ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド   作:グレン×グレン

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やってみたかったことの一つ。









・・・ラブレター詠唱のリベンジです。


偽りの赤龍帝、降臨

 

「赤く輝く恒星よ、帝王の威光で民を照らさん」

 

 それは憧憬。自分ではどうしても到達できない種類の輝きに対する、心からの親愛の情。

 

「ああ、暗闇を行く我が心は見る影もなくすり減った。闇が染みる。闇が満ちる。暗き影こそ我が本性。その身を化生に落とそうか」

 

 それは、彼と出会わなければなっていたであろう事実。

 

 宮白兵夜は根本が悪性だ。

 

 ましてや地獄の暗闇に歪まぬほど、宮白兵夜は頑強な性根をしていない。

 

「されど、天より光は降り注ぐ」

 

 だが、そこに救いの光はあった。確かにあった。

 

「その輝きが道を照らす。我が身に邪道に落とそうと、正道からは離れるなと」

 

 彼がいたから、自分は道を踏み外すことがなかった。彼がいたからこそ光が照らす正道そのものは歩むことがなくとも、そこに寄り添うことができた。

 

「これこそが我が救い」

 

 それが、それだけが彼を人足らしめた楔。

 

「これこそ我が信仰」

 

 どれだけ対等であろうとしても、本能からくる神格化をかき消すことなどできはしない。

 

「これこそが我が心からの敬愛にして真なる友情」

 

 しかしだからこそ、兵藤一誠は宮白兵夜の親友なのだ。

 

「さあ赤き龍の帝王よ」

 

 そんな彼の力を借りたいと思うことは、当然の帰結。

 

 そして、その模造品のデータはすでに手に入った。

 

「我らが心を照らしたまえ」

 

 今ここに、宮白兵夜は兵藤一誠(太陽)の輝きを浴びて月となる。

 

「―紅の天道を見せてくれ!」

 

 宮白兵夜は赤龍帝へと変質する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・この反応!? あいつ、いったい何を!?」

 

 グレイスはあり得ない反応を確認して、狼狽した。

 

「これは! 真祖の眷獣にも匹敵する魔力ですよ!?」

 

 オイスタッハもそれに気づき、警戒心を強める。

 

 あり得ない。

 

 宮白兵夜は大きく弱体化している。

 

 宮白兵夜は神格を制御しきれない。

 

 宮白兵夜は偽聖剣を失っている。

 

 それなのに、宮白兵夜は圧倒的な力を具現化させていた。

 

「何を驚く? 俺は兵藤一誠が大好きだ、ファンだ、親衛隊だ、信者ともいえる。そして赤龍帝のデッドコピーは禍の団がすでに開発に成功している」

 

 ところどころが青くなっている赤龍帝の鎧を身に纏い、宮白兵夜は其の場に舞い降りた。

 

「なら、俺が赤龍帝の力を使えるようにするのは当然のことだろう。ヒーローへの同一化願望は男のロマンだ」

 

 そして、一瞬で周囲にいた悪魔祓いを殴り飛ばす。

 

 グレイスとオイスタッハは反応できたが、しかしそれ以外はあっさりと叩きのめされた。

 

「すげえ! そんな切り札があるなら最初から使っとけよ!」

 

「そうもいかん。試作型だからいろいろと問題あってな。増援の当てができるまでは温存しておきたかった」

 

 古城にそう返しながら、兵夜は鋭くグレイスを見据える。

 

「さて、和平を結んだ以上、教会の暴走は(悪魔)が止めるべきか」

 

「・・・アスタルテ!」

 

 グレイスは炎で牽制しながら、アスタルテを呼ぶ。

 

「アスタルテよ、堕落の具現に裁きを下しなさい!」

 

 オイスタッハもその姿に警戒し、アスタルテに命令を下した。

 

 二人とも、その経験からすぐに理解できたのだ。

 

 目の前の鎧騎士こそが、この敵達における最強の敵手だと。

 

命令受諾(アクセプト)執行せよ(エクスキュート)薔薇の指先(ロドダクトゥロス)

 

 その命令にすぐに動き、アスタルテはすぐに動いた。

 

「・・・まあ、魔術師(メイガス)ホムンクルス(製造した命)は道具扱いするし、その辺に関しては俺はあまりとやかく突っ込めないんだが」

 

 兵夜は自嘲気味にそういいながら、その攻撃を真正面から受け止める。

 

 魔力だけでなく身体能力も大幅に上昇しているからこそ打ち合える状況。

 

 だが、それでも普通に考えれば薔薇の指先を宿すアスタルテは難敵だ。

 

 魔力に類する力でしか倒せない眷獣に、よりにもよって魔力を無効化する力が宿っているのだ。

 

 唯一の対抗手段を無力化する能力。普通に考えれば倒しようがないだろう。

 

 だが、ここにあるのは意外性において規格外である兵藤一誠の模造品。

 

 たかが正攻法で打倒できない程度、突破しなければ作った意味がない。

 

 それを実証するかのように、兵夜はまっすぐ魔力を込めて殴りつける。

 

 ただし、一つだけ能力を展開した。

 

『Penetrate!』

 

 その音声が響くとともに叩き付けられた拳が、薔薇の指先を上空へと殴り飛ばす。

 

「・・・・・・・・・なっ?」

 

「・・・嘘でしょ?」

 

 オイスタッハとグレイスはあまりの光景に唖然となる。

 

 そして、その隙があまりに致命的だった。

 

「何を驚く?」

 

 そのまま宙へと飛び出した兵夜は、流れるように連続攻撃を叩き込む。

 

「兵藤一誠の赤龍帝の模造品を、強化特化型魔術師の俺が運用するなら、属性の被っている能力より透過の方が便利だろうが!!」

 

 そのまま踵落しを叩き込み、薔薇の指先を地面へと叩き付けた。

 

「・・・まあ、従業員の心情は考慮するんでな。殺しはしないがおいたのお仕置きはさせてもらうさ」

 

 あまりに圧倒的かつ流れる動きの殲滅に、グレイスもオイスタッハも我に返るのが遅すぎた。

 

 特にオイスタッハにとっては衝撃が大きすぎる。

 

 アスタルテは・・・否、薔薇の指先は彼の悲願である聖遺物奪還のための切り札だ。

 

 それが倒されたということは、彼の悲願が叶えられないということを意味する。

 

「・・・オイスタッハ! まだよ、まだ聖杯が残ってる!!」

 

「・・・ハッ! そうだ、まだ願望機があれば―」

 

 グレイスの声に我に返るが、しかし後一歩足りなかった。

 

「悪いがオッサン、まだあれは残ってもらわねえと困るんだよ」

 

 すでに、懐に古城が潜り込んでいる。

 

 衝撃的な事態の連続に、オイスタッハは反応が間に合わない。

 

「終わりだオッサン!!」

 

 真正面から、全力で拳が叩き込まれる。

 

 あまりに愚直なその一撃は、しかしそれ故に大きな威力を持っていた。

 

「・・・ガァ・・・っ!?」

 

 顔面を全力で殴り飛ばされて、オイスタッハはそのまま壁に激突して力なく崩れ落ちる。

 

「・・・アンタのやろうとしたことは間違ってないのかもしれない。だけど、それを認めるわけにもいかないんだよ」

 

 古城としても、この戦いは割り切れない。

 

 なにせ非は基本的に絃神島にあるのだ。死者の弄びに窃盗行為まで重ねている以上、あれだけの騒ぎが起きたこともあり、責任追及は免れない。

 

 だが、何も知らない数十万人もの市民を犠牲にするわけにもいかない。

 

「・・・戦争なんてそんなもんだ。大義名分のぶつかり合いだよ、大抵は」

 

 兵夜は鎧を解きながら、そんな古城の肩に手を置く。

 

「まあ、正当防衛の権利は日本じゃ認められてるし、あんまり深く考えるな」

 

 そう慰めると、兵夜は視線を向けた。

 

「さて、それでお前はどうするつもりだ?」

 

 すでにグレイスに仲間はいない。

 

 ほとんどの悪魔祓いは戦闘不能。協力者であるオイスタッハとアスタルテも動けない。

 

 状況は完全に兵夜達の勝利だった。

 

「・・・ハッ! ここで止まるぐらいなら、最初から聖杯戦争になんて参加してないわよ」

 

 だが、グレイスは止まらない。

 

「アンタにわかる? 主のために命すらかけて邪悪を屠ってきたのに、それを全部否定するかのように和平が成立した時の虚しさが」

 

「・・・だろうな。まあ、急激すぎるのは事実だよ」

 

 兵夜はそれを否定しない。

 

 もとより中庸の自分にとって、各種トップのリベラルさは頭痛の種だ。

 

 間違いなく暴発するとわかっていたのでいろいろと動いたりもしたが、それでも抑えられない部類はいるだろう。

 

「まあいいさ。和平そのものは俺としても好都合。ならその軋みぐらいは何とかするさ」

 

 そう言いながら、兵夜は光の槍を展開する。

 

 代行の赤龍帝は使わない。あれは消耗しすぎているので、使うなら相当のインターバルが必要だ。

 

「こい、グレイス。アンタの鬱憤は受け止めてやる」

 

「・・・そう、ならここで死んでもらうわ!!」

 

 そして、二人は距離を詰め―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「否、ここで貴様は終わりだ」

 

 その胸を、凶手が貫いた。




いや、固有結界の詠唱がきもいきもい言われたのが実に屈辱で。

半端に無限の剣製をまねたのが失敗だと思い、今回はいろいろと変えてみました。

常に金欠の状況でも、ネットで調べればラブレター詠唱の一つや二つは出てくるものですね。実に参考になりましたとも。
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