ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド   作:グレン×グレン

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アルバム、公開です!

 

 俺達グレモリー眷属は、駒王学園の旧校舎をアジトとしている。

 

 旧とはいえど校舎と名がつくだけあり、それ相応のでかさを誇る旧校舎は、当然のごとくオカルト研究部だけで掃除するだなんて無理がある。

 

 と、言うわけで定期的に使い魔に掃除をさせるらしい。

 

 ナツミがやけに張り切っていたから、あとで差し入れでも持って行ってやらないといけない気がする。

 

 まあ、そういうわけでオカルト研究部が今日活動するのは、部長が今住んでいるイッセーの家というわけだ。

 

 最近は独自色が出てきた俺の活動内容について、俺の人間としての側面を利用できないかどうか話している。

 

「・・・つーわけでアフターサービスをしておいた方が便利なんですよ俺にとっても客にとっても」

 

「確かにそうね。兵夜の依頼は報復の可能性がある以上、何らかの監視手段を用意しておいた方が依頼者のためにはなるわ」

 

「あらあら。では、報復をたくらんだ悪い子のお仕置きは私も手伝いましょう。うふふ、依頼人の方たちには悪いですが、今から楽しみですわ」

 

 リピーターを作るのも結構だが、何より依頼を確実に遂行したい。

 

 そして不良にからまれた何とかしてくれが内容である俺の場合、確実に遂行するのはイコールでその後の安全確保だ。

 

 そういう意味では乗り気の部長と別の意味でノリノリになっている朱乃さんは非常に頼りになる。

 

「だけど宮白くんってそういった人種によくかかわってるよね。・・・正直驚いたよ」

 

「木場、この程度で驚いたらやってけねえぞ」

 

「・・・駒王学園近辺の不良の何割かが何者かによって学園関係者に危害をくわえさせないように見張ってるという噂がありました」

 

「そうだ小猫ちゃん。・・・一年かけて宮白が作り上げた監視体制だ」

 

 イッセーが見事に補足してくれている。

 

 まあ、俺の平穏な学園生活を作るためにそれ相応の努力はしてるということだ。

 

 いろいろ大変だったぜ。・・・一日ごとに一人ずつ弱みと情報を握って掌握。探偵のまねごとで稼いだ金を使い、役に立ったやつにはちゃんと褒美を与えて甘い蜜を与え・・・。

 

「ちゃんとやりがいを与えてやれば結構言うこと聞いてくれる奴が多いんだよ。・・・おかげでなかなか貯金がたまらなかったが」

 

「宮白さんはすごいです。きっと主は見ててくださいます」

 

 いやアーシアちゃん?

 

 かなり私利私欲でやってるからそれはないんじゃないかな?

 

 つか、悪魔の行動を神様が見ているって言うのは監視以外の何物でもないからね?

 

「気になって調べてみたらこの辺りの不良業界はおろか、裏の業界でも名の知れた学生だというのだもの。・・・私の悪魔稼業において、ここまで便利な下僕が手に入るとは思わなかったわ」

 

 部長が関心していた。

 

 現在の部長の悪魔家業の縄張りはこの駒王学園を中心とした地方都市だ。

 

 そして、俺の裏の顔としての範囲も、基本的には駒王学園を中心としているが、他にも知り合いというレベルで言うならヤクザや警官、探偵会社のメンバーなど地方都市をカバーすることもできる範囲である。

 

 単独ではなくグループで動く場合、俺のコネはかなり便利なものになるだろう。

 

 うん、俺の人間時代の努力がこんな感じで関わるとは、思ってもみなかった。

 

「ホント、宮白って恐ろしいよな。・・・どうすりゃそんなに大暴れできるんだ?」

 

「企業秘密だ」

 

 イッセーにはこう返すが、そんなもん決まっている。

 

 魔術に決まってるだろう。

 

 認識阻害の魔術でこっそりと行動し、強化の魔術で身体能力を上げ、使い魔の魔術で情報を収集し、呪いの魔術で報復を行う。

 

 常人にはない力を多用することで、俺はこの街の裏で相応の実力を身につけているのだ。

 

 特に呪いによる体調不良は効果的だ。こいつに手を出すと不幸になるとかいう噂は、ハクがつくからな。

 

 無修正DVDを何枚も調達した俺のコネはイッセーが一番よくわかっているだろうに。

 

 ま、調子に乗りすぎないようにそれなりの利益だけ入手して周りに還元すれば、その分人望も増えると言ったもんだ。

 

 悪魔にならなかったとしても、俺はそれなりに裕福な生活を送っていた自信がある。

 

 などと自分の生活に納得していたら、ドアがノックされた。

 

「あらあら。イッセーが部活動にここまで熱心になっているだなんて感激だわ」

 

「これはおばさん。・・・お茶持ってきてくれたんですか! ありがとうございます」

 

 丁度のどが渇いたところだったんだ。

 

 ガキのころからの付き合いなだけあって俺も何度かイッセーの家にはやってきている。

 

 イッセーのご両親とは顔なじみだ。

 

「部活動の邪魔しちゃ悪いとは思うんだけど、今日はみんなに見てもらいたいものがあるの」

 

 そう言ってイッセーのお袋さんが取りだしたのは・・・

 

「アルバム?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これが小学生の時、宮白くんと一緒に海に行った時に写真なんだけど―」

 

「あらあら、全裸で兵夜くんをおいかけてますわね」

 

 お袋さんが指さした写真を見て、朱乃さんがくすくすと笑う。

 

 思い出した。あの時は振り返ったらイッセーが全裸で驚いたな。

 

 しかもすっ転んだイッセーが俺の海パンをつかんだせいで危うく俺まで大事な部分が!

 

「見ないで! 俺の恥ずかしい過去を見ないで!?」

 

 イッセーが絶叫する。

 

 うん。過去の恥ずかしい思い出をばらまかれているんだからそりゃ恥ずかしい。

 

「・・・イッセー先輩の恥ずかしい思い出」

 

 小猫ちゃんもしっかりと目に焼き付けてるし、これはイッセーにとって地獄だな。

 

「イッセーの女の子のお友達がたくさん来たら、イッセーのアルバムを見せるのが夢だったのよ」

 

 イッセーはきっとこう思ってるだろう。

 

 叶わなきゃよかったのに!

 

 俺にとっても決して無関係じゃない。

 

 自慢にならないけど俺は子供のころの友人関係がはっきり言ってイッセーぐらいしかいない。

 

 これがどういうことになるかというと、イッセーの思い出に俺が登場する確率は非常に高いということで・・・。

 

「見て、これが運動会の時の二人三脚なんだけど・・・」

 

「・・・宮白先輩と一緒に転びそうになってますね」

 

 被害は俺にも及ぶんだよ!

 

「・・・イッセー。なぜ、何故女友達を家に連れてこなかった・・・ッ」

 

 そうなれば既にアルバムイベントは終了して、このタイミングでおばさんが見せに来ることもなかったのに!

 

「俺に、女友達がいると思ってんのか?」

 

 わかってるよ!

 

 わかってるけど、それでも思うんだよ!!

 

 しかし部長とアーシアちゃんはどうした?

 

 あの二人ならそれなりに過剰に反応するはずだろ。イッセーに惚れてるんだし。

 

 と、思って探してみれば・・・。

 

「幼いころのイッセー幼いころのイッセー幼いころのイッセー幼いころのイッセー幼いころのイッセー・・・」

 

「はぅぅ・・・。小さなイッセーさんが一人、小さなイッセーさんが二人、小さなイッセーさんが三人・・・」

 

 ・・・うん。見なかったことにしよう。

 

 あの二人は変な扉を開いてしまったようだ。

 

 しかし、こうして思うと俺の幼少期はイッセーと共にあるな。

 

 それぐらいしか友達がいないからってこれは自分でもどうかと思う。

 

 イッセーに依存しているとは思うが、いい加減いい年なんだし俺もイッセー離れをした方がいいな。

 

 出ないと部長やアーシアちゃんに悪い。

 

 よし、そうとくれば俺もせいぜい笑ってやろう。

 

「・・・お、これはイッセーが松田や元浜と出会ったころの写真だ。たしかこの袋の中身は当時新作のエロDVD―」

 

「宮白の裏切り者! あ、木場も見てんじゃねぇ」

 

 イッセーがアルバムを奪い取ろうと全力を尽くす。

 

 だが甘い。赤龍帝の籠手を使っていないイッセーに捕まるほど俺も甘くはない。

 

 それも木場を同時に相手取っている状態では不可能に決まっている。

 

 だてに不良と殴り合って鍛えていたわけではないのだよ! フッハハハハハッ!

 

「・・・イッセーくん」

 

 ・・・ん?

 

 木場の表情がなんか変だ。

 

 なんか真剣になってるというか殺気立ってるというか。

 

 俺は木場が見ている写真を覗きこむ。

 

 そこには幼稚園児の頃らしいイッセーの写真があった。

 

 俺と出会う前のころか。このころのイッセーの姿は新鮮だな。

 

 その写真のイッセーは、同い年ぐらいの子供の姿があった。

 

 ついでに言うとその父親らしい姿が、なんか剣らしいものを持っている。

 

 美術品か何かか?

 

「あー、その写真な。小学校に上がるころに外国に越してった男の子と取ったんだよ」

 

 ほう、俺と会う前から仲いい奴が多かったのか。小さい頃だから中性的で可愛い子じゃないか。これが女だったら美人に育ってるだろうな。

 

「えーっと・・・名前はなんだっけかなぁ。・・・だめだ、思い出せない」

 

 幼稚園児の頃となると確かに難しいな。

 

 俺は前世の記憶があるからその辺は結構覚えてるが、前世の幼稚園児の頃となるとさすがに全然思いだせない。

 

「これ、見覚えは?」

 

 木場が指さしたのは、美術品とおぼしき一振りの剣。

 

 ・・・相当有名な品か何かか?

 

 確かに装飾は施されているが、それでもそんな立派な芸術品かと言われると首をひねるぞ。

 

「いや、全然覚えてない」

 

「だよなあ」

 

 下手するとそのころでも意識してない可能性があるぞ。

 

 ・・・そんなに有名なのか? そんなのがこの街にあっただなんて。

 

「まさか、こんなところでこんなものを見るだなんてね。本当に驚きだよ」

 

 俺としては今の木場の姿に驚きだよ。

 

 誰が見てもわかるぐらい様子がおかしいぞ。

 

「これは・・・聖剣だよ」


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