ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド 作:グレン×グレン
大気圏降下ポッドを意図的に排除し、俺は即座に武装を転送する。
展開するのは対地攻撃用の人造神器。
ラージホークに格納していた、動力炉を装備した実体弾を装填する。
・・・神の杖という兵器を知ってるだろうか。
衛星軌道上から金属の杭をぶっぱなし、重力加速で地面にたたきつける理論上の兵器だ。
核にも次ぐ破壊力を持つとされるこの兵器を、落下の効果速度と術式加速で併用して代用する。
「行くぜフィフス、これが開戦の号砲だ!!」
俺は躊躇なくぶっぱなしながら、そのまま墜落していく。
ああ、この調子だと減速が間に合わず地面に激突するが、偽聖剣越しなら耐えられる。
『兵夜ぁああああ!? 何やってるのこの馬鹿ご主人!!』
『死ぬつもりですか兵夜様!? 真っ先に敵陣に到着しますよ!?』
・・・あ。
「・・・てへ♪」
『なんで宮白さんはうっかりなんですか!』
『宮白先輩ダメすぎますぅうううううう!!!』
よりにもよってアーシアちゃんとギャスパーに突っ込み入れられた!?
くそ、ショックだがしかし大丈夫!!
「へ、ヘラクレスはちゃんと持ってきてるから!! 一人じゃないから!!」
『論点はそこじゃないわよ! なんであなたはいつもいつもうっかりするの!?』
すいません姫様! 俺だって直したいとは思ってるんですがどうしようもないんです!!
ええい、こうなればやけだ!
・・・格納しているゴーレムも全部使って、一番槍を切ってやらぁああああ!!!
イッセーSide
あのバカぁあああああああ!
なんでいつもいつもそううっかりできるんだ! お前は馬鹿か、馬鹿なのか!?
心からツッコミを入れるけど、もうこうなったら仕方がない!
俺も降下ポッドをぶち壊して助けに行かないと―
『まて、兵藤一誠。ここは宮白兵夜を信じてみようじゃないか』
ヴァーリ!? お前何言ってんだよ!
宮白死ぬぞマジで!!
『いえ、ヴァーリの言うとおりだわ』
リアスまで!?
『兵夜はなんだかんだ言って単独行動能力は高いわ。それに、いざというときのための軍勢戦力もある。・・・忘れちゃだめよ、この戦い、三大勢力はおろか神話体系も人間世界も巻き込んだ戦いよ』
そういわれると、確かに反論できないけど・・・。
『どちらにしても軌道がずれたよ。・・・今からじゃ追いつけない』
え、マジで、木場!
ああもう! 畜生!
「死ぬんじゃねえぞ宮白!」
『それは俺のセリフだ。・・・俺は全身の六割近くしかとっかえてないが、お前は二度丸ごと全身とっかえてんだろうが』
そういえばそうだね! 俺の方がダメージでかいや!!
『兵夜! 終わったら一杯おいしいご飯作ってもらうんだからね?』
『あ、あと夜もいっぱいご奉仕してもらおうかなー?』
な、ナツミちゃんはともかく桜花さんは通信越しにすごいこと言った!?
『あーそうだな。うまい酒もついてるとなおいいな』
『そ、そうですね、兵夜さまには心配ばかりかけさせられてますから、いろいろお返ししてもらいませんと』
青野さんとベルさんものっかったよ。
なんだ、意外と緊張感ないじゃん!!
『あ、今度会長とまたデートする・・・っていうか花戒と仁村から告白されて大変なことになったから、そこらへんも手伝ってくれ』
『この男、結局気づくより早く告白されたな』
『そうね、ゼノヴィア。イッセーくんも鈍かったけど、匙くんもたいがい鈍いのね』
『いや待てイリナ。トラウマのせいで無自覚に目をそらしていたイッセーよりひどいだろう。・・・そんなところまでなんでお前は劣化イッセーなんだ』
『お前らひどいな! っていうか砲撃中にそんなこと言うなよ宮白!!』
本当に余裕だね!!
ああ、だけどなんだか緊張感がほぐれてきた。
そしたら、降下ポッドの破壊時間だ。
こっからはポッドを捨てて俺たちの自力で減速する。そして降下ポッドは質量攻撃に使うんだと。
ああ、勝とうぜみんな!
そして俺はポッドを脱出して―
「お待たせ、イッセーくん!」
―ああ、来ると思ったぜ。
ポッドを五つはぶちのめしながら、黒い翼が俺の目の前に出る。
思えば、俺が彼女に告白されたことがすべての始まりだった。
それがこんなところまで長引くだなんてな。なんていうか感慨深いよ。
だけど、それもこれで終わりだ。
俺の悪魔になってからの物語、ここで区切らせてもらうぜ!
「決着つけるぞ、レイナーレ!!」
「ええ、これが最後の勝負よ!!」
祐斗Side
敵基地に降下した僕たちを待っていたのは、大量に表れた兵士たちの群れだった。
「きやがったぞ!」
「くそ、基地内で戦闘なんて聞いてないぞ!?」
さすがにこれは想定してなかったのか、敵は大いに混乱している。
ああ、そしてこのチャンスを逃す気はない。僕たちは体勢を整えた順に戦闘を開始する。
放たれる銃弾を交わしながら、聖騎士を呼び出して一気に数を増やす。
すぐに戦闘は激戦となり、基地中から煙が上がっている。
だけど、どうやら結界装置の量産型を大量に用意しているようだ。いまだ基地は原型を保っている。
ここまでの水準で神滅具の機能を再現するとは、やはりキャスターは侮れない。
これ以上彼らを好きにさせるわけにはいかない。なんとしても決着をつけないと!
「どうやら、私たちは同じ場所のようだな」
エクスカリバーを身にまとったゼノヴィアが、敵を薙ぎ払いながら合流する。
うん、聖騎士が何体か巻き込まれてるからね? 味方を巻き込まないでね?
「しかし、やはり激戦だな。すでにこちらにも死者が出ているようだ」
「言ってはなんだけどそれは覚悟の上さ。だけど、そう簡単に死ぬ気はない」
背中を預けながら、僕たちは敵を切り捨てていく。
攻撃密度も質も高水準だけど、それでもそうそうやられはしない。
この戦いは、世界の命運がかかっているといってもいいのだから。
そして、そんな状況なのは敵にとっても同じこと。
すぐに精鋭が来ることはわかっていた。
「やあ、好きかってやってくれてるようだね?」
そこに来たのは、この事態の根幹を担っている男の1人。
トライヘキサの封印を殺し、そしてトライヘキサすら殺した死霊魔術師。
「レイヴンか!」
「さて、それでは材料を集めるとしよう」
そういって指を鳴らし、そしてセイバーが姿を現す。
ああ、これは確かに危険だろうが、それでも負けるわけにはいかない。
今度こそ、僕たちがかつ!!