ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド   作:グレン×グレン

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しかし今回箇条書きしてみたけど、ケイオスワールドのサーヴァントは自分で書いててなんだが普通の聖杯戦争には全く持って向いてないな。


エイエヌ、来報

 

 すでに夜の闇が訪れる中、兵夜はクラッカーをシチューに浸して食べていた。

 

 レーションではあるがしかしなかなかうまい。味も濃いので披露した体にはかなりいい。

 

「・・・しっかし大変なことになってんなぁ」

 

「何他人事で言ってんだよ。あれ俺たちがきっかけだろ」

 

 と、同じレーションを食べながら、古城がツッコミを入れる。

 

 彼らの視界の先にあるのは、廃墟地区。

 

 今そこでは、破壊が大量に巻き起こっていた。

 

「まあ、冷静に考えればそりゃそうだ。資材を入手しやすい都市と隣接している廃墟地区なんて、根城にするには便利すぎだよな」

 

 地理的条件があまりにも好条件すぎた。

 

 そんな条件だということを考えれば、むしろ鉢合わせして戦闘の可能性も大きかっただろう。

 

 そんな火薬庫に真祖の眷獣を投入すればどうなるか。

 

 答えは、火を見るより明らか・・・というより答えが火になって帰ってきている。

 

「それが俺たちの戦いがきっかけで大爆発・・・か」

 

 少し罪悪感すら生まれながら、二人はこの光景を監視する。

 

 市民に被害が出るのはさすがにまずい。

 

 さすがにそれに罪悪感を覚えるほどの良心はある。兵藤一誠が与えてくれた。

 

 だから、ここは冷静に観察しながらも監視も忘れない。

 

 市街地に被害が出るようなら、防壁ぐらいは張らなければならないだろう。

 

 だから、こうして監視をしているわけだが・・・。

 

「意外と、意外と接近戦主体のサーヴァントを入れてるみたいだね」

 

 と、ほかの様子を見に行っていた須澄が戻ってくるなりそういった。

 

「おかげで被害が少なめだねっ。これなら意外と心配しなくていいんじゃないかな?」

 

 と、同じく周りの様子を見ていたトマリもそう安堵した感想を返す。

 

 兵夜としても、この被害の少なさはむしろ驚くレベルだ。

 

 禍の団の上級幹部クラスが本気でぶつかり合えば、すでにこの廃墟区画は更地になっているだろう。

 

 にもかかわらず、ふたを開けてみれば火災や崩落が各地で発生している程度。ぶっちゃけ肩透かしだ。

 

「思った以上に禍の団のダメージは大きかったんだな。これなら案外楽に勝てるか?」

 

 次元世界の実力者なども警戒していたが、しかしこれは安心できるレベルだ。

 

 それとも、実力者たちはこの戦いから逃れて、同じように敵の戦力を監視しているのだろうか・・・。

 

「しかし俺たちの業界の上位クラスなら、あの規模の廃墟画なら単独で更地にしかねない輩がゴロゴロいるんだが。・・・次元世界の戦闘能力ってどれぐらいなんだ、ヴィヴィ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、はい。あの規模を壊滅させる戦闘となると、AAAランク同士以上の戦いになると思います」

 

 と、通信にヴィヴィオが答えた。

 

「AAAランク以上ともなれば、全体でも5パーセントにも届かないと聞いています。たしか、ヴィヴィオさんのお母さんがその領域だったのでは?」

 

「すごい方を母親に持っているんですね。しかしそれだけの実力者となると、確かに私たちの世界でもそれぐらいでしょうか・・・」

 

 アインハルトの補足説明に、雪菜も感心する。

 

 いま、女性陣の大半は少し離れたところで待機していた。

 

 理由は極めて単純。不意打ちに対する警戒のためだ。

 

 アサシンとしての技量で本領を発揮するザイードがいる以上、不意打ちに対する警戒は必要。

 

 そのため、見晴らしがいいところに陣取っているメンバーは発見されやすいため、人選をある程度厳選している。

 

 具体的には実戦経験があるためあるていど不意打ちを察知しやすい兵夜・須澄・トマリと、不意打ちされてもそう簡単には殺されない古城だ。

 

 それ以外のメンバーは、少し離れた廃墟を工房化したうえでそこで待機している。

 

「それにしても、サーヴァントはあれね。禍の団の出身者は割とあの聖杯戦争のサーヴァントを使ってるみたいよ?」

 

 と、千里眼で確認しながらシルシは情報を提示する。

 

 それを聞いた通信機から、ため息が漏れた。

 

『あれは本来の聖杯戦争では本領を発揮しづらいのが多いんだがな・・・』

 

 強大な剣を持つ未熟な使い手がいて、初めて凶悪性を発揮するセイバー。本来剣使いが一人しか出てこない聖杯戦争ではあまり役に立たず、よしんば相見えたとして大抵は使いこなしているため勝算が低い。

 

 防衛戦以外では、令呪のバックアップなしでは本領を発揮しきれないライダー。どうしても最終的には攻めに転じなければならない以上、最後の勝利をつかむのは困難。

 

 味方を増やすということには効果を発揮するが、マスターの方が戦闘能力が高くなければまともに勝算がないランサー。サーヴァントが本来化け物クラスであることを考慮すれば、その条件を超えることは非常に困難。

 

 そして、大量の敵意を浴びなければ、そこまで強くならないバーサーカー。本来の聖杯戦争が7組のタッグマッチであることを考えれば、上昇量などたかが知れている。

 

 あらゆる意味で特殊の極みだったあの聖杯戦争だったからこそ強敵になりえた存在であり、そういう意味では参考にしてはいけないレベルだろう。

 

 今回の聖杯戦争は一勢力の数はそこそこ多い方ではあるが、それでも全世界と国際テロ組織という二極構造だったあの聖杯戦争に比べれば特殊性は低い。

 

 そういう意味では、唯一の参考資料が特殊すぎたせいで混乱しているのだろう。

 

 そして禍の団以外の参加者は聖杯戦争のノウハウすら理解しきれていない。

 

 これは意外と早期に決着がつきそうである。

 

『やっぱり森にこもった方がいいんじゃないのかなっ? そっちの方が被害は少ないと思うんだけどっ』

 

『もう、もう山菜とジビエは食べ飽きたんだけどなぁ』

 

「なんであんな山奥にあんなに勢力があつまっていたのかと思ってましたが、そういうことだったんですね」

 

 トマリと須澄の会話を聞いて、雪菜はようやく合点がいった。

 

 一つのチームが長い間森にいたことで、何組かが偵察もしくは討伐に行ったのだろう。

 

 その結果が、郊外でのあの激戦の連発であったということなのだろう。

 

『まあ、人を巻き込まないのはメリットだな。ただもう、あいつらが勝手に動くだろうからどうしようもないが』

 

 と、戦闘の光景を見ながら兵夜はそうつぶやく。

 

 実際、混戦がすでに始まっている以上、いまから逃げたところでそれが止まることはないだろう。

 

 とはいえ積極的に介入するわけにもいかない。下手をすれば集中攻撃を受けてこちらが壊滅しかねないからだ。

 

 だから、外側に被害が出ないように監視するぐらいの消極的な策が限界だった。

 

 そんな光景をみて、アインハルトは暗い顔をする。

 

「そうですね。一度乱戦に火が付くと、もう止まらなくなるものです。覇王(わたし)も何度も目にしました」

 

 その、妙に実感がこもった言葉に、声をかける者がいた。

 

「あの、アインハルトちゃん? あなた、どういう経験なの?」

 

 と、浅葱がそう聞いてきた。

 

『俺も気になるな。乱戦経験はそんなになさそうだが、その割にはなんていうか経験豊富な人の意見が出てるっていうか・・・』

 

 と、兵夜も気になっていたのかそれに乗る。

 

『もちろん言いたくなければ言わなくていいが、話した方が楽になることもあるぞ?』

 

「・・・そうですね。気晴らしにはなるかもしれません」

 

 と、前置きしてからアインハルトは話し始める。

 

「クラウス・G・S・イングヴァルト。古代ベルカの諸王国の一つである、シュトゥラ王国の第一王子。私は、彼の記憶を継いでいます」

 

『それは、生まれ変わりというやつか?』

 

 と、即座に兵夜は訪ねてきた。

 

 彼個人からしれ見れば、或る意味当然の反応だろう。

 

 だが、其れに関してはヴィヴィオが否定する。

 

「あ、そういうわけじゃないみたいです。単純に記憶とか体の特徴を受け継いでるとかいうだけみたいですよ?」

 

『え、あ、そうか・・・』

 

 歯切れがわるい兵夜の反応に少し反応が遅れるが、しかし話は続けられた。

 

「ですが、彼の無念はとてもよく覚えています。私は、彼の願いをかなえたい・・・」

 

 戦乱の歴史だったベルカに、覇をもって和をなすこと。

 

 大切なものを必ず守り切れる強さを手に入れること。

 

「・・・私は、この世界にも覇をもって和をなしたいと思ってます」

 

 そう、悲しげな表情で彼女は告げる。

 

「それが、この世界を目にしたクラウスが願うことだと思うから」

 

 その言葉に、全員が何というか沈黙してしまう。

 

『・・・あー、あのな、ハイディ?』

 

 と、真っ先に兵夜が何か言おうとする。

 

 だが、そんなことを言っている場合ではなくなった。

 

『・・・悪い、敵襲だ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 兵夜は静かにかつ素早く立ち上がると、躊躇することなく右腕をふるう。

 

 彼の神器(セイクリッド・ギア)天使の鎧(エンジェル・アームズ)。手甲から光を形成する光力攻撃型神器。

 

 その気になれば戦車砲を上回る火力を発揮するそれを、兵夜は躊躇することなく発射した。

 

 そして放たれたそれはしかし、黒い霧に阻まれる。

 

「少しぐらい会話を楽しもうとは思わないのか? 放浪者」

 

 黒い霧の中から、そんな揶揄する声が届く。

 

 それに対して、兵夜は特に感慨を浮かべない。

 

「どっちかといえば拉致被害者だろう、諸悪の根源」

 

 相手は質の悪いエンターテイナーだ。気にする必要は皆無だろう。

 

 そう、そこにいるのは仮面の男。

 

 フォード連盟の影の支配者。聖杯戦争のプロモーター。

 

 エイエヌが、そこに姿を現していた。

 

「アンタが俺たちを無理やり連れてきたやつか!」

 

「ん? ああ、君がか。ああ、俺がこいつで連れてきた」

 

 古城に堪えながら、エイエヌは黒い霧を呼び出してそれを弄ぶ。

 

 それを見て、兵夜はその霧の正体を即座に看破する。

 

「・・・絶霧(ディメンション・ロスト)か。量産型じゃなさそうだな」

 

 絶霧(ディメンション・ロスト)。黒い霧の姿をした神滅具。その効果は強力な結界にして、転移装置。

 

 これもまた、使い手が発覚しているうえに、帝釈天率いる中国神話勢力が確保している神滅具だ。

 

 それを持っているとなれば、もはやその正体は確定的に明らかだろう。

 

「お前、平行世界の出身者か!」

 

「正解。俺はこの世界線の出身じゃないよ宮白兵夜」

 

 そういいながら、エイエヌはさらに闇を広げるとそこから何体もの化け物を召喚する。

 

 肥大化した両腕を持つ、爬虫類と人間を焚いて二で割ったような一つ目の魔獣。

 

 それを見て、兵夜はさらに警戒度を強める。

 

魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)まで持っているようだな。・・・やってくれる」

 

 これもまた、須弥山が保有している神滅具の一つだ。

 

 そして、本来の使い手も優秀な使い手だった。それを強引に奪い取るなど非常に困難。

 

 それをなしているという時点で、もはやこの男の脅威度は非常に高い。

 

 勝てるかどうかはわからない。むしろ敗北する可能性の方が高い。

 

 だが、だからこそ一戦交えておきたかった。

 

 ここで少しでも情報を確保しなければ、勝利をつかむことなどさらに困難になってしまうのだから。

 

 それをむこうも分かっているのか、エイエヌは仮面の奥でにやりと笑う。

 

 まさか、敵が宮白兵夜などとは思わなかった。あの男が善意の戦闘を行うだなんて想像もできなかった。

 

 是非もない。ならばここで仕留めておこう。

 

 須澄を殺すのは正直気が引けるし、宮白兵夜を殺すのもさらに気が引ける。

 

 だが、其れでも容赦はしない。

 

 すべては、あいつとの約束を果たすため。

 

 エイエヌは遊びを忘れず攻撃を開始した。

 




遂に本格的にエイエヌが戦闘開始。

まあ想定の範囲内だとは思いますが、聖槍や赤龍帝以外にも平行世界の神滅具は出てきます。

一度やってみたかったんだ。ぼくのかんがえたろんぎぬすのばらんすぶれいかー

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