ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド   作:グレン×グレン

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現在エピローグの執筆中です。さらにこの後アザゼル杯編を含めたいわゆる第二シーズンを書こうかとも思っています。

しいては、活動報告でアンケートを実施します。


最終決戦前って案外グダグダする

 

 

 

 

 

 

 

 

「すごい、あの人達すごいよね!」

 

「うん、私達、そんなすごい人とこんな近くにいるんだね!」

 

 リオとコロナがテンションを上げるのも当然だろう。

 

 酷い目に遭ってきたのに、そんな言葉じゃ言い表せないぐらいなのに、嫉妬してもおかしくないはずなのに。

 

 それでも、そんな世界を守ることも目的の一つに加えてくれる彼らがただただすごかった。

 

 そして、そんな彼らを束ねているのが、赤龍帝兵藤一誠なのだ。

 

「本当に、すごい奴なんだ。赤龍帝ってのは」

 

「むろんだとも」

 

 暁が漏らした言葉に、アルサムはしっかりと反応する。

 

「歴史上最弱と言われながら、同時に歴史上最も優しい赤龍帝と言われた男。覗きの常習犯ゆえに毛嫌いされることも多いが、その本質に触れる者達は皆一様に彼に夢中になると言われている。……ああ、私もその一端を見せられたよ」

 

「うん、すごいかっこいい人です」

 

「あれが、王の器……」

 

 コロナとアインハルトが感嘆する中、赤龍帝は皆の意志を鼓舞していく。

 

 特に、アインハルトはその姿に目が離せなかった。

 

「アインハルト・ストラトス」

 

 その肩に、アルサムが手を置いた。

 

「見ておくといい。あれが、私とは異なるもう一つの王の姿だ。……王の道や在り方とは一つではないのだよ」

 

「はい。勉強になります」

 

 そう答えるアインハルトに、しかしアルサムは何かを感じ取る。

 

「……王になることを、辞めたのか?」

 

「いえ、覇王としての責務を捨てたわけではないのですが―」

 

 アインハルトは少し言いよどむと、しかしまっすぐにアルサムを見つめてこう返した。

 

「覇王クラウス・G・S・イングヴァルドとしてではなく、ハイディ・E・S・イングヴァルドとしての道を進んでみたいと、そう思うんです」

 

「そうか」

 

 静かに、しかし笑顔でアルサムは頷いた。

 

「それができてようやく一人前だ。スタートラインに立てたようで、王として喜ばしい限りだ」

 

「はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なんか、難しい話してんな」

 

 二人の間に通じるものがあることはわかるが、しかしよくわからなくて、古城は首を傾げた。

 

 そんな古城に、浅葱は呆れた視線を向ける。

 

「いや古城、アンタ真祖なんでしょ? だったら少しぐらいわかった方がいいんじゃないの?」

 

「んなこと言ったって、別に俺は夜の帝国とか作る気があるわけじゃないし」

 

「ま、それもそうか」

 

 古城はあくまでただの高校生だ。少なくともそう生きていきたいと思っている。

 

 なら、王の在り方なんてわからない方がいいのだろう。

 

「まあ、わかった方がいいこともあるかもしれないけどな。なんか俺はトラブルに巻き込まれ続けるらしいし、気づいたら夜の帝国とか建国してるかもしれないからな」

 

「ないない。あんたにそんな才能ないって」

 

 浅葱はそう言ってバッサリ切るが、しかし不安にならないこともない。

 

 なにせ吸血鬼の真祖は強大過ぎる力を持っている。少なくとも普通の高校生活を送るにあたって分不相応にもほどがある程度にはある。

 

 もしかしたら、本当にトラブルの果てに夜の帝国を作ることになるかもしれない。

 

 ……だがしかし、そんな時は―

 

「ま、もしそうなったら私が何とかしてあげるわよ。祭り上げようとする連中の弱みを、ネットでバシバシ吊り上げてあげるわ」

 

「……ああ、その時は頼りにしてるぜ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんかいい雰囲気になってるけど、止めなくていいのっ?」

 

「いえ、別に。……私は先輩の監視役でしかありませんから」

 

 トマリにそうすげなく返すが、雪菜の表情は割と赤くなっている。

 

 その様子を見ながら、トマリはふむふむと考えた。

 

 ―自覚はないけど好意はあるって感じかなっ? これって、いろいろとラブコメだと面白んだけどなぁっ。

 

 伊達に吸血鬼といて長い生を生きてきたわけではない。トマリだって考えるときは考えられるのだ。

 

 しかし、これはまた獅子王機関の慧眼だろう。

 

 兵夜の推測が当たりであれば……の話ではあるが、これはむしろ別の可能性を考慮に入れるべきレベルのぴったり具合ではないだろうか。

 

 獅子王機関が雪菜に反旗を翻されたりしたら、別の意味で大変なことになりそうだ。

 

 そんなことを思いながら、しかしトマリはあえて口には出さない。

 

 自覚しないでやきもきする時間というのも、振り返ってみればいい思い出になるものだ。

 

 アップのように変な方向に覚醒したらややこしいことになるかもしれないが、彼女には自分達と違ってたくさんの仲間がいる。

 

 何より経験者であるトマリ自身がここにいる。ならばフォローはいくらでも聞くだろう。

 

 どうせ、獅子王機関とも今後は連絡を取ることになるだろうし、それ位の恩返しはしてあげてもいいかと、トマリは素直にそう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なんか、場違いよね、私」

 

 戦意を高ぶらせるその光景を見ながら、アップは気まずそうに酒を飲んだ。

 

 既に事態は最後の晩餐じみたパーティにすら発展しており、これでケリをつけるからと食料が大放出されている。

 

 そんな中、アップは一人で酒を飲んでいた。

 

 それは当然だろう。

 

 だって自分はエイエヌの側に立っていたのだ。それも自分の意志で。

 

 そんな自分が恩より恋を選んで、味方側に今更立っていることがどうかしている。

 

 そんなことを思いながら、つまみに何かこっそりもらっておこうと立ち上がろうとすると、目の前に料理が出された。

 

「はい。アップさん」

 

「……えっと、ヴィヴィオだっけ?」

 

 ヴィヴィオの姿を見て、アップはどうにもいたたまれなくなった。

 

 なにせ散々痛めつけている相手だ。なんというか実に気まずい。

 

 だが、ヴィヴィオの方は全く気にせず隣に座った。

 

「あの、できればお話したいことがいっぱいあるんです」

 

「いや、あのねえ……」

 

 どう反応したらいいのか、心底困ってしまう。

 

「……あんだけ酷いことした私に、今更何を話そうっていうのよ」

 

「それを言うなら、赤龍帝さんとも戦いましたし」

 

 と、ヴィヴィオはあっさりと返した。

 

「子供のことを気にして、戦闘を中断してくれたアップさんとならお話しできますから」

 

「別に、そんないいもんじゃないわよ」

 

 アップは不貞腐れるようにそっぽを向く。

 

 そうだ、アップ・ジムニーはそんないいものじゃない。

 

「弱い者いじめして感じるのは、本当なのよ」

 

 そうだ。それは本当に本性だ。

 

 アップ・ジムニーは間違いなく悪性なのだ。どれだけ状況が変わろうとそれだけは変わらない。

 

 そんな自分が、今更正義の味方なんてして何の意味があるのだろうかとすら思い。

 

「大丈夫です」

 

 と、ヴィヴィオは言い切った。

 

「いやなところや欠点がある人なんていっぱいいます。だから、私はアップさんと仲良くしたいです」

 

 そう、はっきりと言い切った。

 

「それに、アップさんは須澄さんの為なら我慢してくれるでしょ?」

 

「………子供が生意気よ」

 

 恋心に女は敵わない。

 

 そんな当たり前のことを言われては、もはや反論が全くできない。

 

「あなた、カウンセラーか何かの資格持ってるの? やけにそういうの得意だけど」

 

「いや、そういうのは持ってないです。だけど―」

 

 ヴィヴィオは拳を握ると、まっすぐそれを見つめる。

 

「大切なことは、ぶつかり合わなきゃわからないこともある。私はそれを知ってます」

 

 その姿に、アップは彼女が自分よりもすごい経験をしたことがあるとなんとなく感じた。

 

「だから、ぶつかってきたからわかります。アップさんはいい人です」

 

 そんな風にまっすぐな笑顔で見つめられるとすごく困る。

 

 すごく困るが―

 

「わかったわかった。そんなに言われたら納得したわよ」

 

 ああ、なんだか―

 

「とりあえず、期待を裏切らない程度に頑張るわよ」

 

 ―悪い気分では、決してない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、赤龍帝」

 

 ある意味最後の晩餐である中、俺は赤龍帝をまっすぐ見つめる。

 

「そろそろつつけ。そして覚醒しろ」

 

「……マジで言ったの!?」

 

 割と視線が集まるが、しかしこれは重要なことなのだ。

 

「赤龍帝。頭が痛くなることなのはわかっている。お前はそういう点では常識あるから戸惑うのも分かる」

 

 ああ、それに関しては否定しない

 

 覗きの常習犯という非常識なところのあるイッセーだが、実は意外と常識も良識もあるのだ。

 

 常人が持てば即座に痴漢行為を働かずにはいられない色欲を持っておきながら、強姦や痴漢は起こさなかった。いや、覗きも逮捕されて文句は言えない罪か。

 

 しかし、しかしだ。

 

「フォンフが言ったことはあながち否定できない。少なくともつついているイッセーとつついていない赤龍帝のどっちが脅威かといえば前者だからな」

 

「いやいやいやいや。俺、神滅具二つ持ちだよ?」

 

 んなわけねえだろ、と言いたげな言葉だったが、甘いぞお前は。

 

「赤龍帝。その程度では驚くに値しない」

 

「驚けよ!!」

 

 渾身の叫びだが意味がない。

 

「普通に禁手になった程度では足りん。向こうのイッセーは悪魔の駒(イーヴィル・ピース)のリミッターを解除したとはいえ、乳首をつつくことで禁手を更に昇華させ、そのうえ乳から放たれる光を浴びて更に昇華させたことがあるからな。それに比べれば常識的な強化と言わざるを得ない」

 

 ちなみに、その過程で何千人もの痴漢を発生させたことは黙っておこう。

 

「全くですのよ。京都でイッセーにぃの色欲を移植した結果、いったい何千人がおっぱいに触れたくてたまらなくなって痴漢になったと思ってますの? それだけの色欲を最大限に使えば、想いを力に変える神器ならば禁手を超えることなど容易ですのよ」

 

「雪侶? 大将があえて黙ってたこと言うのやめとかね?」

 

「この馬鹿妹! グランソード、雪侶の口を塞いでおけ!!」

 

「ちょっと待って!? 痴漢何千人って何!? 俺のおっぱいに対する熱意は常人には耐えきれないと!?」

 

「そうなんだよ馬鹿野郎!! 元浜ですら耐えられなかったんだよ!!」

 

 俺も流石にドンビキだよ!

 

「っていうかおっぱいはどんだけ強大なエネルギーがあるんだよ! 何か無限の力でも秘めてるの?」

 

「リアス・グレモリーのおっぱいをエネルギーに変換すれば、都市を一発で灰燼と化す大出力砲撃を何十発と撃つことができるな」

 

 これも実話だ。

 

「まあ、代償として一時的に貧乳になるんだが」

 

「なんて酷い代償なんだ……っ」

 

 赤龍帝がショックのあまり膝をついた。

 

 うん、一時的だから我慢しような?

 

「因みにアーシアちゃんのオパーイを使った場合、崩壊した首都クラスの都市が一瞬で再生する」

 

「バリエーションあるの!?」

 

 ああ、そりゃ驚くだろう。なんだこの力は。

 

「な、なんなんだ俺は。俺はどんだけおっぱいに魅了されているんだ……」

 

「異世界から乳を司る神が加護を送ってくるぐらいには大好きだ」

 

 ああ、本当に大好きなんだな、お前。

 

「因みに、それをあるジジイに知られた結果、そのジジイの枯れた心に侵略者精神が燃え上がり、結果としてその異世界から攻撃を受けかねない事態になっているから、ホント影響力高いよな。……いや、これをお前の所為というのは無理があるんだが」

 

「いろいろ酷すぎるぅううううううう!!!」

 

 ああ、完璧に崩れ落ちた。

 

『おい、赤龍帝の残留思念達が文句を言ってきてるからそろそろいい加減にしてくれないか? 俺も流石にきついぞ』

 

 そんな文句をドライグが言ってくるが、そんなことを言われてもなぁ。

 

「……そいつらに言っておいてくれ。お前らこっちじゃ最終的にイッセーがツッコミ必須のおっぱい紳士になったって」

 

「『嘘だろ!?』」

 

 おお、相棒同士のシンクロツッコミ。

 

 まあ酷いのはわかるんだが、しかし現実問題そうなんだから仕方がない。

 

「歴代白龍皇は歴代白龍皇でヴァーリ以外はパンツかいで和解したからな。……俺、その時の記憶が飛んだままなんだ」

 

「……ゴシップかと思ったら真実だったのか」

 

 アルサムがドンビキしているが、気持ちは痛いほどよくわかる。

 

「ああ、確かにすごい変態ほど強いんだな……」

 

「確固たる事実に基づいた持論だったんですね……」

 

 暁と姫柊ちゃんが遠い目をしている。

 

 うん、割とそうなんだ、ごめん。

 

「……まあ、戦闘中にパンツ料理して食べるファーブニルや、それに感涙して寝返った量産型の邪龍に比べればまだましだ。肉体がない分」

 

「いや待って、それ酷すぎない?」

 

 ああ、まったくもって酷い。

 

「しかも天界は全人類を発情期にしようとする勢力によって大被害を被ったしな。もう変態が多すぎて大変だというかなんというか」

 

「俺達の世界とは別の意味で酷い!?」

 

 うん、割とこっちの世界も酷いです。

 

 ま、そういうわけで。

 

「とにかくこっちにも余裕がない。……つついて覚醒しろ、早く」

 

「酷いなおい!?」

 

 いや、真面目な話なんだよ。

 

「赤龍帝。真面目な話、時空管理局と地球の全勢力を敵に回す気のエイエヌと戦うには、相応の戦力が必要だ」

 

 そう、奴は本気でグレートレッドを殺そうとしている。

 

 それと同格と言われるトライヘキサを材料としたトリプルシックスの戦闘能力から逆算して、本当に殺せる戦力だとするならば、この場の全員が挑んでも勝ち目がない。

 

 時空管理局も大艦隊を用意しているだろうが、しかしそれでも苦戦は必須だ。

 

 ぶっちゃけ余裕がないのだ。戦力はあればあるほどいい。

 

「俺だってこんなことを言うのは頭が痛い。だが、お前のおっぱいパワーが今こそ必要なんだ。さっきも言っただろう。フォンフの罵倒はあながち見当違いでもないと」

 

「いや、いやでも、人の目があるし―」

 

 あ、そういえばそうだった。

 

「公開生中継でおっぱいライト浴びたり、曹操達(テロリスト)がつつくの待ってくれたりしてたから麻痺してたわ、すまん」

 

「俺、どんな状況でおっぱいつついてんの!?」

 

「大体戦闘中だな」

 

 考えてみれば酷い話だ。

 

 そりゃフィフスもストレスのはけ口用の分身創るわ。当たり前だ。

 

「と、とりあえずつつかれてくれる人……いる?」

 

 赤龍帝は恐る恐る聞いてみるが、意外にも手を挙げる人は多かった。

 

「イッセー様につつかれるなら、まあいいかなぁって」

 

「と、いうより側室に入れてほしいなー」

 

「ひ、人目のないところでなら……」

 

「っていうかむちゃくちゃ良物件だし」

 

 とは手を挙げた者の弁である。

 

「なあ、冥界大丈夫なのか?」

 

「異形世界、どこもこんな感じだったりする」

 

 暁が心配するのも当然だろう。

 

 少なくとも悪魔に友好的な勢力はノリがいいからなぁ。おっぱいドラゴンなんてもんがいろんなところで放送される辺り色々酷い。

 

「っていうか、パワーアップでいうならお前もだろう、暁」

 

「え、俺もか?」

 

 当たり前だ馬鹿野郎。

 

 なんで十二の眷獣のうち一つしか使えないんだよ。

 

 他の奴も魔王龍王クラスあるのは簡単に想像できるし、複数同時運用できればそれだけで圧倒的な火力になるぞ?

 

 うん、せめてもう一つぐらいは必要だろう。

 

「何とかもう一つぐらい使えるようにならないのかよ。ほら、なんか勝手に出かけた時あるじゃねえか」

 

「いや、あいつら俺のこと宿主として認めてないからな」

 

 と、古城は首を捻る。

 

「ろくに血を吸ったこともないのが原因だと思うが……」

 

「はい」

 

 なんだ話は簡単じゃねえか。

 

 俺は輸血パックを出すと、暁に押し付けた。

 

「こっちのイッセーの血液だ。触媒として有効なのは邪神の宿したこっち側の吸血鬼で保証済みだから、効果あると思うぞ?」

 

「いらんわ! 大体吸えって言われて吸えるようなもんじゃないんだよ、俺達の方の吸血鬼は!」

 

 え? マジで?

 

「普通に食事替わりで吸うもんじゃないのか? こっちの吸血鬼はむしろ血しか受け付けない奴だって多いんだが」

 

「普通に飯食った方が効率良いだろ。不便だなそっちの吸血鬼」

 

 うっわぁ、マジかよ。

 

「あの、実は私達の世界の吸血鬼は……」

 

 姫柊ちゃんが、すごく言い難そうにっていうか顔赤くして説明する。

 

「性的興奮と直結して……るんです」

 

 ………ふむ。

 

 すっかり忘れてたが、確かそんなことを言っていたような気もする。

 

 なるほど。

 

「はいエロ本」

 

「なんで彼女いるのにそんなもん持ってんだ!」

 

「うるせえ! むしろあいつらの方から持ってくるときがあるんだよ!!」

 

 男の劣情に理解ありすぎだろあいつら!!

 

「いいからさっさと竿おっ立てて血を吸ってこい! 報酬上乗せするから!」

 

「色々下品にもほどがあるだろうが!! だいたいこんなタイミングで興奮できるか!」

 

「よし待ってろ! ニンニク料理作ってくる!!」

 

「そういう問題じゃねえ!!」

 

 いや、ホント興奮してくれませんかねえ!?

 

 マジでいくつもの世界の危機なんだよ!! これでも手段選んでる方なんだよ!!

 

 ええいこうなれば最終手段。

 

「最終兵器! アザゼルから没収した性別変換光線銃で俺自らセックスアピールを―」

 

「大将自分を犠牲にしすぎだ! ……お~い、そっちの人達に淫魔いねえか!?」

 

 グランソード! 俺を羽交い絞めにするな!!

 

 こういう時に人を巻き込むわけにはいかないだろうが!!

 

「ちょっと宮白さん!? あなた私にアドバイスしたのはなんだったのよ!!」

 

 ええい藍羽だったら話は簡単だ。

 

「ならお前がその巨乳を押し当てて吸われて来い! 冗談抜きで一世界の危機なんだよ!!」

 

 俺だってこんなこと言いたくないけど、マジでやばいんだよ!!

 

「グレートレッドが死んだらマジで世界の安定が崩れるんだぞ!? 地球周辺世界の安全のために異世界の後ろ盾得ようとしたら、なんで先取りで異世界侵略の危機を迎えなければならないんだ!!」

 

 本当になんでこうなった!

 

「いやもうお願いだからちょっと藍羽でいいから吸われて来いよ! マジお願いお金出すから!!」

 

「どんな変則的な売春よ……」

 

 シルシ、そこ何も言わないでくれない?

 

「あのなあ、それは流石にないだろ宮白」

 

 暁は暁でため息をつく。

 

「浅葱はただの友達だっての。この前だって宿題教えてもらう代わりにどれだけ飯驕らされたか」

 

「………暁」

 

 なんか藍羽が可哀想になって一気に冷静になれた。

 

「ラブコメの鈍感主人公によくあるパターンを教えてやろう」

 

「なんだ、いきなり?」

 

「ツンデレ系の攻略されたキャラクターが、普段はしないことを条件を付けるというツンでするというデレがあるんだが、たいていの鈍感な主人公はそのツンに騙されて裏のデレに気が付かないというやつだ」

 

「………」

 

 暁は、数秒考えこんだ。

 

 そして鼻血が出た。

 

「どこまで脳内で発展した!? 煽ってなんだけどドンビキだよ!?」

 

「誰の所為だと思ってるんだ!! ……いや、違うよな!? 違うよな!?」

 

 違わねえよ! 気づけよ馬鹿!!

 

 現実に鈍感系主人公いても害悪だな! イッセーの場合は仕方がないトラウマがあったからだけど、それにしても見ていて酷い。そりゃ姫様も切れるわ!!

 

 などと思っていたら後頭部に衝撃が走った。

 

「あ、あ、あ、アンタねえ! なんでそういうことこんなところでいうわけ!?」

 

「兵夜さん、そういうのはもっと小声で言うべきだと思うの」

 

 あ。

 

「………てへ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数分間、徹底的にボコボコにされたのは言うまでもない。

 


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