ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド   作:グレン×グレン

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因みに、勘違いしている方もいるかもしれませんがエイエヌは最後まで言い切っています。

だからこそ、兵夜は動揺したといっておきましょう。









あと今回ちょっと長いです


王道の魔王剣と憎悪の赤龍帝

 黄昏の聖槍とは、人間が持てる最強の個人装備である。

 

 聖書にしるされし神が作り出した、神器(セイクリッド・ギア)。その中でも極めれば神すら殺すといわれている13ある究極の神器、神滅具(ロンギヌス)。その中でも最強と言われている神殺しにして聖遺物の双方ともに最高峰、黄昏の聖槍。

 

 それは、今の時代において人類最強と言われている男、曹操の保有する武装だった。

 

 高いカリスマ性を持ち、人材発掘能力にたけ、当人も優れた戦闘能力を発揮する。一つの時代において最強格であった英傑の末裔であり、神が作り出した最強の装備を保有するもの。

 

 その男から聖槍を奪い取るなど、至難の業以外の何物でもない。

 

 ましてや、今目の前にその担い手がいるのである。

 

 にも、かかわらず、エイエヌはそれを持っていた。

 

 いくら平行世界の存在であるとはいえ、おかしすぎる。

 

 平行世界を渡るということ自体が、あり得ないほどの難易度がある状態なのだ。

 

 それが最低でも二つある。最早天文学的確率だろう。

 

 しかも、そのうち一つは何者かが与えたというイレギュラー。これはもはや、あり得ないというレベルすら凌いでいる。

 

「・・・くそっ・・・たれ・・・が」

 

 そして状況はあまりにも危険だ。

 

 宮白兵夜にとって黄昏の聖槍は天敵中の天敵。

 

 最強の神殺しとすら呼ばれ、かつ最高峰の聖遺物。悪魔にして神格である兵夜にとって、これほどの最悪の相性を持つ兵器は、相性だけならサマエルにすら匹敵する。

 

 ほかの二人も大きく負傷し、古城に至っては墜落中。

 

 そして、どうも女性陣も襲撃されている。これは非常に危険だ。

 

 状況的に、致命的なまでに追い詰められている。

 

 うかつだった。あり得ないわけがなかったのだ。

 

 そう、小雪の件が起こり得る可能性は、確かに極小だがあったのに。

 

「さて、それでは終わりだな。一人は仕留めておかないと」

 

 そう告げながら、エイエヌは聖槍を振りかぶり―

 

「―ああ、終わりだよエイエヌ」

 

 その直後、莫大な魔力がエイエヌに向かって放たれた。

 

 その一撃は、しかし兵夜を助けるものでない。

 

 躊躇なく兵夜ごと吹き飛ばそうと放たれたものは、しかしエイエヌが防ぐことで兵夜を救う。

 

 一瞬でかき消された莫大な魔力は、しかし魔王クラスすら超えた規格外のレベルだった。

 

「・・・来たか、兵藤一誠」

 

「来たさ、エイエヌ」

 

 そこにいたのは、強大なオーラを纏った赤き龍の鎧を着た男。

 

 莫大な憎悪と殺意を纏った赤い龍が、静かに空に浮かんでいた。

 

「勘弁してくれないかな。聖杯戦争が台無しになるのは避けたいんだが」

 

「所詮人形遊び。俺がどう壊そうか知ったことじゃないだろ」

 

 エイエヌの文句を一蹴し、兵藤一誠は左腕をふるう。

 

 そこに現れるのはアスカロン。龍を殺す強大な力を秘めた聖剣。

 

 それを振りかぶり、兵藤一誠は躊躇なくエイエヌに切りかかる。

 

「待て、イッセー・・・っ」

 

 それを、兵夜は止めようとする。

 

 いくら赤龍帝といえど、単独で上位神滅具三つのセットに対応できるとは思えない。

 

 だが、其れに対して兵藤一誠が返したのは冷たい目線だった。

 

「そういうのはいいんだよ。人形」

 

 まるで、兵夜を人としてすら見てないような目線で、彼は切り捨てる。

 

「あとで悪趣味な人形は全部燃やしてやる。それまで少し黙ってろ」

 

 そういい捨てるなり、兵藤一誠はエイエヌを押しながら、連続で攻撃を叩き込もうとする。

 

 その光景を見ながら、兵夜は大体どういうことかを理解し始めていた。

 

 少なくとも、一つだけ断言できることはある。

 

 ああ、彼のいた平行世界では、兵藤一誠と宮白兵夜の交流は友好的なものではないのだと。

 

 あの輝きを、宮白兵夜は与えられてないのだと。

 

「・・・くそったれ」

 

「言ってる、言ってるところ悪いけど、そろそろ走った方がいいんじゃないかな」

 

 そういいながら、ぼろぼろになった須澄が兵夜を引き上げる。

 

 そして彼は、躊躇しながらも激戦とは別の方向に走り出した。

 

「トマリは?」

 

「トマリ、トマリは古城くんを回収しに行ってるよ。・・・大丈夫かな」

 

 落ちてつぶれてないかといわんばかりの疑問だったが、まあたぶん大丈夫だろう。

 

 なんとなくだが、彼は殺しても死なない気がしてきた。

 

「・・・そうだな。とにかく今のうちに助けに行かないと・・・」

 

 どうも向こうは向こうで大変なことになっている。

 

 まずは、彼女たちを助けに行く方が先決だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 瓦礫の山が出来上がる中、ヴィヴィオはかろうじて雪菜と浅葱を助け出していた。

 

 飛行魔法ができていて助かった。あの高さから落ちたらただの人間は即死だろう。

 

「大丈夫ですか、雪菜さん、浅葱さん!」

 

「だ、大丈夫だけど! それよりさっきの黒い奴は!?」

 

 浅葱はすぐにあたりを見渡し始める。

 

 あのコカビエルというやつが、このまま黙ってみているとは思えない。

 

 高確率でさらに襲撃を仕掛けてくる可能性がある。それを判断できるだけ、やはり彼女は気丈だった。

 

「大丈夫です。今は、二人が抑えてます! だからヴィヴィオちゃん、今のうちに!」

 

 と、すぐにコカビエルがシルシとアインハルトに抑えられていることに気が付いて、雪菜はヴィヴィオに指示を出す。

 

 もちろんヴィヴィオをすぐにわかっており、急いで地面に降り立ち始める。

 

「あとちょっと粘るわよ、ハイディちゃん!」

 

「わかりました!」

 

 シルシとアインハルトは何とかコカビエルを抑え込んでいた。

 

 二人とも、この男がこの場で最強だということを理解していた。

 

 シルシは親から伝えられたコカビエルの戦いぶりから。アインハルトは先祖の記憶にもいた、コカビエルと同じような思考を持った者たちの姿を思い出して。

 

 この男は危険だ。命がけの戦いを、そしてそれ以上に戦いによって相手の命を奪うことを楽しめる類だ。そしてそのために多くの努力を重ねられるような向上心の強いものだ。

 

 なんとして潜り抜けられねば、間違いなく殺される。

 

 そして、そのために全力で戦闘を行っていた。

 

「なるほど。子供にしてはよく動く。よほど鍛錬を積んだようだな」

 

 コカビエルは、アインハルトの動きに素直に感心していた。

 

 戦争を望むコカビエルからしてみれば、そこそこ楽しませる強者は願ったりかなったりだ。

 

「いいな。実にいい。ミカエルたちとの戦争の前哨戦には、ちょうどいい前菜だろう」

 

「あなた、いまだに戦争をあきらめてないの!?」

 

 シルシはコカビエルの言葉にあきれ果てる。

 

 すでに三大勢力は和平を締結し、とどめに各種神話体系とも和議が進んでいる。

 

 この状況下で戦争を起こすのは愚策以外の何物でもない。

 

 だが、コカビエルはむしろ当然といわんばかりに胸を張る。

 

「あきらめるわけがなかろう。それに、アザゼルの奴が和平など結んだことで、不満分子はかなり集まった。・・・あとはこれがあればやりようはある」

 

 そういいながら取り出したのは、結晶でできたダイスだった。

 

 それを見て、シルシは硬直する。

 

 彼女の千里眼が、その本質を見極めたのだ。見極めてしまったのだ。

 

「堕天使版の悪魔の駒(イーヴィル・ピース)!? それも、この出力は王の駒クラス・・・!」

 

「ああ、アジュカの奴はなかなか面白いものを作ってくれた。それを禍の団のキャスターが解析して試作していたのがこれだよ」

 

 そういいながら、コカビエルはダイスを弄ぶ。

 

「これを聖杯戦争で人数分生産すれば、三大勢力はおろか神話勢力と戦うことも不可能ではあるまい? フォード連盟のエイエヌとも話はついているしな」

 

「貴方が優勝したら、フォード連盟は地球に攻め込むつもり!?」

 

「厳密にいえば、そうしなくても攻め込むつもりだそうだがな。まあ、俺としても戦力は多い方がいい」

 

 シルシは状況が思った以上に悪いことに歯を食いしばる。

 

 聖杯がテロリストにわたることを問題視していた。フォード連盟の悪行も腹立たしいが、表の人間世界の悪行にも極力かかわってこなかった冥界が積極的に動くわけにもいかない事態ではある。動くならまずは時空管理局だろうと思っていた節があるのは認める。

 

 だが、フォード連盟は最初から地球をターゲットにしていたのだ。

 

 これは、まずい。

 

「皆! 先に兵夜さんと合流して! このことを一刻も早く伝えるのよ!!」

 

「で、ですが、宮白さんも戦闘中・・・」

 

「彼なら即座に逃げの判断を下せるわ! 状況は思った以上に悪すぎる!」

 

 言うなり、シルシはエストックを構えて突撃する。

 

 フェニックスの再生能力を利用した強引な近接戦闘。くわえて、千里眼を利用しての疑似的な未来視すら併用。攻撃を受けることは覚悟して、防御を読み切っての相打ち狙い。

 

 だが、その視界一帯に攻撃が映り込み、コカビエルの姿が掻き消えた。

 

「ぬるいな!!」

 

 一瞬でいくつもの翼が動き、そして一斉にシルシを切り刻む。

 

 圧倒的なまでの攻撃が、シルシの限界をすぐにでも凌駕せんとする。

 

 いかにポイニクスがフェニックスの分家であり、フェニックスが不死の力を持つとはいえ限度がある。神クラスの一撃を受ければ完全消滅するし、損傷を受け続ければ精神が限界を超える。

 

 コカビエルはそのどちらも可能とできるだけの実力者だ。神の子を見張るものの最上級幹部である実力は伊達ではない。

 

「上級悪魔としては及第点だが、その程度で俺を倒せると思ったか?」

 

「やっぱり・・・強い・・・っ!」

 

 今までが遊びだと証明する攻撃の密度に、再生力だよりのごり押しすらできない。

 

 圧倒的格上の攻撃力に、シルシは自分の怠慢を心から悔やんだ。

 

「どうした? フェニックスの流れなら、この程度で死んでしまっては困るぞ!」

 

「ぐ・・・う・・・っ!」

 

 圧倒的な攻撃に、シルシは再生が追い付かず消えかけそうにすらなり・・・。

 

「させません!」

 

 そんな攻撃を放つコカビエルの顔面に、アインハルトの拳が放たれた。

 

「ほう? やはり素質はあるな」

 

 コカビエルは難なくかわすが、それを面白がったのか攻撃を中断する。

 

「・・・かはっ」

 

「シルシさん! しっかりしてください!!」

 

 攻撃が中断したことで気が緩み、そのまま気絶しかけるシルシをヴィヴィオが支える。

 

 コカビエルはあの攻撃の最中にもヴィヴィオたちにすら攻撃を放っていた。援護が遅れたのはそのせいだ。

 

 むしろ間に合わなくてもおかしくない対応だったが、アインハルトは何とか介入で来た。

 

「・・・戦争をあえて起こし、そして民に悲しみをもたらすなんて、覇王(わたし)は認めません」

 

「ならどうする? 俺を倒すか? 俺を、戦争を止めるというならそれぐらいはできねば話にならんぞ?」

 

 コカビエルの挑発に、アインハルトは静かに拳を構えることで答える。

 

「覇をもって和をなす。・・・守るべきものを守りきる強さを得ること。それが私の望みですから」

 

 勝ち目があるとは思えない。

 

 コカビエルの強さは低く見積もってもSSランク。間違いなくこの聖杯戦争でも優勝候補だろう。

 

 しかし、アインハルトは決して引けない。

 

 クラウス・G・S・イングヴァルドの記憶が、彼の嘆きがそれを止める。

 

 あの戦乱のような悲劇を起こしてはならない。それを止めるために力を求めた。

 

 それが、(わたし)望んで果たせなかった夢だから。

 

「なら止めて見せるがいい。俺たちを前にして覇を名乗るのなら、俺一人止めて見せなければ話にならんぞ!!」

 

 コカビエルは哄笑を上げて翼を広げる。

 

 それに対して、アインハルトは接近を仕掛けるべく腰を落としてそれに答えた。

 

「・・・ちょっと! あの子ヤバイ覚悟決めちゃってるんじゃないの!?」

 

 戦闘経験どころか戦闘技術すらない浅葱ですらわかる思いつめ方に、雪菜も状況が危険であることを察知する。

 

「だめ、一人じゃ勝てない! 下がって!」

 

「アインハルトさん!?」

 

 雪菜もヴィヴィオを止めに入ろうとするが、しかしだからといってコカビエルが逃がしてくれる保証はかけらもない。

 

 そして戦闘が再開しようとして―

 

「・・・いい覚悟だ。だが無謀だな」

 

 その間に、一人の悪魔が舞い降りた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アルサム・カークリノラース!?」

 

 それを目にした雪菜は、さらに状況が悪化したことで絶望すら覚えかける。

 

 昨夜は助けてもらったが、しかし彼も聖杯戦争の参加者だ。

 

 そもそも、それは彼の最低限の気遣いだ。聖杯戦争に参加する覚悟を決めるまでの時間ぐらいは残しておくべきとの最低限の気遣い。戦場においては酔狂ともいえる者だろう。

 

 それを、二度もされる可能性は全くなく―。

 

 さらに、戦場には増援が現れた。

 

「アルサム様、我ら右腕四天王・・・参上つかまつりました」

 

「兵員たちはアルサム様の命を忠実に果たしてございます」

 

「ですが、コカビエルが相手ともなればアルサム様といえど苦戦は必須」

 

「どうか、我々にも戦わせてください」

 

 それぞれが、右腕から炎や冷気や雷や光を放ちながら、四人の男女がアルサムに並び立つ。

 

 それを見もせず、しかしアルサムは誇らしげにうなづいた。

 

「その忠臣、我が眷属としてふさわしい。・・・ああ、共闘を許そう」

 

 そういいながら、アルサムはルレアベを突き付ける。

 

「コカビエル。貴様には我が血族もいくらか世話になったと聞いている。・・・政府に反旗を翻すなら好都合だ、ここで彼らの無念を晴らさせてもらう!」

 

 明確な殺意を込めたその視線を受けて、コカビエルは楽しそうに口角を吊り上げる。

 

「面白い、この両腕の性能を試すいい機会だ。・・・来るがいい」

 

 そういいながら、コカビエルは翼を広げて殺意を放つ。

 

 それを真っ向から受け止めながら、アルサムはあきれているかのようにアインハルトに振り向いた。

 

「・・・何をしている? ここを離れるといい」

 

「いえ、覇王として、戦乱を巻き起こそうとするものをほおっておくわけには」

 

 アインハルトは首を横に振る。

 

 戦乱を沈め、覇をもって和をなすことを願った覇王の末裔として、コカビエルは捨て置けない。

 

 ゆえに相打つ覚悟すらもって一歩を踏み出そうとし―

 

「戯けが!」

 

 アルサムはそれを一喝した。

 

「え・・・?」

 

「その程度のありさまで王を名乗ろうなど、千年早い! 四天王、少しコカビエルを抑え込んでいろ」

 

「「「「承知!」」」」

 

 そしてアルサムは、コカビエルの相手を四天王に任せアインハルトと向き合う。

 

 そしておもむろにビンタを一発叩き込んだ。

 

「っ!」

 

「ついてくる民も、魅せる在り方も持たずして何が王か! 他者の王道に振り回される形で王を名乗ったところで、そんなものは張子の虎にすぎん!」

 

 はっきりと、アルサムはアインハルトの王の在り方を否定した。

 

 それは覇王(イングヴァルド)の在り方を否定したのではない。その在り方に振り回されている、覇王の末裔《アインハルト》の在り方を否定したのだ。

 

「王道というものもいくつかの形があるものゆえ、覇王という王を何も知らずに否定する気はない。だが、それに着られている今の貴様が王の名乗るなど片腹痛いわ!」

 

「そ、それは・・・」

 

 勢いよく説教され、アインハルトは思わずたじろいだ。

 

 今は間違いなく戦闘中のはずなのだが、しかしアルサムは真正面からアインハルトをみて怒っていた。

 

「例えば、私にとっての王とは優れた奉仕対象だ。その在り方や能力で人を魅せ、尽くしたいと思わせる者。それこそが私の王道だ」

 

 そう告げるアルサムは、嘘偽りなく正面からまっすぐに答えていた。

 

「王侯貴族とは本来、古き昔に人々が自らの指導者として何らかの形で認めた者が発祥。彼らの奉仕に対して恩賞として施しを与える形であるからこそ上下の関係が生まれたのだ」

 

 少なくとも、それはアインハルトに言い聞かせようとする意図があった。

 

「それはすなわち一人の王が複数の民より上であるということ。それを証明し、そしてそれを肯定する民に施しを与える恩賞こそが高貴たる者の責務(ノーブレス・オブリゲーション)というものだ」

 

 すなわち、王が上で民が下。尽くしてくる民を使う者が王。そしてそれだけの能力を持つことが責務。

 

 上からの物言いではあるが、だからこそ忠誠を誓うものをきちんと見ている良い方だった。

 

「その関係があるからこそ、王は民を慈しむのだろう。自らに尽くしもしないものに施しを与えることなど、ただの自己満足の奉仕活動にすぎん」

 

 そう言い切ると、アインハルトをまっすぐに見つめなおす。

 

 なにより、彼の王道は彼の配下に受け入れられている。

 

 今まさにそうだ。二度会っただけの少女に説教するためだけに、強大な敵の足止めをしろと言われたのにもかかわらず、彼らはむしろ喜んで動いている。

 

 それに足るだけの何かを持っているものでなければそんなことはできない。少なくとも彼は自分の持論を実践するべく積み上げてきたのだ。

 

 その事実に、アインハルトは言い返せなかった。

 

「反論できんか? それは、貴様が覇王の王道を己のものとできていないからだ」

 

 アルサムはそう酷評した。

 

「目を見ればすぐにわかる。何に憑かれているのか知らんが、今の貴様は他者の意向に振り回されているだけの小娘だ。王を名乗るのなら自らの意思で他者を振り回せるようになってから出直してこい。目に余る」

 

 そう言い放つと、アルサムはアインハルトを突き飛ばす。

 

「異論があるのなら自らを見つめなおしてからにしろ。・・・案ずるな、この聖杯戦争が終わるまでは、必ず生き残りそれを待っていることをグラシャラボラス家の名において誓おう」

 

 そして、アルサムはそのままコカビエルに向き直ると一歩一歩前に出る。

 

 切り込むのなら真正面から。それが己の王道だといわんばかりに堂々と。

 

 その姿は、確かに当人の言う通り人を魅せるものが確かにあった。

 

 そこにいるのは間違いなく一人の王。その力とあり方で人を引きつれる統率者。

 

「守るべき民、貫く王道、そして何よりそれを認めし魔王の遺志がここにある。たかが薄汚いカラスごときが、我が王道を阻めると思うなよ!」

 

「く、くくく・・・クハハハハッ!」

 

 その威風堂々とする姿に、コカビエルは大きな声を上げて笑い出す。

 

「いい、実にいいぞ! 殺しがいのある奴じゃないか!」

 

 大上段から見下ろすコカビエルに、アルサムはルレアベを突き付ける。

 

「来るがいい。冥界の未来は貴様に手繰れるほどたやすくはない。四大魔王に代わって貴様は切る!」

 

「いいだろう。サーゼクスたちのまえに肩慣らしをしようじゃないか!!」

 

 そして、莫大な破壊の嵐が顕現した。

 

 




 ブチギレ憎悪状態の兵藤一誠。もちろんそんなことになったのは理由がありますし、理由を知ればみな納得するでしょう。人形扱いもそれによる勘違い・・・といっておきます。

 真面目系悪魔、アルサム・カークリノラース・グラシャラボラス。彼は明確な己の王道を保有しております。おりますけどやはりちょっとお馬鹿というかなんというか・・・今やるか、オイ。










追記:今回においてもド級の伏線が盛り込まれております。

 これに気づけばエイエヌの正体は確実にわかります。でもわかっても明言は避けてね?
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