ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド   作:グレン×グレン

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最終決戦ですので派手に行きます。

どこもかしこもいきなりクライマックス!


開戦、開戦、大開戦

 

 

 

 

 

 

 

 

 Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 戦闘は非常に過激となっていた。

 

 基地中のあらゆるところが爆発を起こし、そして死体が生まれていく。

 

 強襲により混乱状態となった基地も、いつの間にか態勢を整えなおし、そして戦いは苛烈になっていく。

 

 そんな中、研究データの破損を考慮するのは研究者として当然だった。

 

 木原エデンはあくまで科学者である。

 

 データをとるために前線に出るぐらいの狂人ではあるが、データが消滅するのを警戒するぐらいの常識もまた保有していた。

 

 ゆえに研究者たちはすぐにデータの持ち出しを進めている。

 

 木原エデンの目的は、木原として基本中の基本にして骨子である。

 

 彼は確かにあらゆる技術を研究する木原の異端児だが、その根幹だけは異端ではない。

 

 すなわち科学の発展。最先端の技術の研究。

 

 だが、その過程において彼は大規模な被害を望んだ。

 

 テロリストという戦闘を起こす側に回ることで、実践テストを簡単に行うことを選んだ。

 

 その極点こそが第三次世界大戦の勃発ともいえる。古来より戦争により兵器開発は大いに発展し、そこからの技術流用がインターネットのように世界を変える。それが戦争の利点の一つであった。

 

 そして、能力者を大量に生み出したこともその一環。

 

 能力者が大量に出るということは、すなわちデータが大量に出るということである。それは研究の発展に必要不可欠。データというあればあるほどいいものが手に入る。

 

 そう、ここにいるのは全員が人格破綻者。

 

 科学の発展に際限をかけない場合、人は簡単に科学を悪用する。

 

 その極点こそが木原一族。科学を悪用して研究する天才たち。

 

 ゆえに、自分が犠牲になろうとデータだけは死守しなくてはならないのがこの男の本質である。

 

 ゆえに、データの持ち出しのためならば彼は自分の死すら平然と行える。

 

 そして、だからこそ―

 

「お前が来るとおもったぞぉん、マリンスノー」

 

 マリンスノーの名をかつて持った、青野小雪は回り込める。

 

「エデン。てめーやってくれたな。・・・木原(てめーら)は本当に手段を選ばないファック野郎どもだ」

 

「そうだろぉん? なにせ、学園都市にいたときは首輪をつけられてるようなものだからなぁん」

 

 科学が発展するにはいろいろな条件がある。

 

 その一つは普遍性。広く大衆や世界に広められることだ。

 

 研究するものが増えれば当然研究は進みやすくなる。使うものが広まればデータはとれる。使うことが多ければ、消耗するデータもとれるし、何より実践テストとなり問題点も発見しやすい。

 

 その点でいうのであれば、一都市に収束されていた学園都市は発展にとって極めて問題だった。

 

 それこそが学園都市が科学を独占する理由であり、木原を管理するための策だったのだろう。

 

 木原とは固有の血族ではなく世の中に存在する天災の称号。

 

 科学の悪用という概念が具現化し、目的のために手段を択ばず、そのためなら人の善性すら利用する。

 

 そう。テロリストに対抗する人々の抵抗は善意であり、それがデータをとらせてくれる。

 

 その点において、彼はまさしく木原だった。

 

 それを、小雪は一番理解している。

 

 ほかならぬエデンの使い走りとして奔走し、その一面を見続けてきた彼女だからこそ、この世界で最もエデンを理解していた。

 

 ゆえに―

 

「落とし前をつける時だ。ファックな研究はおしまいだよ」

 

「いや、無理だなぁん。能力者(サンプル)が野に放たれた以上、能力者開発は止まらないぞぉん」

 

 ゆえに、この世界でも木原は生まれるだろう。

 

 もう自分が死んでも新たな学園都市は世界そのものとして生まれると、エデンは言外にそう告げた。

 

「だろうな。だが、その先頭には立たせねーよ」

 

 小銃を手に持ち、小雪は銃口を突き付ける。

 

 ここに、学園都市の怨霊を滅ぼすための過去の清算が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 戦闘は禍の団が反撃を開始しており、当然のごとく禍の団が優勢なところも多い。

 

 そのうちの一つは、最強の人間がいるところだ。

 

「うぉおおおおおおお! この世界のUMAをすべてぺろぺろするまでは死なんぞぉおおおおお!!!」

 

「「「「「「「「「「「うわぁあああああああ!?」」」」」」」」」」」

 

「け、剣が刺さらない! 魔剣創造の禁手なんだぞ俺は・・・ぎゃぁああああ!!!」

 

「だれか、核兵器持ってこい!」

 

「いや、神滅具だ神滅具!!」

 

「二天龍来てくれぇええええええ!!!」

 

 ふんどし一人に、すでに精鋭数百人が戦闘不能に追い込まれている。

 

 禍の団の最強候補ともいえるふんどしの猛威に、彼らは敗北の二文字をたたきつけられていた。

 

 それでも最上級悪魔すらいるこの状況下で、ふんどしに手傷を負わせることができるものは何人もいたのだ。

 

 だが、彼らは誰一人として知らなかった。

 

「さて、回復するか」

 

「・・・あいつが聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)持ってるなんて聞いてないぞぉおおおおお!?」

 

 今の今まで、彼は手加減し続けてきたという事実を。

 

 神滅具に次ぐレベルの力を持つ神器はいくつも存在する。

 

 そのうちの一つ、悪魔すら回復する究極の治療神器聖母の微笑の力を持っているなど、想定外にもほどがあった。

 

 冗談抜きで緊急事態。トリプルシックスに次ぐ化け物がここで動いていた。

 

「うぉおおおおおおおお! UMAぁああああああああ!!!」

 

 突撃してくるふんどしに、誰もが吹き飛ばされることしかできない。

 

 ただの人間に圧倒的な暴力で粉砕されるという、悪夢のような攻撃が繰り広げられる。

 

 そして―

 

「・・・なるほど、お前がふんどしか」

 

 その突撃が、轟音とともに止められた。

 

 衝撃波が敵味方問わず吹き飛ばすが、しかし先ほどの突撃に比べればかわいいものだ。

 

 そして、止まった瞬間に斬撃が放たれふんどしはそれを受け止める。

 

「・・・ブロッサか」

 

「隊長も、いい加減倒れてくださいよー」

 

 割と本気で途方に暮れた顔をしながら、桜花久遠は龍喰らいを構えなおした。

 

 付き合いが長いものとして、ここで彼を倒すのは自分の役目だ。

 

 そう、そしてそれに手を貸してくれる者もいる。

 

「アウロス学園では大暴れしてくれたそうだな。・・・貴様は冥界の敵と判断させてもらう」

 

 二天龍に匹敵するとすら言われる最強の若手純潔悪魔。

 

 出来損ないでありながら、バアル家次期当主となったもの。

 

 若手四王最強の、獅子を従える者。

 

 獅子王、サイラオーグ・バアルがこの戦場に降り立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ベル・アームストロングは戦闘の中、無意識に兵夜の姿を探していた。

 

 兵夜を信用も信頼もしているが、しかし彼はいろいろと問題が多い。

 

 ・・・そもそも、三大勢力の人体改造術式の見本市といえる彼は割と倫理観が問題だらけだ。

 

 罪のない一般市民に迷惑をかけることは避ける性分なので他人に関してはそこそこあるが、しかし自身に関しては致命的に緩いだろう。

 

 戦闘能力の世界ランキングなら次点クラスのハーデスが相手とはいえ、最初から右足をなくすような戦闘を行うような男だ、何かしでかしそうで実に怖い。

 

 自分の主に対して思うことではないが、しかし首根っこをつかむ人物が必要ではないかとすら思う。

 

 今回の作戦のために特例で試験を受けて昇格している以上、彼はかなりの独自裁量を持ってしまっている。単独行動を起こしやすくなったといっても過言ではないだろう。

 

 っていうかうっかりがひどい。前回のことや自分のこともあるが、割と致命的な事態が起こるほどのうっかりだ。なんでまだ死んでないのが少し疑問に思う。

 

 だから早めに合流した方がいいのだが、果たして単独行動に躊躇がない彼を見つけるのにどれだけ時間がかかることやら。

 

 従僕ともいえる立場としては、何とか合流したいのだが。

 

「それで、どうしますか?」

 

 貴重な戦力であるアーシアの護衛も必要不可欠だ。

 

 今回の戦闘のため、フェニックスの涙は当分流通しないといえるレベルにまでかき集められた。

 

 最低でも一人一個は渡されており、そこからダメージに対する耐性などから追加の個数が決定される。

 

 そんななか、アーシア・アルジェントだけは自分が回復できるため渡されていない。

 

 が、彼女は戦闘能力が低いのですぐにやられる可能性がある。

 

 彼女は徹底的に護衛しなくてはいけない。

 

「下がっていてくださいねアーシアちゃん。まだまだ大変なんですから」

 

「はい。ですが、前に出て助けられないのは残念です」

 

 集中的に戦力を投入して確保した建物の一角を、暫定的な本部として運用していた。

 

 通信の中心部とすることで何とか作戦をよりスムーズに動かそうという狙いだが、流動的なためどこまで通用するかも疑問である。

 

 だが、それでもここは重要な前線基地だ。

 

 回復魔術や魔法が使える、魔術師《メイガス》や、魔法世界《ムンドゥス・マギクス》出身者をかき集めている。仮契約を利用して回復系の能力を確保するなどとにかくできることをして集めた回復役だ。

 

 その護衛部隊である自分たちは、まさに重要なカードだろう。

 

 なんとしてもこの場を死守しなくては―

 

「アーシアちゃんは外に出ないで!!」

 

 ベルは外に飛び出すと、そのまま何もないはずの空間に念動力を放つ。

 

 そして、そこから大きな衝撃音が響き渡った。

 

「バレ☆たよ! 認識阻害も光学幻影もしっかりかけたとに!」

 

「空間に何かがいれば気づきますよ。ベルはそういう能力ですので」

 

 そこにいたのはキャスター。

 

 カテレアを材料に完成した人型人形に乗りながら、彼は舌なめずりをした。

 

 ・・・次の瞬間そこにいたのは、冷徹たる魔術師の側面だった。

 

「さて、それじゃあ実験材料を確保するとしようか。ああ、こんなところまで出てくるような実力者なら相当のレアスキル持ちもゴロゴロいるね。・・・君のように」

 

「お断りします。私を解析したいならミカエルさまと兵夜さまの許可を実質お取りください」

 

 ベルはいきなり大きな正念場がきたことを理解した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ナツミたちの戦場は激戦だった。

 

 陽動部隊のいる方向に着陸してしまったため、結果的に敵の本陣と挟み撃ちにあっている格好になる。

 

「にゃああああああああ! 全員ぶちのめしてやるぜうぉらぁああああ!!!」

 

 獅子の姿で剛力乱舞を行いながら、ナツミはヤケクソくそになって叫んだ。

 

 この場所に落ちたと気づいた時は、確実に挟み撃ちになる状況下に泣きそうになったけど頑張った。というより、自分の運のなさに泣いた。

 

 だがそれでも頑張ろうと決意したのだ。

 

 だから、心から頑張っている。

 

 もとより、このために兵夜は降下ポッドを特別製にしてくれたのだ。

 

 怪力を発揮できる自分の武器にできるように、降下ポッドにチェーンをつけてフレイルとして運用できるようにしてくれている。

 

 ここまでされて頑張らねば女じゃない。

 

「カッハハハ! カッハハハ! カッハハハハハハハハ!! やってやらぁあああああ!!!」

 

 左腕はグレゴリーにすることで制圧射撃として攻撃をかけながら、ナツミは全力で暴れている。

 

 これは明日は筋肉痛で動けなくなるだろう。疲れすぎて病気になるかもしれない。

 

 だが、それがどうした。

 

 これは、アーチャーの弔い合戦だ。そもそもグレートレッドの命がかかった、世界の平和を守るための戦いだ。何より、兵夜が決意した最終決戦だ。

 

 だったらやるしかないだろう。自分は彼の使い魔で、心の底から愛しているから。

 

「やってやるよやってやるよやってやるよ! こうなりゃどこまでもやってやるよぉおおおおおお!!」

 

 ナツミはヤケクソ状態で、しかし絶対に勝つという心をもって大暴れしていた。

 

 そこに、二人の甲高い声が響き渡る。

 

「おーほほほ! 可愛くて萌えちゃう女の子が暴れてますわね?」

 

「あ! ようやく歯ごたえありそうなの見つけたって感じ! そして腹立つグレモリー眷属の仲間だって感じ!」

 

 その言葉を放つのは、ヴァルプルガとリット・バートリ。

 

 その姿を見て、ナツミは心から鼻で笑った。

 

「ハッ! 残存禍の団でもトップの小物幹部じゃねえか」

 

 かなりひどいことを言っているが、しかし的は外れていないだろう。

 

 ほかの連中に比べると小物度が高い奴が残っているといっても過言ではない。

 

 だから、ナツミは何も恐れない。

 

 今更こんな小物にどうにかされたら、兵夜の使い魔は名乗れないのだから。

 

「さっさと叩き潰すぜこのクソ野郎どもが!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして兵夜は戦闘を行うなか、何とか小規模ながら通信設備にたどり着いていた。

 

 とにかく大量にゴーレムなどの自立兵器を格納。加えてアーチャーの魔術特性を不完全ながら移植したことにより、さらにいろいろなことができるようになったのが功を奏した。

 

 だから、兵夜の電子操作魔術はこれだけでも恐ろしいことができる。

 

 脳どころか魂に情報を直接たたきつけながら、兵夜は敵の動きを調べ上げる。

 

 そして、思わず頭を抱えてしまう。

 

「・・・陽動部隊を用意して正解だったな。彼らが全滅する前に司令部を壊滅させないと」

 

 敵はクローン技術を保有している。

 

 様々な薬物を投与して急速に成長させることで、非常に短時間かつ、アサルトライフル程度の低価格でクローンをつくることができる。

 

 それにより、数千ものフェンリルのクローンが作られていた。

 

 どうやら特殊能力のコピーは魂の問題で劣化互換というデータが出ていたが、しかしそれを抜いたとしても身体能力はむしろ薬物投与による改造が可能というのが大きい。

 

 前線部隊は壊滅的打撃を受けるだろう。最上級悪魔がゴロゴロいてもそれは変わらない。

 

 兵夜はそこまでは冷静に考えて、そしてこの通信設備のハッキングを開始する。

 

 あいつらが、魔術的なハッキングの研究を行っているか。行っていればどこまで進んでいるか。こちらも研究していることに勘づいて対策をしていたか。

 

 それが重要になる戦いが、勃発しようとしていた。

 




学園都市で一番恐ろしいのって、学習装置とクローン技術の組み合わせだと思うんですよ。

短期間で必要最低限の戦闘能力を獲得した兵士を量産できるんだから、その脅威度ってシャレにならない。

ましてや存在そのものが化け物レベルがうようよいる世界で行われたら・・・っ!










それはそれとして、エピローグまで書き上げました。

今はほかの作品を書いたり、後日譚の設定を練ったりといろいろしています。








あとふんどしに聖母の微笑を持たせると決めたのは結構前からです。

圧倒的な戦闘能力をもつふんどしに、回復能力まで与えられたら鬼に金棒だと思いませんか?

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