん制してから、俺はイッセーをかばうように割って入る。

 

 同時に仕込んでおいた警棒を振り回して牽制するが、これは即座に回避される。

 

 だが、その程度は予想の範囲内だ。

 

 俺はそのまま警棒を手放すと、その回転の勢いを活かして、もう片方の手で警棒を弾き飛ばす。

 

 勢い良く回転しながら飛ぶ警棒に気を取られている隙に、イッセーを引っ張って距離をとった。

 

「とりあえず仕切り直しってことで」

 

「なかなか侮れない兵士たちだな。特に赤龍帝のほうは体力がすさまじい」

 

 だよな。あれだけ特訓すれば体力も嫌というほどつくだろ。

 

「あー、わかるわかる。本気で喧嘩するとかなり体力使うもんな。何分も続けるのってホントに重労働だよなぁ」

 

「その通りだ。避けるだけでも相当に体力と精神を消耗する。ここまでできるほど体づくりをしているとは思わなかったぞ」

 

 後ろでイッセーが震えるのがわかる。

 

 特訓の成果を実感してたとはいえ、ブーステッド・ギアあってのものだと思ってたみたいだしな。

 

 なんだかんだで、鍛えた成果はちゃんと出てるんだぜ?

 

「ありがとよイザベラっての。イッセーの奴、周りがすごいのばっかりだから自信がついてなくって」

 

「それは余計なことをしたようだ。後ろの彼から来る重圧がましたよ」

 

「戦車イザベラ。俺はグレモリー眷属じゃ一番弱くてド素人だ。それでも俺はあんたを倒す!」

 

 よく言った!

 

「ここまでだな」

 

 よく響く騎士の言葉に視線を向ければ、木場の剣が砕かれていた。

 

 おいおい、剣がない騎士とかヤバくないか!

 

「木場!? ・・・そうだコレを―」

 

 あわてて十手を投げ渡そうとするが、木場はそれを手で制するとつぶやく。

 

「凍えよ」

 

 木場の声に続くように、周囲が寒くなりそれは剣の形をとる。

 

炎凍剣(フレイム・デリート)この剣の前には、いかなる炎も消え失せる」

 

 なかなか強力そうな剣だな。あれがあいつの神器か?

 

 木場はそのまま騎士と切り結ぶが、彼女の剣があっというまに凍りついて砕ける。

 

 よし! このチャンスは逃さん。

 

「もらった隙あり!」

 

 光の槍を敵戦車に向かって投げつけてみる。

 

「油断していい相手でも無かったか。なかなか抜け目のない」

 

 かわしながら言われても嬉しくない。

 

 効けばラッキーとか思ってたが、どうやら無駄だったようだ。

 

 内心で舌打ちしていると、今度は炎が巻き起こった。

 

「熱ぃ!? 今度はなんだ!?」

 

「カーラマインめ。味方が近くにいることを忘れているのか!?」

 

「危ねぇ!? なんだよオイ!?」

 

 俺も戦車もイッセーもあわてる中、木場は冷静に剣をつきだす。

 

「止まれ」

 

 木場の剣の形が変わると同時に、旋風が木場の剣へと吸い込まれていく。

 

風凪剣(リプレッション・カーム)、一度の戦闘でここまで出したのは久しぶりだよ」

 

「お前どれだけ神器持ってんだよ」

 

 思わずそんな感想が漏れるが、木場は静かに首を振った。

 

「いや、僕は複数の神器を持っているわけじゃないし、コレ自体は神器でもないよ」

 

 違うの? ・・・あ、わかった。

 

「剣をつくる神器ってことか!」

 

「正解。魔剣創造(ソード・バース)、任意の剣を作り出す能力を持った神器さ」

 

 また強力な代物を以ってやがる。

 

 バリエーションだけで言うなら俺やイッセーの神器を軽く凌駕している。使い手次第じゃ無類の強さを発揮するんじゃないか?

 

 などと考えている余裕があるわけがなかった。

 

「ここね」

 

 新たに四人の女性が現れる。

 

 残りの敵が全員登場。陽動の意味では大成功だが、状況は明らかにこっちが不利だ。

 

 こっちは三人。それも二人はすでに戦闘中だ。

 

 小猫ちゃんはまだ休んでいるだろうし、朱乃さんは敵の女王と一騎打ちの最中だろう。

 

 部長とアーシアは既に行動を始めているだろうし、さてどうなるか。

 

王手(チェックメイト)ですわね。・・・あれ、ご覧になります」

 

 自信満々な声色で、レイヴェルとかいったフェニックスの女が校舎の方を指さす。

 

 そこに視線を向ければ―

 

「ぶ、部長!?」

 

 部長とアーシア!? それに、向かい合うようにしているのはライザーの奴!?

 

「挑発にのってどうするつもりだよ部長は!?」

 

 小猫ちゃんの姿はない。どうやら、まだ休んでいるようだ。

 

 奴相手には集団でたたみかける必要があるというのに、頭に血が上りすぎだろ!?

 

「お兄さまったら、予想以上にリアスさまが善戦するから高揚なさったのかしら。まあ、このまま行っても対峙する前に殲滅されるのが関の山。せめてもの情けかしら」

 

 ものすごい上から目線で勝利宣言するレイヴェル。

 

 ここまで舐められてもさすがに困る。

 

 とはいえ、このままだと数に押されてこっちがジリ貧。どうする・・・ッ

 

「不死身のフェニックス相手に本気で勝とうとでも思っていたのかしらリアスさまは。だとすればさすがにお笑いだわ」

 

 圧倒的数を持っているからか、非常に余裕を見せた態度をとるレイヴェル・フェニックス。

 

「いってくれるじゃないか。まだこっちは一人もやられてないんだぜ?」

 

「紅髪の滅殺姫(ルイン・プリンセス)、雷の巫女、魔剣創造(ソード・バース)、さらには赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)効いているだけで尻込みしてしまうようなお名前ばかりですわね」

 

 嘘つけ。余裕の表情浮かべてるくせに。

 

「けれど、私達の王は不死鳥(フェニックス)です。どんなに絶対の力を持っていようと相手が不死ではどうしようもありませんわ」

 

「だが、フェニックスにだって弱点はある!」

 

 たまらずイッセーは叫ぶが、レイヴェルは鼻で笑う。

 

「精神がやられるまで倒し続けるつもりかしら? それとも神クラスの力で一撃必殺? まさか本気でこのゲームを勝とうとしているだなんてお笑いね」

 

「なんでだよ!」

 

「だって、このゲームは最初から私達の勝ちが決まっているもの。不死身って、それぐらいあなた方にとって絶望的なのですわよ?」

 

 イッセーの怒声も、レイヴェルはどこ吹く風だ

 

 俺の周りを残りの下僕悪魔が取り囲んでいく。

 

「まあ、どちらにしてもこの数では勝ち目はありませんが。・・・カーラマインとイザベラには悪いけど、あなたを倒したら皆で仲良く倒すとします」

 

 あ、最低限の譲歩を見せるあたりこの子意外といい子だ。

 

 などと言ってる場合じゃない!?

 

 俺集団リンチ確定かよ!

 

 などと考えていたら爆音が響く。

 

 周囲を警戒しつつ視線を僅かに向ければ、部長とライザーがやり合っていた。

 

 状況は見る限りライザーの方が有利。フェニックスの再生能力は服にも効果があるのか完全に無傷だ。

 

 まずいな。このままだと負けるぞ。

 

 と、いうより俺が一番まずい。

 

 とくに残りの騎士が厄介だ。剣がものすごい巨大な大剣だし、あんなの十手で止めれるとは思えない。

 

 しかも一つ投げてるからな。下手するともろともぶった切られかねない。

 

「ここまでか・・・」

 

 魔術を、それも戦闘用に用意した切り札はあるが、それをここで使うのは致命的だ。

 

 よりにもよって魔王が観戦している。ぱっとみ使っているかがわからない強化ならごまかしようもあるが、それ以上のこととなると勘付かれる。

 

 詰んだ。せめて木場かイッセーが勝っているのなら勝算はあったが、今の俺ではこいつらを裁くのは無理だ。

 

 ―その、はずだった。

 

『Dragonn booster second Liberation!!』

 

 閃光と共に、イッセーの籠手が赤く輝き、さらにはその姿を変化させる。

 

 なんだ!? まさかピンチのタイミングで都合よくパワーアップなんて奇跡が起きたって言うのかよ!?

 

 茫然としていたイッセーの表情に笑みが浮かぶ。

 

 そのままイッセーは全身に力を入れ直すと、木場に向かって声を張り上げた。

 

「木場ぁぁぁぁッ! お前の神器を解放しろぉ!!」

 

 木場は戸惑うが、イッセーにかけることにしたのか神器に力を込める。

 

魔剣創造(ソード・バース)ッ!!」

 

 同時にイッセーが動く。

 

 光り輝くブーステッド・ギアを魔剣にあてる。

 

「ブーステッド・ギア第二の力!」

 

 直感的に、俺は地面に手を当てると解析を発動する。

 

 地下に神器の反応。いや、それが急激に増加・・・倍増している!?

 

 まさか、イッセーの神器は自分だけじゃなく―

 

赤龍帝からの贈り物(ブーステッド・ギア・ギフト)!!」

 

『Transfer!』

 

 ―他人の力すら倍化するのか!!

 

 一瞬で、運動場が魔剣の剣山と化した。

 

 突然のあり方に対応できず、ライザーの眷属は魔剣にその身を貫かれていく。

 

 貫かれたそばから、光に包まれてリタイアしていった。

 

『ライザーさまの兵士二名、騎士二名、戦車一名、僧侶一名、リタイア』

 

 アナウンスが異例の大量撃破を告げてくれる。

 

 ・・・いや待て、一人足りない。

 

 僧侶一名・・・可能性が高いのはレイヴェル・フェニックスか。

 

 そういえば奴もフェニックスなら不死身だ。

 

 倍化を元から強力な味方に与えれるというのは強みだが、そこにあぐらをかいてる余裕はない。

 

「驚いたよイッセーくん。この力は・・・」

 

 木場は運動場に生えた魔剣の群れを見渡して茫然としている。

 

 イッセーも大量撃破に浮かれているし、ここは俺が一言いった方がいいか。

 

「ああ、木場。この籠手で―」

 

「二人ともストップ! まだ一人残って―」

 

『リアスさまの女王一名、リタイア』

 

 ・・・何?

 

「ッ!?」

 

「なっ!?」

 

「マジかよ!?」

 

 突然の事態に俺たち全員が驚愕する。

 

 不味い! 今までの流れはほとんど体育館と同じだ!

 

 となればあの女王は間違いなく―

 

 その瞬間、俺の意識は刈り取られた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『リアスさまの騎士一名、リタイア』


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