ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド   作:グレン×グレン

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深夜の襲撃、始まります!

 

 逢魔が時、という言葉がある。

 

 簡単に割り切れば深夜だが、実際この時間は注意が必要だ。

 

 単純に暗いだけでなく、人間ならば普通は眠る時間であるがゆえにどうしても隙が生まれやすくなる。

 

 かつてはそれをついての夜襲が相応に戦果を挙げることとなり、現在に人間の戦争でも充分な効果を上げることができる。

 

 そして、悪魔祓いは基本的にほとんどすべてが人間といっていい。

 

 その時間帯に強襲が行われるのは当然だった。

 

 悪魔払い陣営が潜伏している廃ビルの扉を、兵夜は躊躇なく蹴り破り、即座にスタングレネードを叩き込む。

 

「あーそびーましょー!」

 

 スタングレネードでひるんだ相手を躊躇なく殴り倒しながら、兵夜はそのまま突撃する。

 

神喰の神魔(フローズヴィトニル・ダビデ)だと!?」

 

「単独で襲撃とは舐めてくれる!」

 

 すぐに上で待機していた悪魔祓いたちは迅速に戦闘を開始する。

 

 だが、それにつられないものもいた。

 

「待て、おそらくこれは陽動作戦だ。周囲を警戒しろ!」

 

「あの男だと、半死半生は覚悟してもろとも俺たちごと始末させかねないぞ!」

 

 なまじ戦績が有名だということは、その情報が知れ渡っているということ。それはすなわち状況の予測をたやすくさせるということである。

 

 兵夜は自己の倫理観に対して緩いところがあるのは、そもそも異名の原因であるハーデス戦で証明されている。なにせ、彼自身の手で全世界生中継されたのだ。隠す気がないとしか言いようがない。

 

 だから、彼は死ななければ安いを地で行ける精神性であることは周知の事実だ。

 

 魔王クラスの火力を持つ暁古城の眷獣。その火力をもってすれば、場所がわかっている自分たちを殲滅することは不可能ではない。

 

 むろんそんな火力をいきなり展開しようとすればすぐに気づかれるが、そこに陽動を仕掛ければ気を引ける。

 

 宝石魔術師である兵夜は、瞬間的にかなりの出力を出すことは理論上可能。それで死なない程度に耐える可能性は十分にあった。

 

「・・・いたぞ、南西の方向に第四真祖と剣巫だ!」

 

「まとめて殲滅しろ!」

 

 すぐに発見した悪魔祓いたちが、殲滅のために戦力を差し向ける。

 

「・・・よし、かかったな」

 

 それこそが、本命の罠であることも知らずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「古典的な策にやられるほど、悪魔祓いは伊達じゃないわよ!」

 

 グレイスはすぐに古城を発見して攻撃を仕掛けた。

 

 前回の戦いで、戦闘技術においては古城は圧倒的に格下だ。

 

 何かしらのスポーツの経験を戦闘に生かすあたり機転も効くしセンスもある。だがそれだけだ。

 

 こういう戦いは経験を積んでこそ真価を発揮する。それがないから根本的にはスペックに頼ることしかできない。

 

 いうなれば根本的に怪物のそれだ。それは自分たちが屠る対象である。

 

 そして、今の自分たちはそんな化け物たちを屠ってきた英雄の力を宿している。

 

 ならば、ここで負けることなど許されない。

 

「焼き尽くせ、吠え立てよ、我が憤怒(ラ・グロンドメント・デュ・ヘイン)!」

 

「吹き飛ばせ、獅子の黄金(レグルス・アウルム)!」

 

 炎と雷撃がぶつかり合い、壮絶な破壊を巻き起こす。

 

 その破壊を目くらましに、グレイスたちは一気に接近した。

 

「さて、小手調べはあれで終了よ!」

 

 そのまま焔をまき散らしながら、グレイスは連続で攻撃を叩き込む。

 

 それを前衛として前に出た雪菜が雪霞狼で相殺するが、それにも限度があった。

 

 理由は単純、今の彼女の身体能力が大幅に上昇しているという単純な事実だ。

 

 戦闘技術でも性能でも上回れている状況下で、一瞬先を読める程度で防ぎきるのは困難だった。

 

「姫柊・・・っ!」

 

「そうはいきませんよ第四真祖。貴方は危険すぎる」

 

 割って入ろうとする古城に対し、オイスタッハが妨害する。

 

「胴体を粉砕されても復活する再生能力は驚異的です。全身を砕いたうえで別々の場所に保管しておかなければ殺せそうにありませんね」

 

「アンタも容赦ないな、本当に!」

 

 連続で攻撃を放ってくるオイスタッハに吠えながら、古城は何とか反撃の機会を探し出す。

 

 とはいえ、自分たちの役目は攻撃ではない。

 

 自分たちは―

 

「アクセルスマッシュ!」

 

 あくまで囮だ。

 

「伏兵ですか! ですが存在を知っている伏兵など想定の範囲内」

 

「これでもベテランなのよねぇ。この程度で倒されると思ってるのかしら?」

 

 オイスタッハもグレイスも平然とかわす。

 

 だが、その隙を突いて三人は一斉に駆け出した。

 

「逃げるつもり? 甘いわね!」

 

「貴方方は脅威です。そろそろ聖杯戦争も終局ですし、逃がしはしませんよ!」

 

 そういいながら二人は追撃を開始する。

 

 だが、ここで彼らは言ってミスを犯した。

 

 この戦闘において、彼らはほかの敵を探すために分散して活動を行っている。

 

 ・・・そう、宮白兵夜の得意戦術である、ゲリラ戦に見事にはまっているのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・須澄くん、五秒後に右の壁の向こう側に出るから壁ごと吹き飛ばして」

 

『OK、OKわかった!』

 

「浅葱ちゃん、3Bコーナーに五人走ってくるから三秒後に呪術拘束装置起動」

 

「あ、これね。・・・2Cにも三人ほど来てるけど?」

 

「それは全周警戒されてるから爆弾じゃあ無力化できないわね。トマリさんに任せましょう」

 

『OKっ!』

 

 戦場から少し離れた場所で、シルシたちは作戦の肝を担っていた。

 

 今回の作戦はこうだ。

 

 まず、倫理観がぶっ飛んでいるから兵夜をあえて単騎突入させることで陽動と誤解させる。

 

 そしてもろとも撃破することができる古城に向かって、トマリの眷獣による攻撃を警戒させて少数精鋭で敵主力を差し向ける。その後、ヴィヴィオと雪菜に護衛させながら古城は二人の陽動。

 

 そしてほかの敵を探すために分散した悪魔祓いたちを、大量に用意した遠隔起動型のトラップ及び須澄とトマリで戦闘不能にすることだ。

 

 千里眼を使うことによって敵に気づかれずに様子を見ることができるシルシと、優れた情報処理能力でリアルタイムで大量のトラップをコントロールできる浅葱。

 

 今回のトラップは呪いの類を中心としている。これならばダメージによるものではないため、グレイスの禁手でも回復されないだろうと踏んでの作戦だった。

 

「・・・私は、行かなくてもよろしいのでしょうか?」

 

「アインハルトちゃんは、私と浅葱ちゃんの護衛。万が一襲われたら私達じゃ大変だもの。頼りにしてるわよ?」

 

 シルシはアインハルトをなだめるが、しかしそれ以上に状況を警戒している。

 

 なにせ兵夜はうっかりだ。何か抜けていることがありそうで怖くてたまらない。

 

 そして、何より重要なことを自分が託されていることもあると心が高ぶってしまうものだ。

 

 それでミスをしたらどうしようもない。だからしっかりと警戒しないといけない。

 

 それに、アインハルトは本調子ではない。

 

 アルサムに言われたことがいまだに尾を引いている。その状況下であのレベルの敵手を相手にすれば、何らかのミスをしかねなかった。

 

「・・・兵夜さんは、私の雇い主であってクラウスの雇い主ではないといいました」

 

 戸惑った表情を浮かべながら、アインハルトはそう漏らす。

 

「・・・私は、覇王(わたし)です。彼の無念を払拭するのは、私の望みです」

 

 そう告げるアインハルトだが、しかしそれは自分自身に言い聞かせてるような印象があった。

 

「守りたいものを守れなかった、止めることすらできなかった。それが、クラウス(わたし)の無念です」

 

 アインハルトは涙すら浮かべる。

 

 それほどまで、受け継いだ記憶は鮮烈なものだったのだろう。

 

「だから、私は今度こそ強さがほしい。守りたいものを守りきる、そんな強さがほしいんです」

 

 それが、クラウスの無念。

 

「どれだけ全力を出しても、クラウス(わたし)はオリヴィエを止められなかった。むざむざゆりかごの生贄にしてしまった。・・・戦乱を止める力があれば、オリヴィエを止めることができれば、そんなことにはならなかったのに・・・っ」

 

 涙を攻めてこぼすまいと抑え込みながら、アインハルトは拳を握り締める。

 

「それをかなえるために邁進して・・・でもそれがそもそもの間違いだと否定されて・・・っ」

 

 それでも抑えきれずに一筋涙がこぼれて―

 

『馬鹿。そこからがまず間違いだ』

 

 兵夜が、通信に割り込んだ。

 

「・・・え?」

 

 戦闘中にそんなことをしている余裕がないのにもかかわらず、兵夜はそれでも声をかける。

 

『極めて単純かつ簡単なことを教えてやろう。・・・個人でできることなどたかが知れている。ましてや国規模ともなれば、運営のためには何人もの補佐官が必要不可欠だ。王というものは統率者であり、配下をうまく運用してこそだ』

 

 兵夜は戦闘を行いながら、しかしあえてそう説明する。

 

『あのフィフス・エリクシルですら様々な根回しを行うことでようやく世界を混沌に落とすことができた。古来より数は力だぞ、ハイディ』

 

「ですが、それでは多くの人々を苦難に巻き込むことになるのではないですか?」

 

 それは確かに数で挑むことの負の側面の一つだろう。

 

 多くの数で挑むことは、リスクを多くの人々に与えるということだ。それは多くの人々を危険に巻き込むことでもある。

 

 だが、兵夜はそれを苦笑で返す。

 

『それが不思議なことに、リスクを分け合ってくれないと不満に感じるような人種がこの世には存在するんだよ。ハイディの近くにも一人いるんじゃないか?』

 

 その言葉に、アインハルトは脳裏にヴィヴィオたちの顔を浮かべてしまう。

 

 ああ、それは罪深いことのように思えるのに。

 

 彼女たちを守りきる強さこそがほしいのに・・・。

 

『これは俺の経験論だが、ただ守るだけの関係より、守り守られる関係の方がより遠くまで行ける。俺の場合はそうなんだよ』

 

 どこか、胸が熱くなった。

 

『まあ、そういうわけでみんなが頑張ってくれている以上、俺も頑張らせてもらうとするか』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、宮白兵夜は動き出す。

 

 これまでは、補給の当てがないことからあえて消耗の大きい兵器を使うことは避けてきた。

 

 だが、聖杯戦争も佳境に入り、時空管理局と合流できたのなら遠慮はしない。

 

 ましてや、アスタルテの相手ができるのは自分しかいないだろう。

 

 魔力を持たなければ倒せないのに、その魔力を無効化する。

 

 その反則じみた化け物を真正面から対処できる手段など、兵夜は一つしか知らない。

 

 そしてそれをこの場で行使する手段も一つしかない。

 

「さて、ではそろそろ起動するか」

 

 そういって取り出したのは青い籠手だった。

 

 それは、敬愛すら持っている親友の籠手と酷似した籠手。

 

 そしてそれは当然だった。あえてそういう風にデザインしているのだから。

 

「さて、それではそろそろ狂信者にはご退場願おう。俺は正当な怨恨には寛容だが、部外者を積極的に巻き込む手合いには容赦はしないんだ」

 

 そして、そこに暴威が君臨する。

 

「―代行の赤龍帝(イミテーション・ブーステッド)、起動」

 




地味に千里眼はチート。

直接戦闘能力というよりかは、遠隔地を自由に見ることができるその観測能力が脅威です。こういうトラップの遠隔駆動や戦闘支援においてはシャレにならないほど効果的。









そしてまあ、つまりまあ。









兵夜は本当にイッセーが大好きなんだなぁ・・・と、生暖かい瞳で見守ってください(汗
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