ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド   作:グレン×グレン

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長らくお待たせいたしました!

いや、ホントお待たせして申し訳ありません。

これからもゆっくりですが続けていこうと思っていますので、見捨てないでくれるとありがたいです


覚醒、赤龍帝!

 

 俺は首を鳴らしながら、宙を舞うその女と対峙する。

 

 確かユーベルーナとか言ったな。

 

 朱乃さんと木場を撃破した、実質ライザー陣営で一人だけ撃墜数を稼いだ女。

 

 ・・・相手にとって不足はない。

 

「かかってきなレディ・ダイナマイト。・・・俺は怖いぜ?」

 

「・・・ライザーさまを苦しめた男。塵も残さず吹き飛ばしてあげましょう!!」

 

 女王が爆発攻撃を連発する。

 

 俺は駒を強化して加速すると、その爆発の中を駆け巡った。

 

 数は多い。威力は大きい。

 

 だが、喰らってやるほどお人好しじゃない!

 

「おおおおおおおおお!!」

 

 飛行はしない。

 

 さっきので分かったが、今の俺ではそこまで上手く飛ぶ事はできない。

 

 急加速、急制動、急激な方向転換など、空中では俺にはできそうにない。

 

 なら平面だけとはいえ地上を走った方が高速で移動できる。

 

 敵は爆発を放ち、俺は光を放つ。

 

 だが、そんな攻防をすぐに終わる。

 

「やはり上手くはいきませね。・・・なら全体を爆発で!!」

 

 やっぱりそう来るか!

 

 だが、その対策はとうにできている。

 

 俺は念の為用意してきたもう一つのペットボトルを取り出すと、さっきと同じように飛び上がる。

 

 さっきと同じように炎が一体を包み込む。

 

 ギリギリ爆発の影響を受けないところで、俺は翼で急制動をかける。

 

 やはり空中だと制動がキツイ。完全には勢いを殺せないか!

 

 そして、それは戦闘では致命的な隙になる。

 

 目の前には爆発女。

 

 そして手には強大な魔力。

 

「これで終わりよ!」

 

「・・・耐火能力最大強化(ブーストアップバースト)

 

 判断は一瞬だった。

 

 コートを脱いで前方に向けると、全魔力をそれに込めて火に対する強さを強化する。

 

 同時に爆発が襲いかかる。

 

 衝撃がキツイ! このままだと吹っ飛ばされる。

 

 だがな、

 

『俺の代わりに返しといてくれ』

 

 ・・・あいつにあそこまで言われちゃ、あっさりやられるわけにはいかないんだよ!!

 

「なめんなコラァ!!」

 

 根性!

 

 俺は無理やり爆発の中を突っ切る。

 

 耐えきれずコートが細切れになるが、爆発の中は突っ切った!

 

 同時に俺は光の槍を展開する。

 

 ああ、爆発を潜り抜けたおかげで、色々大事なものが見えてくるぜ!!

 

 ああ、これなら大丈夫だ。今までの借りを今できる最高の方法で返す事ができる!

 

「バカな!?」

 

「これでも喰らいな!!」

 

 俺は光の槍を展開する。

 

 狙いは奴の頭部!

 

 光の槍の先端を掴み、回転をつけて投げつける。

 

 だが、そんな攻撃を奴は下に落ちる事で完全にかわす。

 

「今度はどうかしら! 流石に二度は耐えれないでしょう!!」

 

 ああ、確かにな。

 

 今の俺ではこの爆発には耐えられない。

 

 それほどの火力があるんだ。間違いなく一発でおしまいだろう。

 

 だが、お前はそれを放てないよ。

 

「さあ、おしまい―」

 

「させません」

 

 真後ろからの容赦ない一撃が敵の女王を襲う。

 

 奴は回転しながらこっちに向かって吹っ飛んできた。

 

「・・・今です兵夜先輩」

 

「サンキュー小猫ちゃん!!」

 

 そう、爆発を突っ切った俺は、回復してこちらに向かう小猫ちゃんを発見した。

 

 小猫ちゃんの力を最も有効に使うとするならそれはなにか。

 

 決まってる。思考の外側に置いている間に攻撃させる事だ。

 

「止めだグレネード女!!」

 

「そんな・・・私が!?」

 

 散々こっちを痛めつけてくれた借り、ここで返す。

 

 こんなこともあろうかと鉛を仕込んでいる靴での踵落としが、眉間に叩きこまれる。

 

 俺が反動を殺す頃には、既に相手は光に包まれて消滅していた。

 

『ライザーさまの女王、戦闘不能!』

 

「よっしゃぁ!」

 

「・・・やりました」

 

 後は任せたぜ、イッセー?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 体の調子は本気で悪い。

 

 全身が痛いし、はっきり言って気を抜くと意識を失いそうだ。

 

 なんでリタイアしてないのか自分でも不思議だ。宮白の用意した魔術薬には本気で感謝した方がいいだろう。あれ、受験の時に調合してもらったけど反動きつい代わりにすごい効くんだよな。

 

 効くまでの間もあいつは頑張ってくれた。

 

 たった一人で、ライザーの奴を追い込む所まで言ったんだ。

 

 自慢の親友だよ、ホントにな。

 

 だから、後は俺の出番だ。

 

「正直、散々やってくれた礼を返しておかないと行かないんでな。お前は十秒で倒してやるよ」

 

 殴られたところもあっという間に再生させたライザーが嘯く。

 

 俺が頑張って頑張って頑張っても、あいつに傷一つつける事は出来なかった。

 

 だが、今のあいつの体はボロボロだ。

 

 体内に魔術で聖なる力を強化した聖水を注ぎ込む。

 

 コレを止めとかじゃなく仕掛ける為の流れとして使う辺り、俺の親友は本気でえげつない。

 

 アイツ、死力を尽くす気はないとか言っておきながら、なんだかんだで自分なりに攻略法を考えて、しかも自分もボロボロなのに一人で実行に移しやがった。

 

 あいつがいなけりゃ俺はここに立っていない。

 

 そして、こいつと話す事も出来なかった。

 

『そうだな相棒。奴がいなけりゃ、今のお前じゃ俺と話す事ができたかどうか』

 

 赤龍帝ドライグ。

 

 俺のブーステッド・ギアに封じ込められた、二天龍の片割れ。

 

 魔術薬の影響か、俺はこいつと話す事ができた。

 

『しかし奴もお前も面白い奴だ』

 

 そうか? 宮白は良い奴だけど、俺なんてただのスケベだぜ?

 

『前世の記憶なんてものがある奴と、ガキの頃から平然と話すなんてただものじゃないだろう』

 

 そうかい。別に大したことじゃないけどよ。

 

 それ以外は基本的に良い奴だし、今だって、なんだかんだで体張って頑張ってるんだぜ?

 

『ああ、おかげで俺と取引も出来たし、奴には感謝するんだな』

 

 本当にな。

 

 宮白のおかげで切っ掛けがつかめて、宮白が時間を稼いでくれたから話す事ができた。

 

 おかげで、取引だってできた。

 

『一応言っておくぞ。10カウントとは言ったが、今のお前の体力じゃ5カウントが限界だ。それを過ぎても少しは力を残してやるが、フェニックスを打ち倒すほどは出せないと思え』

 

 いちいち言い直さなくても分かってるよ。

 

 俺は左腕を握りしめる。

 

 俺なんかが代償を支払った程度で勝てるのなら・・・

 

 みんなの頑張りがちゃんと形になるなら・・・

 

 そして、宮白が繋げてくれたものが形になるのなら・・・

 

 なにより、部長が助かるなら・・・!

 

「この程度、どうってことねえ!!」

 

 俺は駆け出す!

 

「部長! 5カウントでカタをつけます!!」

 

 俺は部長に向かって叫ぶ!

 

「俺には木場みたいな剣の才能はありません!」

 

 ああ、分かってるさ。

 

「朱乃さんみたいな魔力の才能もないし、小猫ちゃんみたいなバカ力もない」

 

 あの修行で身に染みてる。

 

「アーシアみたいな癒しの力だってない」

 

 俺はブーステッド・ギアが無ければ弱すぎる雑魚だ。

 

「宮白みたいに何でも器用にこなせるわけでもないです」

 

 だけど、それでも!

 

「それでも! 俺は最強の兵士になってみせます!!」

 

 やってみせる!!

 

「あなたの為なら、神様だって倒して見せる!!俺の唯一の武器、ブーステッド・ギアでッ! 俺はあなたを守ってみせます!」

 

 絶対に守ってみせる! あの、笑顔を!!

 

「輝きやがれ、ブーステッド・ギア!! オーバーブーストォオオッ!!」

 

『Welsh Dragon over buuster!!』

 

 ブーステッド・ギアが赤く輝き、そしてそれだけに止まらない。

 

 光は全身を包み込み、俺は真っ赤なオーラに包まれる!

 

『そう。これが俺達の本当の力だ。まあ、無理やりの前借りだから一部だけだが、それでもお前には十分すぎる』

 

 そうだなドライグ。

 

 俺達は、まだまだ遠くに手を伸ばせるんだ!

 

「俺はお前を殴り飛ばすぜ、ライザァアアアッ!!」

 

 赤いオーラは、俺の全身を包む赤い鎧へと変化する!

 

 そう、これが俺の本当の切り札。

 

 ブーステッド・ギアの真の力だ!

 

「赤龍帝の真の力! 禁手(バランス・ブレイカー)赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイル・メイル)!! 俺を止めたいなら魔王様に頼み込みやがれ!!」

 

 なんたって・・・

 

「神や魔王にも匹敵する、忌まわしい力らしいからな!!」


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